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2012/07/26 22:58:51 (Pk1WNvoS)
マスター

 元カレが証人になってくれたおかげで、僕は『あいこ』の公式恋人になりました。普通の順序とは真逆ですけど…。後々、どんな面倒臭いコトになるかなんて、この時の僕は、ちっとも考えていませんでした。ホント、今でも面倒臭いです。

 『あいこ』が足を離すと、『ショウたん』はネズミ花火かロケット風船のように、『シュシュシュシュシューッ!』といなくなりました。『シンゴ』と『ハラニシ』も、いつの間にか消えていました。

 「行くぞ。」

 僕の味わった『あの恐怖は、なんだったのか?』と思わせるほど、夕焼けに染まる街は平穏無事で、明日の風が吹き始めました。その中を惨劇の当事者が、何事も無かったかのように歩き出しました。

 歩きながら、また『あいこ』がメールを早打ちしてました。ブラインドで打っては返信をチラ見して、またブラインドで打ってたので、バカ姉とメールしてるみたいでした。

 そんな『あいこ』に引っ張られながら、僕は線路沿いの道をついて歩きました。不意に『あいこ』がフッと角を曲がると、『純喫茶〇〇〇〇』と書かれた喫茶店が現れて、そこに何にも言わずにフラッと入って行きました。

 『あいこ』が入口を開けても、誰にも何にも言われないので、『誰もいないのかな?』と思いました。ところが、僕が入口をくぐると、

 「いらっしゃいませ。」

と、カウンターからひょいと、男の人が顔を出しました。いかにも『マスター』って感じの、似合わないヒゲを生やした人でした。何となく見た事ある顔だったんですが、僕は思い出せませんでした。

 お店の中は狭くて、カウンター席の後に、四人掛けテーブルが二つ、離れた場所にもうひとつありました。お客さんは僕たち以外、誰もいません。

 『あいこ』はカウンター前を素通りして、一番奥のテーブル席にドサッと座ると、当たり前のようにタバコに火を点けました。僕は『ヤバいよ…』と思いましたが、お冷やを運んでくれた『マスター』は無言でした。でも、

 「何にする?」

と、『あいこ』を差し置いて、僕にだけ注文を取りました。

 『…ヤバいよ、おじさん!』

と、僕は焦りました。また『猛獣』が暴れ出さないか、内心ヒヤヒヤです。小遣いも乏しかったので、こっちもヒヤヒヤでした。どうしようか迷っていたら、

 「…頼めよっ!」

と、『あいこ』が急かしました。しょうがないので、『アイスコーヒー』と頼みました。やっぱり『マスター』は『あいこ』の注文を取らずに行ってしまいました。

 『うわっ! また、チャレンジャーだっ!』

 僕は、さっきから『あいこ』を完全無視した、この『マスター』の挙動に焦りまくってました。ついさっき『ショウたん』が現れたので、また修羅場が繰り返しされるのかと思ったら、肛門がキューッと痛くなりました。

 でも『あいこ』も『マスター』を何とも思ってない感じで、タバコをふかしながら、右足をイスの上に立て膝にして、平気でパンチラしてました。ちょっと横向きで、僕の方は見てないけど、ワザと『覗かせてるな…』と思いました。

 店の中はけっこう居心地がよさ気でしたが、僕は全然落ち着けませんでした。銀色の三角が気になって仕方なかったからです。暗めの店内照明なのに、やけにクッキリ、ツヤツヤ、モッコリと、強調されて見えました。

 『ハラニシ』を倒した時に見せた、銀色のお尻と、お風呂場で覗かれた時に見えた、銀色が黒く染みるアソコが思い出されて、僕の海綿体に『ジュルルル~ッ』と血流が集まり出しました。

 さっきの惨劇があっての今で、銀色のパンチラから、虚しい妄想を掻き立てる中2は、ホントにバカですけど…、『盛んじゃねえ~ぞ』って言っておきながら『パンチラ』ってのも…、どういう神経なんでしょうか?

 『あいこ』が終わりかけのタバコを摘んで、立ち上る煙をジッと見つめてました。僕はそれが物凄く怖くて煙くて、ドキドキしてたら、無意識の内にお冷やを一杯飲み干していて、さらに煽ったグラスから氷を飲み込んで、ノドに引っ掛けてしまいました。

 僕が『ムゴッ!』とむせて吐き出した氷が、『コンッ!』とテーブルに跳ねっ返り、こともあろうか『あいこ』の顔面に向かって跳びました。

 一瞬でアドレナリンが出まくった僕の脳に、氷の動きはスローモーションに見えました。『当たるーっ!』と最悪の結果を想像した時、『あいこ』が事もなげに、摘んだタバコで跳ね上がった氷を突きました。

 氷はまたテーブルに跳ね返り、僕のどこかに当たって、床をカラカラッと転がって行きました。

 「…何やってんだよ?」

 当然『あいこ』が僕を睨みました。僕はすぐ『すみませんっ!』と謝りたかったのですが、氷を引っ掛けたせいか声が出せません。ガタガタ震えていると、

 「面白かったな~、今の。彼氏がコップで受けたら、もっと面白かったな~。」

と、言いながら、『マスター』がアイスコーヒーと、パフェと、メロンソーダを運んで来てくれました。

 「んなセンス、『ともスケ』にあるワケね~よ!」

 『マスター』のセリフに、お互い無関心みたいな感じだった『あいこ』が、リアクションしました。すると『マスター』が、

 「なんだ、『ともスケ』ってあだ名に変わったんだ? 『「ともゆチ」ちゃん』で良かったんじゃないか?」

と、意外なコトを言い出しました。その言葉に僕は『あっ』と思いました。

 『そ~言えば…、「ともスケ」って呼ばれる前に、「ともゆチ」って言われてたっ!』

 どのくらい前だったか、多分、姉が僕に初めて『あいこ』を紹介してくれた時、『ともゆチ』って呼んでいた記憶が甦りました。ホンのちょっと前のコトなんですが、随分昔のコトに感じられました。

 「くだらねぇ~コトは、良く覚えてんだな~。『ヨロじぃ』は。」

 『あいこ』が言った『ヨロじぃ』の一言で、僕はまた『あっ!』と思い出しました。



 『ヨロシクさん』だっ!



 『あいこ』のお父さんが身体を壊す前までやっていたお店を、手伝っていた伯父さんがいたコトを思い出しました。

 「あっ、その顔は~? さてはオレの事忘れてたなぁ、『ともっチ』!」

 無駄なヒゲのせいで気がつきませんでした。『ヨロシクさん』しか使わない、『ともっチ』を呼ばれて、改めて確認しました(ホントは別なあだ名を呼んでいます)。

 「あっ、どうも、お久しぶりです。ご無沙汰してました。」

 「ぶりぶり過ぎだね~。どうしたの~、今日は?」

 「あっ、…僕、今日から、『あいこ』さんと、付き合わせてもらえるコトになりましたっ!」

 僕は立ち上がって、『あいこ』の『お父さんの、お兄さん』に、まず挨拶をさせてもらいました。『ヨロシクさん』こと『マスター』は、

 「あっ、そう~? 長いね~、長かったね~? 『誰かさん』が、本命に辿り着くのが。まっ、面倒臭いだろうけど『あいこ』を『ヨロシク』!」

 『マスター』は昔とちっとも変わりなく、全然似てない『矢沢永〇』の真似をしました。

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13
投稿者:ともゆき
2012/08/05 00:20:55    (uqfFRJ6L)
皆さん、コメントをお寄せいただきまして、たいへんありがとうございます。ナンネット様、僕の独りよがりな投稿を許していただきまして、ありがとうございます。

12
投稿者:(無名)
2012/07/28 07:33:46    (SzOTz80U)
じらし作戦
11
投稿者:とう
2012/07/27 19:30:49    (.0hIWaSk)
読み物として楽しんで読ませていただいています。

頑張って続きをお願いします。
10
投稿者:(無名) ◆SNuCULWjUI
2012/07/27 12:04:32    (wHi7baG9)
いいんだよ~書きたい様に書いて下さい。兎に角続きが読みたいん!です。(^O^)
9
投稿者:実は愛読者
2012/07/27 09:39:59    (RpOi7pCy)
あいこ様とともすけのラブコメ(?)も面白いですが、
やっぱり3回に1回はエロ場面を期待します。
8
投稿者:よし
2012/07/27 09:01:56    (fEWkgWyk)
いつも楽しませてもらっています。

長かったね~『誰かさん』が本命にたどり着くのはって、あいこさんは昔からともすけ君が好きだった、マスターを含むあいこさんのまわりの人達もそれを知っていたということ?もしかしてバカ姉も!?

ともすけ君が好きだからこそあいこさんは初めてイクことが出来た…

新たな展開?真事実?
いずれにせよ、この先とても楽しみです。
7
投稿者:バカ姉ファン
2012/07/27 03:14:11    (8VAZUDxu)
まずは…3番さんへ
意見を書き込むことは自由ですが、
読み飛ばせば良いと思います。
逆に言えば、私は一話単位のスレが
探しやすくて助かっています。
6番さんも…
わざわさ、このレスまで入ってきて
そんな内容を書き込む方が迷惑です。
今後はスルーして頂きますよう何卒、
宜しくお願い致します。

ともゆきさん
暑中お見舞い申し上げます。
さて、相変わらずの面白さ!!!
今回も楽しく読ませて頂きました。
バカ姉ファンは『次はいつ!』と、
ワクワクしながら待っています。
できれば、バカ姉その×××と3桁位
まで頑張って下さい!
期待しています!!!

6
投稿者:笑)
2012/07/27 01:03:36    (0Gel0Hf8)
ひとり芝居も、これじゃ情けないだけだな!哀れ坊や!
5
投稿者:愛読書1号 ◆KnFHojOWaA
2012/07/27 00:19:21    (ee4ugc3w)
バイタリティーが凄いですね~相変わらず
ある意味携帯小説ですこの、エロ助を毎回待ってますんでヨロシクで 笑
4
投稿者:**** 2012/07/27 00:05:00(****)
投稿削除済み
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