もう12年くらい前の話しなんですが。
俺も若くて独身だったから、出会い系で食えるやつは食ってました。
ま～そんなもてる俺でもないんで、食いまくったとまではいきません。
でも食えた女、主婦、女子大生、OL、フリーター、だいたいみ～んな似たタイプの女で、どこか遊び慣れしてる風が漂う女がほとんどでした。
その中で一人、俺の記憶に強烈に残っている女がいます。
多佳子、主婦、43才、旦那もちろん有り、子供は高校生と中学生の息子でした。
メールがとにかくショボくて、まず返事が返ってくるまで、早くて二時間。
エロ話しのメールは無視され、これは物にならないなと見切りをつけたときでした。
突然、会いたいと多佳子が言ってきました。
驚きました。
多佳子は翌日、俺が休みなのを覚えていて、そこで言ってきたようでした。
メールのやりとりがそんなものだから、なんの期待もせず、会いに行きました。
もちろん顔もわかりません。
指定された場所に現れた多佳子、銀縁のメガネに普通の黒い髪にちょっとパーマ、茶色のスラックスにゆったりとした白系のセーター、地味～～な教育ママさんといった風態でした。
当然多佳子も俺を知らないんですが、その場には二人しかいない、お互いこれがメールの相手かと初めて確認しました。
通り一辺倒の挨拶自己紹介みたいなのをし、ありきたりな会話、メールもロクに返さなかったくせに、なぜ突然会いたいと言ってきたのか、率直にぶつけました。
『どう対応したらいいのか、わからなかったのが最初、仁史さんのつまらなそうな様子を感じ、このまま終わりにされたくないと思ったら、会いたくなった』
理由を言いました。
超真面目そうな多佳子、話しをしてても真面目さが出ている多佳子、こりゃダメだと完全に思ってると、多佳子はそれを察知したようでした。
『やっぱりエッチなこと期待してます？』
そりゃそうだと思い、答えました。
すると多佳子が答えたんです。
『私も期待してここに来ました』
マジかよと思いました。
男遊びしそうなタイプと全く逆な女と見ていたからです。
俺は多佳子に、あなたは旦那さんを裏切るタイプに見えないと言いました。
『こんな感じ（真面目そうということらしい）だから？私にも欲や願望はありますよ』
そりゃそうだが…俺は予想外の展開に戸惑いを隠せませんでした。

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