ある日、彼と話しててわかっちゃった。 もう、私達は終わりだってことが… 話してて、楽しかったけど、楽しい分だけ、切なかった。 雰囲気が、一番盛り上がってたあの時とは明らかに違った。 彼、無理して私に合わせてくれてたように感じた。 その彼の優しさが、痛かった。 彼とのセックス、最高だった。 それまでのどの元彼より、気持ち良かった。 なんであんな風にできたのだろう。 彼は、女を悦ばせる天才みたいに、すごい人だったと思う。 テクニシャンだったのか、それとも体の相性が良すぎたのか… 入れられた瞬間、全身が痺れた。 直接触れて欲しくて、コンドームしないでって言ったの、彼が初めてだった。 彼のことが大好きすぎて、私が愛しすぎてたから、あんなに感じたのかな。 あの段差がアソコの天井を擦りあげられると、気が遠のいていった。 フワッと体が浮いて、彼にしがみついた。 このまま死んじゃうかもって思えるほどで、だから逝くって言うのかな。 最後、大きく股を開いて、仰け反りながらシーツをギューッと握りしめて、微かに感じる彼の暑い精液が私のお腹に欠けられている感覚… 彼のセックスを忘れるなんて無理だけど、でも、あの日のセックスが終わった後の、シラ~っていう空気、もう、終わりなんだって感じた。 別れ際、彼が、 「じゃあ、またな。」 って言ったけど、私は、 「うん…」 ってしか言えなかった。 でも、雰囲気はお別れ、さよならって言わなきゃ…って思ったけど、どうしても言えなかった。 帰っていく彼の背中、涙で滲んでいった。 翌週の土曜日、いつもの待ち合わせの場所を、向かいのビルの2階から眺めた。 彼がやってきて、辺りを見渡した。 10分くらいいただろうか、彼はスマホを取り出し、私からの着信がないことを確認したら、今来た方に帰っていった。 彼も先週の別れの雰囲気を感じただろう。 それなのに、別れ際、「じゃあ」に「またな」をつけてくれた。 「またな」と言った以上、彼は来なければならないと思ったのだろう。 彼は約束を守る人だし、優しい人だ。 結局、彼から着信は無かった。 これで、私たちは二度と戻れないってわかった。 さよならを言わない別れ、こんなの初めてだった。 優しい彼、そっとお別れさせてくれて、ありがとう。 たった1年間だけだったけど、私といてくれて、ありがとう。 彼ののおかげで、色んな経験ができたし、逝くって言う経験もできた。 大好きな人だから、さよならなんかしたくないけど、無理に私に合わせてくれる優しい彼を見てると、私の方が心がもたない。 だから、私、この街を出て行くことにした。 彼とすれ違わない生活圏へ、引っ越す。 この場所から、職場を挟んで反対側の街の物件を探そう。 さようなら。 そしてありがとう。