2016/04/21 10:59:27
(QQcIlpXL)
10月も終わりの頃。家に行くと、しおりさんはあいにく電話中。彼女から「中に入ってて。」と合図が送られます。
結構なの長電話でした。僕が来てからも20分くらい話をしてましたから、かなりだと思います。終わったしおりさんの手には、謎の白い封筒がありました。
夜、ベッドで話をしていました。ふいに、彼女が立ち上がり、戻ってくると手には、先程の白い封筒がありました。「なんだろう?」。
二人で天井を見上げ、その白い封筒が開けられます。中から、白い便せんが出てきました。見ると、男性のプロフィールが書いてあります。
「なに、これ?」と聞いてみます。「釣書。知らない?お見合いの時に、お互いに渡すの。自分はこんな人ですって。」、初耳だった。
更に、会社で撮られたと思う男性の写真が入っていた。作業着姿で、こちらを向いてニッコリと笑っていた。釣書を見ると、45歳の方だった。
「デブよねぇ~。」、彼女は僕が思ったことを、そのまま口にした。「お見合いするの?」と、気にはしないように聞いてみた。
「してほしい?」と聞くので、「さあ?」とはぐらかした。「する気がないから、君に見せたの。」と聞き、どこか安心をする。
もうそれからは、この謎の男性には申し訳ないが、笑いのネタとして扱われることになる。
「こいつ、デブやな。」
「うん、デブやな。」
「これで、よく見合いとか言うたな。」
「そだね。その勇気は買うよ。」
「ほお、年収700万だって。」
「お金に目がくらむか?」
「けど、デブはダメだわぁ~。アハハハ…。」
「姉さん、こいつ45歳みたいですよ。」
「8つも若いな。」
「AV男優並みのセックスしますよ、きっと。」
「けど、デブはダメだわぁ~、デブは。アハハ…。」
と無茶苦茶でした。
しかし妹の顔もあり、しおりさんは男性と一度だけ会うことになります。おかげでその日、僕はどこか不安な日を過ごすことになります。
その夜、お見合いを終えたしおりさんがいる家に向かいました。とにかく、彼女の口から、あったことを聞くまでは、どこか安心出来なかった。
「どうやった?お見合い。」
「うん。いい人だったよ。」
「そう。よかったじゃん。」
「けど、なんか無理してたわ。」
「無理?」
「あの子、女性に馴れてないわ。」
「ほお。」
「経験少なそっ。もしかしたら、童貞くんかも知れないねぇ。」
「そうなんだぁ。で、どうするん?」
「さっき、妹に御断りの電話したよ。」
「そう。」
と、それを聞いて安心しました。更に。
「妹には、いま付き合ってる人がいるって言ってたから…。」
「ほお。」
「ん?」
「ん?」
「キミですが…。」
「はい。」
と、うれしい話も聞けました。
その夜は、彼女に手をひかれて寝室に向かいました。僕の手をひきながら、
「あれなんだっけ?45歳のAV男優だっけ?」
「あの人?」
「そうそう。君、責任とりなさいよ。」
「ん?」
「君のせいで、私、AV男優を逃したんだから…。」
「オッケー。セックスマシーンになります。」
と、寝室に消えます。