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2019/02/04 19:35:48 (rfjhFNqk)
どちらが悪いわけでもなかった。
足りなかったのは愛じゃなく、我慢だった。
「もううんざり!」
元妻が家を出たのは、俺が30歳、元妻が26歳、結婚して2年だった。

元妻が19歳の短大生だった時、大学出たての俺と出会って恋に落ち、処女を散らした。
セックスを知らなかった元妻が、初めて身体を許す程愛したのが俺だった。
俺は、その時の一部始終を今でも忘れない。
その時の元妻の身体、女陰、処女膜を貫いた瞬間に感じた男根の感覚、元妻の表情を今でも忘れない。
それから3年間、新権威愛し合って同棲を始め、その1年半後に結婚した。

同棲と結婚の何が違ったのだろう。
結婚してからケンカが増えた。
一緒にいることが苦しくなって、元妻が出ていって離婚した。
本当に不思議な夫婦の終わりだった。

その後、それぞれがそれぞれで生きた。
職場が近いこともあって、年に数回顔を合わせた。
「元気にやってるか?」
「ええ・・・それなりに・・・」
知り合いのような、友達のような関係だった。

元妻が抱えた金銭問題を相談されたのが、離婚3年後だった。
俺の部屋を訪ねて来て、
「懐かしい・・・3年半暮らしてたんだもんね・・・」
その日、3年ぶりに元妻を抱いた。
3年前と変わらない女陰を見て、まだ、元妻はまだ俺以外の男を知らないなと思えた。
「アア・・・懐かしい記憶・・・」
「本当に懐かしいな・・・」
懐かしい抱き心地、夏かいい喘ぎ声、懐かしい髪の匂い・・・ちょっと切なかった。

元妻に100万円都合してやった。
「返さなくていいよ。慰謝料も夫婦の財産分与もなかったからな・・・」
「でもあれは、離婚届を置いて私が勝手に出てったわけだから・・・でも、アリガト・・・」
「思わず抱いちまったけど、もう、ここへは来るなよ。」
「うん・・・わかった・・・そうする。」
元妻が出ていった。
元妻も俺も、今度こそは、しっかりお別れしたはずだった。
でも、道端やコンビニで挨拶くらいは交わしてた。

その次に元妻が俺を訪ねてきたのは、それから2年後だった。
その時、35歳の俺は28歳の女と付き合っていて、その女との再婚を考え始めていた。
「もう、訪ねてくるなと言ったじゃないか・・・」
「色々思い出して・・・二人の思い出を処分しておきたいから・・・」
それが訪れた言い訳だった。
アルバムを開いては、自分が映っている写真を抜き取っていた。
「あなたと写ってるのも、抜いていいかしら・・・ラララ~~ララララ~~」
失ってしまった昔の暮らしを思い出しながら、当時の流行歌を繰り返していた。
洗面所にピンクの歯ブラシを見つけた元妻は、
「これは?もしかして・・・」
「ああ、時々泊まりに来る女がいるってことだ。」
「そうか・・・そりゃ、そうよね・・・じゃあ、私、帰るわね・・・」
「もう、来るなおよ。それから、この次は、どこかで出会ったとしても声はかけないよ・・・」
「分かった。この写真、もらってくね。バイバイ・・・」
元妻が出ていった。

俺は、その時に付き合ってた女と再婚し、元妻と暮らしたアパートを出た。
年に数回、職場付近で元妻を見かけたが、声もかけなけなかったし、見かけたら避けるように逃げていた。
俺は、再婚した女との間に娘も生まれ、幸せに暮らしていた。
そう言えば、いつの日か元妻を見かけることもなくなっていた。

産まれた娘も高校生になり、元妻の存在もすっかり忘れていたある日、新聞の片隅の小さな記事にふと目が留まった。
それはアパートで不審死を遂げた50歳の女性の記事で、俺が昔元妻と住んでいたアパートが現場で、亡くなった女性の名が元妻と同じ名前だった。
まさか・・・と思ったら、数日後、警察から連絡があって、遺品の中に俺にまつわる物品が多々あって、その中の古い名刺や住民票から俺を割り出して事情聴取された。
元妻は、俺と3年半暮らした部屋に、俺が再婚して出た後に入居していた。
警察の話だと病死らしく、部屋には、俺と二人で写った写真が数枚飾られていたそうだ。
「これなんですが・・・」
と見せられた小さなスタンドカレンダーには、俺と元妻の結婚記念日、俺と元妻のそれぞれの誕生日に印がしてあった。
「全て鑑識で調査済みで、特に事件性はありませんでした。ご両親も亡くなられていて、お子さんもいらっしゃらないのですが、遺品、いかがいたしますか?」
俺は、写真だけもらって、あとのものは処分してもらうようお願いした。
そして、18年前に元妻が写真を抜いていった古いアルバムに、元妻と俺が写る写真を戻した。
来るなと言ったのに訪ねてきた元妻を想うと、もしかしたら俺とやり直したかったのかもしれないと、今更気付いた。
あいつは、俺と暮らした部屋で、俺と暮らしているつもりで生きてきたのかと思ったら、泣けてきた。
そして、俺達はなぜ別れることになったのかの答えを、今頃になって探していた。
 
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10
投稿者:カズ
2020/01/24 21:22:07    (dfwiWD4f)
すみません、泣かせて頂きました。
9
投稿者:(無名)
2019/02/18 18:14:24    (Lb5yLohW)
ヤバイ、泣ける。
8
投稿者:(無名)
2019/02/06 17:42:50    (vEXMhc31)
切ない…
ずっと昔、他のサイトで元妻との哀しい話を読んで、心打たれたのを思い出したよ…
7
投稿者:(無名)
2019/02/05 12:45:13    (LRPMhQ.z)
これは泣けるエピソードです。元妻さんは、別れた理由を探せたのでしょうか?その答えが思い出の中に生きたということなのでしょうかね…
6
投稿者:プー ◆Yk909joW1w
2019/02/05 00:39:29    (gtwsLgDU)
私も切なくなりました

今の人を大切にしよう
5
投稿者:(無名)
2019/02/05 00:23:14    (MGDfFM5Y)
切ないし、辛いね。
4
投稿者:yurina   yurina12
2019/02/04 20:51:18    (Pw/qD6vW)
切ないですね。

元妻の命日、覚えておいてくださいね。

きっと、やり直したかったとおもいますよ。
3
投稿者:(無名)
2019/02/04 20:25:26    (PDHLPXJe)
あぁ
胸がしめつけられた
今夜は嫁に優しくしてやろう
2
投稿者:たかし ◆1ThKR8kaTA
2019/02/04 20:02:35    (q1bePbUH)
このサイトで泣くなんてな。オレも涙もろくなったもんだ。ありがとう
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