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2002/05/17 04:07:37
(oBwPq1ZN)
田舎に戻ったら、実家の前に新しい家が建っていた。
新婚夫婦だろう…と思えるファンシーな造りの家。
しかし、ソコにはご老人の夫婦が住んでいるらしい。
杖を使って散歩に出る程のご老人夫婦らしい。
「お茶でもいかがかな?」
おじいちゃんの方が、私を招いてくれた。
どうやら、私の母親や祖父と親しくしているようだ。
「それじゃ、お邪魔します…。」
中に入ると、私が住んでるハイツよりも立派な造りの部屋。
「ここに、お二人で?」
「そうだよ…。」
初めて会ったのだが、愛想の良い、気さくな感じのおじいちゃんだ。
今は懐かしい、伴淳三郎さんタイプのヒトだ。
そして、驚いた。
何と、大きなテレビの下のボックスには、たくさんのビデオテープが…。
「随分とビデオテープがありますね…。」
「ああ、あれかい? ばあさんが好きでなあ…。」
「おばあさんが?」
「そう、そう…。」
おじいちゃんは、クックッと笑った。
きっと、映画か落語が好きなおばあさんなのだろう…と思った。
その日は帰った。
翌日、おばあちゃんの方にも会う事ができた。
笑うと顔がシワだらけになる程のおばあちゃんだった。
「お茶でもどうだい?」
「昨日、頂きましたから…。」
「それじゃあ、今日もどうだい?」
「ええ…。」
何だかおかしなモノだ。
似たもの夫婦っていうヤツか…。
茶と一緒にタクアン等の漬物が出された。
これが意外にうまかった。
オレもそんな年になったか…。
「今日、おじいちゃんは?」
「ああ…ダーリンはねえ…。」
「ダ、ダーリン?」
「ウチのヒトね…。ダーリンって呼んでるの…。」
「ほお…。」
シワだらけのおばあちゃんの口から、ダーリンとは…。
「それで、おじいちゃんは…何て?」
「ベイビーってねえ…。」
「ベ、ベイビー?」
いやあ、ビックリ・クリクリ・クリックリッ…だね。
なかなかナイスなご夫婦だこと…。
そして、更に驚いた。
テレビの下のボックスの中のビデオとは、何と、自画撮りのビデオとの事だ。
つまり、おばあちゃんとおじいちゃんの愛のプライベートビデオ。
「見てみる?」
「いやあ…。いいですよ…。」
断ったものの、見たいなあ…と思った。
確かに部屋の中には、随分と高そうなAV製品が並んでいた。
おじいちゃんもおばあちゃんも、案外、そういうのが好きなんだなあ…と思った。
もしかしたら、昔、吉原辺りで仕事していたヒトなのかなあ?