2026/10/11 12:16:52
(NvW96IjV)
着いて行った先は、元々は美術室として使われていた空き教室。
旧校舎の3階ともなれば、もはや誰も立ち寄らないような場所。不良たちが、こんな所にたむろしていたとは知らなかった。
扉を開けると、タバコっぽい匂いがして、顔を顰める。それに、三人の男…、嫌な予感は少しずつ現実味を帯びていく。
良くないことになる。
部屋から出ようとしても、内鍵がかけられ、一ノ瀬が立ち塞がっている。
バカでもわかる。
ハメられたんだ、と。
「急になんなのよっ!どういうつもりっ!?」
いきなり呼びつけられ、部屋に閉じ込められて。
しかし、怯えて竦むことはなく、キッと睨みつけて大きな声を出す。
しかし、この前みたく声が届く範囲には誰もいない。
「は、話…?私は、アンタらに話すことなんかないんだけど。」
だから話ってなんなんだ。
焦りと共にイライラすらしてくる。
(大丈夫…、すでに録音はしてある…。なんかあったら先生にチクってやるんだから…。)
スカートのポケット中ではスマホで録音を開始している。何かひどい目にあっても、コイツら停学にでもしてやる。
「は、はぁ〜?学校でって、何のこと?お弁当一緒に食べてるのが悪いわけ?仲良くご飯食べてるの、嫉妬してるんだ。不良ってモテないのね。」
(…何を言ってる?今日の、アレのこと…?でも、誰もいなかったはず、そもそも見られていたとしたら何で今日?たまたま…?)
内心の焦りを表すように、露骨に口数が速くなり、誤魔化すように刺々しい言葉になる。しかし、すぐに表情は青ざめ、固まった。
「……ぇ、なんで…。」
スマホに映るのは、拓海と蓮香の痴態。
目を見開いて、視線が定まらない。
「蓮香ぁ〜、頭撫でられるの好きなんだあ〜。」
一ノ瀬が後ろから頭を撫でてくる。
不快な甘ったるい声もうまく耳に入らない。
「けしっ、消してよ…。盗撮ってサイテーね…、犯罪よ、それ…。」
苦しい論理、そんなの聞き入られるはずがない。ショックを受けた蓮香が辛うじて口にできたのはこの程度だった。
「えぇ〜、どうしよっかなあ〜。蓮香がぁ、友達になってくれたら考えてあげるけど。友達の秘密はさ、ウチら絶対守るからさぁ」
(友達?さっきから、何を言って…)
一ノ瀬はバカにしたような間延びした声で、頭をくしゃくしゃ撫でながら意味のわからないことを言っている。動画を押さえられている以上、対等な関係なんてあり得ない。友達…、ろくな事ではないのは確か。