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2026/05/28 20:04:18
(YU.K3qPC)
大学がわりと地方にあって、近くの町に引っ越すことになったのは、不規則な研究が付きまとう学部だったからです。
山と川が中心の自然を売りにして観光客を呼び込むような町の、かなりずれた何もない田舎だからそもそもアパート自体があまりない。
私は伝をたどってとある地主さんの中古一戸建てを格安で借りられることになりました。
向こうは空き家に住んでくれるだけでもありがたい。こちらは格安価格で一軒家を借りられてありがたい。
みんなが幸せになる契約でした。
家は2LDKの平屋でしたが、家の2倍もある広い敷地。
一軒一軒の間隔が広いのも都会じゃないですよね。
将来的には解体することになるだろうし、住みやすいように好きなように暮らしていいと言われていたので、超簡単なDIYなどをしながら少しずつ快適に改良していった。
もうひとつツイていたのが、町の数少ない店舗の雇用にありつけたこと。
その競争に負けたらバスに揺られて最寄りの盛り場まで出なければならないのだ。
しかも、女性が多い職場でいい人ばかりだった。
十代の高校生から五十代のおばさんまで年齢は幅広いながらも皆仲良くやっていた。
ある日の休憩時間。その場に居合わせた者同士でワイワイ話していると、里子さんのこ主人が今日単身赴任から帰ってくる話題になった。
里子さんは四十代のごく普通の主婦だ。
おっとりしていて雰囲気の柔らかな、年下から見てもかわいい感じの人だ。
「何もこんな台風が来る日に帰ってこなくてもねぇ~。」
里子さんは微笑みながら言った。
「そういえば!…」
三十代の主婦の彩佳さんが口を挟む。
「さっき、悠くんにその話をふったら、なんか聞きたくなかったって耳をふさいでイヤイヤしてた!ハハハ」
悠くんは唯一の男子高校生バイトだ。
女の中に入っていてもなんか自然と輪の中に入れる子で、女姉妹に挟まれて育ったからだと言われて皆納得した。
特に三十オーバーに凄く人気がある。
「悠君は里子さんに弱いしねぇ~。」彩佳さんが付け足す。
「なんで聞きたくなかったんですか?」
高校生のサヨちゃんが聞いた。
「だって、ほら、久しぶりに帰ってくるのよ…色々あるでしょ、夫婦には。フフフ」
「ああ…そういう…えっ、彼ってそんなに里子さんのこと好きなんですか?」
「好き好き!大好きよ。ねぇ、里子さん。」
初めて里子さんが口を挟んだ。
「何面白がって。今さら主人とはそんなにあつくないわよぉ!…でも、そんなに悠君嫌がってたの?」
「里子さん何、嬉しそうに…」
彩佳さんはニヤニヤしていた。
そこに噂をすれば、悠君が入って来た。
場がわあっと盛り上がった!
悠君は何ですかこのノリはと身構えた。
そこへ里子さんが立ち寄り、
「ねえ、悠君。何で主人が帰ってきたのを聞きたくなかったの?!」
悠君に積めよった。
私は里子さんもやるなあと思った。
でも何かかわいい。
悠君が里子さんを好きと聞かされても不思議な気はしない。
といってもおかあさんくらい年が違うけど。
悠君はタジタジでかわいかった。
「えーっここで言わせるんですか?」
「言わせる。聞きたい。絶対聞きたい!」
上目遣いで詰め寄る里子さん。
私はこれはヤバイなあと心配した。
悠君勃起してるんじゃないかと思ったからだ。
と、またここで店長が入ってきて話題が途切れた。
これから徐々に雨風が酷くなるから、遠い者から優先的にあげるという。
私はにわかに怖くなってきた。
台風の日に一人であの家に帰宅するには少し心許ない。そしたら、サヨちゃんが泊まってあげましょうかと言ってきた。
私には渡りに船だった。
そしたら、彩佳さんも来たいという。
彩佳さんは三世帯で暮らす大所帯の主婦だから、家をあけてもさほど困ることはなく、飲み会なんかも皆勤賞の人だ。
それなら来れる人はうちで女子会という流れになり、皆がそれぞれアルコールや食料を持ち込むことで話がまとまった。
唯一の例外として悠君も来ることになり、里子さんは行けない事を悔しがり泣き真似をして皆に慰められていたけど、私はそのあとで里子さんがこっそり悠君に話してるのを聞いてしまった。
「悠君には行ってほしくない。」
そのあとの悠君の返答は聞き逃したけど、結局彼も来ることになった。