・本作品は完全なるフィクションであり、現実の人物・団体・出来事とは一切関係ありません。
・本作に登場する行為はあくまで架空の物語の中でのみ成立するものであり、現実での推奨・模倣・奨励を目的としたものではありません。
・本作品は成人向けの官能フィクションとして、娯楽目的でのみお楽しみください。
第一節:留置所で迎えた朝
被疑者・以下、私(わたくし)こと山本隆文(48)は、無機質な薄いカーペット床の部屋で目が覚めた。
頭の奥で鈍い痛みが脈打っている。口の中はカラカラに乾き、昨夜の酒の残滓が舌にねばついていた。薄暗い留置所の照明が、鉄格子の影を長く床に落としている。警察署のコンクリート打ちっ放しの壁は湿気を帯び、微かなカビと消毒薬の匂いが混じっていた。隣の房から聞こえる「ガー!!」というトイレの洗浄音と、遠くで響く鉄扉の閉まる音だけが、時間がまだ動いていることを教えてくれる。
「起きろ。時間だぞ」
同じ房の見知らぬ男が私を起こしてくる。
低い、抑揚のない声。50代半ば、ブラウンのトレーナーとスラックスをきた男であった。
程なくすると鉄格子の下の小さな窓から配られたのが安っぽいプラスチック容器に入ったパサパサの白米と白米の隅にある僅かながらの漬物と豆。これが私の目が覚めてからの最初に食べたものであった。昨夜の酒のせいで完全に喉が枯渇した状態での粗悪な茶に一息をついた。
朝食が終わると私はすぐに呼ばれた。留置所まで担当刑事が降りてきて「山本、早く終わらせるぞ」と私を呼びにきたのだ。
刑事の背は高めで、肩幅が広く、くたびれたグレーのスーツが体に馴染みすぎている。ネクタイは緩められ、ワイシャツの襟元に薄い汗の染みが浮かんでいた。短く刈り込んだ頭髪の間から覗く白髪と、頰の無精髭。目つきは鋭いが、どこか疲弊した諦念のようなものが底に沈んでいた。
山本はゆっくり体を起こした。どうやら警察署内でも移動の時は手錠をするらしい。
手錠の冷たい金属が手首に食い込み昨夜の記憶が、断片的に蘇る、、エレベーター、酒の匂い、女性の悲鳴。そして、自分の手が勝手に動いた感触。
刑事は無言で鉄扉を開け、顎で出口を示した。
取調室は二階の奥にあった。蛍光灯が白く、むき出しのテーブルと折り畳みのパイプ椅子だけが置かれた殺風景な空間。壁は淡いベージュだが、ところどころ剥げ落ち、過去の被疑者たちが爪で刻んだらしい細かな傷が残っている。エアコンの音が低く唸り、室内の空気を淀ませていた。テーブルの上にはすでにノートパソコンと紙が用意され、刑事は黙って向かいの椅子に腰を下ろした。
「名前と年齢、言ってくれ」
刑事の声は静かだったが、そこに潜む重みは、昨夜の酩酊がもたらした小さな過ちが、この男の人生をどう切り裂くかを予感させた。
山本は乾いた唇を舐め、ゆっくりと口を開いた。
第二節:身上調書
刑事「まず生い立ちを話せ」
私「生い立ち?」
健二「どこで生まれた、今はどこに住んでる、学歴、家族構成、そんなとこだ」
私「は、はい。えーと私山本雄一は昭和52年に愛媛県松山市で誕生しました。それから、、、、」
私は刑事の言う通り生い立ち、生まれた病院、卒業した学校、卒業した大学、卒業後の進路、結婚時期、今の家族構成など話続けた。これは身上書というもので極めて重要であるらしい。この身上書の意味は「私しか知り得ないこと」を書き記す事によって後々供述調書にも「私しか知り得ない事」を書いているという説得力を持たせるための古くからある様式なのであるという。
そして刑事は2時間かけて身上書を纏め終わるとそれを読み上げ「間違いないな?」と聞いてきた。私はそれに「間違いありません」と答えた。
この間違いないな?と間違いありませんの応答は今後も続いていく。
第二部:供述調書
刑事「じゃ次は昨夜起きた事を話せ。まず犯行の日時、時間、場所からだ」
私「私は昨日、4月27日(月)よる21時頃、知人と田原町にある居酒屋で酒を飲み終えた後、帰宅しました」
刑事「帰宅してねーだろ」
私「帰宅しようとしました」
刑事「続けろ」
私「帰宅しようと駅を降り、すると目の前に30代半ば頃の女性が歩いているのを見つけました」
刑事「それで?女性はどんな服装、印象だった?」
私「女性は少し茶色がかった髪の毛を後頭部でヘアグリップで止めており白い花柄のワンピース着ていたと思います」
刑事「つづけろ」
私「私はその女性になにか魅力のようなものを、、、」
刑事「何が魅力のようなだよ。ムラムラしたんだろ」
私「は、はい。。私は酒のせいかムラムラし、後を、、、つけてしまいました」
刑事「酒のせい?お前の判断だろ。酒のんだら飲んだ全員が女性襲うんか?」
私「あ、はい。私の身勝手な判断です」
刑事「で?どうしたんだお前は」
つづく