『そうだな、したくないとは言わない。
でも、それが全てじゃないし、天音を性欲処理の玩具と思ってるわけじゃない。
天音だからしたいって思う、男の気持ちわかるか?
誰でもいいわけではないって事だ。
天音だって好きな男の人の好みがあるだろう?
それと一緒で、俺にも好みがある。
わかるか?
天音が俺のタイプってことだな。』
意外な展開に博昭自身が驚き、照れ隠しの為に身体を天音の横にずらして仰向けの状態で天井に目を向けたまま言う。
以前から、言っていたはずだが、こんなシリアスな場面で言わされるとは。
上手く嵌められたような気がするし、主導権は確かに天音に握られたようだった。
「・・?」
博昭の言葉の意味がすぐには飲み込めず、キョトンとした表情になる。徐々に内容を理解するが、ほんとに?これであってる?と疑心暗鬼だ。
でも、言い終えた博昭はいつもより余裕はなさそうで、何だか参っているように見える。その証拠に天音の反応を見てか、寝そべって中を見上げている。
「最初、無理矢理したくせに?」
「意地悪ばっかりするくせに?」
「先輩の前でもするくせに?」
こんなことをしておいて、性処理の道具じゃないとでも?と言うような言い方だが、博昭の態度からさっきの言葉が嘘だとは思ってない。ちょっと仕返しがしたかっただけ、別に返答も求めていない。
「・・じゃあ、いっしょにいて。寝るから。」
ころん、と寝返りを打つと、博昭にぴたりとくっつく。
道具じゃないならエッチしなくても一緒に寝てくれるよね、と博昭の温もりを素直に求めた。博昭の腕を抱きしめるようにして、顔を肩のあたりに埋めてみる。
反応はちょっと怖くて見れない。このまま抵抗せずに受け入れてほしい。ぬくもりを感じたまま、眠りたかった。
【こんな感じですが全快したらしたで、ここまで素直に可愛くないと思うのでよろしくお願いします。笑】
『・・・、寝たら、買い物に行く。』といって天音を抱き寄せる。
天音の顔が肩あたりにきて、左腕を天音が両腕で抱きしめていた。
最初、無理矢理したくせに?・・・ 最初は、ああでもしないときっかけがないだろう?
意地悪ばっかりするくせに?・・・ 幼稚園児と同じで好きな子に意地悪をしたくなる時があるだろう、精神年齢が低くて悪かったな。
先輩の前でもするくせに?・・・ 天音も喜んでいたよな、あれで天音は見られながらすることが好きなんだとわかった。
言葉にすると、底なし沼に落ちそうだったから、心の中で反論した。
性処理の道具なら、自分だけ射精してそれで終わりにする。
女が濡れていようがいまいが、突っ込んで中に出しさえすればそれで終わりだ。
その辺りが、その他大勢の女性と天音との接し方、性行為自体の違いだ。
当然、美月もその他大勢の部類に入る。
今までの天音に対する行為には反省する点は多々あるのは認めるが、天音は俺にとってのオンリーワンなのだと
今の時点では、そういうふうに理解してもらえればありがたい。
そう思いながら、腕に巻き付いて顔を寄せて眠る天音の頭をポンポンしていい子いい子をした。
【大丈夫です、博昭も意地悪なこと、いっぱいしますから。】
しがみつく左腕とは反対の手で抱き寄せられ、頭を撫でられる。否定も拒否もしてこなかった。受け入れられたのだとホッとする。変な関係、と思った。天音の髪が博昭の腕をくすぐる。
熱のせいか安心したせいか、眠気が襲ってきた。そのまま素直に受け入れて眠る。
しばらく経って博昭が反応を伺ったときには、既に夢の世界だった。温もりに安心しているから、先程より寝顔が柔らかく見えるかもしれない。
そこからまたしばらくして、目を覚ました。そうだった、また博昭たちの部屋で寝たんだったと思い出す。
ついで寝る前のやり取りも思い出して、顔が熱くなる。体が幾分か軽くて、沢山寝たことでせっかく熱は下がったのだろうに、また熱が出そうだ。
体調不良に加えて祐一のことで弱っていたとは言え、あの男にあんなに甘えて、自ら抱き着いて寝るなんて。またからかわれると思った。
枕元には丁寧に水が置いてあったけれど、これ以上寝られもしないし、お腹も空いた。時計を見ると夕食にはやや早いくらいだが、アイスしか食べていないのだから仕方ないと思い、リビングに下りていく。博昭は結局買い物に行けたのだろうか、オムライスは作ってもらえるのかな、なんて考える。
リビングに入ると、博昭はソファーに座り本を読んでいた。夕食の下拵えは終えているようで、いい匂いが漂っている。天音が起きたら食べられるようにと思ってくれていたのかもしれない。
「お腹すいたから、オムライスたべたい。寝てるの?」
本に集中しているのか、振り向かない博昭に背後から声をかけた。
今日は1日、あれしろこれしろ、あれしたいこれしたいと小さな子どもに戻ったようだなと感じる。今思えば母の美月はおっとりしていて天音が世話を焼く事が多かったから、甘えられるのは新鮮かもしれない。
何か飲もうかな、と冷蔵庫を開けると、昼にカットしてくれていたフルーツがラップされている。くすぐったい気持ちになりながら、オムライスの後に食べようと思った。
【おはようございます。ほくほくして眠ってしまいました。
日本は台風で大荒れですね。博昭さんは大丈夫でしょうか?くれぐれもご安全にお過ごしくださいね。】
一緒に居るのにしないのは変な感じがする・・・・
天音の本音は、違和感がないなら一緒に居ても構わないってことか?
それとも、いつもと同じようにエッチをしないと変な感じがするから、したいならすれば?と投げやりな様子だったか。
いや、かなり甘えていた気もするが、単に熱があって気弱になってただけかもしれない。
活字を目で追うが、内容が一向に入ってこない。
ベッドでは大人しく腕に絡まって寝ていたが、少しは安心したのだろうか。
『・・あぁ、起きてる、飯にするか。』
天音の起きてくる気配がして、声をかけられた。
『熱は、下がったか?』
天音のおでこに手をあてて、熱を測る。
『もう熱はないな。』
パジャマのまま起きてきた天音に、寝室までカーディガンを取りに行き肩にかけた。
『すぐ用意する、座ってろ。』
ちょっと、ぶっきら棒な言い方になってるのは、博昭自身もわかっていた。
ただ、天音が余計な事を聞くから、つい俺のタイプだと余計な事を言わなくてはいけなくなった。
それをどんな意味に天音が捉えているのか、それがわからないから、素っ気ない態度を取ってる自分が子供ぽっく思えて仕方がなかった。
自分からドツボに嵌まった気分だ。
玉ねぎとベーコンを炒めて塩バター風味のチャーハンを作り、
別のフライパンで、卵を焼く。
リクエストのチーズをたっぷり入れて、先ほどのチャーハンをのせて、フライパンを叩いていく。
綺麗に卵に包まったところで、さらに移す。
その上にたっぷりのトマトソースをかけると、上から生クリームをひと回しかけて天音の前に持って行った。
『はい、どうぞ、お待たせ。』
それに、コンソメ味のスープを添えた。
天音の向かい側に座って、テレビをつける。
【こんにちは、
ご心配ありがとうございます、
台風は、雨よりも風が強くて音もすごく、怖いくらいでした。
今は、落ち着いておりますが、過ぎた後も影響が残りそうです。
天音さんも、十分お気を付けください。】
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