ナンネットID のアカウントをお持ちですか? ログイン ログイン
ナンネットID
 
1

雨宿り4

投稿者:まなみ ◆8wwUsyplVU
削除依頼
2021/07/07 17:48:35 (cJdnAsKN)
ゆうすけさん、お待たせしました。
1 ... 12 13 14 15 16 17 18 19 20 ... 29
レスの削除依頼は、レス番号をクリックして下さい
152
投稿者:律子・まなみ ◆pVvpmy/qE2
2022/03/05 17:32:06    (.lBOkkOS)
はっ、はっ、はっ、はっ…
(神戸に戻ってからの律子は再び泳ぐための身体を作るために走り込みを毎日しています。
朝の気配に白い息。寒さはまだ肌を刺しますが、前を向いた律子には心地いい刺激です。)

はーっ!はーっ!はー…
サボってたからなぁ…まだまだだわ…
…まな…どうしてるだろ?
(水を飲みながら休憩して、ふと空を見上げる律子は、あれ以来連絡していなかったまなみを想います。すればできるのに、なぜかできずにそのまま…
何かを決めたように、律子はまた走り出します)

…しゅんいち、岡山いこ?あたし、まなに会いに行きたい!電話で一言も大事だけど、それよりも会って話したいから…
(その返事を渋るしゅんくん。律子はその手を握ります。)

あたし、知ってるよ?
しゅんいちが考えあって、あたしからまなを遠ざけてたの。絡まりすぎないように離してくれたんだよね?でも、今のあたしはもう違うから。
今度はまなにも、それを知ってもらって、2人でまた変わりたいの。
(決意の瞳はかたく、まっすぐにしゅんくんを見つめて射抜きます。ため息をひとつ大きくつき、やれやれと笑うしゅんくん。一緒に行くよ?と律子の頭を撫でます)

ありがと。じゃあ、ゆうさんに連絡しておくわ。
…?まなはね…何となく今は話しにくいな…恥ずかしくて…ね?


…え?りっちゃんがくるの?
いつ?
今までどうしてたか、何か言ってた?
(あれからのまなみは、やはり普通に生活する中に、あの冷めた瞳が時折出るような状態でした。
ゆうすけさんから律子の事を聞くと、ゆうすけさんの腕を掴んで揺さぶりながら、矢継ぎ早にいろいろ質問をします)

りっちゃん…りっちゃん…りっちゃんに会えるんだ…ようやく…会える…
(嬉しそうに律子の名前を何度も呼び子供のように笑いますが、その瞳はまたあの暗く冷たい瞳…
ユラリ…あの瞳で微笑みを向けられて、ゆうすけさんは背筋が凍る思いがします。
そして約束の日…)


「まな…ただい…うわっ!ちょっと!」
りっちゃんおかえり!おかえりっ!
ずっと声かけなくてつらかった!怖かった!
何かあったの?大丈夫なの?ねえ?ねえ!
「ちょっ…落ち着きなさい。あとでゆっくり話すから。まずは…あがらせてくれないかな?」
あっ…ごめんね?
(律子はくっついて離れないまなみと一緒にあがります。ゆうすけさんに笑みを浮かべて軽く会釈する様は、あれから一皮も二皮もむけて大人の女性になったとゆうすけさんに思わせます。
律子はふとした拍子によろけます。しゅんくんが支える為に手を伸ばした時です)

…だいじょうぶです…
(小さく呟き、その手から律子を離すように抱きしめるまなみ。そしてしゅんくんも、まなみの暗く冷たい「あの瞳」を目の当たりにします。しかもその視線の狙いが自分に向けられるように鋭くて…
一瞥するように目を瞑り、律子を向くまなみの瞳はいつもの恋する乙女のように…)

ほら、りっちゃん!
お茶しようよ?りっちゃんの好きなお菓子、用意してあるからさ?子供たちも待ってるよ?
お話、ゆっくりでいいから聞かせて…
(今一度手を伸ばしたしゅんくんのその手を、ゆうすけさんは止めます。そして、話があるから外に出ようと目くばせします)

なに、ゆうすけさん。
散歩がてら買い物?あまり遅くなっちゃダメだよ?
(いつもなら、ほしのくんも来たばかりだからゆっくりさせて?と言われるはずが、しゅんくんの名前すら出さずに送り出します。律子もまた、2人を見送る瞳の暗さを見抜き、息を飲みました。)

「し…しゅんいち?ごめんね、着いたばっかりで。
ちょ、ちょっとゆうさんと…おねがいできる…かな?」
(おかしい…おかしすぎる…
見た事のないまなみの瞳に怯えて戸惑いの顔をして、律子はしゅんくんを気遣います。
とにかく、まなみはしゅんくんをいない人のように扱うのです。まわりには明るく振る舞いますが、そのテンションも異様に高く、和やかながらピリピリした空気が漂います)

『まながおかしい。
ゆうさんに何か心当たりないか、聞いてみてください』
(律子はお茶の支度をするまなみの目を盗み、しゅんくんにメールしました…)

【おまたせです。
今回のまなちゃん、少しひく位心理的に怖い方向に振ります。とはいえうまくできるか分かりませんがね?】
153
投稿者:ゆうすけ、瞬一 ◆Nvwi/zPrkY
2022/03/08 16:57:50    (ocU.481/)
律子は旅行から戻ると、本格的に水泳を再開する為に毎朝走っていた。

僕は律子が戻ると必ずマッサージをして、筋肉に疲れを残さず、筋力をあげるツボを押さえて競技への復帰の後押しをしていた。

そんな時に律子から「…瞬一、岡山に行こ?あたしまなに会いに行きたい!電話で一言も大事だけど、それよりも会って話たいから…」といつものマッサージを終えて言われた。

僕は遂にその日が来たか…律子はもう大丈夫だと思うけど、これまで連絡を取らさない様にしていたから…まなみさんがどんな思いでいるのかどうか…突然会いに行った時のまなみさんの反応が心配だ…と思って返事を渋っていると

「あたし、知っているよ?瞬一が考えあって、あたしからまなを遠ざけてたの。
絡みすぎない様に離してくれていたんだよね?でも、今のあたしはもう違うから。
今度はまなにも、それを知ってもらって、2人でまた変わりたいの。」と僕を真っ直ぐ決意のこもった瞳で言ってくるので…
僕はため息一つついて、「やれやれ…仕方ないな…それじゃ僕もついて行くよ?」と言って律子の頭を撫でた。

「ありがと。じゃあ、ゆうさんに連絡しておくわ。」
「えっ?まなみさんにじゃあないの?」
「…まなはね…何となく今は話しにくいな…恥ずかしくて…ね?」と言う律子。
僕は何となく恥ずかしいだけではない、まなみさんに対する不安もあるような気もしたけど、真剣な律子の表情を見てそんな事は言えずに微笑んでいた。



ある日、僕は律子から電話がかかり驚いた。
「りっちゃん?りっちゃんかい?
久しぶりだね?元気していたみたいだね?とても声に張りがあって、イキイキして聞こえるよ!
あんな事があって苦しんでいるのは知っていたけど…
えっ?こっちに来るって?まなみに会いにかい?そうか…きっとまなみは喜ぶよ…
でも…どうして、僕に連絡をくれたんだい?いつもなら直接まなみに連絡するのに…
まぁ、いいよ?いろいろあったんだろう。
僕からまなみに伝えておくよ?」と話をして電話を切った。

僕はまなみのイヤな変化を律子に伝えて良いのかどうか、悩みながら話をしていたせいか、いつもより声のトーンが低く、話にも歯切れが悪かった。

まなみに対しては極めて普通に「今度の休みに律子が来るよ?」と話をすると…
まなみは僕の腕を掴み、揺さぶりながら矢継ぎ早に質問をして来た。
あの暗い感情のない瞳で子供のようにはしゃぎながら僕に微笑むまなみを見て、背筋が凍る思いがした。

するとその日から律子が来る日まで、まなみは僕を誘う事はなかった。
僕が誘ってしても、その瞳は僕を見つめているのに、僕を見ていなかった…まるでこれから来る律子を待ちわびているようで、早く律子に抱かれたい!そんなふうに感じて、まるで感情のない人形を抱いている感じがして…
それでも僕はまなみの中に芽生えた闇を祓う様に律子が来る日まで僕はまなみを抱いた。
だけど…まなみの闇を祓う事は出来なかった。

そして律子が来る当日。

まなみは朝からかなりテンションが高く、鼻歌交じりに準備をしていた。
律子が来るとすぐに抱きつき、纏わりつきながら、くっついて離れず玄関先で話をしていた。
律子に言われてようやく一緒に上がり、僕に笑顔でお辞儀した律子は一皮も二皮も剥かれ大人の綺麗な女性に変わっていて、息を飲んだ。

律子が玄関を上がったふとした拍子によろめきしゅんくんが手を伸ばした時「…大丈夫です…」
としゅんくんの手から離す様に律子を抱くまなみ。
しかもあの暗く冷たい瞳でしゅんくんを睨み付ける様にして…
しゅんくんの表情が強ばるのが解る。

まなみは一瞥する様に目を瞑り、再び律子を見る瞳は恋する少女の様に耀かせながら「ほら、りっちゃん!お茶しようよ?りっちゃんの好きなお菓子、用意してあるからさ?子供たちも待っているよ?
お話、ゆっくりでいいから聞かせて…」と話するまなみ。
もう一度手を伸ばそうとするしゅんくんの手を取り、ゆっくり頭をふり話があるから外にと目配せして、出ようとすると「なに、裕介さん。散歩がてら買い物?あまり遅くなっちゃダメよ?」といつもなら着いたばかりなのに…と言うのにしゅんくんの名前さえ呼ばずに送り出そうとするまなみに僕は『まさか、まなみはしゅんくんに対して、敵意を持っている?
律子の旦那になる人だからか?イヤ…それはもう随分前にわかっている筈。
それならどうして?考えるとしたら帰って来た律子の変化だけど…まなみの変化と何か関係あるのか?』とまなみがあの暗く冷たい瞳でしゅんくんを見ていた事を思い出して、しゅんくんに早く話を聞かなきゃと思った。

僕らが出ようとすると「しゅ…瞬一?ごめんね、着いたばっかりで。
ちょ、ちょっとゆうさんと…お願いできるかな?」と律子もまたまなみの瞳の色に戸惑いの表情を見せて言った。

「だ、大丈夫だよ?律子。あ、あぁわかった。」としゅんくんも戸惑いながら言って僕と家を後にした。

僕はとりあえず人のいない場所に活きたくて、少し離れた公園にしゅんくんを連れて行った。

まさかその公園の東屋でしゅんくんとまなみが関係を持っていたとは知らずにその東屋に入り「星野くん…もうまなみがおかしいのに気づいていると思うが、あの事件の後、りつ…りっちゃんと旅行に行って何かあったのか?
何か随分りつ、りっちゃんが大人びた感じを受けたから…それに星野くんも随分大人びた感じがしているし…
まなみの様子が2人が旅行に出たばかりの時よりも最近になってからおかしくなった感じがするから…」と僕は律子って言いそうになりながら、まさかしゅんくんの前で律子って呼べる訳もなく、それにまなみの対応に申し訳ない気持ちもあって、言葉を選ぶ様に言いずらそうにしながらしゅんくんに旅行先で律子に何かあったのか聞いてみた。

しゅんくんはしばらく考えて、僕に律子が旅行に行く前がどんな状態だったのか、まなみさんを守るためだったとしてもあの日律子が取った行動で昔の忘れていた筈のトラウマを思い起こして。
律子は酷い状態に陥って…笑顔だけしかみせなくなった事、裕介さんには悪いけど、まなみさんの事…本当に理解している?と言われて、僕は一瞬ムカッ!ときたが、今のまなみの姿を目の当たりにすると、そう言われても仕方ない気がして…パッと上げた顔を下にして俯いてしまった。

するとしゅんくんに胸ぐらを掴まれ「裕介さん!しっかりしろよ!あんた!まなみさんを守るんじゃないのか!
僕は律子をこの先何があっても守り抜くと決めた。
例え相手が誰であろうと、今の律子に危害を加えようとする相手ならまなみさんでさえ容赦しない!」と言い切った。

そこへメールの着信音が響いた。
「まながおかしい。
ゆうさんに心当たりないか、聞いてみてください。」と律子からあり、「裕介さん。心当たりありますか?」としゅんくんが画面を見せて言った。
僕はメールを読んで「…あぁ、ある。星野くんたちが旅行に出た当初は、不安なりにまだまなみらしさが残っていたが…りっちゃんから連絡が来ないとなってからかかな?様子がおかしくなったのは…」と言った。

まさかしゅんくん相手に夜の営みの事まで言えず、変に誤魔化して言った。



【ごめん、お待たせしました。
なかなか上手く書けずに悩みながら書いてたらすっかり遅くなりました。】





154
投稿者:まなみ ◆8wwUsyplVU
2022/03/08 20:34:56    (KS.k8s4F)
(律子に会ってタガが外れたように、あの瞳のままでまなみは律子にずっと寄り添っています。
距離が近すぎ、過剰なまでのスキンシップを求めてきます。
律子はひとまず、自分に起こったことをゆっくりと話していました)

そっか…あのおかげでそんなことに…
それで誰にも会えなくて、話せなくて、水泳お休みしてたんだね?
でも…以前よりも元気になって、もっともっと綺麗になって、まなのところに帰ってきてくれてよかったぁ…ほんと、心配したんだぞ?
「その件はホントにごめん。
あたしも限界超えちゃってボロボロだったから…
でもね?何か変わるかと旅行に行って、しゅんいちが懸命にささえ…」
(しゅんくんが寄り添ってくれて…そんな話になった途端、まなみの気配が変わります。表情は相変わらずにこやかですが、その中はひどく暗く冷たい…
律子は息を呑み怯えて言葉を仕舞い込みます)

「ん…な、何でもない…よ?」
そう?ともかく、りっちゃんがこうしてまた笑ってくれて、まな本当に嬉しいよ!
「あ…う、うん…ありが…とう… …んっ…」
(怖い…律子の心は明らかに今のまなみに怯えています。子供たちはお昼寝中…
身体はグイグイと求められ始め、ベッタリ引っ付き、胸を押し付けるように寄り添います。手は腰に回して撫で回され、律子は思わず小さく声をあげます。それは感じたのと怯えたの両方。心と身体、両方丸呑みされるくらいのまなみに、律子は心の中で叫びます)

〈たすけて!しゅんいち…!〉



「あら?珍しいじゃない、そのツーショットなの?」
(しゅんくんの律子を守る断固とした決意を見せられて、事は穏便に済まないだろうと思い、いっそ彼にまなみの夜のこともすべて…と口を開きかけた時、唯に声をかけられます)

「星野さんいるって事は…律子もう来てるんだ?
ゆうすけさんから連絡もらって、お土産もってあの子の様子を見に行こうとしてたんどけど…
…まなの事…?」
(だまって頷く2人。何かを確信したかのように、唯はしゅんくんに問います)

「ねえ、星野さん?律子はどっち選びました?
まなと…前以上にひとつになるか、それとも離れるか…?
まなは…あの子は自分には律子がいないと、律子にも自分じゃなきゃダメだってずっと思ってる。
あの2人は、魂の根っこで繋がってて、どちらがかけても成り立たなくなる。
今回の事で、律子は外に外に伸びていこうと決めて、まなは今その枝を絡めとってまた自分の中に仕舞おうとしてる…そんな気が…します」


「ちょ…っ…まって…ま…な…っふっ…」
りっちゃん?まなはずーっとりっちゃんの事待ってたんだよ?ゆりなの時以来…まな、律子が欲しいよ…律子を包んで砕いてしゃぶって…また…ひつとになりたいよ…
「まな…まちなさい!まな!
あなたおかしいよ?いつものまなじゃない!
どうしたの?まな?ま…んっ!んんんんんっ!」
(耳元で囁かれてビクビク!と反応してしまう律子。指先で首筋を撫でられて力が抜けた拍子に押し倒されます。両手首を頭の上で押さえつけ、明らかに怯えて拒絶の色を見せる律子の唇を奪います。)

くち…くちゅ…ん…ちゅぱちゅ…
あむぅ…んむぁ…りつこ…りつこぉ…んむうっ
「っひぅっ!あもっ…んむううっ!まなまって!まなっあもおおおおっ!おむうっ!んむううっ!」
(唾液たっぷり絡ませた舌を、律子の口のなかでかき混ぜます。びくん!びくん!と身体を弾けさせる律子。本当に飲まれてしまいそう…懸命に律子は口を離すと、つい叫んでしまいました)

「ぷはあっ!たすけて!しゅんいち!」

…そっか…やっぱり…
りつこはそっちに行っちゃうんだ…
「何言ってるの!あたしがしゅいちのお嫁さんになるって、一番喜んでくれて泣いてくれたの、まなでしょ?」
…させない…そんなことさせない…
りつこはあたしだけのものなんだ。あたしだけが交わっていいんだ…
いやなの?りつこはあたしとエッチするの…いやなの?
(まなみの瞳の影は恐怖をまして、釘付けにした律子を金縛りのように瞳でも押さえつけます。
しゅんくんの名前を出した途端、凄みも加わりました。)

あたしの律子を…閉じ込めて連絡も奪って…
許さないんだから…あたしから、律子を摘み取ろうとしても…そうはさせないんだから…
「まな、こわいよ!だめだよまな!そんな気持ちじゃだめ…ふあああっ!」
ほぉら…あたしなら…律子の弱いところ、ぜぇんぶ知ってるんだからね?
溶けちゃって…またひとつになろ?りつこ…?
(セーターを捲り上げてシャツのボタンを外して、紫のブラを露にさせます。ほんのり紅く染まった肌。まなには律子の足の間に太ももを捻じ込ませ、グイグイと根元に…律子のスカートが捲れ上がり、スレンダーな足が…まなみは何かに取り憑かれたように律子をとりこもうとしているようで…)


「ともかく!早く帰んなきゃ!
何か…嫌な予感がするんです!必ずまなは律子を求める…でも…心がお互いを向いてないのなら…それは無理矢理犯すのと同じだもの…」
(唯に促されて急いで家に戻る3人。今またここで無理強いされたら律子は…しゅんくんはもやもやを振り払うように走ります。2人より早く家につき、中に入ると…)

…あ、もう帰ってきたんですか?律子食べるの…これからなのに…
そのままもう少しどこか行っててくださいよ…
あたしが、律子を食べ切るまでの間…
っ!きゃあっ!
(帰ってしゅんくんが見た光景…
まなみが律子の上に馬乗りになっていました。ブラはずらされて、捲れ上がったスカートからは、膝近くまで脱がされたショーツが見えていました。
続いて着いた唯は、その姿を見て、まなみの真っ黒な瞳をみて絶句します。
怯えて、涙を浮かべてしゅんくんを振り返る律子。それをみた瞬間、まなみを力一杯突き飛ばし、律子を抱き寄せます。そして、最後についたゆうすけさんは、まなみが突き飛ばされる瞬間を…)

「うそ…やだ…あの瞳…だわ…
ううん?あの頃よりも…もっと冷たくて…暗くて…怖い…」
(唯は震えてその場に立ち尽くします。
初めて会った時もそんな目をしていた。けど、その中には哀しさや、まだ温かみが残ってて…
突き飛ばされてなお、律子を求めようとするまなみを、ゆうすけさんは抱きしめます。よりによって…としゅんくんにむけた目は、少し怒りを帯びていました。ゆうすけさんの中で暴れるまなみ。
そしてとうとう叫んでしまいます…)

なんでひき離すの!
ゆうすけどいてよっ!あなたも律子を離してよ!
律子はあたしだけのなんだ!あたしだけがこの子を本当に愛することができるんだ!だから…だから…

だから返して!あたしの律子を今すぐ、あたしの中に返してよ!

【…言っちゃいました。ホントはもう少し引っ張ろうかと思ってましたが、今のまなちゃんは止められませんでした。
いつものまなちゃんじゃないから、言葉をえらびますねぇ…】

155
投稿者:ゆうすけ、瞬一 ◆Nvwi/zPrkY
2022/03/09 23:37:25    (5O304nBQ)
僕はしゅんくんの覚悟を目の当たりにして、僕もまなみとの関係を…夜の営みについて話そうとした時に「あら?珍しいツーショットね?星野さんがいるって事は…律子もう来てるんだ?
裕介さんから連絡もらって、お土産持ってあの娘の様子を見に行こうとしてたんだけど…
…まなの事…?」と唯さんに声をかけられて言われ…
黙って僕たちは頷くと唯さんが何かを確信した様にしゅんくんに向かって「ねぇ、星野さん?律子はどっちを選びましたか?
まなと…前以上にひとつになるか、それとも離れるか…
まなは…あの娘は自分には律子がいないと、律子にも自分じゃなきゃダメだってずっと思っている。
あの2人は魂の根っこで繋がってて、どちらが欠けても成り立たなくなる。
今回のことで、律子が外に外に伸びようと決めて、まなは今その枝を絡めとってまた自分の中に仕舞おうとしている…そんな気が…します。」と言われて、顔色が変わるしゅんくん。

「確かに律子は外に伸びようとしている。
でも…でもあのまなみさんが…そこまで…」と狼狽えながら言うしゅんくん。

それは僕も同じ気持ちだった。
唯さんの言う通りだったとしても、あのまなみが一番大切な律子に対して果たしてそこまでするだろうか?と僕はある意味軽く思っていると

「ともかく!早く帰んなきゃ!
何か…嫌な予感がするんです!必ずまなは律子を求める…でも…心がお互いを向いてないなら…それは無理矢理犯すのと同じだもの…」と言う唯さんに促され急いで家に戻った。

しゅんくんは険しい顔をして先頭に立ち、家に入るとそこには律子に馬乗りになっているまなみの姿があった。

「…あ、もう帰ってきたんですか?…」と言うまなみの下に怯えて涙を浮かべている律子が目に入ると同時に「律子からどけ!まなみ!」と叫びまなみの身体を力一杯突飛ばして怯えて涙ぐみ震えている律子を抱きしめた。
「大丈夫か?律子…帰って来るのが遅くなってごめん。もう大丈夫だからな?」と言ってセーターを下げ、スカートも直して、露になっていた肌を隠して律子の頭を優しく撫でていた。

僕が入った時、ちょうどしゅんくんがまなみを力一杯突き飛ばす瞬間を目の当たりにして、まなみを思わず抱きしめた。
しかしまなみは律子の方に行こうともがいていた。

すると唯さんがまなみの瞳を見て「うそ…やだ…あの瞳だわ…ううん…あの頃よりも…もっと冷たくて…暗くて…怖い…」と言ってその場で震えて立ち竦んでいた。

僕の胸の中で暴れるまなみが「なんで引き離すの!裕介どいてよっ!あなたも律子を離してよ!」としゅんくんを睨んで叫ぶまなみ。
続けて「律子はあたしだけのなんだ!だから…だから…
だから返して!あたしの律子を今すぐ、あたしの中に返してよ!」と叫んだ。

僕はまなみを僕の方に向けて「まなみ!いい加減にしろ!目を覚ませ!
今、自分が何をしているのかわかって、やっているのか!
律子はまなみのじゃない!律子は律子のだ!
今まで守ってくれていた律子に今、まなみは何をしている?何をした?
律子はもう1人のまなみじゃなかったのか!
それなのに、それなのに…している事はまなみが一番されたら嫌な事をしているのは何故だ!
今のまなみこそ、一番今の律子に相応しくない!」と言ってビンタをした。

すると子供たちが起きた気配がして「唯さん。悪いけど、子供たちの面倒頼めるか?
今のまなみの姿…子供たちに見せたくない。」と言ってお願いをした。

そして「僕はまなみをこのまま連れ出す。このままじゃ話にならない。
りっちゃん、ごめん。もうまなみはダメかも知れない。
僕がまなみの深層心理にもっと早く気づいていたら、りっちゃんにこんな思いさせなかったのに…本当にごめん。
しゅんくんと幸せに…」と言って
暴れるまなみを抱えて家から出た。



【まなみさん…こんな感じにしか出来なかった…
子供たちにこんなママ見せたくない。】




156
投稿者:まなみ ◆8wwUsyplVU
2022/03/11 18:38:42    (WxOJ/FKk)
(突き飛ばされて大きく転げていくまなみ。起き上がった瞬間みたものは…
ほぼ全裸に近いくらいに剥かれて、衣服が乱雑に乱され、怯えて泣きながらもまなみを心配してこちらを見る律子。思わず差し伸べた手に対して律子は…)

「いやっ!やだこないで!触らないでっ」
(律子は、とにかくまなみの瞳が怖くて仕方なかったのです。それは以前自分が堕ちた暗く冷たいプールの水と同じ漆黒…はっとした時には、すでにしゅんくんの胸の中に守られてしまいました)

「あ…あたし…そんなつもりじゃ…きゃ…」
(言葉を遮られてぎゅっと強く抱きしめたしゅんくんの腕は震えていました。続いてバシンッ!となる乾いた音。言葉を失い泣きながら音の方を見ると…)

…っ!いたいっ!
…なによ!なんでよ!みんなしてりつこばっかり!
あたしの気持ちはどうでもいいの?
わけも分からず連絡が途絶えたりつこの事を、どれだけ心配したか…毎日身が引き裂かれる想いだったのに!知らない電話が鳴る度にビクビクして!
手をどれだけ伸ばしても!どれだけ心を想わせても!あたしからいなくなろうとしてるりつこを取り戻そうとして何が悪いのよ!
っ!いたいぃっ!
(溜め込んだ思いの丈を思慮なしにぶちまけるまなみ。ゆうすけさんはもう一発反対の頬をぶつと、まなみの無理矢理抱えて家を出ます)

いやだっ!やだああああっ!
りつこ!りつこりつこりつこおっ!
(呼ばれた律子は何も答えられず俯いたままでした。その気持ち…痛いほどわかる。けど、今のあの瞳のまなには振り向けない。悲しいくらい複雑な表情で出て行くまなみを目で追います。そして矢継ぎ早に…)

…え?帰る?
まってしゅんいち!まななら少し頭を冷やせば間違いに気づくから、またいつも通りのあの子に戻って帰ってくるから…おねがい、しゅんいち…
いまこんな形で別れたらあたしたちもう…
しゅんいち!しゅんいち!お願い待って!」
「…こんな姿にされてまで、まだまなみを信じるのか、律子!」
「ちょ…ちょっと!離してよ!
ゆ…唯!まなに伝えて!あたし待ってるって!待ってるからって!」

「…どうなっちゃうの…わたしたち…どうして…こうなったの?」
「…あれ?ゆいおねえさん?ママは?」
「あ、ゆりちゃん…ママたちはね?ちょっとお出かけするって?お姉さん、留守番頼まれたの…
りっちゃんたちもね?急に用事できて…これなくなっちゃった…」
「そっかぁ…残念だなぁ…
?お姉さん、どうして泣いてるの?っ!ちょ…力強いよ!ちょっとぉ!」
「ごめんねゆりちゃん…ごめんね…ごめんね…」
(嫌な空気だけが残る部屋に1人残された唯。起きてきたゆりなをきつく抱きしめると、崩れ落ちて泣いてしまいました。
その頃、車で連れ出されたまなみは、律子の言う通り、時間が経つにつれて自分のした事言ったことを冷静に捉え出しました。でも瞳はあのまま…
ゆうすけさんは以前にまなみと蕩けるように一つになった高台の駐車場に連れて行きます。日も落ち始め、眼下の街に灯りがともりだします。)

…手…つないで…
(自分がした恐ろしい事…一人で受け止めるのが怖くて、まなみは手を伸ばします。ですが、ゆうすけさんは険しい顔で前を見据えたまま…)

無視しなくてもいいでしょ!
あたしだってさっきの事はダメな事したって思ってるわ!だから!手を握って話したいって言ってるじゃない!
「今のまなみから何を言われても聞く気にならない」
?どういうこと?いまのあたしって!
「今のおまえの顔をよく見てみろ!」
ちょっ…ゆうすけ痛い!離して!はなし…
…これ…だれ…?
(ゆうすけさんに無理やりルームミラーを向けられて頭を掴まれて見せられたその顔は…)

なに…?この目…真っ暗で…怖い…
醜くて…ドス黒いなにか…感じるよ…
…そっか…あた…まな…こんな酷くて醜いままでりっちゃんに迫って…ほし…のくんも…傷つけた…
ゆいちゃんもたぶんいま…泣いてる…
それにゆうすけ…さんにまで…まな…まな…
(自分の姿を見せられて、初めてまなみは我に帰ります。「あたし」から「まな」へと戻り、それぞれを傷つけたことを後悔して…
ゆうすけさんはここで初めて抱きしめようと手を伸ばします。ですが…)

触らないでっ!まなは…いま…そこに行く資格…ないんだ…ごめんね…ゆうすけさん…ごめんなさい…
(すまなさと悲しさをいっぱいに称えた涙ながらの笑顔で、やさしく拒絶します。まずはみんなに謝りたい。車を出してもらい家に帰ると…)

「まな!おかえり!」
唯ちゃんただいま…ごめんね?ごめんね?
「瞳みせて…よかった…戻ってる…
もう嫌よ?あんな目はもうあの時っきりで、二度と見たくない…」
うん…まな、どうかしてた。
たぶん…その理由もわかってる…まずは…
…りっちゃんたちは?
「帰った…わ…星野さんに連れ去られるように律子も。『待ってる』って律子から伝言…」
(まなみの中で何かが音を立てて崩れ落ちて行きました。そのままストン…と座り込んで、何もなくなった瞳で乾いた笑いを浮かべながら…)

えへ…えへへ…やっ…ちゃった…
大事な大事な…なくしちゃった…
いや、まなが壊したんだ…りっちゃんとの絆を…
ほしのくんからの信頼を…まなが…まなが…

…ねえ、ゆうすけさん?
まな、しばらく…愛知に帰って…いいかな?
ひとりになって…想い直したい…の…
(まなみの後ろでどうする事もできずに立ち尽くすゆうすけさん。律子たちがいなくなった部屋は、たしかに大事な何かが抜け落ちたような変な気配が漂います。
まなみは振り返る事なく、感情のない口調で、しばらくひとりになりたい…とお願いしました。
魂の木を根っこから真っ二つに引き裂かれ、全てを失ったかのように項垂れるまなみに、唯もゆうすけさんもかける言葉が見当たりませんでした…
ただ、時計の音だけが部屋に響きます…)

【ほんと、まなちゃんにこういうことさせるのは辛いです。言葉を選んじゃうし…
黒い感情の答えは見つけたようですが、それを伝える事ができず…】

157
投稿者:ゆうすけ、星野瞬一。 ◆Nvwi/zPrkY
2022/03/12 17:19:38    (9QOLsyfT)
吹っ飛ばされたまなみを抱え僕は律子の姿を見て、思わずまなみの頬をぶつと「…いたいっ!
…なによ!なんでよ!みんなしてりつこばっかり!
あたしの気持ちはどうでもいいの?
わけも分からず連絡の途絶えたりつこの事を、どれだけ心配したか…毎日身が引き裂かれる想いだったのに!知らない電話が鳴る度にビクビクして!」とそこまで聞けば同情も出来たけど、「手をどれだけ伸ばしても!どれだけ心を想わせても!あたしからいなくなろうとしているりつこを取り戻そうとして何が悪いのよ!」と言われたら…
「いい加減にしろ!まなみ!」と僕は言ってもう片方の頬をぶった。
「悪い、みんなこのままじゃ話にならない…唯さん悪いけど、子供たちの面倒を頼む」と言ってまなみを抱えた。
「いたいっ!
イヤだ!いやだぁ!りつこ!りつこりつこ」と半狂乱になってりつこの名を叫ぶまなみ。
俯いたままの律子を見ながら家を出て車にまなみを押し込み発進した。


裕介さんたちが家を出た後

「律子、僕たちも帰るよ?」「えっ?帰る?
待って瞬一!まななら少し頭を冷せば間違いに気づくから、またいつも通りのあの娘に戻って帰って来るから…お願い…瞬一…」「律子…こんな姿にされて!まだまなみを信じているの?」「いまこんな形で別れたら私たち…瞬一!瞬一!お願い待って!」「律子!いくら律子のお願いでも、これだけは譲れない!もし、まなみが元に戻ったとして帰って来ても、今度は僕が律子に見せれない姿を見せてしまう!」と話ながら律子の手を引いて外に向かっていると…

「ちょ…ちょっと!離してよ!
ゆ…唯!まなに伝えて!あたし待っているって!待っているからって!」と律子は言って僕に引かれて出て行った。
そしてたまたま通りがかったタクシーに乗って駅へと向かった。



僕はまなみを乗せて以前まなみと蕩ける様に一つになった高台の駐車場に車を停めた。
駐車場に着いた頃には辺りは日が暮れ始め、眼下に拡がる街並みからは明かりが灯りあの時と同じ綺麗な夕焼けから夜景に変わる様が拡がっていた。

しばらく走っているうちにまなみは落ち着いた様子を見せていたが、「…手…繋いで…」と言って手を伸ばしてくるが、僕は前を向いたまま険しい顔をして、無視していると…

「無視しなくてもいいでしょ!
あたしだってさっきの事はダメな事をしたって思っているわ!だから!手を握って話したいって言っているじゃあない!」って言うまなみ。

僕はまだまなみは何が悪いかわかっていないんだ…口調も変わっていないし、だから僕は「今のまなみに何を言われても聞く気にはなれない。」と言った。

「どういうこと?今のあたしって!」と言うから僕は「今のお前の顔を良く見て見ろ!」と言ってまなみの頭を掴んで、無理矢理ルームミラーに顔を写して見せた。

「ちょ…裕介痛い!離して!はなし…
これ…誰?
なに…?この目…真っ暗で…怖い…醜くて…ドス黒い何か…感じるよ…
そっか…あた…まな…こんな酷くて醜いままでりっちゃんに迫って…ほし…のくんも…傷つけた…ゆいちゃんも多分いま…泣いている…
それに裕介…さんにまで…まな…まな…」と言ってようやくまなみが戻ったので、優しく抱きしめようと手を伸ばすと
「触らないでっ!
まなは…いま…そこに行く資格…ないんだ…ごめんね…ゆうすけさん。」とすまなさと悲しみを称えた涙ながらの笑顔で優しく拒絶された。

まずはみんなに謝りたいと言うまなみ…僕は車を家に向けて帰ると…

唯さんがまず迎えに現れ「まな!お帰り!」「ゆいちゃんただいま…ごめんね?ごめんね?」「瞳…見せて…よかった…戻っている…」と話をした後、律子たちの姿がないのに気がつき…

「まなどうかしていた。
多分…その理由もわかっている…まずは…りっちゃんたちは?」「帰った…わ…星野さんに連れ去れる様に律子も。『待っている』って律子から伝言…」と唯さんが言った後、まなみはストンと座り込み…

「えへ…えへへ…やっ…ちゃった…
大事な大事な…なくしちゃった…
いや、まなが壊したんだ…りっちゃんとの絆を…
星野くんの信頼を…まなが…まなが…」と乾いた笑いでなにもなくなった瞳をして言った。

僕と唯さんは何も言えずまなみの後ろで立ちすくんでいると「…ねぇ、ゆうすけさん?
まなしばらく…愛知に…帰っていいかな?ひとりになって想い直したいの…」と振り向きもしないで言われて…

改めて律子たちが居なくなった部屋は大きな何かが抜け落ちたような変な雰囲気が漂っていた。

この家は律子にとっても大切な場所だった筈なのに…律子はもうこの家には来ないようなそんな嫌な雰囲気さえ漂っている感じさえしていた。

しかも魂の根っこから真っ二つに引き裂かれ、全てを失ったかの様に頭を垂れるまなみの姿に僕も唯さんもかける言葉が見当たらず、ただ時計の音だけ部屋に響いていた。

その沈黙を破ったのは僕たちの話し声で目を覚ましたゆりなだった。
「ママ?帰ってきたの?」と眠い眼を擦りながら…
僕は咄嗟に「ママは今、ちょっとお疲れ様だから…今夜はパパと一緒に寝ようね?」と言ってまなみから遠ざけて再び寝かそうとゆりなの手を握るけど…
「ママ?お顔を見せて?何かあったの?」と子供なりに何か察して声をかけた。

それはまるで律子がまなみに何かあった時にかける口調に似ていた。


【ゆうすけも唯さんもかける言葉がないので、ゆりなにかけてもらったけど…

元に戻ったばかりのまなちゃんには辛いだけだったかな?】

158
投稿者:まなみ ◆8wwUsyplVU
2022/03/12 19:01:02    (bcvEhW4b)
ゆりな…
(律子のように声をかけられて、まなみは胸がズキン!と、ナイフで抉られたような痛みを覚えます。
「バカね…そんなことなんて事ないわよ?」
「まなが元気なら、あたしはそれでいい…」
その傷口から、律子が答えるであろう言葉の数々が染み出していくような気もして…ボロボロに泣きたくなるのをグッと堪えて、無理に笑顔を作ります)

あ…あのね?愛知のおばあちゃんが、具合悪くなっちゃったみたいなの…だから…だからママ…行かなくちゃ…ちょっとの間、ママ留守にするから…ね?パパ?
(ゆうすけさんは、振り返ったまなみの顔に胸を痛めます。隣にいた唯もまた…その場はわかったとしか言うしかありませんでした)

「…かえってくる?」
ばかね、当たり前じゃない。ママは必ず帰ってくるよ?約束…ね?
「うん!おばあちゃん、早く元気になるといいね!」
そうだね?…ゆうすけさん、唯ちゃん…この子達、よろしくお願いします…
(翌朝、まなみは荷物をまとめて家を後にしました。どこでかけ違えたか、どれだけ狂っていったか…理由はまなみ自身がよくわかっていました。
ただ、それを今口にするわけにはいかなかったのです。これからの自分という答えが見つからないからです。)

「…そうかぁ…そんな事があったのか…」
「はい…わたしもゆうすけさんも…何も言えなくて…出て行くあの子の背中、ただ見ているだけしかできなくて…」
(あの事件以来、唯は大将の店によく顔を出すようになりました。愚痴を吐いたり相談したり…)

「…で、ゆうちゃんのとこはどうすんだい?」
「ええ、今日はお休み、明日は有給使ってゆうすけさんが面倒みるみたいです。わたしもできるだけ力になるつもりですが、なにぶん日中は…」
「そうか…おおい、美由紀!」
「はあい!…うん、また後でね?…どうしました?」
「おまえ、ちょっとしばらくゆうちゃんとこいって、ガキンチョの世話してやってくれ」
「ちょ…大将!そんな…みゆきさんにわるいわよ」
(あわてて止めに入る唯を、みゆきは止めます。)

「事情は、今のんちゃんから電話で聞きました。ゆうすけさんがお休みの理由、高田くんには話してくれたらしくて、そこ経由で。
あたしでできることならなんだって言ってください。受けた恩は大きいですから、遠慮しないで頼って…」
「よし、決まりだな!あとは…お嬢ちゃんしだいか…」
(波紋が思わぬ大きさになっている事を知らず、まなみはゆうすけさんに愛知に着き、定期的にメールを送っていました)

『ゆうすけさん、風邪ひいてませんか?祐一、お腹壊しやすいから気をつけてください。
こちらは山間だけあってそちらより寒いです。お母さんからは怒られましたが、口裏は合わせてくれるそうです。
唯ちゃんから聞きましたが、みゆきさんが日中子供達のお世話してくれるみたいですね?帰ったらお礼しなきゃ…
まなは今、よく空を見るようになりました。
りっちゃんには、相変わらず連絡がとれません。たぶん、星野くんが止めてるんだろうかと…
この空…りっちゃんに繋がってる…
ここに来た時は、いっそあの子の事を忘れてしまおうと思いました。それだけの事をまなはしたから…

でも、まなはやっぱりりっちゃんが好き。
あんな醜い気持ちでなく、愛してる。心の中に必要…だからこそ、あの子が、みんなが納得できるこれからのまなを用意してから、かえります。
その時は…抱きしめてください。そして…ちゃんとあなたを見つめて…また一つになりたいです…』

「風邪…ひくわよ?」
おかあさん…
「前来た時は…お母さんのところに、りっちゃんがいたよね?」
…うん…
「…ただ待つ事に…あせってる?」
!どうしてそれを?
「うふふ…これでもあなたのお母さんよ?あなたが悩んでることくらい、わかるわよ?」
…わかってたんだ、まな。いくら活躍してどんどん先に進もうと、あの子は、大事な部分はまなに置いておいてくれてるって…
ゆうすけさんは、昇進して高田くんって部下もついて。
唯ちゃんは学校で大事な仕事を任せられそうな時。
のんちゃんも、高田くんと一緒になる為に頑張ってる。新しく友達になったみゆきさんも、前向いて別人みたいにいい子になって…
まなだけが…何も変わってないのかなって…そう思ったら…今のままでいいのかなって…
「なら…さ、欲張りに待ちなさいな?
りっちゃんは、まなと一緒になりながら、広く大きく伸びることを選んだの。それが、あの子が咲かせる花。あなたとりっちゃんという根から伸ばして、みんなに見せたい自慢の花。じゃあ…あなたは?」
おかあさん…おかあ…さん…
(答えの糸口が見えたようです。まなみの瞳に、陽だまりのような暖かさが戻ってきました。バラバラになった魂の木の根が、瞳の暖かさを目指して集まってくるような感じがします。
大粒の涙をこぼして、母の胸に顔を沈めるまなみ。
何度も頷くまなみの肩をそっと握ると、顔を上げさせます)

「もう大丈夫かな?家出娘?」
…うん!きめた!もう迷わない!
ありがと、おかあさん。明日、朝一で行くわ!
「いってらっしゃい。また、何かあったら…帰っておいで?」
うん…でも今度はみんなでね?

【長くなってごめんなさい。やっぱりね、つらいまなちゃんを長く続けるのは、あたしもつらくて…答えは見つけましたが、問題はここから。岡山に帰る前に、まなちゃん神戸に…はじめて神戸に、りっちゃんに会いにいきます】

159
投稿者:ゆうすけ ◆Nvwi/zPrkY
2022/03/13 07:43:34    (8dURiBBd)
ゆりなが律子の様に言うと「バカね…そんなことなんて事ないわよ?」「まなが元気なら、あたしはそれでいい…」ってゆりながまるで律子の様に語っているようで…

まなみは泣きそうになるのを堪えて無理に笑顔を作り「あ…あのね?愛知のおばあちゃんが具合悪くなっちゃったみたいなの…だから…だからママ…行かなくちゃ…ちょっとの間、ママ留守にするから…ね?パパ?」と振り返って言ったまなみのなんとも言えない表情をした顔を見て、胸を痛め…
僕は「わかった…」としか言えなかった。
それは側にいた唯さんも同じで、頷いていた。

そんな変な雰囲気を感じ取ったのか「…かえってくる?」とゆりなが不安気に聞くと「ばかね、当たり前じゃあない。ママは必ず帰って来るよ?約束…ね?」とまなみは答えた。
「うん!おばあちゃん、早く元気になるといいね!」「そうだね?ゆうすけさん、唯ちゃん…この子達、よろしくお願いします。」とゆりなと指切りしたまなみが頭を下げた。

翌朝、まなみは荷物をまとめて、家を出て行った。

僕は何も言えなかった自分が情けなく思ったが、ただ昨日ゆりなに必ず帰って来ると約束した事が、もしかしたらまなみはこのまま帰ってこないんじゃ?と思わず僕にとってひとつの助けとなった。

まなみが出て行って子供たちの面倒をみていると、どれだけまなみに甘えていたか、良くわかった。

自分ではそれなりに子供たちの面倒をみていたつもりでも、やはり子供たちにとってはまだまだだったみたいで、ゆりなによく叱られていた。
その口調がまた律子に似ていて…まなみのあの時の心情がどうだったかわかった気がした。

次の日は会社に有給を出してお休みをした。
部下の高田にだけは休みの本当の理由を話していた。

するとその夜、寿司屋の大将から連絡があり、唯さんから話は聞いた。嫁さんが戻って来るまでの間、うちの美由紀が子供たちの面倒を昼間みてやるよと…

唯さんが大将の店にあの事件の後、良く顔を出していたのは知っていたが、まさかそんな話になっているとは…

一旦は美由紀さんに悪いと思って断ろうとしたら美由紀さんに電話が替わり「あたしで出来ることならなんだって言って下さい。受けた恩は大きいですから、遠慮しないで頼って…」と言われて。
僕は大将の変わっただろ?って言葉を思いだして…「ありがとう、美由紀さん。それじゃ遠慮なく、明日から子供たちの世話をよろしくお願いします。」と言って電話を切った。

次の日、現れた美由紀さんはあの頃の面影はひとつもなく、魅力的な笑顔を見せて訪れた。

そして僕は一応前にまなみが子供たちの好みを書いたメモを美由紀さんに渡して後をお願いして、仕事に向かった。

ゆりなは人見知りしないタイプだけど、裕一は人見知りするタイプなので、多少気になってはいたが、いつもより早めに仕事から帰ると、美由紀さんがママとりっちゃんの友達ってわかったのか、いくつか懐いていて安心した。

愛知に行ったまなみからは定期的にメールが来ていた。
僕は風邪ひいてないか、裕一はお腹壊しやすいから気をつけて下さいとか、帰った時はお母さんに怒られたけど、お父さんには口裏を合わせてくれたらしい。
メールの内容も次第に変わり、まなは今、よく空を見る様になりました。
りっちゃんには、相変わらず連絡が取れません。
多分、星野くんが止めているだろうかと…
この空…りっちゃんと繋がってる…こっちにきた時は忘れてしまおうと思いました。
それだけの事をまなはしたから…

でも、やっぱりまなはりっちゃんが好き。
あんな醜い気持ちではなく、愛している。心の中に必要…だからこそ、あの娘がみんなが納得出来るこれからのまなを用意してから、帰ります。
その時は…抱きしめてください。そして…ちゃんとあなたを見つめて…またひとつになりたいです…
ときたメールには、僕は自然と涙が溢れて。

「まなみ、りっちゃんに対する気持ちは良くわかった。
きっとりっちゃんも、同じ気持ちだと思うけど…しかし星野くんの気持ちも僕はわかる。

最愛の人が一番信頼して愛していた相手にあんな事をされて、いくらりっちゃんが星野くんを説得しても、たぶん聞き入れないだろう…
そのためにまなからの連絡を切っているのだろう…
だけど、ちゃんとこれからのまなみを見せて行けば、必ず理解してもらえると思います。

そしてこの僕も、まなが律子にあの日した事は僕でも許せなかった。
律子の事は大切に思っているのはわかっていたけど、あの事件の後まなみが見た目の様子が変わってなかったから、僕は安心してしまった。
律子があんな風になっても、まなみには僕と子供たちがいるから大丈夫だと…
そんな思いが間違っていたと、今では思います。
まなみと律子の絆が深いのは理解していたつもりが、思っていた以上だった、僕や子供たちの事を忘れるくらい大切な存在に律子がなっていた。
僕は第一にその事に対して怒っている。
僕の事より、子供たちの事だ。
僕もまなみが出て行ってから知った事だけど、ゆりなが、あの頃のママ…なんだか変だった、ゆりなと裕一の事見てるようで、どこか違うこと見てる感じがしてた…なんて言われて、ゆりなにはその頃から愛知のおばあちゃんの調子がよくなかったんだよ?と言ったけど…
帰ってきたら、ゆりなたちにもおもいっきり甘えさせてください。
僕たちは家族なんだから、互いに何でも言って話し合い、支え合いものだと僕は思う。
僕たちは出会いから特殊だったから、よけいに何でも話し合いしなきゃダメだったと僕も反省しています。
本来なら会ってこんな話をすべきだけど、あの頃のまなみに言っても伝わらないと思い。
今のまなみになら伝えても大丈夫だと思い、メールでまずは伝えました。
まなみだけの新しいまなみに出会えるのを楽しみに待ってます。
くれぐれも身体にはご自愛ください。」
とメールを返した。

僕は一体いつからまなみの想いが歪んで行ったのに気づかなかったのだろう…?
過去から発生した事件でまなみが平気だった訳がない。
それを平気だったと思ってしまった自分も悪いが、あの頃どうしてもっと強く止めなかったのか?やはりどこかまなみに対して遠慮があったのか?
まなみに嫌われても良いって気構えがなかったのは確かだった。

僕も、ゆりなたちがいるのだから、これからはもっと家族としての時間をもたないといけないな、あまり仕事ばかり夢中になってはいけない事を今回の事で僕は学んだ。

子供たちがいかに大切な存在である事も認識出来た。


【まなみさん、長くなっても大丈夫!
まなみさんの文章は読みやすいから。
まなちゃんのあんな姿は読んでる僕も辛かった
今回はゆうすけの気持ちを書いてみました。

確かに問題はこれからですね?
しゅんくんが果たしてまなちゃんを赦せるのか?ってところかな?

昨日のうちに返すつもりが寝落ちして、こんな時間に返す事になりました】





160
投稿者:まなみ・律子 ◆hluclZYKho
2022/03/14 20:23:14    (PYboUApK)
…それじゃ、お父さん、お母さん、いってきます!
「うん、いっといで。身体には気をつけるんだよ?」
(翌日早朝。来た時とはまるで別人のようになったまなみは、家を出て行きます。)
「…しかし、こないだ来たばかりなのにもう帰るのか?」
「ふふ…あなた、寂しいの?でも今のあの子には、一分一秒も無駄にできないのよ?それだけ大事な事だから…」
「…大方、りっちゃんとのことだろ?」
「あら?気づいたらしたの?」
「まあな…ともかく、元気になったんならそれでいい。祐介くんの方にも連絡いれておいてやってくれ」
「そうですね?」

…ついた…そういえば、まな、りっちゃんの神戸の家行くのはじめてだな…できれば…こんな形で行きたくなかったけど…
(午後には神戸につき、まなみは住所を頼りにしゅんくんの部屋に向かいます。何度も道を間違えて、何とかたどり着いたのですが…)

〈着いたけど…いざ目の前にすると…足がすくむ…
あの時の星野くん、本当に怖かった。たぶん、りっちゃんやみんながいなかったら…殴られてた。女の子だなんて事関係なしに。
もう…りっちゃんはまなだけのりっちゃんじゃないんだ。でもそれでいい。
うまく話せるか…ゆうすけさん、力…貸してください!〉


ピンポーン…

…あら、だれ?ごめん、しゅんいち、見てくれる?
(律子は、あの日のことを気にして塞ぎ気味になりながらもトレーニングをこなし、普通に生活していました。気落ちしないようにしゅんくんが支えてくれていたからです。この日鳴ったインターホン。確認しに行ったしゅんくんが、画面の前で固まっているので、見に行くと…)

どうしたの?しゅ…
…まな?まなだ!帰ってきてくれたんだ!まなっ!
っ?ちょっと!しゅんいち!離して!まなが!まながすぐそこにいるんだよ?
離して!まなが答えを見つけて尋ねてきたんだよ?
応えない方が卑怯だよ!しゅんいち!
まな!まなあああっ!
(玄関先のまなみをみつけ、喜んで通話に出ようとする律子。ですがしゅんくんがその動きを抑えて、ボタンを押させてくれません。
力の限りしゅんくんの中でもがき、泣き叫びながら必死に腕を伸ばす律子。ゆうすけさん同様、しゅんくんもまた、この2人の絆の深さをあらためて思い知ります。だからこそ合わせられない。あんな目で大事な大事な律子が襲われた事実がある限り…
実際、ゆうすけさんたちの到着がもう少し遅ければ殴っているところでした。画面越しに見えるまなみの目はもうそんなではないとわかっている。けれど…)

しゅんいち!聞いてるの?
ここで会わせてくれなきゃ、あたしあなたを許さない!見てわかるでしょ?これがあの日のまな?画面越しでもわかるでしょ?どれだけ反省してるかを!
あたしを大事だと言うんなら!おねがい!まなに…
(律子が初めてしゅんくんに剥き出しの敵意を見せます。一瞬緩む力。律子は全力で振り解くと声を聞かせようとします。ですが、時間が経ち画面は切れていて…あわてて付け直しますが、そこにまなみの姿はいません。律子はそのまま壁にもたれてずり落ち、泣き崩れます。)

まな…まなぁ…なにが言いたかったの?どうしたかったの?…あたしは…もうとっくに許してるから…あなたのあの目のことはとっくに…
っ!触らないでっ!ひどいよ!いくらなんでもあんまりだわっ!今…今この時の事…あたしはあなたを絶対に許さない!
(しゅんくんの気持ちも知らず、律子は泣いて癇癪を起こします。まるまって泣き崩れ…しゅんくんも困ってしまい、時間だけがすぎ…
律子はその場で泣き疲れて眠ってしまいました。うわごとのように、まな…まな…とつぶやいて。
しゅんくんはそんな律子を抱き抱えると、ベッドで寝かせます。そして、あらためて玄関のドアを開けると…)


…あ…
(まなみはそこにいました。ドアの横、呼び鈴の下でうずくまり、小さくなって…まだまだ寒さの残る毎日、頬や耳を真っ赤にして、小さく震えながらもその場に…睨むように見下ろすしゅんくん。ですが、沸き立つ感情を殺し、目を伏せながら自分を鎮めるように大きく息をつきます)

「…荷物、貸して?律子は今泣き疲れて寝てる。
ここじゃ何だから、外で話そ…」
…うん。
「それと、ちょっとまってて…」
(まなみを玄関で待たせ、しゅんくんは暖かいカフェオレを淹れてくれました。上がらせるのは話次第。まなみが美味しそうに飲んでいる姿を見ると、荷物を律子のそばにおき、『まなみさんと話をしにでかけます』と書き置きしました)

…ごちそうさま。すごく暖かくて…美味しかった。
「それはよかった。…もう行ける?」
はい…
(まなみと実際会い、その目や雰囲気に触れるうち、しゅんくんもまた、あの日のわだかまりはほとんど溶けていました。やはりまなみはあんな事をする子じゃない。だからこそ、理由を聞いて納得したい。外に出て歩く2人。しゅんくんのやや後ろをまなみはついて行きます。
やがてふたりは大きなグラウンドのある公園に着きます)

…ここ…たぶん、りっちゃんがいつも行くって言ってる…そっか…静かで…いいところ…
…ほしのくん…本当に…ごめんなさい。のんちゃんの事からのまな…おかしかった。どうかしてた。
取り憑かれたように何かがまなの中で狂っていくのがわかってて…止められなかったの…
(距離にして2メートルくらい。ちょうど歩いてきた距離をそのまま保ち、まなみは切り出します。しゅんくんは振り返り、腕を組んでまなみを見て…
深く下げた頭をゆっくりあげて、まなみは続けます)

…まな、久しぶりにのんちゃんとかみんなに会って、嬉しかった反面自信がなくなって…
前に、ゆうすけさんとりっちゃんには、まなは待つのが仕事だから、思い切って前をみて進んでねって…話しました。でも…それでいいのかなって…
特にりっちゃんの伸び方はすごいから…このまま…あなたのもとに行った後に残った、純粋にまなだけのりっちゃんまでもが…消えて無くなるんじゃないかって急速に感じて…
おかえりをいつでも言えるように待ってるうちに、まなの中のあの子はもうふりむいてくれなくなるんじゃないかって…ふと思ったら…
…黒くて冷たい何かに…心を…握りつぶされました。そこからはもう…
「これまでの事はわかった…今のまなみさんを見ていて、もうあの目をした、本当に悪魔みたいだったまなみさんじゃなくなったのはよくわかった。だから、あの日の事はこれっきりにしようって思ってる…」
ほしのくん…ありがとう…
「だけど!これまでとこれからは違うから!
何がどう変わって、これからどうしていくか示してくれないと、律子には合わせられない!
そこは…どうするの?」
それは…
(日が傾き始めます。サワサワ…と風が木々を揺らす中、まなみはしゅんくんに見つけ出した答えを話します。長い沈黙が2人を包みます。これで駄目ならもう2度とここには来ない。そう決心しているまなみの真剣な眼差し。やっと口を開いたしゅんくんは…)

「それは…我儘で欲張りでしょ?でも、まなみさんらしいや…」
…まな、本当は我儘で欲張りなの。最近気づいたんだけどね?
(しゅんくんは忌憚のない感想を述べ、まなみもまたおどけて返します。ふたりの距離は徐々につまり、まなみはポフッ…としゅんくんの胸に。肩を震わせて俯いて涙を溢すと、何度もごめんなさい…ごめんなさい…とつぶやきます。しゅんくんは、まなみの頭を撫でてあげながら…)

「…今度あんなことしたら、その時は殴るよ?
それだけ…あの時は気持ちが沸騰しそうだったから」
うん…もうないけど、もしまた…まなが道を外しそうになったら…その時は思いっきりお願い…それと…
(まなみは、しゅんくんの首に腕を回すと、ぐいっと引き寄せます。そしてキスを…唇を合わすだけ。少しの間そのまま…そしてそっと離すと…)

…ないしょだよ?どちらにも…これが…まなの気持ち…ほんとに…ありがとう…
「まな!」
っ!りっちゃん!
「起きたらしゅんいちいないし、まなの荷物あるし!行くとしたら絶対ここだって!」
りっちゃん…りっちゃんっ!ごめんね!ごめんね!
「ばかね…なんて事ないのよ?もう気にしないで…」
でも!でもまなは!あんな醜い目で!姿で!あなたの事を!
「もう過ぎたことよ?あたしこそごめん。信じてるって何度もいいながら…まなを突き放した…」
いいよ!そんな事もう!あたしの中に、ちゃんとりっちゃんがいるってわかったから!
(2人はしゅんくんの目の前で抱き合い、互いに謝り許し合います。敵わないなぁ…となんとも言えない顔をするしゅんくん。律子はまなみを胸に抱きながら)

しゅんいち、さっきはごめん。
あなたの気持ちをあたしは踏み潰した。
それは…本当にごめんなさい。
あたしは…あなたが一番。それはもう絶対変わらない。でも、やっぱりまなが必要なの。
この子がどんな答えを出したとしても、あたしは真正面から受け止めて、そんなまなをこの身に宿すわ。だって…まなが変な答え出すわけないもん。
(それを聞いて、まなみとしゅんくんは顔を見合わせてクス…と笑います。「ちょっと…変かもよ?」と答えるしゅんくん。)

…あらぁ…2人ともいつのまに仲直りしたの?
それなら、今夜はうちに泊まって、明日岡山いこ?
あたし、そこでまなの答えを聞くわ。ゆうさんや、みんなと一緒にね?

…うん!

【一息でいっちゃいました。ここだけは間を挟みたくなかったんです。
まなちゃんの答えは…最後みんなの前で。ひとまず、しゅんくんには納得してもらいました。たぶん、大丈夫だろうとは思いますよぉ…】


161
投稿者:星野瞬一 ◆Nvwi/zPrkY
2022/03/18 13:29:33    (4qzUsrzT)
あの日から律子は塞ぎ気味になりそうになりながらも、僕は律子を側で励ましながら、復帰に向けて律子はトレーニングに励みながら普通に生活をしていた。

そんな時に不意に玄関のチャイムが鳴る。
トレーニング中の律子から「…あら、誰?ごめん瞬一、見てくれる?」と言われ「うん、わかった律子。
はい、どなたですか?」と言ってインターフォンの画像を見るとそこに映っていたのは…
まなみさんだった。

えっ?えっ?どうして?何故今、まなみさんが家に訪ねて来る?
と軽くパニックになって固まっていると…

「どうしたの?しゅ…
…まな?まなだ!帰ってきてくれたんだ!まなっ!」と見に来た律子がまなみさんに気づいて嬉しそうに声を上げて話そうと駆け寄ろうとする律子の行くてを阻む様に僕は律子が前に立ちはだかっていると
「っ?ちょっと!瞬一!離して!まなが!まながすぐそこにいるんだよ?
離して!まなが答えを見つけて尋ねてきたんだよ?応えない方が卑怯だよ!瞬一!」と律子が僕の中でもがき、泣きながらまなみさんの名を叫びながら腕を伸ばす律子。

「出たら駄目だ、律子、何をされたか忘れたのか?」と言って説得しても無駄、それどころか「瞬一!聞いているの?
ここで会わせてくれなきゃ、あたしあなたを許さない!見てわかるでしょ?これがあの日のまな?画面越しでもわかるでしょ?どれだけ反省をしているかを!
あたしを大事だと言うなら!お願い!まなに…」と律子が初めて僕に対して敵意を剥き出しにして言ってくる。

改めてまなみさんとの絆の深さを痛感する羽目になってしまい…
何か今まで律子の事を思ってしていた事が全て無駄だったのか?そう思うと掴んでいた手の力が抜けると、律子は振りほどいてモニター画面に駆け寄るが既に画面は時間が過ぎて消えていて、律子が慌ててつけ直したが、そこにまなみの姿がなかったようで… 
「まな…まなぁ…」と壁にもたれてずれ落ち、泣き崩れ「まな…まなぁ…何が言いたかったの?どうしたかったの?…あたしは…もうとっくに許してるから…あなたのあの目のことは…とっくに…」と言う律子に声をかけて触れようとした時…
「触らないでっ!酷いよ!いくらなんでもあんまりだわ!今、今この時の事…あたしは…あなたを絶対に許さない!」と言って僕手を払い、泣きながら癇癪を起こして小さく丸まって泣き崩れた…

僕は払われた手を擦りながら「ホント…今まで律子の何を見ていたんだろう?良かれと思ってしていた事が…これじゃ完全に裏目に出ちゃった…」と困った様に呟き小さく丸った律子を見てたら律子は泣きながら眠ったようで「まな…まな…」とうわごとの様に呟いていた。

そんな律子を見てたら僕は胸の奥がキリキリと痛んだ。
だけどこのままにしておく訳もいかず、律子をそっと起こさない様に抱えあげるとベッドに入れると布団をかけた。

そして、一旦リビングの椅子に座り、胸元からクマのトップの付いたネックレスを取り出し、「これをもらった時にはすっごく嬉しかったのに…今ではコレが凄く重く感じる…まさかあのまなみさんがあんな暗く何処までも沈んだ怖い瞳をするなんて…」と律子を襲っていた時のまなみの瞳を思い出し、一つため息をついた。

「律子とまなみさんはやっぱり2人で一つなんだな…律子はあんな事されても、まなみさんを許しているなんて…もう少し裕介さんが入ってくるのが遅かったら、確実にあのまなみを力任せに殴っていた。
自分が好きな人に裏切られて犯されそうになった恐怖は体験済なのに、それをするなんて…
律子が許したとしても、僕は許せない。
」と独り言を言った後、ふと玄関に近づきまなみさんはさすがにもう帰っているだろう…あれから随分時間経ったから…と思いながらドアを開けると…
「…あ…」と言うまなみさん。
思わず睨む様に見下したが…まだまだ寒さが続く日の中、小さくなって頬や耳を赤くしてる姿を見て、僕は頭を一つ掻いて、自分を落ち着かそうと大きく息を吐いてから…
このまま無視する訳にはいかないな…と思い
「…荷物貸して…律子は泣き疲れて寝てるから…ここじゃなんだから、外で話そう。」と言って荷物を受け取り「それと、ちょっと待ってて…」と言って余りに寒そうしているまなみさんを見て、気の毒になり、まなみを玄関先で待たせて、暖かいカフェオレを淹れてまなみに「…どうぞ」と言って渡した。

まなみが美味しそうに飲んでいる間にまなみの荷物を律子の寝てるベッドの横に置いて「まなみさんと話をしに出かけます。」と置き手紙を書いてまなみの元に戻り

「…ごちそうさま。すごく暖かくて美味しかった。」「それならよかった。…もう行ける?」「はい…」と少しぶっきらぼうに話ながら家を出て、大きなグラウンドがある公園に向かった。

まなみさんに実際に会って、その瞳や雰囲気に触れていると、なんとなくだけど、今まで感じていたわだかまりみたいのが薄れていく感じがしたからこそ、まなみさんはやはりあんな事する娘じゃない。
そう思えたからこそ、まなみさんの口から理由を聞きたかった。

実際、まなみさんにこうして会うまでは、絶対に律子と会わせない。そう決心していたが、その気持ちは既に揺らいでいた。

まなみさんから明確な理由を聞いて納得したい…でもその理由が納得できないモノであったら、律子が何と言っても絶対に会わす訳にはいかない!と思いながら歩いていると、まなみさんは僕のやや後ろをついて来ていた。

そして大きなグラウンドがある公園に着いて立ち止まると「ここ…たぶん、りっちゃんがいつも行くと言っている…そっか…静かで…いいところ…」と言って辺りを見渡してからまなみさんが「…星野くん…本当にごめんなさい。
のんちゃんの事があってからの…まなおかしかった。どうかしていた。
取り憑かれたように何かがまなの中で狂っていくのがわかってて…止めれなかったの…」と歩いてたそのままの距離、約2メートル程離れて話出すまなみさん。
僕は振り向き、腕を組んでまなみを見ると、深く下げた頭を上げて話を続けた
「…まな、久しぶりにのんちゃんとみんなに会って、嬉しかった反面自信なくなっちゃって…前に裕介さんとりっちゃんには、まなは待つのが仕事だから、思い切って前をみて進んでねって…話しました。でも、それでいいのかなって…特にりっちゃんの伸び方はすごいから…」と語るまなみさん。

確かに律子の伸び方は側にいる僕さえ驚く成長だった…でもまなみさんのおかげでそこまで行けたって思えなかったのか?
その辺は裕介さんのせいが大きいと思った。

そして「まなみさんのこれまでの事はわかった。…今のまなみさんを見ていたら、もうあの目をした本当に悪魔みたいだったまなみさんじゃなくなったのは良くわかった。だから、あの日の事は…色々言いたい事はあったけど、これっきりにしたいと思う…」とゆっくり言った。
「星野くん…ありがとう…」と安心した様に言うまなみさん。
「だけど!これまでとこれからは違うからな!そして…してしまった事実は変えようがない!だから、何がどう変わって、これからどうして行くか示してくれないと、律子に会わせる訳にいかない!そこをどう示してくれる?」「それは…」と日が傾き、ざわざわと風が木々を揺らす中、まなみさんが見つけ出した答えを語る。

まなみさんの真剣な眼差しを眺めながら長い沈黙が流れる。
その眼差しはこれで駄目ならもう2度とここには来ないって決意が滲み出ている感じがした。

「それは…我儘でかなり欲張りでしょ?でも、まなみさんらしいや…」と忌憚のない感想を述べると「…まな、本当は我儘で欲張りなの。最近気づいたんだけどね?」とおどけて返して来た。
2人の距離が徐々に詰まり、まなみさんが僕の胸に顔をポフッ…と肩を震わせ俯き、涙を流しながら何度も「ごめんなさい…」と呟いた。
僕はまなみさんの頭を撫でながら「…今度あんな事をしたら、側に裕介さんがいようと、誰がいようとその時は本気で殴るよ?それだけ…あの時は気持ちが沸騰しそうだったから」
「うん…もうないけど、もしまた…まなが道を外しそうになったら…その時はおもいっきりお願い…それと…」と言って僕の首に腕を回すとぐいっと引き寄せられ、唇を合わすだけの…キス…
少しだけそのままでいると、唇が離れ「…ないしょだよ?どちらにも…これが…まなの気持ち…ほんとに…ありがとう…」と言われたその時
「まな!」と律子の声が背後から聞こえた。

2人は僕の目の前で抱き合い、互いに謝り合って許し合う姿を見て、敵わないなぁ…出来る事ならまなみと離したかったけど、これじゃ無理、まなみの事を想っている律子の姿が僕はどうやら好きらしい…と思っていると

まなみを胸に抱きながら律子が「瞬一、さっきはごめん。あなたの気持ちをあたしは踏み潰した。
それは本当にごめんなさい。
あたしはあなたが一番。それはもう絶対に変わりない。でもやっぱりまなが…」と言う律子。

「まぁ…その事はまなみにも言った事だけど一度吐いた言葉はどうやっても2度とは戻らない。
大切なのはその後どうするのか?どう行動をするのかにかかっている。
今回は許しても、また同じような事を言った時は…
…それにまなみさんが変な答え出すわけない?
さぁそれはどうかと思うよ?」まなみと顔を見合わせてクスッと笑い「ちょっと…変かもよ?」と言った。

「あらぁ…2人ともいつの間に仲直りしたの?それなら今夜は家に泊まって…」と律子は安心した様に言って、初めてまなみさんを迎えて一夜を過ごした。

僕は話をしている2人に気を使って1人別の部屋に行き、寝ようと思っていた。


【まなみさん、お待たせしました。
まなちゃんがどんな話をしてくるのか、楽しみにしてます。】




1 ... 12 13 14 15 16 17 18 19 20 ... 29
レス投稿フォーム
名前
トリップ[]
本文

投稿文に自動改行は行われません、適宜改行を行ってください。 # タグ使用不可
削除パス[]
※投稿ミや募集の締め切り等のご自身の不注意や都合による削除依頼はお受けしておりません。削除パスを設定してご自分で削除下さい。
「sage」
※投稿を上げない
動画掲示板
画像で見せたい女
その他の新着投稿
人気の話題・ネタ
ナンネット人気カテゴリ
information

ご支援ありがとうございます。ナンネットはプレミアム会員様のご支援に支えられております。