中学まで一緒だった男子と高校三年の時にアルバイト先で再会した。
小中と一回も同じクラスになったことがないから、存在は知ってたけどほぼ話したことはないと思う。
でも、やっぱりバイト先は年配者が多いから必然的に会話もするようになった。
話してみると意外と感じがいいんでわからないものだなあと思った。
たまにつきあっている彼女が買い物に来たりするのだが、この子がかなりかわいいんで驚いた。
中学の時はとりたててモテるキャラではなかったし、つきあっている彼女もいなかったはずだ。
私が働いているバイト先はドラッグストアだ。
お店自体が少ない寂れた地域にあり、背景には小山を利用したハイキングコースや森林公園がある。
夜は周囲が暗いから、店の明かりが神々しく輝いているようだ。
私は優しいパートさんも多いしこのバイトを気に入っていた。
一番の動機は電動自転車が欲しかったから始めたのだが、その目標を達成してもやめようとは思わなかった。
ある土曜日のバイトの日…
私は午後から閉店までの勤務だから夕方にまとまった休憩を貰えた。
ちょうど夕方上がりの比呂美さんと一緒に森林公園でおやつを食べながらお喋りすることになった。
比呂美さんはバツイチになり実家があるこっちに帰って来た30才くらいの人だ。
まだお姉さん的な雰囲気が残っているのは子供がいないからだろう。
実家暮らしでひとり分の食いぶちを稼げばいい程度だから、あまりあくせく働いたりはしていない。
夕飯の支度もないからすぐに慌てて帰らず私とお茶をする時間が取れるのだ。
だいたい共通の話題のお店の人の話がメインになる。
少し小雨がパラついていたので私達は東屋に陣取っていた。
ペットボトルのミルクティーに安いシュークリームでも、ロケーションがいいので優雅な感じで味わえる。
比呂美さんはすぐにペロッと平らげ、ブラックコーヒーを片手にタバコを吹かしていた。
「あれっ…マル君と由那さんだ…」
比呂美さんが声を潜めて言ったので、私も視線の先を見た。
確かに二人が連れだってハイキングコースを上がっていく。
もう少し上の場所まで行こうとしてるようだ。
上にもまだまだ憩いのスペースはいっぱいある。
薄暗いしけっこう距離もあるし、木々に遮られたりもしているので、向こうからは感づかれてはいないようだった。
白いお店の袋を持っていたので、目的は私達と同じだろう。
由那さんは確かもう上がりで、マル君はこれから夜の短時間勤務のはずだった。
「マル君てパートさんらの受け最高だよね。昔からモテたの?」
「いや、全然!」私は胸の前で掌を振った。
「男の子は短期間で変わるからね…女子より成長は遅いけど…」
「確かに。ちょっとかっこよくなってた…でも学校でキャアキャア言われるタイプとは違うと思うけど…」
「そうなんだよね、あれは年上キラーだよ。」
「エヘッ!そうなんですか?(笑)」
「そうそう!」
「じゃあ比呂美さんもけっこう?」
「いいんじゃなあい~!全然アリだよ(笑)」
「うわあ~…なんかリアルな発言…w」
「もちろん年が違いすぎて結婚対象とかではないよ…でも愛人として囲えるなら囲いたい…かわいいじゃない、彼…」
「誘ってみたら?…比呂美さんならいけそうだと思いますけど。まあ、彼女いますけど」
「彼女は関係ないよ、色んな意味で…ただ、ちょっとライバル多そうで積極的になれない」
「ライバルってお店で?…みんな私らのお母さんくらいの人ばかりですよ?」
「でもうちのパートさん、けっこう粒揃いではあるよ…バラエティーに富んでて…男なんてみんなマザコンの気があるからさぁ…現に今もわざわざ上の方までお茶しに行ってるよ?ちょっと怪しくない?…」
言われてみると俄然怪しく感じてきた。
「これは私の個人的な推測だからここだけの話、たぶんマル君は麻里さんに食べられちゃってる…」
「エエッー!!」
私は思わず仰け反ってしまったが、それならそれでさらに上がっていった二人が怪しくなる。
「由那さんもマル君を気に入ってるのは私も気づいてたけど…ついに実力行使に出ちゃうのかな?…」
比呂美さんは名探偵みたいに眉間に皺を寄せていた…
2026/09/26 13:04:37
(DMTpHkKr)