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雨宿り4

投稿者:まなみ ◆8wwUsyplVU
削除依頼
2021/07/07 17:48:35 (cJdnAsKN)
ゆうすけさん、お待たせしました。
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112
投稿者:星野瞬一 ◆Nvwi/zPrkY
2021/12/15 00:33:21    (LNIH5QTE)
あの後、しばらくの間は律子ちゃんは以前と変わりない様に過ごしている様に見えたが…
ある日の夜…
ふと目を覚ますと隣で寝ていた筈の律子ちゃんの姿が見当たらない…
身体を起こし、まさかまた律子ちゃんうなされていたんじゃ…と思いながら周りを見渡すと台所から明かりが漏れていて、お水でも飲みに行っているのかな…と思って少しホッとしてたら、突然激しく咳き込み、吐いている様なので僕は慌てて律子ちゃんの元に駆け寄り背中を擦ってやると「瞬一…ありがと…もう大丈夫だよ?何か、食べ合わせとか…まずかったのかなぁ…」と言う律子ちゃん。

最近うなされて起きる事が増えているということは律子ちゃん自身も気づいていると思うけど、僕に心配かけない様に誤魔化しているのか、それとも本当に気づいていないのか…
僕がどちらか判断出来ずに過ごしていた。

しかし律子ちゃんの状態は良くなる事なく、やがて水泳の泳ぎまで影響が出てきて、久しぶりにゆかりコーチと泳ぐと言って出て行った律子ちゃんだったけど、調子は上がらずコーチに調子の浮き沈みはあるものだから、そんな時は泳ぐのを休んで?と言われて帰ってきた律子ちゃんとその夜、どちらともなく手を繋ぎキスを交わし…
いつもの様に律子ちゃんの身体を丁寧に愛撫して感じさせて、いつもの様にトロトロになったおまんこにおちんちんを突き入れると官能的な声を上げて悶える律子ちゃん。

そしていつもの様に横にして奥まで捩じ込むと「くるしい!でもいいよ!瞬一!もっと深く奥まで!」と僕にしか見せない鳴き方でよがっていて、このところの律子ちゃんの様子がおかしかったのは、僕の杞憂だったか?と思いながら体位をバックに変えて、律子ちゃんお気に入りの潰す様にのしかかろうとすると…

「やだ!離して!」と凄まじい力で僕を押し退けて険しい顔で叫び、布団のシーツを身体に巻いてベッドの端に逃げて怯えた表情を見せた。

そこで初めて、特定の体勢になるのが駄目というのが、わかった気がした。

するとすぐに我に返ったのか済まなそうな顔をして「ご…ごめん瞬一…そんなつもりじゃなかったの…実はあたし…あれから…関根の一件があってから…」と律子ちゃんがポツリポツリと言ってきて、僕は「わかって…いたよ…?」とポツリと答え頭をそっと撫でると律子ちゃんは僕の胸の中に飛び込むと身体を震わせ静かに泣き始めた…
そこで初めて律子ちゃんが自分の身体の異変に気づいた事がわかった。

静かに泣く律子ちゃんを見て、もっと早く僕が対応できたら…律子ちゃんの身体からサインは出ていたのに…何故僕は律子ちゃんをサポート出来なかったのだろう…
そんな事を思いながら律子ちゃんを抱きしめ、「大丈夫、僕がついているから…」と慰めながら言っていた。

しかし自分の身体の異変を自覚してからの律子ちゃんは体調の崩れは早く…
あれから数週間たつ頃にはもう律子ちゃんは寝ている時間の方が長い状態になってしまい、僕はコーチに連絡して「疲れからか、なかなか体調が回復しないので、しばらく休ませて下さい。」とお願いした。

弱々しくなっている律子ちゃんの側に寄り添いながらも仕事も量を減らしながらも続いていた。

そんなある日まなみさんから電話があった。
律子ちゃんが身体の異変を自覚してから、何度かまなみさんに連絡をしたが、何故か連絡がつかなくて、そうするうちにどんどん律子ちゃんの体調は悪くなってしまい…

そんな折りにまなみさんからの電話…「あっ…星野くん?まなです。りっちゃん、今テレビ見て…あの…」と言う声が聞こえて
「あ、まなみさん…こちらは大丈夫だから、もうこれ以上、関わらないで。」と冷たく言って電話を切った。

「瞬一…だれ?」「なんでもない…間違い電話だよ?」と言って律子ちゃんに寄り添いながら携帯を律子ちゃんから遠ざける様に置いて笑顔を見せて「律子ちゃんは何も気にしなくて良いよ?僕が守ってあげるから…」と言った。


きっとまなみさんの事だから今度は私が…って思っているに違いない。
でも…今回ばかりはまなみさんの出番はない。
僕がきっと律子ちゃんを助ける!助ける番だ!こんなふうに律子ちゃんがなった原因の1つはまなみさんにもあるんだから!

だから律子には悪いけど、まなみさんと会わすつもりはない。
これを機会にまなみさんとしばらく離れてもらうよ?
まなみさんと深いとこで繋がっているとは言っても、今回の事は僕が許せない。

そんな律子ちゃんをきっかけはどうあれ、昔の傷を抉り出され、それが今の身体の異変に繋がっているのだから…出来ることなら、まなみさんの事も忘れて、あの事件の事も忘れて、僕だけの律子ちゃんになって欲しい。

いつも律子ちゃんに守ってもらっているまなみには、今の律子ちゃんには会わす事は出来ない!まなみさんさえ人の言葉に耳を傾けてくれさえいれば、律子ちゃんがこんなふうにならずに、きっとオリンピックだって出れたであろう…



【まなみさん、年末だからね?
忙しいのは良くわかります。
僕はちゃんと待ってますよ?】



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投稿者:星野瞬一 ◆Nvwi/zPrkY
2021/12/15 21:25:26    (LNIH5QTE)
まなみさんからテレビ見て…といった電話があった後、僕はここでまなみさんから電話あったと、もし律子ちゃんに伝えたら、いつもの様に喜ぶだろうか?否、きっと律子ちゃんなら今の姿を見られたくない!そう思う筈…
だからまなみさんに気づかれたくないと無理してでも会ったに違いない。

そんな事したらその後更に悪化する可能性だってある。
だからせめて律子ちゃんが起きれるくらいに回復するまでまなみさんと会わせない方が良いだろうと、僕は思ってわざと冷たく対応した。

電話に気づいた律子ちゃんが「瞬一…だれ?」とたずねて来て、「なんでもないよ?律子ちゃんはもう少し休んでいた方が良い…」と言って携帯を律子ちゃんから遠ざけて置くと、律子ちゃんに寄り添い、そっと寝かせ頭を撫でた。

ただ…どうすれば、何をすれば、律子ちゃんの抉られた心を治す事が出来るのか?
まだ寝ている時間が長くなる前にバイクの後ろに乗るが出来た時に色々綺麗な景色見せたりして気分を変えようと試みたけれど…駄目だった。

しかしこのままだと、まなみさんが心配して此処に何時来てもおかしくない状況になってしまった。

まさかテレビで取り上げられるとは…改めて律子ちゃんの存在がいかに注目されていたか、わかった。

だからといっていつまでもこんな状態を放置していく訳にもいかないので、僕はひとつかけてみた、律子ちゃんにとって、まなみさんの存在に匹敵する相手…しかしながらその相手は…


僕は数日後、律子ちゃんに「あのさ、律子ちゃん…僕と再び再会出来た札幌に行ってみないか?
もう一度、律子ちゃんのお父さんとお母さんの思い出の地を巡ってみないか?」と聞いた。

今の律子ちゃんには無理かも知れないが、何か回復するひとつのきっかけにならないかと思って、提案してみた。



【まなみさん、前レスをこちらに変えます。】





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投稿者:律子・まなみ ◆pVvpmy/qE2
2021/12/17 19:53:32    (IuvnQBvu)
(…瞬一がどこかよそよそしい…
律子はしゅんくんの態度がどこか違うことに気付きます。特に携帯をわざと遠ざけるようにする事が多くなり…精神的に弱りきっている今の律子は、こころなしかやつれてさえ見えます。1日の大半をベッドで過ごして、何かの動きで腰が上がると怯えて…)

…しゅんいち?あれ?しゅんいちぃ?
(ある日、起きるとしゅんくんがいません。出かけたのでしょうか?居間には律子の携帯が。恐る恐る電源をいれて中を見ると…
水泳の関係者やスポンサーさんからの電話やメールがたくさん入っていました。でも…なにか足りない。意図的に何かがなくなっている…
その何かはわかっていました。律子はいつもは設定しない留守電を入れると、また電源を落とします)


…やっぱり出ない…ゆうすけにはまなから連絡するからとは言ったけど…どうしちゃったんだろう…
…っ!あっ…
(その頃、まなみはいつものように律子に連絡をいれます。今回もまた繋がらないと諦めていたところに留守電になりました。まなみは叫びたい気持ちを堪えて、大きく一呼吸おきます。そして…)

『りっちゃん?まなです…
身体、大丈夫?心配です。
何度連絡しても繋がらない。星野くんもなんだか素っ気なくて。たぶんきっと、まなが関係してると思います。
でも、星野くんも何か考えがあるんじゃないかな?
今までまなはあなたにたくさんたくさん助けられてきました。今回はまなが何を犠牲にしてでもあなたを助ける番…
今はこうして静かに見守る事があなたを助けることに繋がるのなら…まなは待ちます。
だから必ず、必ずまた帰ってきてください。
まなって呼んで…抱きしめて…髪…なでて…
まなは…まなは…どんなになっても…あなたを愛してます…』

(最後は涙声になってしまいました。留守電を切った後、まなみはその場にうずくまり激しく泣きます。そうは言ったものの、ほんとはすぐに駆けつけていきたい!渋るしゅんくんを押しのけて抱きしめてキスして…でも…いまはダメ…
ある意味、まなみにとって律子と距離を置くのは身を引き裂かれるのと同じくらい辛く苦しい事です。
でも…いまはそれしかないと信じて…
激しく嗚咽し、咳き込み、それでも声の限り何度も律子の名前を呼んで泣き叫んで…いつのまにか居間の真ん中で眠ってしまっていました)


まな…まなぁ…
(そしてそのメッセージを聞いた律子も、目頭を熱くさせます。あの子のためならいくらだって元気を振り絞れる、頑張れる!
抱きしめたい…その胸の中に小さなあの子を埋めて離したくない!
律子はまなみの声を心の深くにしまい、留守電を消去します。そして携帯の設定を元にもどして電源を落とし…一瞬伏せ、開かれた目には何か火が灯りかけましたが、まなみの顔を思い浮かべると同時に…)

っ!うぶっ!んぶうううっ!
おええっ!おげえええええっ!

…はぁ…はぁはぁはぁ…
なんで…どうしてよ?どうして邪魔するの!
なんで立ち直らせてくれないのよおっ!
どうして?どうしてええええっ!
(しゅんくんの心配通りなってしまいました。まなみが引き金になって思い出してしまうトラウマ。律子はその場で戻しそうになるのを必死に堪えて、台所に…ひととおり吐くと、その場にうずくまり悔しさで叫んでしまいます。)

…え?さっぽ…ろ?
(さらに日にちはすぎ、まなみからの連絡も、あれから来なくなりました。テレビであれほど騒がれていた律子の休養騒動も、話題の流れに埋もれて流れていき、律子の心を安定させます。
もうこのまま泳ぐ事はできないかも…まなともこのまま…でも…いっそこのまま、普通に、この人の妻として…
それはしゅんくんが望む最良の結果。律子もそれを受け入れようとしています。でも、しゅんくんに向ける笑顔は穏やかすぎて…全てを無くしたように空っぽの笑顔をするようになってきていた律子を見ていると、やはりこれでは解決にならないと思ったのでしょうか?突然札幌旅行を提案されます)

…なに?とつぜん。
あたしならもう大丈夫だよ?
最近は吐く事もなくなってきたし、心が乱されることもめったになくなったから。
…え?結婚前に?もう一回思い出巡りしたいの?
そう…だね?そうしよっか?
(この頃はずっとお守りがわりのようにずっと肌身離さず持っていた、亡き母のブローチ。律子は無意識にぎゅっと握りしめると、まるでその母を亡くした時のような笑顔で見つめ返すのでした…)


「まな?あれから律子には…?」
?りっちゃんに?何もしてないよ?
いいの、今はそれで。それがあの子のためだから…
「っ!なにもって!いいのそれで!
…なんて顔してるの?まな…」
(その頃、唯はまなみを誘ってお茶しにきました。
もちろん唯の耳にも律子のことは入っています。連絡を取ろうと思えば取れるのですが、まなみに固く止められていました。
近況を聞き、驚く唯。笑っているものの、その顔は不安に溢れて今にも崩れそう…唯はそっとまなみを抱きしめると、優しく頭を撫でます。
その唯の胸の中で声を殺して静かに震えるまなみ。
唯は抱きしめたまま、自分にも言い聞かせるように…)

「大丈夫…律子は必ずあなたのとこに戻ってくるわ?ただいま、まな…てね?
まなが一番つらくて苦しいだろうけど…待ちましょう?星野さんに託して…」

【ホントはすぐ神戸に行く予定でした。
玄関まできて呼び鈴鳴らして…
まなみがいる!一瞬瞳に火を灯し、出ようとする律子はしゅんくんに止められて。律子は泣き叫びますが、その声はまなみに届きません。
引き止めるしゅんくんを振り払って、インターフォンの画面を見ると…もうそこにはまなみはいなくて。またズルズルと崩れ落ちる律子を抱きとめ、なだめて寝かせて。
そっと玄関のドアを開けると、まなみはその場でうずくまっていました。必ず会えると信じて…
しゅんくんの辛そうな、そして自分に対する憤りを混ぜたような瞳で察したまなみは、思わず
「律子を返して…」と呟いてしまい、その場で口論に。その中でしゅんくんの本意に気づくと、頭をさげて謝り、律子を託して帰っていき、後日唯と会う流れに…
そんな感じで考えてました。札幌旅行も素敵な結末になりそうなので、今回は全て委ねますね?】

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投稿者:星野瞬一 ◆Nvwi/zPrkY
2021/12/18 22:47:48    (fogGfjAE)
律子の携帯の電源をいつもの様に落として、律子ちゃんから遠ざける様に置いて僕はどうしても抜けれない仕事に向かった。

まさかその前に律子ちゃんが携帯を留守録にしていたとは知らずに…

まなみさんから何度も連絡があったけど、その都度以前と同じように冷たく対応していた。
その対応が良いとは思ってないが、律子ちゃんの事を考えるとまなみさんに会わす訳にはいかなかった。

だけど、仕事から戻ったら律子ちゃんの様子が少しおかしい…携帯を律子ちゃんの隙を見て、確認したけど、おかしな点はなかった。
一抹の不安を抱えながらも律子ちゃんは以前みたいに吐くようなことは少なくなったけど…

僕を向ける穏やかな笑顔が、何か虚ろに見えてやはりまなみさんに会わす方が良いのか?
でも会えばまたあの時のフラッシュバックが…
僕では律子ちゃんの心の傷…抉られた心の傷を治す事は出来ないのか?
散々悩んだ結果、僕は律子ちゃんに2人の思い出の場所、札幌行きの提案をした。

その頃にはテレビでも律子ちゃんのあれほど盛り上がっていた話題は無くなり、他の選手の活躍の話題にとって変わり、話題にも昇らなくなり、一見は平穏な生活に戻った様に思えたが…

律子ちゃんからも水泳の話も出なくなり、まなみさんの事も触れなくなり…このまま僕の奥さんになってくれるのか?
そんな淡い期待もしてしまうくらいだったけど、今の律子ちゃんは穏やかすぎてまるで全てを無くして、空っぽになっているみたいで…

やはりこのままではいけない、律子ちゃんの心の傷とちゃんと向かい合わないといけないと思って2人にとって思い出の場所、札幌で一緒に思い出の場所を巡れば何か見つけられるかも?と思い切って誘った。

「えっ?さっぽ…ろ?
…なに?突然。わたしならもう大丈夫だよ?
最近は吐く事もなくなったし、心が乱されらることもめったになくなったから…」と言う律子ちゃん。

いやいや…その状態が良くないんだって!と思って「そうだけど、結婚する前にもう一度思い出巡りをしたいなって、思って…だからどうかな?」と律子ちゃんに気を使わせない様にして聞いたら「え?結婚前に?もう一度思い出巡りしたいの?
そう…だね?そうしようか?」と言ってお守り代わりにこのところずっと持っていた律子ちゃんのお母さんの形見のブローチをギユッと握ってあの時と同じような笑顔を見せた。

そんな笑顔を見て、胸の奥がギユッと締め付けられた感じがして「それじゃ、早速予約を入れるね?今回はゆっくり船旅で行こう?フェリーでさ?」と手を握って言った。

律子ちゃんの両親の時代ならきっと同じようにフェリーで行ったと思うので、出発した場所は違うかも知れないけど、出来るだけ律子ちゃんの両親と似た状況で移動したいと思っていた。

ただその一方でまなみさんとも一度ちゃんと話をしないといけないと思っていたが…律子ちゃんが抉られた心の傷が癒えてからと思っていた。
今のままではまなみさんと会った時、今まで通りに接する事は出来ない。
律子ちゃんの心を抉られた原因を作ったのがまなみさんの行動のせいだと僕は思っているからだ。

【まなみさんの展開の方が良かったかも?
でも、今回は頑張ってみます!】





116
投稿者:律子 ◆lhmAJ0ETT2
2021/12/20 21:31:17    (mIl7f/sY)
ねえ、しゅんいち…
夜の海って…怖いくらいに綺麗だね?
空と海の境がわからないのに、月明かりだけがさ、こう。スーッて…あたしたちに向かって伸びてくるの…
(旅行に行こうと決めてからのしゅんくんの動きは早かったのでした。律子の気が変わらないうちに、というのもありますが、何より少しでも遠く心も身体もまなみから離したかったのが本音でした。
律子は確実に少しやつれていました。夜のデッキで暗い海に映る月明かりを見ながら微笑んで話す姿はまるで別人です。この頃にしては珍しくロングスカートを履き、ストールを肩にかけて遠くを見つめる律子。以前はあの人…もしかして…と囁かれていましたが、今は周りも律子をあの竹田律子と気づかずにいます。)

…冷えてきたね?中…戻ろうか?
船選んで正解だったね?ゆっくりゆっくり…
あたし、今までずっと忙しく飛び回ってたから、こういうの、すごく新鮮…
(しゅんくんが差し出す手をとり、肩を抱かれながら中に戻ります。その仕草一つ一つが穏やかすぎて…強く抱きしめたら壊れそうな綺麗さで、それはそれでまた注目を集めそうです。
それは何も知らない人たちが見たらですが…近しい人には、中身のからっぽな危うい綺麗さ…)

あたしね?
最近考えるの…
もうこのまま…戻らなくてもいいのかなぁって…
あなたのための…あなただけの…あなたの妻になろうかなぁって…ね…
またそれなりに泳げるようになったら、近くのスイミングで子供たち教えて…しゅんいちのお仕事の帰りを家で待って…そんな幸せもありだよね?
(部屋に戻って、ゆったりとしゅんくんにもたれながら、律子は話します。これもまた律子の本音。そうなれば一番嬉しい…けど、今の律子からそれを聞くのは…どうしようもない気持ちの中で、しゅんくんは黙って律子のか細い身体を優しく抱きしめます…)


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投稿者:星野瞬一 ◆Nvwi/zPrkY
2021/12/22 18:22:02    (CM4ZIcd8)
僕は早速フェリーの予約をして、律子ちゃんの気が変わらないうちに次の週にはフェリーに乗船していた。

本音を言えば、今の律子ちゃんからまなみさんから少しでも身も心も離したかったのだ。

この日、律子ちゃんは最近にしては珍しくロングスカートを履いて、ストールを肩にかけていた。

夜になってフェリーのデッキで暗い海を眺めていると「ねぇ、瞬一…夜の海って怖いくらい綺麗だね?空と海の境がわからないのに…月明かりだけがさ、こう。スーって…わたしたちに向かって伸びてくるの…」って微笑む律子ちゃんは体調が悪くなってから確実に痩せていて、その姿はまるで別人だった。

少し前なら周囲の人から「もしかして、あの娘、竹田律子?」って言われていたけど、今は誰も気づくことはなかった。

前みたいに気を使うことはなくなったけど…でも何となく寂しい気持ちにもなった。

しばらく夜の海を眺めてたら「…冷えてきたね?中…戻ろうか?」「そうだね?身体冷やすのは良くないからね?」「船選んで正解だったね?ゆっくりゆっくり…わたし、今までずっと忙しく飛び回っていたから、こういうの、凄く新鮮…」「それなら良かった…たまにはゆっくり移動するのも良いだろ?」と話ながら僕は律子ちゃんの手を取り肩を抱いて船内に戻った。

しかし律子ちゃんの仕草ひとつひとつが穏やかすぎて…何か不用意に触ると壊れそうな綺麗だけど脆く儚い美しさに目を惹かれる男もいるだろう…
だけど、僕はこの事件前の律子ちゃんが好き。
今の中身のない空っぽな律子ちゃんを元に戻したいと思って札幌行きを決断したけど…

そう思いながら部屋に戻ると「あたしね?最近考えるの…
もうこのまま…戻らなくても良いのかなぁって…
あなたのための…あなただけの…あなたの妻になろうかなぁって…ね…
またそれなりに泳げる様になったら、近くのスイミングで子供たちを教えて…瞬一のお仕事の帰りをお家で待って…そんな幸せもありだよね?」とゆったりと僕にもたれかかって話す律子ちゃん。

そうなれば、確かに嬉しいけれど…今の状態の律子ちゃんからはそんな言葉は聞きたくなかった。
だけどどんな言葉をかけて良いのか、悩みながら律子ちゃんのか細い身体を優しく抱きしめた。

そしてゆっくりと覚悟を決めた様に「律子ちゃん…そんな生活も確かに良いけど、お母さんと交わした約束はどうする?
今はちょっと色んなことがあって休んでいるだけだろ?
そんな生活は律子ちゃんが思い切り泳いで、やり残した事がなくなってからする生活だろ?
僕はずっと君の側にいる。何があっても離れない。
律子ちゃんも、もう原因はわかっているだろ?まなみさんが原因だってことを…
もう一度ちゃんと向かい合おう、今度は1人じゃない。僕がついている。
一度は克服したんだろ?今度もきっと克服できるよ!
律子ちゃんにとってまなみさんは凄く大切な相手ということはわかっている上で言う。
あの時、札幌に来た理由をもう一度思い出して!
あの時は裕介さんがいたけど、今度は僕がいる。それとも律子ちゃんは僕じゃ役不足とでも言うつもりかい?
自分の信じた道を進むって極めたんだろ?あの日に…
いつまでもまなみさんの騎士(ナイト)でいなくて良いんだよ?
身を投げ出して守る必要はない。今は戻しまなみさんには裕介さんがいるのだから…」と言った。

別にまなみさんと別れろとは思ってもいないが、もう少しまなみさんへの依存を減らして欲しいと思って言った。




【まなみさん、お待たせしました。】


118
投稿者:律子 ◆lhmAJ0ETT2
2021/12/22 19:45:52    (dvP04dTt)
(抱いてもらおうと深く寄りかかり、目を瞑り唇を差し出すと、しゅんくんは肩を両手でしっかりと掴み、今回の旅行の本当の目的を話してくれました。)

やっぱりね…そんな事だろうと思ってたよ?
でもね、しゅんいち…今回ばかりは…もう無理かもしれないんだ…

…あたし…壊れちゃったみたい…なの…

(表情は変わらず穏やかに微笑みます。最愛のしゅんくんの話も、穴の空いた桶に水を流すように、今の律子には響きません。まるで微笑む事以外全てが欠落したかのような様子と一言に、しゅんくんはゾッとします。)

…まな?
それは無理だよ?あの子とは、魂の根っこのとこで繋がってるみたいな感じがするほど近いの。
だから…たぶん今もまだ…あの子泣いてるのがわかるんだ。あの子もまた…あたしが壊れちゃったのに気づいてる。
それにね?守られてたのはあたしの方。孤独にならないようにしてくれて、泳ぐきっかけを与えてくれて、ずっとそばにいてくれて…
しゅんいちはまなのせいだって言ったけど、それ…正解だよ?
(それなら…と言おうとするしゅんくん。抱きしめようとするその手を、律子は軽くいなします。)

それでも…それがわかってても…
しゅんいちっていう、優しくて素敵な、生涯をずっと寄り添える人がいても…
あたしはあの子を離せない。離したくないんだ…
今のまんまじゃ、しゅんいちもまなも、お互いを誤解してる。
あの件は、前にも言った通りみんなが悪いの。
まな、のんちゃん、さやか、ゆきちゃん、そしてあたし…それぞれに後悔と自責の気持ちがあるから、だからごめんは一度にしようって決めたんだ。
(いなした手をとると、律子は自分の頬にあてます。きゅっと押し当てるとすりすりとほおずり…)

あったかい…おっきな手…
…ありがとね?本音、聞かせてくれて。みんながみんなあの結末で納得できるわけないもんね?
しゅんいちがあたしのこと、大事に大事に思えば思うほど納得できずにモヤモヤする気持ち、よくわかるよ?逆だったら同じことするもの…

…わかった。
まなのことも含めて、掘り起こされた過去の恐怖に…ちゃんと向き合ってみる。
この旅行で、これからの事を決めようと思う。
それで、あたしがどんな答えを出したとしても…
この手は…離さないでね?ずっと…温もりが…届くところにいて…それができるのは…あなたしか…いないんだ…お願い…
(そう言って笑う律子。その微笑みには心なしか、僅かでしょうが前向きな何かが宿ったような気がしていました。そのまま2人は長い長いキスをして…はにかんで微笑む律子は、ゆっくりと静かにしゅんくんの胸の中に収まり、眠りはじめました…)


119
投稿者:星野瞬一 ◆Nvwi/zPrkY
2021/12/24 22:16:33    (e0EQibeS)
僕は律子ちゃんに旅行の本当の目的を告げると「やっぱりね…そんな事だろうと思ってたよ?でもね、瞬一…今回ばかりは…無理かもしれないんだ…
あたし…壊れちゃったみたい…なの…」と穏やかに微笑みながら言う律子ちゃんに僕はゾッとした。
本当に狂ってしまったのか?と思って…僕の話もまるで底の抜けた桶に水を入れるが如く、流れて行っているようで…今の律子ちゃんは自ら言っていた様に笑う事以外の感情が欠落して壊れてしまったのか?と思い、僕は自然に手が震えてしまった。

まなみさんの事を言うと「…まな?
それは無理だよ?あの娘とは魂の根っこのところで繋がってるみたいな感じがするほど近いの。
だから…」とまなみさんとの強い絆を淡々と語る律子ちゃん。
僕が抱きしめようと伸ばした手を律子ちゃんはいなし「…あたしはまなを離せない、離したくないんだ…
今のまんまじゃ、瞬一もまなもお互いを誤解している。
あの件は、前にも言った様にみんなが悪いの…」とまた同じ事を言われて僕は困惑した。

あの件の話だけなら、それで理解は出来るけれど!だけど、その事件で心が抉られた律子ちゃんがこんな事になっているが、僕は理解出来ない。

魂の根っこ部分で繋がっているならどうして、どうして…
律子ちゃんはまなみさんに今まで守られているのなら、この仕打ちはなんだ!
まなみさんの存在が、律子ちゃんのトラウマを起こして苦しめているのに、何故?

それだけ律子ちゃんにとってまなみとの出来事はあの事件以外は特別だったに違いない。
それじゃ…僕の存在は一体…
律子ちゃんは僕の事を障がいをずっと添い遂げる人っていうけど…
僕がまなみさんを誤解している?その言葉の意味が僕にはわからない。

この事件が起こる前の僕なら2人の繋がりって良いモノだなぁ…って思っていたけど…

そんなモヤモヤした気持ちでいると僕の手を頬に当てて頬擦りをすると律子ちゃんが「あったかい…おっきな手…
ありがとね?本音、聞かせてくれて。みんながみんなあの結末で納得出来る訳ないもんね?

瞬一があたしの事、大事に大事に思えば思う程納得できずにモヤモヤする気持ち、良くわかるよ?逆だったら同じ事するもの…
…わかった。
まなの事を含めて、掘り起こされた過去の恐怖に…ちゃんと向かい合ってみる。
この旅行で、これからの事を決めようと思う。
それであたしがどんな答えを出したとしても…
この手は離さないでね?ずっと…温もりが…届くところにいて…それが出来るのはあなたしか…いなんだ…お願い…」と言って笑う律子ちゃん。

「わかった。律子ちゃんが出した答えがどんな答えかわからないけれど、絶対に何があっても離さないし、…温もりが届くところにいるよ?」と答えて微笑んだ。

律子ちゃんのその微笑み方が今までの微笑み方より前向きな感じがして、僕は嬉しいけど、まだまだこれからだ!これが僕たちの始まりなんだ!
そう思いながらも律子ちゃんと長い長いキスを交わした。
はにかんで微笑む律子ちゃんがゆっくりと静かに僕の胸の中に収まり眠りだした。

僕は労る様にそっと頭を撫でながら…しかし僕がしたことは本当に間違っていないだろうか?

さっきはあんなふうに思ったけれど、やっぱりまなみさんと話し合わないといけないだろう…まなみさんにとっても辛い過去だから…でもこのままでは律子ちゃんが壊れたまま…

この旅行でいずれにせよ律子ちゃんの中の何かがはっきりする筈…
僕は律子ちゃんと一生添い遂げるつもりでいるだけど、この過去の呪縛を律子ちゃんもまなみさんも打ち破らないと明るい未来はこない気がする。

そうして僕は律子ちゃんを抱き上げてベッドに移り、一緒に眠りについた。

あれから僕は律子ちゃんを抱けずにいる。
抱いている最中に律子ちゃんがあんなふうになってしまったことと、律子ちゃんが体調を崩したということもあって、僕から夜の営みを誘う雰囲気にはなれずにいた。

でもそんなことより、律子ちゃんのことが心配でならなかった…僕の胸の中で眠る律子ちゃん…確かに前みたいにうなされることはなくなった気はするけど、寝てる時間が増えていく度にそんな気がなくなって行くのがわかった。

この旅行で少しは良くなって欲しいと思って寝てると眠りが浅くなり、朝日が昇り始める頃に僕は目を覚まし、部屋の窓から明け始める空を眺めていると、ふとまなみさんが寄せ書きに律子ちゃんに対して書いたことを思い出した。

今の律子ちゃんが見ている空はどんな色をしているのだろう…
そんなことを思っていると律子ちゃんが目を覚ました。
「ごめん、起こしたみたいだね?
律子ちゃん…見てご覧?綺麗な朝日だよ?」と言って身体を起こして窓から空を見させた。





120
投稿者:律子 ◆lhmAJ0ETT2
2021/12/28 20:00:35    (rH2j2K5s)
【せっかく!せっかく気持ち込めて良いの書いたのに!間違えて変なとこ押したら消えました…
ゆうすけさんのいつもの気持ちがよくわかったわ…
また書き直すので、もう少し待っててください】
121
投稿者:ゆうすけ ◆Nvwi/zPrkY
2021/12/28 23:42:09    (GK8aCg6B)
【まなみさん、その気持ち良くわかるよ。
僕は待っているから、焦らずゆっくり書いて下さい。】

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