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1
2015/07/17 16:06:18 (895bltZd)
小さな足音が聞こえ、襖戸の開く音に目をやると、朝
の服装に戻っている義母が顔を俯けて入ってきました。
 薄いピンクのアンサンブルと濃紺のタイトスカート姿
で、眼鏡をかけた顔の化粧もし直したのか、赤いルージ
ュが鮮やかでした。
 「…お腹空いてるでしょ。何もないけどお握り作った
から、ダイニングに…」
 やはり僕とは目を合わそうとはせず、色白の顔を俯け
たまま、呟くような声でいってきました。
 「ありがとう―」
 とだけ言葉を返して、そそくさと下着を穿きジャージ
ー姿に戻り、僕はダイニングに向かいました。
 テーブルの上には丸い皿に何個かの海苔で巻かれた小
さな握り飯が並び、横の皿には僕の好物の卵焼きが置か
れていました。
 僕より少し遅れて入ってきた義母が調理台に向かい、
鍋から湯気の立った味噌汁をお椀に入れて、椅子に座っ
た僕の前に置いてくれました。
 こんな時に義母にどういう言葉をかけたらいいのかわ
からず、
 「いただきます―」
 とだけ照れ隠しのような声でいって、僕は味噌汁を口
に運びました。
 そのまま居間のソファにでもいくのかと思っていた義
母が、どういうわけか僕の真正面に座ってきました。
 「浩二さん…食べながらでいいから聞いて」
 眼鏡の細いフレームに手を当て、義母が神妙な顔つき
で徐に切り出してきました。
 「もう、六時には由美が帰ってくるけど…私たち…こ
れからどうなるの?…あなたを…あなたを、私…拒めなく
なってきてる。…それが、とても怖いの」
 蒼白に近い顔と眼鏡の奥の目に、不安と慄きの表情を
深く漂わせて、言葉を少しいい澱ませ気味に義母がいっ
てきていましたが、僕はそんな彼女の切実そうな声を無
視するかのように食べることに専念していました。
 道理に満ちた理性がまた義母の心に蘇っているのだと
思っていました。
 義母の悔恨と慙愧の言葉はしばらく続き、
 「…このままでは私たち…地獄に堕ちるわ」
 とか細い肩を沈ませて気弱くいった時、
 「お尻の穴まで犯されてよがり狂った女がよくいうね」
 と途方もない下品な言葉を吐いた僕に、彼女は信じら
れないという驚きの表情で目を大きく見開いていました。
 義母のまたしても目覚めた理性を一気にへし曲げるた
めに、故意的にいった言葉でした。
 「でも、好きだよ。亜紀子のあの時の顔。死ぬほど好
きだ」
 それは僕の本当の気持ちでした。
 「いっただろ、前にも。…地獄に堕ちる時は僕も一緒
だって」
 「…こんな年で…それにもましてあなたの義理とはい
え母親なのに…あなたを好きになっている私が…私が本
当に怖い」
 「ごちそうさま、お腹空いてたから美味しかった。卵
焼き最高だったよ」
 明るくそういってから、
 「亜紀子、こちらへおいで」
 と唐突に言葉を続け足しました。
 え?という表情を浮かべた義母でしたが、少しの躊躇い
の後、彼女が椅子を立ち上がりしずしずと僕の側に寄っ
てきていました。
 近くまできた義母の細い手首を捉え、そのまま自分の
ほうへ引き寄せると、彼女の小さな身体は他愛もなく椅
子に座った僕の胸に倒れ込んできました。
 そのまま両腕で包み込むようにして、僕は義母を抱き
締めました。
 間髪を入れることなく義母の唇を奪い重ねました。
 「ううっ…むむぅ」
 と慌てたように小さく呻く義母でしたが、すぐにその
全身から力が抜け、両腕を自分から僕の首に巻きつけて
きていました。
 僕の太腿の上に腰を落とし身を預けながら、義母は自
分の心の中の何かを消し去りたいかのように、首に巻き
つけた手に力を込め、自分の舌を激しく僕の舌に絡みつ
けてきていました。
 まるで愛し合う恋人同士のような抱擁は長く続きまし
た。
 お互いの息が感じあえるくらいに顔と顔を寄せ合って
いる時、
 「亜紀子、もう一度いうけど、二度と悔やみの言葉は
僕の前でいわないでくれよ」
 と義母に向かっていいました。
 「…はい…でも、ほんとに」
 「亜紀子の身体だけじゃない。全部、好きなんだ」
 「…私も…こんな年なのに…浩二さんが好きに」
 「そういえばさ、さっき食事の時、居間のテレビで歌
番組やってたけど…誰だったかな?三味線持ってて演歌
の…長山なんとかって人、亜紀子にそっくりだなぁって
思ってた」
 「気がつかなかったわ…」
 「亜紀子が若い頃、由美と一緒に写ってた写真見せて
もらったことあるけど、似てたよ」
 「…そう。あ、そういえば、あなたが寝ている時、自
治会長さんから電話あったの」
 「自治会長から?…何て?」
 「明日ね、この辺が選挙区の国会議員の候補の方が集
会所に来るので、急で悪いんだけど出てくれないかって
頼まれたの。それが午前と午後の二回もあって、夕方ま
で拘束されそうで」
 「そうなんだ…」
 僕が少ししょげた顔すると、
 「…断わり…ましょうか?」
 と義母が思い直すような表情で言葉を返してきました。
 「あ、いやっ、いいよ。町内のお付き合いも大事だか
ら行ったらいいよ。…ぼ、僕もそういえば出かけるかも
知れないから」
 義母の言葉を聞いて、僕の頭の中は目まぐるしく機転
を働かせていました。
 それならそれでいいと僕は考えていました。
 これからも土日には、いつでも義母と一緒にいれると
いう確信めいたものが僕の胸にありました。
 義母が留守の間に、彼女のあの日記を読もうと思った
のです。
 そしてもし時間がまだあれば、あの野村加奈子に連絡
を取ってみようとも考えていました。
 「あ、それともう一つ…」
 「何、もう一つって?」
 「昨日、居間のソファの下にね、あなたにこの前玄関
で…口紅拭うのに渡したハンカチ落ちてたのよ」
 「ああ…背広のポケットに入れたままだった」
 「それが落ちたのね…見つけたのが私だからよかった
けど」
 「そうだね、亜紀子でよかった」
 お互いがほんの少しだけひやりとする会話で終わり、
僕は義母から離れ居間に移ったのでした…。

        続く
 
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25
投稿者:コウジ
2015/08/04 13:58:13    (kvsZ68VP)
最初に―

 これまで長くお読みいただいてきた皆様に、先ず
もって、自己都合(身内の不幸事)により長く投稿ま
したことを、深くお詫びを致します。
 また、前回に身勝手にサイト移動までご報告して
おきながらの失礼も重ねてお詫び致します。
 私個人の恥ずかしい実体験と想像(妄想)だけで、
長く拙文をだらだらと投稿させていただき、これほ
どの反響は予期していませんでしたので、驚きやら
感謝やらお詫びの思いでただただ反省しきりの次第
です。
 皆様のご好意におすがりして、またもうしばらく
頑張りたいと思っていますので、次回からは『官能
小説の館―近親相姦官能小説』へ投稿させていただ
きますので、また色々なご感想やらご意見をよろし
くお願い申し上げます。
             筆者敬具


24
投稿者:kkk
2015/08/03 05:05:13    (wFCtXLIa)
コウジさんへ、その後の展開がまだなのでしょうか?
それとも、私が探せないでいるのでしょうか?
「近親相姦 官能小説」へ移動されると思っていましたが・・・
もし違うようでした、新たなサイトを教えてください。
よろしくお願いします。
23
投稿者:masa
2015/07/31 15:50:40    (SpFVPsOV)
毎回、引き込まれるお話しで楽しみに読ませていただいておりました。
この度、「官能小説の館」に引っ越しされるとのこと。
検索等で、引っ越し先を上手く探せるか心配しています。
是非、続編掲載の際には、引っ越しサイトをお知らせ願います。
続きを心待ちにしております。

22
投稿者:ヒール ◆UXGqNwGvto
2015/07/29 12:02:27    (sp9U.yeJ)
みなさん
フランス書院って知ってます?
流れがそれっぽいんですよね。
強姦している男に、しがみ付いて良がったり
いきなり若い娘に言い寄られたり・・・
私も最初から引き込まれて読んでいたので
中傷する気はありませんが、
現実なら、日記は止めさせた方がいいですね。
引出しには鍵は無いし、
もしも、義母さんが他界でもしたらどうします?
娘さんが整理をしていて見つかったら
大変なことになりますよ。
21
投稿者:kkk
2015/07/28 05:43:39    (LWP0dIGj)
>私の信頼すべき知人の薦めもあり、次回か
らはここのサイトではなく、『官能小説の館』という・・・

失礼ながら、半信半疑で読ませて頂いています。
実話の様でいて、創作の様な・・・でも、うまく書かれており引き込まれますね。
亜希子さんの女の2面性と思慮深く、Mなところと性格がたまらないですね。

次回以降は、『官能小説の館』で、期待してお待ちしています。
20
投稿者:コウジ
2015/07/27 16:28:25    (xPLGHgmw)
十一月十六日

 青木から電話があったのは、一昨日の二時過ぎだ
った。
 学校の用務で市の教育委員会に出かけて、帰りの
車中で一人だったのが幸いした。
 青木に力づくで犯されたあの日、屈辱と慙愧の思
いで彼の家を辞する前、
 「俺は機械物に弱いから、俺の携帯にあんたの名
前と番号入れてくれ」
 といわれ、まるで意思のない夢遊病者のように茫
然自失状態だった私は、逆らうことなく自分の手で
彼の携帯に自分の名前と番号を入力させられていた
のだ。
 それまでにも一度、青木から電話はあった。
 あの日から三日目の夜遅い時間で、私はお風呂上
りでパジャマに着替えて、自分の室の鏡台の前に座
っている時だった。
 発信者の名前の出ない着信に、私はすぐに青木と
直感した。
 運悪くマナーモードにしていなく、その携帯音を
私はしばらく無視したが、無情の音はいつまでも長
く続き鳴り止まなかった。
 着信ボタンを押すと、やはり青木の声だった。
 「先生、夜分に悪いね」
 という言葉とは裏腹の身勝手さがあからさまな、
低く大きなダミ声が耳をついてきた。
 「困りますっ…」
 私は押し殺すような強い声で、不快感を露わにし
て短くいって携帯を切ろうとした。
 「少しだけ付き合ってくれ。おい、電話切るなよ」
 青木の低いダミ声は、酒を飲んでいるのか呂律が
少し廻っていない感じだったが、声は鋭く、私に有
無をいわせないような強い響きだった。
 それからの青木の言葉は、私が思い出したくもな
いあの夜の陵辱をクドクドと独り言のように、下品
で卑猥極まりないものだった。
 「先生、あんた聞いてくれてるのか?」
 ほとんどこちらから言葉を返すことのない会話に
青木もさすがに苛立ったのか、怒ったような声が返
ってきた。
 「はい…」
 「…あんたがもう少し若かったら、俺はどんなこ
としてでもあんたを俺の嫁にしてるな。いや、今だ
って俺はその気でいるぜ。女としては、あんたは最
高の上物だよ」
 「………‥」
 「残念ながら、ほとんどがまだ未開拓のままみた
いだけどな。勿体ねぇことだ。…先生よ、あんた自
身もそのことにはまだ気づいていないようだな」
 「…気づきたくも。…あの、もういいですか?」
 「あの時、二度目の時よ。あんた、どこでどう変
わったのか知らねぇが、俺にしがみついてきていよ
なぁ」
 「…もう、切ります」
 「もう少しだ。…最後の時、あんた、俺の背中に
爪立ててよ、好きっていったぜ。くくっ…いい顔し
てたよ、あの時は」
 酒に酔った青木との下品で卑猥極まりない言葉の
やり取りは、三十分近く続いて終わった。
 そして一昨日の彼からの電話は、今夜の六時に駅
裏公園の駐車場に来い、という一方的な通告だった。
 彼の目的が一目瞭然とわかる、下卑た笑いを含ん
だ声に私は声を噤んだ。
 コンビニの広い駐車場に車を止めた私は、無論断
固とした声で強く拒絶したのだが、結果としては青
木の脅迫じみた強引さに屈し、拒むことはできなか
った。
 駅裏公園の駐車場の街灯の明かりが際立ち始めた
刻限に、私は青木と会い、彼のワンボックスカーの
助手席に乗せられた。
 青木は仕事帰りか、ニッカポッカの太いズボンに
セーターとベスト姿だった。
 娘の由美に、学校行事で帰宅が遅くなるから夕食
もいらないと、苦しい嘘のメールを送信したのが死
ぬほどに哀しかった。
 青木の車は、薄暮から薄闇に変わろうとしている
道を郊外に向けて走った。
 私のほうから話しかける言葉は当然になかったが、
青木のほうも最初の軽い言葉だけで、黙々とした表
情で車のハンドルを握り締めているのが逆に不気味
に思った。
 やがて青木の車は郊外の国道の信号のあるところ
を左折した。
 薄闇の田園が広がる道の先に、幾つもの色の派手
なネオンの点いた黒い大きな建物が見えてきた。
 「いやっ、嫌よっ」
 その建物に近づく直前に、私は叫ぶようにいった。
 しかし青木の車はそんな私の声を無視して、高い
塀に囲まれた建物の入り口に入った。
 シャッターの中に青木は黙ったまま車を入れた。
 「降りろっ」
 車のエンジンを止めると青木が、私に有無をいわ
さないような厳しい目を向けてすぐにいってきた。
 止めた車の後ろにあるドアを開けると、薄暗い照
明の廊下が続き、少し明るいホールのようなところ
で室番号が写真付きで示されたボードがあり、青木
が手馴れた手つきでボタンを押した。
 ここがラブホテルと称される建物だということは
わかっていた。
 無論、私自身には初めての体験である。
 車を降ろされてから生きた心地のしないまま歩か
された私は、狭いエレベーターに腕を引かれるよう
にして乗せられ三階に止まり、ある一室のドアを潜
らされた。
 カビ臭いような暖房の空気が最初に鼻をついた。
 薄赤い扇情的な照明の広い室内の中央に、丸いか
たちをした大きなベッドがあった。
 ベッドの正面の棚に大きな画面のテレビが置かれ、
右側の壁一面が透明のガラス貼りになっていて、ガ
ラスの向こうの浴室が丸見えだった。
 息が詰まるような怖気と絶望を感じたまま、私は
床に立ち竦むしかなかった。
 青木はさも手馴れた動きで、浴室のほうに入って
バスタブに湯を入れにいったり、冷蔵庫から缶ビー
ル取り出し、隅にある椅子にどっかりと腰を下ろし
てビールを旨そうに一気に喉に流し込んでいた。
 「コートぐらい脱げよ、先生よ」
 喉に唾液も通らないくらいに緊張し、怖気に肩を
震わせて立ち竦んだままの私に声をかけてきた青木
が、やおら立ち上がりこちらに近づいてきた。
 「先生よ、あんたを車に乗せた時から、俺のもの
はもうびんびんよ。早速で悪いがズボン脱がせて舐
めてくれるかい?」
 「わ、私…こんなことするために来たのではあり
ませんっ。…か、帰りますっ」
 それだけをいうのがやっとだったが、立ち竦んだ
身体は言葉とは裏腹に、まるで金縛りにでもあった
ように、そこから一歩も動けなかった。
 それどころか、青木の手が私のコートにかかり脱
ぎ下ろしてきていることにも、私は何一つ動けない
でいたのだ。
 青木の男の体臭と、つい今しがた飲み干したビー
ルの入り混じった臭いが私の鼻腔をついてきていた。
 コートとスーツの上着を、薄ら笑みを浮かべなが
ら脱がせてきている青木の精悍な赤ら顔が、私の耳
元に近づいていた。
 仄熱い青木の息が、私のその耳元にそよぐように
靡いた時、自分を動けなくしていた金縛りが何故か
解かれたような気がした。
 情けなく愚かなことだが、私はそこであっけなく
陥落した…。
 セーターとスカート姿で、私は青木の前に膝まづ
いていた。
 彼のニッカポッカのズボンの太いベルトのバック
ルに、私は手をかけていた。
 青木のズボンが足元に落ち、派手な色のトランク
スが見えた。
 そのトランクスの中央の布が、テントを張るよう
に真横に突き出ていた。
 そこに私は手を添えた。
 青木の固くいきり立ったものの感触が、トランク
スの布越しに私の手に淫靡に伝わってきていた。
 トランクスをゆっくりと下に下ろすと、青木の固
くいきり立ったものは跳ね上がるようにして飛び出
てきた。
 赤黒く反り返った青木のものは、弓矢の先端を何
十倍にも太く大きくしたもののように見えた。
 青木の脅迫じみた電話で呼び出され、否も応もな
くこのようなところへ連れ込まれた私だった。
 青木が私に電話してきた魂胆はわかってはいた。
 その邪淫で卑猥な魂胆に、私は最初から屈したの
では決してない。
 青木だけでなく、人間なら誰にも必ずあるはずの
良心を私は信じて、彼に改心と改悛をどこかで諭し
求めようとしたのだ。
 しかしその機会を一度も得ることなく、私は青木
にこの不浄の場へ連れ込まれた。
 その過程のどこかで、原因もわからないまま私は
崩れた。
 心も身体も自分の本意に反するように崩れ落ちた
のだ。
 つい今しがたの青木の体臭と、酒の臭いの混じっ
た息のせいなのかも知れないと、然したる根拠もな
く漠然と思った。
 私はトランクスの中から飛び出てきた青木のもの
に唇を添えていた。
 例えのない異臭が私の鼻にきつく刺激した。
 臭い汗と汚物の入り混じったような、普通の精神
なら不快に感じる臭いだった。
 その不快な臭いが、何故だかその時の私には逆効
果的に淫靡な昂まりを助長する臭いとなっていた。
 口の中に固くて太い大きな矢の先端を私は含み入
れていた。
 正常な精神と理性が消滅してしまっているのが、
自分自身でわかった。
 この太くて固いもので、私はまた犯されるのだ、
という思いに私は知らず知らずの内に浸りきってい
た。
 青木のものを口で愛撫する途中で、彼が私のセー
ターをたくし上げてきて頭から脱がした。
 ブラジャーのホックも外された。
 青木が上体を屈めてきて、私の乳房を手でまさぐ
るように揉んできた。
 しばらくして私は青木に抱え上げられ、丸いベッ
ドの上に放り投げられるように転がされた。
 スカートのホックが外し取られ、パンティストッ
キングとガードルとショーツが、青木の手で一気に
脱ぎ下ろされた。
 いつの間にか青木もベストとセーターと脱ぎ捨て
ていて、赤黒く日焼けした贅肉のない上半身まで露
わにしていた。
 仰向けにされた私の目が天井を向いた。
 自分のあられもない裸身が全面鏡張りの天井に映
し出されていた。
 口に手を当て驚く私の身体の上に、青木の赤黒い
上半身が覆い被さってきた。
 「ああっ…」
 高く昂まった声を上げ、私は青木にしがみついた。
 「犯してっ…ああっ…あ、青木さんっ」
 「そうだよ、先生。その声とその顔だよ。あの時
と同じだっ」
 「抱いてっ…もっと強くっ」
 そこからはもう私が私で完全になくなり、自分で
もわからないくらいの熱い忘我の境地に堕ち、淫ら
な女としてはしたなく喘ぎ、悶え狂っていったので
した。
 青木に要求されることは何でもした。
 ベッドの上で、犬のように四つん這いにもなった。
 精液にまみれ濡れた青木のものを、私は口と舌で
きれいに拭い取った。
 浴室のバスタブの中で、青木のものを口で丹念に
愛撫した。
 強く吹き出すシャワーを自分の股間に当てられ、
はしたなく声を上げて悶えた。
 タイルの上に腰を下ろして座らされ、小便をしろ
といわれ、私はその言葉にも結果的に忠実に従った。
 「俺が好きになったか?」
 と聞かれ、私は頷いていた。
 「また会いたいか?」
 と聞かれた時も、首を縦に振っていた。
 これまでの女としての人生で、ただの一度も体験
したことのない愉悦に私は酔い痴れた。
 青木という男といる間中、私は自らの人生の全て
を失くしていいとさえ思った。
 その夜遅く、青木と別れる時でさえ、理性の大半
を戻した私の心の中の、妖しい女がどこかで寂しい
と呟いているのを何気に感じていたような気がする。
 もうどうにも救いようのない愚かではしたない女
だと、私は痛切に思い、深い悔恨の渦に沈み堕ちて
いた…。

       続く

(筆者付記)
 長らく飽きもせずお読みしていただいている皆様
には、感謝以外の言葉もありません。
 鋭い洞察力と理解力を発揮されて、拙文の端々から
推測をしてくださる皆様のご期待に、どこまで応えら
れるか戦々恐々の思いですが、もうしばらくの連載を
どうかご容赦願います。
 それと、私の信頼すべき知人の薦めもあり、次回か
らはここのサイトではなく、『官能小説の館』という
サイトにて、「義母・亜紀子」の主題名は変えず、啓
上させていただきますので、併せてこのこともご容赦
願います。
 今後ともご意見ご感想をよろしくお願いします。
  



 
  
19
投稿者:kkk
2015/07/26 06:36:16    (DKjqjtTh)
義母さんんはコウジさんに思いをはせるようで良かったですね。
心配なのは奥様の悟られないかどうかだと思うが・・・。
日記の件は楽しみであり、嫉妬の材料になるのかもね・・・でも、ストーリーには欠かせなくなりましたね。
野村女史との関係が尾を引きそうではないでしょうか?
楽しみに次作もお待ちしています。
18
投稿者:コウジ
2015/07/25 23:14:34    (d2/8H6qb)
「亜紀子、入っていい?」
 僕は義母の寝室の襖戸の前に立ち、少し神妙な声
でいうと、中から少しだけの間があって、
 「どうぞ―」
 という短い声が返ってきました。
 戸を開けると義母は机に向かって座っていました。
 少しばかりやつれた感じの小さな顔を横に向けて、
かすかに身構えるような視線を僕に投げつけてきて
いました。
 「さっきの話もだけど…それと少し話したくて…
いいかな?」
 この時の僕はおそらく子供が親に悪戯を見つかっ
た時のような、バツの悪い顔をしていたと思います。
 畳の上にゆっくりと腰を降ろして胡坐座りをして、
手で頭を掻きながら、
 「昼間だけど…実は若い女の子と会ってた。…亜
紀子も知ってる子だ」
 「…野村加奈子さん?」
 「うん…前から何回も連絡あって」
 「私の昔の教え子って、もう知ってるんでしょ?」
 「うん。言い訳でも何でもないんだけどね、長い
身の上話のメールや電話もらったりして、向こうか
ら一方的にいい寄られてしまって」
 義母は椅子から立ち上がり、僕の前に少し距離を
置くようにして正座してきていました。
 「私が入院中にもね…あの子、あなたのこと色々
聞いてきてたの」
 それは僕には初耳の話でした。
 「…もうあなたも聞いてると思うけど、あの子も
高校の頃に家庭のほうで、色々大変なことあったみ
たいね」
 「恩師だからやっぱり相談受けてたんだ…」
 「聞いてあげただけで、何も力にはなってあげて
いないのだけど。でも、あなたとのことは…あの子
の、女の子としての個人的な感情の問題よ」
 「…よくわからない子だ」
 「あの子と…関係したの?」
 「それを告白しにきた」
 「今の私があなたからそれを聞いて、どうこうす
るとかは…もうできないでしょ?」
 「亜紀子に正直に話しておきたかっただけだ」
 「だって…私自身がもう、あなたとこうなってし
まっているのだもの。彼女をどうこうとはいえない
わ」
 「後悔してるんだね…」
 「してるわ…でも、あなたを責めているのじゃな
いわよ。何度もいってるけど、仮にもあなたの親で
ある私が愚かなだけなの」
 「亜紀子とのことは失くしたくないっ」
 「野村加奈子さんのことは、今は私が気づいただ
けだから、まだいいの。…でも、私とあなたとのこ
とを娘に知られたら、私はきっと生きていない。い
え、今こうして生きていてはいけないのかも知れな
い」
 「亜紀子、僕は君ほど賢くない。難しいいいかた
しないでくれ。亜紀子が僕を好きかどうかだけいっ
ておくれ」
 「そうだわね…。もう、何をいっても…私も浩二
さんを…好きになっているのだと思うわ。今日の夕
方、集会所に迎えにきてくれただけで嬉しかったわ。
…それに」
 「それに…何?」
 「あなたから…加奈子さんの、いえ、他の女の人
の匂いがした時の私は…少し嫉妬していたのかも知
れないわ」
 「そういってくれると、僕は単純だから嬉しいな。
亜紀子、これからは僕もきっと気をつける」
 「そうしましょ…前に浩二さんがいっていた、
『美しい嘘』っていう言葉を信じるしか…」
 「亜紀子、もう一つ…いい?」
 「何…?」
 「今日さ、集会所で会った自治会長の小村さんだ
っけ、あの人と最近で何かあった?」
 「どうして?」
 「いや、ずっと前っていうか、亜紀子と山登りす
るちょっと前かな?…たしか町内のドブ掃除の出合
いの日、あの人とたまたま一緒になったことがあっ
てね、少し話し込んだことがあるんだ」
 「…そう」
 「その時は何も気にはならなかったんだけどね。
ほとんどが亜紀子の話ばかりで…綺麗な人だとか、
自分と同年代なのにとても若く見えて聡明な人だ
とかね…亜紀子の息子の僕も嬉しい気分では聞い
てたんだけど…」
 「そんなことあったの…」
 「その時の最後にね、何かを亜紀子にお願いし
てあるとかっていってて…途中で自治会長が誰か
に呼ばれて、尻切れトンボみたいに終わっちゃっ
たんだけどね…何か頼まれてた?」
 「…町内行事の何かかしら?」
 「ごめん、今までいうの忘れてた僕も悪いんだ
けどね。…帰りの車の中で、滅多に人のことを悪
くいわない亜紀子が、あの人好きじゃないってい
ったもんだから、ちょっと気になってね」
 「何もないわよ…」
 義母とこれだけの言葉のやり取りは、その内容は
別として、おそらく由美と結婚してこの家に入って
から初めてのことでした。
 不埒な欲望に負け、義母の身体を抱く時の心地よ
さとはまるで違う、妙に心が洗われるような気持ち
のよさを僕は感じていました。
 しかし、野村加奈子の話の頃は理知的で澱みのな
い口調で、僕との視線も逸らすことはなかった義母
でしたが、終わり頃の自治会長の話のくだりあたり
では彼女の表情が何故か曇りがちになっていたのが、
僕には少し気になることでしたが、それをおし隠す
ように明るい声で、
 「先にお風呂入るよ」
 とそういって僕は立ち上がり、義母の寝室を出ま
した。
 妻の由美が帰宅したのは十時前でした。
 ジャージー姿で疲労困憊の表情のまま、ダイニン
グの椅子に倒れこむように座った由美の顔を、僕は
少し眩しい気持ちで見ながら、労を労う言葉をかけ
ました。
 疲れて帰宅した娘のために食事の用意をする義母
も、僕と同じ思いでいるのだと思いました。
 「…苛めの問題はどうにかカタがついたと思った
らね。今度は女子生徒の援助交際問題が出てきたの」
 化粧もすっかり落ちた顔をさらにげんなりさせて、
義母の出した味噌汁を啜りながら、誰にいうともな
く話していました。
 「中学生でかい?」
 と僕が聞き返すと、
 「この頃の子は発育がいいから三年生にもなると、
もう大人とは見境がつかない子もいるんだから。ま
だ疑いだけで表沙汰にはならないんだけど、ほんと、
今の親御さんって大変ね」
 「そうだね…」
 「あなたも気をつけてね」
 由美の冗談口調の言葉でしたが、僕は今日の野村
加奈子のこともあり、少し心を抉られるような思い
になりましたが、
 「若い子には興味ないね」
 と素知らぬ顔でいいましたが、自分でいったその
言葉にも僕は内心でドキリとしていました。
 それから一週間があっという間に過ぎました。
 週の半ば頃に、僕の携帯に野村加奈子からのメー
ルが入っていました。
 (…あなたと会えない日が何日も続くと、私、気
が狂いそうになります。でも、あなたに抱かれた日、
私はどんなことがあっても、あなたには迷惑をかけ
ないようにしようと誓いました。加奈子はいつまで
も待っています)
 義母に釘を刺されたこともあり、心が不安にざわ
めくような文面でしたが、僕は返信をしないまま
で済ませました。
 それよりも残念なことが義母のほうに起こり、週
末の二人きりの逢瀬の時間が消滅したのです。
 町内会行事で土曜も日曜も、義母が外に出かける
ことになったのです。
 土曜日は市役所の住民課が主催する主婦を対象と
した買い物バザーに出て、日曜日は町内のバスでの
日帰りの小旅行で、近場の温泉に行くとのことでし
た。
 どちらも前から決まっていた行事のようでしたが、
身勝手な僕からすると残念この上ないことでした。
 土曜日の行事は別として、日帰りの温泉旅行は、
三人での食事の時に、義母は気が進まないといって
いたのを、由美が足の治療のためにもなるから行っ
てきたら、と強く勧めたので決まったことでした。
 野村加奈子のことをほんの少しだけ気にかけなが
ら、僕は義母の日記を読むことに専念すると決めて
いました。
 そして土曜日の朝、由美は早くに学校の部活に出
かけ、僕が義母を車でバザー会場まで送り届けるこ
とになりました。
 会場は家から二十分ほどのところにある市民会館
でした。
 「ああ、亜紀子のいい匂いがする」
 亜紀子を助手席に乗せ車を出してすぐに、僕は鼻
先をわざとクンクン鳴らしていいました。
 洗いざらしのジーンズに、白のざっくりとしたタ
ートルネックのセーター姿が、色白の小ぶりの顔と、
少し薄めの赤のルージュの色と相俟って、義母の年
齢をさらに若く見せている感じでした。
 「若く見せ過ぎかしら?」
 と義母がはにかんだような声でいってきました。
 「そんなことないよ。センスのいい着こなしだ」
 「ありがとう…」
 「ああ、あ…今日は一緒にいたかったのになぁ」
 とハンドルを両手で握り締めながら、僕は本音
の言葉を吐きましたが、義母からの返答はすぐには
なく、市民会館の駐車場に着き車から降りる時、
 「ありがとう、助かったわ…私もよ」
 と顔を少し朱色に染めていったのでした。
 義母が車を降りる間際にいった言葉に、単純な僕
は気分をよくして帰宅しました。
 義母の寝室の机の一番下の引き出しから、何冊か
のノートを取り出し、僕は椅子にどっかりと腰を下
ろしました。
 机の隅に冷蔵庫から持ってきたペットボトルを置
いて、下から三冊目のノートを捲りました。
 義母の日記は毎日を書いているのではないという
ことはわかっていました。
 日常の出来事で印象に残ったことを短く書いてい
るのもあり、家族のことも、当然娘の由美のことが
多いようでしたが、気づいたことや思ったことを、
綺麗な字体で淡々と書き記しているのがほとんどで
した。
 その中から僕は義母の、女としての出来事の人に
は話せない部分を探すのでした。
 五年前に亡くした夫のことや、僕との結婚前後の
時の娘のことも書かれていました。
 因みに、由美との結婚の承諾を求めに僕が初めて
この家を訪ねた時の、義母の感想は以下の通りです。
  
     九月二十五日
 
 由美の彼氏と初めて対面する。
 木下浩二。市役所に勤務する三十二歳。
 由美よりも三つ年下。
 公務員らしく男性にしては物腰の柔らかそうな青
年。
 緊張からか私への挨拶の言葉は、噛んだり詰まっ
たりだったが、おとなしそうな性格で、我儘なほう
の由美には丁度いいのかも知れない。
 「由美さんを必ず幸せにします」
 という言葉だけは噛むことも詰まることもなくい
ってくれたのが印象的だった。
 こちらの条件の婿養子でという問題もクリアでき
るなら、娘の希望は叶えてあげたいというのが母親
の私の結論。
 夜、一人で座敷の仏前に報告する。

 と書かれていました。
 そして何冊目かのノートをペラペラ捲っていて、
青木という文字が何度も書かれている頁を発見しま
した。

     十一月五日

 四日前の夜、学校側の犯した不始末のお詫びのた
め、青木良太という児童の家を訪ねる。
 午後八時前、市営住宅団地の一室のチャイムボタ
ンを押す。
 両親が離婚していて、建設業に従事する父親との
二人暮らしとのことだった。
 チャイムボタンを押す少し前、私の胸にかすかな
不安が過ぎっていた。
 自分も行くといっていた児童の担任も同行させる
べきだったか、という後悔が少し湧いた。
 ただ、担任が行くと不始末の細かい説明まで求め
られたりするとまたやっかいな話になり、今夜は女
教師の自分がいって丁重に謝辞を尽くすのが至当と
考えたのだ。
 責任転嫁するつもりはないが、事前に校長からも
できるだけ波風の立たないようにとの内命が私にあ
ったのだ。
 ドアが開いてすぐに父親の青木が出てきた。
 短く刈り上げた頭とぎょろりとした大きな目が特
徴的で、赤ら顔の男だった。
 ドアが開くと同時に、酒臭い空気が私の鼻をつい
た。
 夜分の訪問の詫びと趣旨を、酒の臭いが強くする
赤ら顔の父親にいった。
 父親は児童が近くに住む祖母の家に行っていて不
在だといった。
 この時に私は、そこで児童の家から無理にでも辞
するべきだった。
 学校側の詫びの趣旨は納得したが、子供のこれか
らのことについてどうしても話しておきたいことが
ある、と父親の強い口調に圧倒され、私は中に入っ
たのだ。
 着ているコートの中の背筋が、十一月の夜の底冷
えのせいだけでなく、うすら寒くなる思いだった。
 そして私の予感は的中した。
 雑然とした居間に通されてすぐだった。
 座ろうとした私の背後から青木が襲いかかってき
たのだ。
 青木の固く引き締まった筋肉の両腕に包み抱かれ
るようにして、私は居間から引きずられ布団が敷か
れている六畳間に連れ込まれた。
 布団に仰向けにされて、青木に腹の上に跨り座ら
れ、コートから衣服の全てを私は剥ぎ取られた。
 抵抗は当然強くした。
 声も大きく叫ぶように出した。
 泣き、叫び、喚きながら手に拳を作って力の限り
抵抗したのが全て徒労に終わり、私は青木のつらぬ
きを受けてしまった。
 私の身体の中に青木のものが侵入し、酒臭い息を
吐き散らす彼の口で口を塞がれた時、私のかすれか
けようとしている脳裏に、もう何十年かも前の雨の
夜が小さく宿り出してきていた。
 田舎の教員宿舎で、豪雨の中、地方訛りのある名
前も知らない男に犯された時の光景だ。
 事情はどうあれ、私は愚かにも同じ轍を踏んでい
るのだった。
 青木につらぬかれながら、そう思うと哀しさが込
み上げ、涙が止まらなかった。
 酒臭い青木の息がまるで毒ガスのようになって、
私はあるところから意識を失くした。
 どれくらいの時間、意識を失くしていたのかわか
らなかった。
 布団の上に全裸で仰向けにされていた私の真横に
青木が酒の臭いを強くさせて寝そべってきていた。
 何が起きていたのか、すぐにはわからないくらい
に、私の意識はまだ茫然としていた。
 青木の手が私の乳房をまさぐっているのが茫然と
した意識の中でどうにかわかり、私はその手を払い
除けようとした。
 しかし青木の手の力は強く、払い除けることは叶
わなかった。
 「先生、あんた年繰ってる割りには、すげぇいい
身体してんな」
 私の乳房を揉みしだく動きを続けたまま、青木が
顔を起こしていってきていたが、次第に意識が回復
するにつれ、陵辱された哀しみが込み上げてきてい
る私に言葉を返す気力はなかった。
 「あそこは若い娘みたいに小さくて、締まりもよ
くて、五十は過ぎてるだろうに湿り気も充分だった
ぜ」
 青木のそんな下卑た言葉は無視して、私は早々に
ここを出るために身体を起こそうとした。
 すると青木の身体が素早く動いてきて、私の身体
の上に覆い被さってきた。
 身動きの取れなくなった私の顔に青木の赤ら顔が
近づいてきた。
 唇を強引に塞がれた。
 酒臭い青木の息が私の口の周りに充満した。
 一瞬、歯を閉じるのが遅く、青木の舌が私の口の
中に勢いよく飛び込んできていた。
 青木の上から押さえつける力が強く、私は顔も動
かすことができず、ただ声にならない声で呻くしか
なかった。
 長い時間、唇を塞がれ、口の中で舌を縦横無尽に
這わされた。
 酒の臭いの混じった唾液が、幾度となく私の喉の
奥に流れ落ちた。
 青木の片手が私の乳房を長く揉みしだきまさぐっ
たままだった。
 私の意識がまだ失くなりかけようとしていた。
 身体の中のどこかから、無意識的に熱い何かが湧
き上がろうとしているのが、おぼろげになりかけて
いる気持ちのどこかでわかった。
 不覚なことだが、身体全体が知らぬ間に熱くなり
かけていた。
 私の狭い口の中で縦横無尽な動きを続ける舌と、
乳房を飽くことなく揉みしだく青木の前に、私の理
性の心が脆弱を飛び越えて、一気に消失しようとし
ていた。
 強引な力で乱暴に恥ずかしく犯されたはずの自分
なのに、それとは真逆の女としての妖しい官能の炎
が燃え上がろうとしてきていることを、私は自ら認
知し始めていた。
 そしてついに青木の執拗な愛撫の前に、私は恥ず
かしくも屈した。
 しばらくして青木が布団に立ち上がり、私も腕を
掴まれ座らされた。
 私の顔のすぐ前に青木の股間があった。
 青木の手が私の髪を乱暴に掴んできた。
 顔の前に青木のものが勃起状態で真横に突き出し
ていた。
 何を望まれているのかが、女の官能の炎が点火
状態になった私にはおぼろげにわかった。
 私の手が自然な動きで青木のものに添えられ、顔
がその部分に近づいた。
 青木の固く怒張したものを含み入れるために、私
はゆっくりと口を開いた。
 青木のものは私の口の中には入り切れないくらい
の大きさだった。
 私は何度もえづきむせ返った。
 それでもどうにか顔を前後させて、私は青木のも
のを愛撫した。
 青木にこの室に連れ込まれ犯されてから二時間も
経っていないはずだった。
 ほとんど暴力的に犯されたはずの自分が、犯した
男の前で隷従に近いかたちで、卑猥な奉仕を続けて
いる自分が自分自身でわからない状態に、私は陥っ
ていた。
 長い時間その行為を続けさせられ、私の口の周り
は涎と唾液にまみれ滴り濡れきっていた。
 やがて男のほうが私から離れ、前に屈み込んでき
た。
 「入れてほしいか?」
 と青木が聞いてきた。
 私は頷いていた。
 「そこに這え」
 そういわれ、私はいう通りにしていた。
 四つん這いになった私の背後で、青木が膝を立て
た。
 青木がいきなりつらぬいてきた。
 股間を引き裂かれそうなくらいの痛みが走った。
 その後にすぐに気が狂いそうなくらいの快感が、
私の全身を襲った。
 一年ほど前に私は夫を亡くしていた。
 亡くなる前、夫は病気を長く患い、夫婦の生活は
何年も途絶えていた。
 そして私は五十七歳だった。
 もう女であるはずがなかった。
 もう女であるはずのない自分が、初対面のしかも
つい何時間か前に暴力的に犯された男に、屈辱的な
姿勢でつらぬかれて、女として恥ずかしく喘ぎ、悶
え狂おうとしているのだ。
 好きとか嫌いとかではない。
 男と女の恋や愛でも当然ない。
 私の女という動物の本能の部分の、どこかに狂い
が生じてきているのかも知れなかったが、私は青木
という初対面の男の前で、淫らな痴態を晒し、はし
たなく喘ぎ、悶え狂い、脆くも陥落したのだ。
 それだけではなかった。
 私はあろうことか青木に、今後も隷従することを
誓わせられたのだ。
 死にたい気持ちで青木の家を出た私に、十一月の
夜風はことさらに冷たく吹いた。
 唯一の救いは、青木のほうから児童のことで今後
一切、学校側には苦情の申し立てはしないと約束し
てくれたことだった。
 あくる日、学校長にはこのことだけを、私は事務
的に報告した。

 僕が以前に、例の卑猥写真を見せて義母から自白
的に聞き出し、想像的に書き記した内容と似ている
ところもありましたが、彼女の青木に対する心理の
微妙な変動は、僕の想像よりもう少し飛躍した生々
しい記述になっていました。
 それから十日後の日記にも、青木の名前が幾度と
なく羅列されていました…。

     続く
17
投稿者:kkk
2015/07/25 05:18:33    (xObrVjb5)
野村女史の件は後に尾を引きそうですね~、それにしても若い女性との情交が勝手に舞い込んでくるなんて・・羨ましい。
義母さんの御指摘はもっともですね、匂いはご注意くださいな。
義母さんも、コウジさんに思いを寄せているような状況ではないでしょうか?
会長さんに何か言い寄られたような感じもありますが・・・気になりますね。
普段の生活での団らんの様子も書いて頂けると良いですね、どの様な振る舞いかを想像してみたいです。
16
投稿者:(無名)
2015/07/24 19:32:27    (NLwvyeq9)
早く続きを読みたいのですが、御自分のペースで今後も秀作をお願いします

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