母と夕方車でスーパーに買い物行くと、品出ししてるかわいいバイトの男の子がいた。
海を見下ろす小高い丘の住宅地にあるスーパーは駅チカの立地とは全然違うから、決まった時間に訪れると客同士でも見知った顔ぶれと遭遇したりする。
つまり従業員も客もだいたいはなんとなく覚えあっているのだ。
だから、彼が私と目があうと明らかに常連客と認識しているのがわかった。
17~18才?
見た目はそれくらい。
今風に言うならさわやかな草食系っぽい。
ちょうど少年から青年に移行する年頃の彼から向けられる視線は、性に目覚めた男の子の羨望の眼差しに感じた。
私は何気ない日常の買い物に来てる態度を取りながらも、着ていく服はおもいっきり青少年を刺激する格好を選んでいた。
サーフィンをやっていたから日焼けした肌をできるだけ強調するようなファッションだ。
商品を取るために脚を折らずに屈めば、ラフな胸元からは下着にくるまれた胸は丸見えになる。
膝を折ってしゃがめば、ローライズからTバックのショーツを履いてるのがわかるだろう。
彼は私の自尊心を満たす最良のギャラリーでもあった。
母も必要性に応じて店員に声を掛ける時、彼に聞いてる事がよくあった。
おんなじことを聞くなら、相手は選ぶよね、やっぱり…
私はビーチサイクルでもよく立ち寄った。
表の駐車場のスペースに自動販売機やベンチがあって、たまに裏のバックヤードから段ボールを持って出てきたりする彼と鉢合わせした。
自然と会釈するムードまではできていた。
私はいつか青い果実を摘まんでやろうと考えていた。
そんな矢先…
午後からサーフィンに出掛けた。
夜はショップの懇親会があるから夕飯いらないと言って家を出た。
が、忘れ物をして、ついてすぐまた引き返したのだ。
母の車がなかった。
マンションの部屋は戸締まりこそすれ、クーラーも電気もつけっぱなしのままだ。
ちょっと買い物に出てすぐ帰るのだろう。
私は忘れ物を取って戻ろうとすると、母の寝室からにわかに冷気を感じた。
今寝室を冷やす必要はない。
消し忘れかと思って部屋を開けると、きれいに布団が敷かれていた。
畳み忘れではない。
いかにも敷いたばかりのように見えた。青い畳に白い清潔なシーツが目に眩しい…
私は母が男を連れ込むのではないかと考えた。
それが一番納得できる答えだ。
母は離婚しているので、相手が妻帯者じゃないかぎり悪いことをしてる訳ではない。
ただ、娘としてはちょっと生々しくて見なきゃ良かったと思って急いでマンションを出た。
ちょうどエレベーターを下りて一階に着くと、間の悪いことに母の車が戻ってきたのが見えた。
エントランスを出て駐輪場に向かう時に気づかれる可能性がある。
幸い駐輪場の位置は見えないので私の帰宅には気づかないだろう。
私はエントランスの死角になる位置に身を潜めることにした。
もしかしたら母の相手が見られるかもしれない。
ここまできたらいちおう拝んでおこうと思った。
私は母を少し見くびっていた。
母と連れだって歩いてきたのは、あのスーパーの男の子だった。