初めての痴漢行為に見覚えのある青年の姿。
(どうか人違いであってほしい...)
遣り切れない思いに彼の姿を後追いしながら、
瞬く間にその姿を見失っていた私。
仕事に忙殺される毎日で,記憶の片隅に追いやりながら、
浴室でのシャワーの度にあの時の事をフラッシュバック
させながら、その矛先を指先で見開く私自身に向けて
しまう始末...。
この一年、
すっかり忘れていた感覚を呼び覚まされた様に、
一糸纏わぬ全裸を湯煙に隠し、恍惚を貪る束の間。
勢いよく弾け飛ぶ熱いシャワーを止め、
僅かに開けた排煙の窓越し、闇夜に灯る窓の明かりを
所々に望めば、
甲高く咽ぶ声が夏の夜風に乗り、私の鼓膜を擽った..。
私がこうするように、きっと何処かの屋根の下で愛を
持ち寄る男女が存在している。
居てもたっても居られず、
私はおもむろに片脚を膝立たせ、浴槽の縁に腰を下ろす。
嬲るように浴びせたシャワーのせいで、
快楽を司る芽が小豆大に芽吹き、そっと指で撫で回すと
更に紅く肥大し、止めどなく湧き上がる泉は抑制出来ず、
私は溜まらず、その沼の奥へと指を潜らせていた..。
卑猥に芽吹いた芽を左手で弄び、その沼の底へと潜った
二本の指で快楽を貪る。
湿りを帯びた音色を浴室から響かせ、連なる快感が徐々に
下半身を痺れさせ、ワナワナと震え始める大腿部も
そのままに、聖水の放物線を描いていた私。
脳裏を過るのは一年前に別れた彼では無く、
あの日電車の中で私を愚弄した、彼の横顔だった...。
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