2025/08/11 14:16:28
(9N5iYgfH)
「もう一度チャンスを上げるか……井ノ上さん優しいんだね。(小声:そういうところも惹かれるけど。)」
そう言ってから、目黒から胡々希のスマホを受け取る亮平
「渡辺照君のお父さまですか?
お電話代わりました、私、佐久間スポーツジムで社長を務めております佐久間と申します。
ここからの話は渡辺君にも聞いておいてもらいたいので、お父さま、この通話をスピーカーモードに切り替えていただけますか。」
スマホの向こう側で、
「スピーカーモードってどうやるんだ?」
「そこを押して。」
「これでいいのか」
等のやり取りがスマホを通じて聞こえた後、
「すいません、お待たせしました。」との渡辺父の声
「ありがとうございます…渡辺照君聞いてるね、君からは何も話さなくて大丈夫だ……
本来であれば、先程の君からの電話は、先日念書で取り交わした内容の違反になる。
私たちが着信履歴及び念書を持って、警察に行けば、君は無事ストーカーとして認定されるだろう。
その先には、君が先日井ノ上さんに対してしでかした行為に対する罰も、待っているだろう。
しかし井ノ上さんは、今回の電話は不問にしてくれるとのことだからそれに感謝して、今後一切井ノ上さんに連絡を取ろうとしないようにね。
今度またあった場合には、躊躇なく警察に届けるからその積りでいてくれたまえ。以上だ。
それとお父さま、お母さま、息子さんを犯罪者にしたくなければ、厳重に息子さんを見張っておいてください。ではこれで失礼します。」
渡辺照「こらおっさん!何でお前が胡々希ちゃんの電話で話してるんだ、このやろう!胡々希ちゃんを出せ。」
渡辺父「こら照、止めろ馬鹿もんが!」
渡辺母「照、お願いだから止めて頂戴」
電話の向こうでの言い合いの途中に通話を着る亮平
「やれやれ……この分だとまだ何度かは、かけて来そうな勢いだな。」
そう呟き、スマホを胡々希に返しながら、
「今度井ノ上さんが許せないと思う行為を渡辺君がしでかしたら、躊躇なく警察に行こう。その時は私と目黒も同行するから…何かあったら遠慮せずに言ってくれ……おっとやばい、鍋かけっぱなしだ。今から卵とじうどん作るから。」
そう言ってキッチンに行くと、程なくして胡々希と目黒もダイニングに。
食事をしながら、大学時代に学んだことなど色々と語ってくれる胡々希。
「そうか、トレーナー資格も持ってるんだね。それはこれから、パーソナルトレーニングに力を入れようとしているうちにとって、願ったりかなったりだ(笑)」
胡々希が食事を終えると、
「じゃあ、私たちはこれで失礼するよ。」
そう言って井ノ上さんの部屋の玄関を出ると、隣の目黒に対して
「目黒、これから俺の部屋で一杯どうだい?」
お猪口を持ってるような指を傾ける仕草をする亮平。
「目黒、帰っても一人だろ。」
寮の部屋でそんなことがあって数十分後、堂本の自宅の電話が鳴る。
堂本妻が電話にでて、受話器を押さえながら
堂本妻「あなた、ジムに入社予定の井ノ上さんって方から、あなたにですって、可愛い声してる女性ね(笑)」
電話がかかっていることなどお構いなしに騒いでいる、子供たち。
堂本「はい電話代わりました。ああ井ノ上さんどうしました?えっ、医者から電話が……私に言われてですって…私はそんな事一言も…ええ…ええ…では失礼します。」
子供たちの声で電話の声がかき消されて、会話が噛み合っていなかった気もする堂本だったが、それ以上気にすることもなく、十分もたたないうちに電話のことは頭の中から消えていた」