結局、博昭は帰ってこなかったが、出ていったわけではないと美月から聞いた。友人と飲みに行って泊まるらしい。
翌日、ぐるぐると考えてしまうことにはかわりないが、1日家にいると余計に頭が痛くなりそうだと思い、心配する美月を躱して投稿した。
案の定、祐一と話すことになった。先輩とは何もない、天音だけ、と弁明していたけれど、件の女子の先輩と繋がっていたことは真実のようだし、友人からの続報があるしで、信じられないと別れることになった。考えることが減って、正直有難いと思ってしまったのは悪いことなのかな、と天音は思った。
色んなことを経て、校門をくぐる。
博昭のことも、美月のことも、祐一のことも、もちろん休んだ分の勉強のこともあるし、友人関係もある。正直ヘトヘトだった。
ちょっと歩いたところで、見慣れた車が停まっているのが見えた。
「・・いつの間に帰ってきたの?出て行ったのかと思った。」
無視するのも良くないかと思い、声をかけた。どうやら迎えに来てくれたらしい。
いつの間に家に戻ったのだろうと思いながら、助手席に乗り込んだ。ふう、と息を吐いた。ちょっと緊張してるかも。
【色々考えられて楽しいのでウェルカムです。】
『出て行ったら悲しむ人がいるかもしれないと思ったんで、帰ってきた。
ドライブでもするか。』
天音が車に乗ってきた事にほっと息をつき、答えを聞く前に車を出した。
行くあてがあったわけではないので、夕日がきれいに見えると言われる小高い丘の公園の駐車場に車を停めた。
『少しは機嫌が直ったようで安心した。』
車から降り、自販機でお茶を買って天音に渡してから、ぽつりとつぶやいた。
『もしかして・・・・。
もしかして、少しは俺の事を認める気になっていたのか?』
一番聞きたかったことを聞いた。
【安心しました、このままでは夜も眠れなかったです。笑】
すぐに帰宅するでもなく、車は走り続ける。公園の駐車場にとまった。
博昭は車を降り、自販機へ向かう。眺めているとすぐに戻ってきた。
「・・認めるって何?わかんないことばっかり言わないで。」
出ていくと言ったり戻ってきたり。認めるのかと言ってきたり。祐一と別れてきた天音には情報が多すぎる。
受け取ったお茶を一口飲む。
「もう、あたし何も考えないことにしたの。先輩とも別れたし、もう自分の好きなようにするから。」
どうでもいい、というわけではないけれど、考えたって答えが出なくて苦しいだけだった。じゃあ、先のことを考えずに今心地よいことを選ぶのがいいと思った。
何でもないことのように祐一とのことを伝える。
【よかったです。笑】
『それは、俺と一緒の生き方だな。
俺も好きなように生きてきた、だから、天音を抱いた。
わかってる、私が同意したみたいな言い方しないでっていうんだろう。
それは、それで置いといて、俺も好きなようにしたいことをしてきた。
だから、一緒だなと、そう意味ではな。
祐一とは別れたのか、俺の言った通りだったな。
少しは大人の意見に耳を傾けるのも悪かないだろう?
で、さっきの質問だが、俺と美月のエッチを見て機嫌が悪かったんだろう?
それは、何故か?
なんで、天音が気分を害したのか、を考えてた。
具合が悪かった日、甘えてきた事などを考えると、少しは俺を認め始めていたのかなと、そう思ったんでな。
どうだ?』
ずっと考えてきたことを天音にぶつけてみた。
博昭の言葉から、美月と博昭の行為を見てしまったときに目が合ったのは事実だったとわかる。意地が悪い、性格が悪いと思った。
「認めて、なんかないもん。どうせママがいいんでしょ。あたしはあたしのことがいいって言ってくれる人とするから、いいもん。」
助手席に座って前方、ややうつむきがちに話す。
祐一も最初はそう言っていたっけ。でも別れることになってしまった。天音から一方的だったかもしれないけれど。
そんな風に言うと、博昭との関係で一番を望んでいるかのようだ。でも天音はそういう確認をしたかったわけではないのだけれど。本音が言い回しに出てしまった。一番になりたかった。
祐一も博昭もそうでないなら、一番に扱ってくれる人を自由に探すか、諦めるかすると、16歳にしてやや悟ったことを言う。博昭以外の人とも、と思わせる言い方だった。
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