2018/08/17 10:53:28
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正直、『これ以上仲良くなるのはどうか?』と線引きを始めていました。『ちょっとHな気分にさせてもらったから、もういいや。』と思い始めたのです。
同世代の女性ならば、こうは思わなかったかも知れません。しかし、60歳過ぎたおばさんを相手にするにはやはり抵抗がありますし、引際だと思ったのです。
僕の気持ちが離れたことにより、安藤さんも少し冷静になりました。寄り添っていた身体は離れ、お互いの正常な距離に戻るのでした。
そして、その日の第8レースを向かえます。第4コーナーで中断にいた馬がグイグイと前に進出して来ます。まったくのノーマークの人気薄馬でした。
客席からも、『おいおい…。』と呆れた声が上がっています。本命決着の多い地方競馬では、あまりない光景です。
結局、その人気薄馬が勝ってしまい、オッズを見なくてもかなりの高配当が出たのが分かります。
すると、『うわっ!』と声をあげた方がいたのです。となりの安藤さんでした。『どうしたの?』と聞くと、『当たった。』と言うのです。
『ウソやろ~?!』と聞き返しました。おばさんは、『どうしよ、どうしよ、』と焦り始め、落ち着きがありません。
自分が当たった訳でもないのに、払い戻しが出るのを、ドキドキしながら待っていました。万馬券なのは間違いなく、いったいどのくらいのオッズなのか。
結果、400倍近い大万馬券でした。馬連とワイド馬券まで購入をしていて、6万円近い払い戻しとなります。
換金をした彼女は喜びよりも、信じられないのか、現状を受け入れられていない感じです。どこか、呆然としてしまっています。
『やったねぇ~!』と思わず抱きついてしまった僕。今でも、なんでこんなに喜んであげられたのかは分かりません。
ふわふわの防寒ジャンバー越しながら、初めておばさんを抱き締めてしまったのです。
女の身体に触れた男は、ダメです。せっかく距離を取り始めていたのに、またあの距離を求めてしまうのです。
ベンチに座り、9レースの予想を始めます。しかし、大万馬券を当ててしまった安藤さんは、『私、もういかんわ。』と集中が出来ない様子です。
新聞こそ眺めてはいますが、ウワの空状態で頭が回らないようです。そこで、『なら、9レースは買うのやめようか?』と言って、少し落ち着かせます。
そして、隣に座る安藤さんの腰に手を回し、彼女を引き寄せました。『もぉ~。』と言って、それでも僕の腰に手を回して来ます。
これまで何度か身体が触れあっては来ましたが、『もぉ~。』と彼女が反応をしたのは、これが初めてのこと。
それまでは、お互いに言葉に出せずにいたのです。彼女の言葉に、『たまにはいいやろ?』と返しました。
たまにではありません。競馬場に来ればこんなことばかりなのですから。
僕の手がおばさんのジャンバーの裾を上げ、背中から入り始めました。何か嫌がられるかと思いましたが、彼女は『冷たいわ!』と言います。
冬の寒空に冷やされてしまった僕の手は、冷たかったようです。『だから、温めてるんよ。』と屁理屈で返します。
僕の手は、おばさんのお腹辺りに触れ始めます。ジャンバーで隠されていて分かりませんが、厚着のセーターを着込んでいるようです。
そのセーターは下に垂らされていて、僕の手が侵入するには容易でした。更にその下には、薄手の洋服を着込んでいるようで、さすがにその奥は無理そうです。
洋服の上から、おばさんのお腹の側面を触れました。余分な肉はあまりなく、逆に筋肉質に思えます。アンチエイジングで鍛えてでもいるのでしょうか。
『おばはんの身体触ってうれしいか?!』、安藤さんからそんな言葉が飛びました。その言葉に、少したじろいでしまいます。
しかし、『なんか鍛えてる?』と適当な言葉で返し、そのお腹を摘まんでみます。少し彼女の身体がくねります。
安藤さんの横顔を見ました。目は遠くを見つめていますが、焦点が合ってなく、ぼんやりとした様子です。
他人にきづかれないように警戒をして、それでも触れる手に感じようとしている。初めて、この人の女の部分を僕は見てしまったのです。