日曜の夕方、初通勤で遅刻出来ないと思いホテルに泊まり、月曜日出社しますと、支店長が、本社から指示が有った、ここ君の部屋だから。と商談室の1室に案内されますと図を描く機材が揃っていて、道具持って来たんですが。と恐縮しますと、支店長:「何が如何なのかは分からんが、自由にして 良い、必要な物は自由に使ってくれ、 何でも事務の娘に言ってくれたらいいから。」有難う御座います。お世話になります。と礼を言い支店社員にも挨拶しますが、皆お辞儀をするだけで、怪訝そうな表情です。機材や持参の書類、図等、整理をしていますと、事務員がコーヒーを持って来て、H加:「私、H加と言います。Hさんのお世話係なので 何でも言いつけて下さい。宜しくお願い致します。 こちらこそ宜しく。と挨拶を交わします。個室は気が楽ですが、少し寂しい気もしますので昼休みにラジオを買い、戻りますとS秘と総務の主任が居て驚き、何?と問いますと、S秘:「今朝、通勤はどうでした?通えますか?」と他人行儀に話し、夕べ泊まりました。と言いますと主任:「そうか、通えないよな。Sさん、どうする。」S秘:「分かりました。ホテルか、お部屋借りるか、 でしょう。その方が作業効率上がるわね。」 私:「有難う御座います。でも寮があれば寮が 良いんですが。外食続きは嫌なので。」主任:「寮で良いのか?ならちょっと待って。」部屋を出て行きますので、S秘を抱き寄せチョイキス。馬鹿、駄目。と上目で睨まれますが怒ってはおらず、言ってくれれば切符、手配したのに。と笑顔です。主任:「寮は空いて無いが、社宅が空いてるそうだ。 社宅なら通勤も楽だが、食事は如何する?」その方が自由で良いので、社宅を貸して貰う事にし、3人で見に行きますと、必要な物は殆んど無く、寝具調理器具、冷蔵庫を揃えて貰い満足します。主任:「どうせなら奥さん貰ったら。」と揶揄われますので、奥さんも揃えて下さい。とやり返しますと、1本取られた。と笑われ、使える様になるまではホテルに泊まって良い事になり、ホッとします。木曜日の夜、寮に戻りますと寮母さんに、手紙来てたと渡されますとK子で、来週遊びに行きたい。との内容で電話をしてOKします。翌日は設計部長にプランの進捗状況を報告し、現場視察と社用車使用の許可を貰い、現場に向かいます。原野の入り口から建設予定地まで再視察し、工場だけで無く、ボイラーの排熱水と滝の上の眺望を活かした温泉施設と展望台、バーベキュー施設、キャンプ場等の滝壺を利用した釣り堀等を提案しようと決めますが、土木部の再試算が必要になります。帰社してS秘に連絡。詳細を話して常務室へ連れて行って貰い、構想を説明しますと少し待て。と出て行き戻り、土木課長しか空いて無いそうだが良いか?と聞かれますので、ベテランの課長に試算頂ければ心強いと頭を下げますと常務が、解ってる様だな。と笑い、専務も喜ぶよ。と言いますので、プレゼンの成功が1番です。と答え最敬礼して退室し部長に報告して夜、S秘と逢う約束をして帰寮。7時過ぎ約束の店にS秘が遅れて来ます。 (御免、御免。仕事遅れちゃって。待った?) <今着いた。仕事終われた?無理して無い?> (最近、仕事量が減ったの、土日もお休みだけど 呑む前にお話ししておくわ。月曜の朝、土木課長 が支店に行くから駅で出迎えて。タクシー使って いいから。本人には通勤でもホテル住まいでも いいって総務から伝えてあるから。 それから現地調査には支店の車、使って。指示 出して貰ってるからね。 後は―、後は―、え―っと、) <何?勿体ぶらないで話しなよ。> (M恵がね、この前お泊りしたでしょ、あれから 変なの。絶対変。何かあった?) <俺、帰ったからな、何だろう。>と惚け、乾杯。 (常務が専務に、土木の再調査頼みに行ったでしょう。 部員でも良かったらしいけど、課長の事会議で 叱った手前、専務も扱いに困ってたみたいで 逆に宜しく頼むって言われたらしいわ。 これでプレゼン成功すれば両方の顔が立つわ。 頑張ってね。)ふーんと言って呑み、 <M恵さんと仲がいいみたいだけど、先輩後輩の 関係だけじゃ無いでしょ……如何なの?> (そっか、やっぱりね。感がいい貴方の事だから
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社宅に寄りますと隣の営業部員Eの奥さんが掃除をしていて、全部揃いましたよ。と微笑みます。明日からお世話になりますとお礼を述べてホテルへ。月曜の朝、土木課長を出迎え、支店で打ち合わせ後現地に向かいます。2時間の道程ですが殆んど会話が無く、元気が有りません。建設予定地を念入りに視察調査し、土木部の調査数値と古地図を見せて材料の量質の積算をお願いして戻ります。課長は6時にホテルへ。私は支店で仕事。夜遅く居 酒屋で食事をとって社宅に行きますと、食事が用意されていて、申し訳なく思います。翌朝も朝早くから出社して仕事をしますが、課長は10時過ぎに出社してきて、積算を始め、期日に間に合うのか心配になります。目一杯仕事をして土曜日。レンタカーでK子を迎えに行きますが、見当たらず煙草を吸いながら周りを見ますと、沢山居る女の娘の中でもホットパンツから長い脚が伸び、ポニーテールの似合うスタイルのいい娘が男たちに声を掛けられていて、眺めていますと笑いながら小走りで寄って来て、 (来てたんだ、久し振り。声掛けてくれればいいのに。)エッと、良く見ますとK子です。 <エ、エ―、K子? 分からなかった―。>付け睫毛に口紅を塗った化粧をし、胸が大きく開いたノースリーブを着こなした姿に驚きます。 (ビックリ!全然分からなかったよ、美人が益々 美人になったな。そこいらの都会の娘に負けて ないよ。)はち切れそうな笑顔が可愛くて人前も構わず抱き締めますと周りから、ヒューっと声が掛けられ、慌てて車に乗り込みます。何処に行くの?と言いますので、今、手がけてる仕事の現場見せるから。とK子の家の話しや仕事、友達の話を聞き、私の仕事、寮の仲間の話をして途中、昼食を買って現地を見せます。 (綺麗!滝もあるんだね。涼しいし見晴らしも いいし素敵だね。 でも、こんな山奥に如何やって建物立てるの?) <いいとこだろ。此処に工場立てるのが俺の仕事。 その設計プランを練ってるとこ。>滝の上の岩場に座り、下界を眺めながら食事。 <都会の喧騒より此処の方が落ち着くんだ。 所詮、田舎っぺだからな、俺。> (うん、私も。 さっき駅前で男の人たちいっぱい いて怖かったし、女の娘も皆お洒落で綺麗だし 自信無かったんだ。H君に嫌われたら如何しよう とか、センス無いなって思われたら如何しよう って思ってたの。)肩を抱き寄せキス。口紅の味がして <K子、俺、口紅塗ったお前とキスしたくない。 中学の時のままのお前がいい。>K子は水辺でハンカチを濡らして拭き取り、帰りは化粧していいでしょ。と、はにかみます。ホテルにチェックインしてから居酒屋で呑み、故郷の話で盛り上がります。私の家に野菜を届けたら夕食ご馳走になったと言いますので、そんな事いいのに。とか大学、高校、中学の同級生が結婚して御呼ばれが大変。とか言って笑いますが、可笑しくての笑いでは無い事が伝わって来て、話を変え、今の仕事が成功すれば休み貰えるかも知れないから暫く帰れない。と言います。久々のK子の躰を堪能し、K子も何度も絶頂を迎え抱き合って眠ります。別れ際、K子に、 (暇が出来たら帰って来て。何時でも待ってるから。)と目に涙を溜めて帰って行く姿に後ろめたさが残ります。月曜の朝、S秘から電話が入り、事情が変わったから1週間早く仕上げて部長にチェックして貰って。と言われ慌てます。13日間朝早くから遅くまで休み無しで作業しますが課長は、これが終われば何処に飛ばされるか分からん。と、のんびりです。我慢出来ず、支店スタッフが聞いてるのも構わず、 私:「課長。この仕事、会社挙げてのプレゼンなのは ご存知ですよね。課長の力に左右されるんじゃ 無いですか? 私の描く図なんて二の次です。 基礎が大事なんです、この土地は。 何で私たちが本社から離れてホテルや社宅に 金掛けて居るんですか?>部下に言われてプライドに火が着いたのか、2週間で仕上がり、本社に戻り提出しますと、部長が、ご苦労、よく仕上げたな。と役員室に駆け込んで行きます。水曜の午後、社長始め重役、部課長が出席する会議に呼ばれ説明を求められます。工場のみならず公園、展望台、入浴施設等、それぞれの建屋毎の位置、イラスト、そのコンセプト建築費用を説明しますと、営業課長から工場建設以外余計だと言われますので、削られる事も想定内で、その為に個別の積算も出来ていて、判断は発注元にお願いしたいので、これでプレゼン願いたい。と部に戻ります。翌日、営業部長が設計部に来て、部長とヒソヒソ話をして帰って行き、明日、営業とプレゼンに行くように言われますので土木課長の説明も必要と言いますとそうだな。と了承して貰います。金曜日、社用車に同期のFと乗ってメーカーの本社で滝の上に建設のA案と私のB案をプレゼンして戻り一息ついていますと、専務が飛んで来て、B案が
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