2025/07/19 22:42:45
(ak049faU)
「目黒君行ってくれるの?ありがとう。二人きりになって大丈夫?無理しないでね。」
(最後の「大丈夫?無理しないでね。」は理由を知らない胡々希にとっては理解不能な言葉であっただろう。
しかし黒木の言いがかりにより精神的に参ってしまい、そればかりか一時的にではあるが、女性不審に陥ってしまった目黒にとっては、凄く有り難い言葉であった。)
「大丈夫ですよ、社長。もう克服できたと思いますから(笑)
(心の声:社長のことは信じてはいるけど、いくら会長のお気に入りとはいえ、黒木の事いつまで雇っておくつもりなんだろう。
徐々に彼女の権力は奪って来てるとはいえ、彼女を目の前にするとどうしても思い出してしまう…)」
そんなことを一瞬思ってから
「では社長行ってまいります。井ノ上さん行きましょう。」
目黒がそう言うと部屋を出ていく二人。
部屋に取り残された亮平だったが
「良い機会ができたもんだ…社長室に行ってと…」
社長室のパソコンで胡々希の部屋のカメラを操作し始める亮平。
程なくして一人部屋に戻って来る胡々希。
同じころ目黒がドアの外から声だけで
「社長今戻りました、井ノ上さん着替えてこちらに来るそうです。私は隣の部屋にいますので。」
「わかった。ご苦労様でした。」
そう言うとパソコンの画面に集中し始める亮平。
「(小声独り言)おっ来た来た…ほぉ~衣擦れの音も拾うのか、なかなか高性能な盗聴器だな。」
画面には一人という安心感なのか、躊躇なく来ていた洋服を脱いでいく、胡々希の姿が映し出されている。
「(小声独り言)なんだよくそ、後姿か。まあ、今日のところは良しとするか…それにしても健康的で綺麗な体してるな、出るところは出て括れるところは括れて。どれくらいの経験かはわからんが、渡辺って若造が執心してるのも分かる気がする。」
そんなことを考えていると、どこの部屋のカメラからも胡々希の姿は消え、玄関のカメラが胡々希が部屋から出ていく姿を映している。
玄関ドアが開き出ていく胡々希。
玄関ドアが閉まると、カチャンと自動的に鍵が閉まる音を盗聴器が拾う。
「さてそろそろ来るかな。」
そう思い亮平がパソコンをシャットダウンしたとき
「社長、お待たせいたしました。井ノ上さん用意が終わったそうです。」
とドア外から、目黒の声がする。
「分かったじゃあ行こうか。」
その声と同時に社長室のドアが開き亮平が姿を現す。
駐車場に止めてある社長車に乗り込む三人。
運転席に目黒、後部座席に胡々希と亮平。
運転席の目黒はカーナビに胡々希のマンションの住所を入力し終え、
「では社長出発します。」
目黒がそう言うと車は滑らかに動き出す。
「社長ちょっと距離があるので、高速に乗ろうと思いますが。」
「わかったそうしてくれ。そうだ井ノ上さん、朝から何も食べてないよね、井ノ上さんの地元着いたら、何か食べようか?俺もお腹空いちゃってさ。どこか美味しいお蕎麦屋さんとか知ってる?」