台所キッチンで義母が、すすり泣きしている。エプロン姿が似合う義母の背後から声を掛ける。
「どうかしたの？」義母は振り向き視線を合わせる。
「いくらなんでも玉ねぎは無茶でしょう。そりゃ取れませんよ。」
すっぽりと入り込んでいるので取っ掛かりも無く掴みようが無い。
「胡瓜くらいにしておけばいいものを、せめて茄子、無理してもゴーヤでしょ。」
義母は刺激が強すぎるのか、苦しいのか足をバタつかせる。
私は取り出すために義母に四つんばいになってもらい隙間に指を入れる。
溜まっていた熱い液体がダラダラと流れ落ちる。
やっと二本の指が入った。
義母の鼻息が荒い。
そこに義父が帰ってきた。
「何をしてるんだ！」
おもいきり義母の尻を蹴飛ばした。

「すぽ～ん」と音がして玉ねぎが飛び出した。

「何でも一口で食う癖はなおらんな。ばかもんが」
「そんな癖があるんですか？」
「姑に取られるくらいなら無理しても自分が食べてやるとかいってな」

二階に行くとキッチンに女房がいた。こっちを向かないので覗くと口の中にミニトマトが10個くらい入っていた。