ヒロ様、お祝いのお言葉ありがとうございます。
３年のほとんどの生徒が県内模試で順位が上がって士気が
高まってます。
それなのに皆から離れてふてくされた男の子発見。
どこかで見た子だね。
顔が見える位置まで近づきました。
ああ、以前チェリーに告白した空気読めない子だよ。
チェリーに寂しくないですか、なんて聞いたけど、自分の方
が寂しそうだね。
近くの男子に聞いてみました。
あの子、どうしたの？元気ないようだけど・・。
「成績が、急降下爆撃機みたいです。」
なーんだ、じゃあ自業自得ね。
その子が急にチェリーの方を振り向きました。
ビクってして、恥ずかしそうに顔を伏せちゃった・
貴方、成績の事で落ち込んでるんだって？
「あの、僕・・」
来たいと思えば、皆と一緒にやってる自主学習においで。
「だって、僕は・・・」
えーい、何をもぐもぐ言ってるんだ。
来たいものは拒まずだよ。
「会長、ありがとうございます～。」
バカ、泣きながら言うなよ。
泣くのは結果が出てからにしなさい。
チェリーは優しくはないんだぞ。
自分で自分を助けなくてどうするんだ。

その子と別れた後に気が付いたよ。
先日のテニス部主将と柔道部主将の喧嘩の後で
「会長は愛が嫌いなんだ」って言ったのこいつだよ。
うん、独特の鼻に掛るような声は間違いない。
あははは。
来るものは拒まずって言っちゃたよ。
仕方ない。来れば一緒に勉強するか・・。

今日は外仕事だったんだけど、雨で中止なっちゃった･･。

チェリー、模試トップ５入り　おめでとうー･･！凄いじゃん！やったね！＾＾
他の生徒も凄いね･･チェリー塾夏季講習の成果だよね･･。
担任の、視野の狭さは相変わらずみたいで、ちょっと残念･･。

チェリー、病院での”ブラディ・チェリー”の件
私も、お姉さまと同様に大いに笑わせてもらったよ･･。
手術後の、チェリーの発言の何倍も笑ったよ･･噂って怖いよな･･。
「まあ、良いか・・。」と言いながらも、本心では
チェリーちょっと傷ついているんじゃないか？と、心配している私がいる･･。
ま、お姉さまがいるから大丈夫だよね･･。

いよいよ、今週末　お待ちかねの別荘泊だね･･。
いろいろ妄想しちゃって、頭の中が大変な事になっているんじゃない･･？
その妄想を、ノートに書き出してみると、妄想の整理ができて
新たな発想で妄想ができるから、脳内被虐の幅が広がって楽しいぞ･･！
受験生のチェリーに、こんな事言うとお姉さまに怒られるかもしれんが･･
”チェリー犬　妄想日記”を付けてみるのも面白いかも･･。

それはそうと、抜糸後　患部の痛みは無い･･？
メス入れたところ、ケロイドになることもあるから気にかけておいてね･･。
ま、ケロイドにならないように、テープを貼ったんだろうけど･･
完治するまで、気を抜かないでね･･。

県内模試の結果が発表されました。
チェリーは県内総合５位でした。
緊張感無く取り組んだのに上がってました。
良いのかな？
それより嬉しかったのは、うちの学校の３年の順位が
平均で５０番上がっていた事。
Ａ君なんか、一気に３００番駆けあがったよ。
彼は志望校Ａ判定どころか、県下実業系高校トップ校も
Ｂ判定だ。すごい、すごい。
放課後の学級活動の時、担任先生が興奮してたね。
「皆、よくやった。
　特に今まで下位だった者の躍進がすばらしい。
　その点、今まで順位が良かった者は伸びが低いぞ。」
うん、それは真実でしょうね。
ところで、１００番が２０番上がるのと、１０番が５番上がるの、
どちらが難しい？
「我が校の生徒が、皆で争うことなく順位を上げた。
　先生の理想とするところだ。」
まあ、うちの学校だけ見れば、そう見えるよね。
でも、他の学校の生徒との競争って事は見えてないのかな？
お父様が口ずさんでいた昔の歌で聞いた事あるよ。
「誰かが勝てば、誰かが負ける。わはははは。」
この歌詞こそ真理だけどね。
放課後、一人で病院へ。
本当はお姉様と来たかったんだけど、犬の分際で我がままは
言えないよね。
抜糸は簡単に終わったよ。
でも、若手の看護師さん達から話し掛けられました。
「貴女、スノーさんの妹なんでしょ。」
「お姉さん、家でもあんなにかっこいいの？」
「一見クールだよね。でも、妹には甘いのかな？」
「ねえ、お姉さん、お付き合いしてる特定の女性いるの？」
「なぜお姉さんって、あんなにスタイル良いの？何か運動してるの？」
「お菓子とか、何が好きかな？」
質問責めにあったけど、お姉様を賛美する声を聞くのは嫌じゃないね。
そこに来た他の看護師さん。
「貴女、○○中学の生徒会長さんでしょ。」
うっ、まずいかな・・。
「やっぱり、そうだ。ブラディ・チェリーだ。」
あっ、それ、チェリーも忘れてた呼び名。
「この子、すごいんだよ。
　自分の学校の生徒を守るために乱闘して、男子高校生５人を倒したって。」
「ああ、この子なの。
　その後、残った１０人を相手に、何時でも相手になってやる、って言ったって。」
「学校内に親衛隊とか組織してるんでしょ。」
違うー。どこで、そんな話になってるんだー。
私が一方的にやられたんだー。
親衛隊なんていないよー。
それまでお姉様を賛美していた看護師さん達の目つきも変わっちゃた。
早々に引き揚げさせていただきました。
噂って怖いんだね・・。
夜、お姉様にお話したら、大笑いでしたね。
まあ、良いか・・。

今日も朝から良いお天気ですね。
布団干し、お掃除に絶好の季節だよ。
現在、お父様、お母様の朝食が終わって、あとはお姉様の
お目覚めを待つばかり。
今日はお姉様のお顔を見るのが、すごく楽しみです。

昨夜のことです。
お父様、お母様がいらっしゃったから、服を着てお姉様の
お帰りをお出迎えしたら、すぐ部屋に来るようにおっしゃ
いました。
部屋に入ると、すぐ服を脱ぐように命じられ、裸でお姉様の
足元に正座したら、お姉様はこうおっしゃいました。
「来週、摩耶様と別荘に行くからね。」
はい、楽しみにしています。
「チェリー、本当に犬扱いだよ。」
うれしいです。よろしくお願いします。
「肉体的にも精神的にも辛いと思うけど・・。」
はい、それを含めてうれしいです。
「責められてお前の命が無くなっても？」
ああ、お姉様に命を貰っていただけるのなら、こんな幸せないです。
「摩耶様の目の前でも？」
はい、それがお姉様の望むことであれば。
「摩耶様から、変態姉妹だって思われるんだよ。」
構いません。私、お姉様の奴隷犬なんですもの。
「チェリー、お前の命、もらうね・・。」
お姉様は優しくチェリーの頭を抱きしめてくださいました。
お姉様に命を貰っていただける・・。
すごい恍惚感を感じちゃった幸せなチェリー犬です。

チェリー、試験その他諸々お疲れさん･･！
緊張感が無いながらも、無事試験を終えたのに
また、精神的衝撃を食らっちゃったね･･。
でも、ベータとの接触したことで、少しは和らいだのかな･･。
腫物の手術したばかりだけど、またストレス溜めて腫物出来ないように
お姉さまにストレス発散させてもらうんだよ･･。

ベータとの関係や、Tの動向（ヒッポも含む）が気になるところだが
文化祭と試験も終わった事だし、今月末（来月頭かな）の別荘泊を楽しみに頑張ってよ･･。

チェリー、一雨毎に寒くなって来ているから、体調崩さないようにね･･。
特に、夜は暖かくしておやすみするんだよー･･！＾＾

今日は全県模試。
全く緊張がないまま受けちゃいました。
結果がでるのが月曜日。どうなってることやら。
放課後、なにか騒がしい。
アルファが飛び込んできました。
「体育館裏で、３年が集まって喧嘩らしいです。」
またかい。体育館の裏って何かあるよね。
現場は凄い人だかり。
外側からじゃ何があってるのか分かんないぞ。
人ごみをかき分けて中に入ろうとしたら、いきなり人ゴミが
ワッて下がってきました。
おかげで前の方に行けたよ。
聞き覚えのある声がします。
「拙者は、貴公らにかかる暴力を振るわれる覚えは無い。
　どうしてもと言うなら、お相手する。」
テニス部主将じゃないの。
あの冷静な男の子が、どうしたって言うの？
「理由は自分の胸に聞け。」
こっちは柔道部主将だよ。
どうやら、柔道部主将に同調した大勢の男の子が、テニス部
主将を糾弾てるみたい。
やっと、二人の間に割って入りました。
二人とも、やめー。
驚いた様子のお二人。途端、気まずそうな表情になりました。
答えなさい。喧嘩の理由は？
柔道部主将は横向いちゃった。
テニス部主将は、必死に無表情を装ってるよ。
誰か、顛末を知ってる子いないか？
「私、知ってます。」
おや、女の子も居たんだ。
夜和子ちゃんじゃないの。どうなってるの？
「柔道部主将が、テニス部主将が抜け駆けして会長に告白した
のは許せないって。」
え～っと・・・。
原因はチェリーかい？
私がはっきり言います。
テニス部主将は「会長に思いを寄せる騎士は柔道部主将以下大勢
いる。」とは言った。
しかし、彼が私に思いを寄せているって言ったのは、私が「貴方
はどうなのか？」って聞いたからだ。
これは私の軽率さゆえだった。
許してくれ。
テニス部主将は交際申し込みは断じてしていない。
人ごみの中からヤジが飛びました。
「会長は誰が好きなんだ？」
聞いた事ある声だけど・・思い出せないな。
私はこの学校の生徒の誰とも付き合う気は無い。
「会長は愛が嫌いだからな。
　軍国女子だからな。」
断じて違う。
私は理性と共にある愛は人を強くする素晴らしい
ものだと思う。
愛する女性のために強大な敵に果敢な抵抗をした
男たちの例は多い。
女性もしかり。
史実ではないが、「ベニスの商人」を見よ。
か弱い女性が、その英知で愛する男性を救ったで
はないか。
同性愛でもそうだ。
古代ギリシアの都市国家テーベで、同性愛者だけ
で編成された神聖隊はスパルタを破った。
私は理性を持って愛する者を援助こそすれ妨害はしない。
皆、理性と愛を持って生きるべきだ。

ああ、勢いとは言え何を興奮して演説したんだろう・・。
集まった皆、それに拍手喝さいしないでよ・・。
テニス部主将を始め、皆が握手を求めてきました。
夜和子ちゃんもＡもいました。
ベータ、手を握るのは久しぶりだね。
また、チェリーとお話してくれるかな？


ところで、ベータ意外の皆さんと握手しているチェリー
の頭の中で考えてた事ですが・・
　一昨日、病院の帰りにお姉様から買っていただいた
　アイスクリームおいしかったな～。
　また、抜糸する時、買ってくださらないかな～。
これがチェリーの本性なんですよ・・。

チェリー、おはよう･･。
台風の被害は無かった･･？
私の住んでいる街も、暴風域から外れたみたいで
雲ってはいるけど、静かな朝を迎えているよ･･。

チェリーの内腿に出来た腫物って粉瘤だったのかな･･？
粉瘤だったら、私も過去に何度か出来たことがあるよ･･。
ストレスが原因みたいだね･･。
私の場合は病院には行かずに、自分で針やカッターナイフで切って
膿を絞り出して消毒して治すんだけどね･･。
私の話は置いといて･･チェリー、３㎝も切開したの･･！？
随分と大きくなるまで放っておいたんだねー･･チェリー、お馬鹿さんだね･･。
チェリーって、意識してお馬鹿になれる娘･･の前に、天然さんなんだね･･。＾＾
>「以後、この処置を受ける時は普通に痛いふりをしましょう。」
この書き込みを読んだ瞬間に、私も声に出して笑ってしまったよ･･。
ところで、お姉さまは街の有名人なんだね･･それだけ有名だと
スカウトとかされた経験あるんだろうね･･今でもかな･･。
チェリーの事は、黒髪ロングで可憐だけどちょっとお転婆な娘･･と勝手にイメージしているんだが
お姉さまって、どんな容姿なんだろ･･？全くイメージが湧かん･･。
エキゾチックな美女を想像しておこうかな･･。＾＾

台風の嵐の中、お姉様が病院に連れて行って下さいました。
わざと足が痛むふりをして、お姉様に甘えるチェリー犬です。
待合室でも、しっかりとお姉様の腕に抱きついてましたよ。
でも、甘えるのは呼びだされるまで。
診察室に入ったら、お姉さんの恥になることはできません。
看護師さんから指示されます。
「患部が見えるように、スカートを上げてね。」
はい。これでいいですか？
スカートの下はアンダースコートだから大丈夫。
まだ若い眼鏡の先生が診察してくださいました。
「わー、良くここまで化膿したな。
　こりゃ、化膿止め飲んで良くなる段階超えてるわ。」
お姉様が質問します。
「手術するんですね。」
「手術たって、患部を切開して膿と脂肪を出すだけだから。
　でもねえ・・。」
「何か問題でも？」
「局部麻酔を注射するけど、ここまで化膿してると効きが悪いかも。
　この子、身体が小さいからあまり多く打てないからね。」
なーんだ、そんなことか。
脅かさないでよ。お姉様のお顔が曇っちゃったじゃないの。
先生、大丈夫だから切開してください。
「お、君は勇ましいね。」
はい、痛みには強いですから。
でも、お願いなんですが。
「うん、なに？」
先生が切開してるところ、自分の目で見たいんです。
わーお、またやっちまったよ。
先生も看護師さんも目を丸くしてるよ。
お姉様の方を振り返ったら、しかたがない子だねって顔していらっしゃいます。
結局、チェリーのお願いを聞いていただきました。
スカートを脱いで、ベッドの上に片足を立てて左足を横に寝かした折敷けの姿勢
になります。
看護師さんが丁寧に消毒してくれました。
それから、腫れものの部分だけ穴が開いた白い布が掛けられます。
先生が小さな注射器を持ちました。
チェリーの後ろに立ってるお姉様の手が、チェリーの肩に掛ってます。
注射針が腫れものの周囲に数か所刺されて、少しづつ薬が注入されます。
「どう、気分悪くない？」
大丈夫ですよ。普通の注射と同じですね。
「これで効いてくれるといいんだけど。」
時計で５分を計って、先生がメスを取りあげました。
「あんまり、見ない方が良いと思うんだけどなあ・・。」
先生が心配してくれます。
背後から、お姉様のお声。
「先生、この子なら心配なく。
　私の妹にしては我慢強い子ですから。」
そう言いながら、肩に掛けてくださってる手に力が入っています。
メスが入れられました。
ああ、なるほど。こりゃ、効いてないわ。
しっかり、皮膚が切られる鋭い痛みは感じました。
それを顔に出さないのが、チェリー犬のチェリー犬たる所以です。
いや、痩せ我慢とも言うか・・。
切り口は長さ３センチくらいかな。
メスを入れたらすぐに血と膿が吹きだすと思ってたけど、出ませんでした。
おや、どうしたんだろう？
先生が、別のメスを先に切開した部分に入れました。
うっ、少しきついかな。
でも、このくらいなら顔に出さずに我慢可能だよ。
「どう、痛いかい？」
先生、大丈夫みたい。麻酔効いてますよ。
チェリーの大うそつきです。
「そうか、よし。」
先生、本格的にメスを動かしました。
わー、頭の先まで痛みが・・。
しかも、先生は腫れものを周りから押して膿を絞り始めました。
チェリーは笑ってるように口の両端を上げて表情を作ったけど、見え見えだったろうなあ。
肩に置かれたお姉様の手にさらに力が入ります。
切開された切り口から、血混じりの膿が出た後、細長い白い袋状の物が出てきました。
先生がピンセットで摘まんで引き出します。
「これが、脂肪の溜まった袋。
　これを取らないと、何度も腫れるんだ。」
さらに、ピンセットを切り口に突っ込んで中を探ります。
うーん、頭の先から足の先まで痛みが突き抜けるみたい。
心臓がビクッてしたのが自分で分かったよ。
チェリーは、自分の目から涙が出てないかどうかに神経を集中させました。
うん、出てないな。犬は泣かないんだ。鳴くけどね。
１０分位で手術は終わりました。３針縫ってくれました。
その上から、特殊なテープが貼られます。
「水は通さないけど、蒸れないからね。お風呂入って良いよ。
　１週間後に抜糸するから、また来て。」
はい、ありがとうございました。
先生、お上手ですね。全然、痛くありませんでした。
「あはは、そうかい。
　いや、患者が皆君見たいだったら、医者はやりやすいんだけどね。」
お姉様も先生にお礼を言って下さいました。
「ありがとうございます。
　来春、受験を控えているものですから心配で。」
「お姉さん、妹さんなら受験でも何でも大丈夫だよ。
　これだけ痛んだのに、顔色変えないふりできるんだから。」
あ～あ、ばれちゃってたのか。
顔に出てましたか？
「この処置、今まで何人も大人にしけど、皆顔しかめて痛がってたよ。」
そうですか、不自然でしたか。
以後、この処置を受ける時は普通に痛いふりをしましょう。
そう言ったら、何故かお姉様、先生、看護師さんから一斉に笑われちゃったよ？
支払いののために、また待合室に坐ってたら、何人かの看護師さんが覗いています。
「あの人がスノーなの？」
「話のとおり、かっこいいよね。」
「私、男よりスノーさんがいいな。」
「声掛けてみる？」
「もうダメみたいよ。特定の愛人、出来たんだって。」
「横の子？」
「違うんじゃない？妹らしいわよ。」
傷の痛みも忘れてしまうほど、嬉しくておかしかったよ。
そうそう、お姉様って素敵でしょ。
男の人なんて、問題にならないでしょ。
あのね、特定の愛人はいないの。
それに私、妹じゃないの。
お姉様のためなら進んで地獄に行く偏屈で強情で心の狭い
奴隷犬なの。
ああ、大声でそう言いたかったな。








　
。

台風接近中。
外は、激しい風雨です。
チェリーは今月に入って、左内腿に腫れものが出来ちゃいました。
忙しいからほおっておいたら、文化祭が終わってから疼きだしました。
今日、お姉様のお帰りをお迎えして、キスさせていただいた時、言われました。
「チェリー。お前、熱があるね。」
ドキッ、いいえ、べつに・・・。
「いや、おかしい。ちょっとおいで。」
とうとう、腫れものの事、お姉様にばれちゃった。
「明日、病院に連れて行くから。」
いえ、祭日だし、台風も来てますし・・。
お姉様、お忙しいのに申し訳ないです。
「だめ、当番の病院に行くの。」
え～ん、腫れものの場所が場所だから、きっとショーツまで見られちゃう。
嫌だよ―、恥ずかしいよ―。きっと痛いよー。
く～ん、く～ん。
急に弱虫になったチェリー犬は、お姉様に甘えます。
「大丈夫だよ。
　きっと、スーッと小さく切って膿を出すだけだから。」
でも、でも、怖いです～。
「私が横で見ていてあげるから。」
はい、分かりました。よろしくお願いします～。
でも、痛かったら、泣いていいですか～。
とことん、甘えん坊になっちゃったチェリー犬です。
本当は、自分でカッタ―ナイフで切っちゃおうかって考えてたんですけど・・。
刃を火であぶって消毒して、腫れものを切って、膿を絞り出すんでしょ。
あと、消毒薬付けて、テープ貼ったら治っちゃわないかな？
実はさっき、本当にやっちゃおうと準備したんだけど、解剖図鑑見たら患部が股関節
動脈の近くなの。
うーん、まずいかー。
やっぱり、悪いふりして、お姉様に甘えて病院に連れて行っていただこうっと。

おかげ様で文化祭も無事終了です。
大したことは無かったですよ。
警察呼んだのは２日目の1回だけ。
しょっ引いて行かれたの２人に、事情聴取されたのが３人。
怪我人は関節技を決められて地面に引き倒されたカバ一匹。
（ヒッポってカバの英訳ヒポポタマスの略だそうです）
制服の胸元が少し破れた、ぼんやりしたおまぬけ女の子が一人。
３日目は、奴隷犬が一匹精神的衝撃を受けたけど、その晩のうちに
飼い主が適切な治療を施したので、後遺症は無かったらしいよ。
問題は、後片づけだよー。
皆、全精力を消耗しつくして、片づけに取り掛かってくれないの。
チェリーが全校を走り回り、どなり散らします。
そこ、早く片付けて。
それはもっと小さくしないと可燃ごみで収集してくれないでしょ。
こらー、廊下でロッカーを引きずるな。
あんた達、なに座り込んでるの？これが重いって。私が手を貸す。早く運べー。
テニス部主将とお茶した時の甘酸っぱいような、ほろ苦いような感傷は消え去ってます。
今いるのは、ベータが嫌いな独裁専制強権非情生徒会長チェリーだ。
走り回ってるチェリーを捕まえて、担任先生はこう言います。
「もうすぐ、また模試があるけど、勉強してるのかね？」
どうも学校内では、「会長は授業以外勉強しないらしい。」って噂されてるらしいの。
そんな事あるもんか。文化祭前に泊まり込んだ時、あんたはソファーでぐうぐう寝てたけど、
チェリーはほとんど眠らずに勉強したでしょうが。
でも、そんな事をこいつに言っても始まりません。
家でしてます、ってその場をごまかしました。
来週の模試、どうなるかな？
一学期のように燃えはしないけど、自分の義務として粛々を勉強して臨みますよ。
ヒロ様、また大きな台風が来てますね。
本当にお気をつけて。