喫茶店でコーヒーを頼み、レジの方を見るとタバコが置いてあったので、しばらくやめていたタバコを買い喫茶店のマッチで火をつけタバコを吸いました。
同僚からLINEが入り、「今から奥さんと待ち合わせ場所に着く。これからランチに行ってくる」とありました。どこかは書いてありません。ランチにはまだ早い時間です。僕はすぐは返信するのもしゃくなので、もう一本のタバコに火をつけて大きく吸って煙を吐き、コーヒーを一口飲んでから、「そうか」と返信しました。ややしばらくしてから、「横浜の方までドライブしてくる」という文字を見て、僕は妻と知り合った頃に流行ったサザンの歌が頭の中で流れてきました。それを打ち消すかのように、「いや、今日はそこまで行くとは限らない」という言葉が頭の中に響いています。
それから同僚からLINEは来なくなりました。僕から聞くのもいやなので、僕はもう一杯コーヒーを頼み、タバコを吸いながらパソコンを眺めて、同僚からのLINEを待ちました。
お昼にはまだ早い時間にLINEが来ました。「横浜まで来たから、みなとみらいのイタリアンで奥さんとランチを楽しんで来る」

妻は僕に同僚と二人で飲みに行ったことを話すことはありません。同僚の話ですと、妻と同僚の間にやましいことがないので僕に話をしても問題はないと思うのですが、妻は何か企んでいるのかもしれません。
同僚と会社では顔を合わせるので、一緒にお昼を食べたりしてる時にその後の展開を聞いてみますが、「特に進展はない」と言うのみです。僕はこのまま何事もなく済むのだろうと思っていたところ、
同僚から「今週、有給を取る」と僕にLINEがありました。「奥さんもその日休みを取ると言ってたから、ランチデートでもしてくるよ」とのとこでした。僕は「あっ、そう。うちのヤツに美味いものを食べさせてやってくれ」と余裕を見せるように返信しました。
妻と同僚がLINEのidを交換したのは僕も知っていましたが、二人がLINEで連絡を取り合っているだろうと思っていましたが、そこまデート話が二人の間で盛り上がっているとは知りませんでした。
僕は妻のスマホを覗くこともしないし、妻もスマホをいじっているところを僕に見せません。
同僚が有給を取る日の朝、妻はいつも通り朝食を用意し、いつも通りに化粧をしてスーツを着て、いつも通りに出社をしていきました。
僕が駅で電車を待っていると同僚からLINEがあり、「今日はお前の奥さんとデートしてくるぞ。何があっても怒るなよ」とあったので、僕は「まあ、楽しんできてくれ」と返信しました。
僕は出社しても仕事が手に付かず、「外回りをしてくる」と課の連中に言って会社を出て、電車に乗り会社から離れた駅で降りて、近くの喫茶店に入り、そこでノートパソコンを開きながら、同僚からくるかどうかわからない妻とのデートの報告を待ちました。