私の不妊が原因で10年前に別れた元夫を見かけた。 7年間頑張ったけど、私は妊娠できない身体だった。 私は32歳、あなたは35歳、再婚して子供を育てるにはギリギリだったから、あなたは嫌がったけど、私から離婚を切り出した。 私も、あなたも、お義父さんもお義母さんも泣いて別れた。 最期のセックス、覚えてる。 あなたが舐めてくれる最後のクンニリングス、私のアソコも泣いていた。 最期のフェラチオ、この形を記憶しておこうといっぱい舐めた。 最期の交わり、いつものように生のまま、あなたが動くたび、アソコから流れる涙がクチュクチュ音を立てた。 それまで何千回と射精されたのに妊娠できなかった私のアソコの奥に、最期の精液が放たれた時、夫婦が終わったなって感じた。 市役所の駐車場で、離婚届を出す前に夫婦として最後のキスを交わした。 離婚届を出したあと、 「送っていくよ。」 と言うあなたに、 「もう、あなたの奥さんじゃないから・・・」 「そうか・・・じゃあ、元気でな。さよなら・・・」 「さよなら、あなた・・・」 私は、走り去るあなたの車を見送った。 でも、溢れる涙ですぐに見えなくなった。 あなたが出ていってからは、子供ができなくて飼い始めたトイプードルのモカと暮らした。 あなただけがいない生活、モカも時々あなたを探してたみたい。 あなたの思い出に囲まれて切なかったけど、モカがいるから引っ越すこともままならなかった。 ペットOKのアパートって、なかなか無いから。 それでも、あなたの思い出が少しずつセピア色になって、残っていた夫婦愛が、気づけば家族愛になっていた。 あなたのことは、遠くで暮らす家族みたいに思えた。 先日、駅のショッピングモールであなたを見かけた。 人口30万人の街で、凄い偶然だと思った。 あなたは、新しい奥様とお子さんと三人で、お買い物してた。 私があなたと築きたかった家庭が、そこにあったけど、羨ましいとは思わなかった。 私から望んだあなたの幸せだから、嬉しかった。 だから、声はかけずに遠くから見守るように眺めた。 あなた・・・幸せそうで良かった。 あのね、一昨年、モカが死んじゃって、私は一人ぼっちになっちゃったんだよ。 だから私、あのアパートを出たんだ。 あなたとの思い出がいっぱい詰まった部屋だったけど、モカが死んじゃったら、他にペットと住みたい人に明け渡さないとって思ったの。 だから、あそこに行っても私はいないよ・・・って、行く必要もないか・・・ あなた、エレベーターに乗って、上がってく・・・次第に見えなくなってく。 あなた、さよなら、元気でね。 私は大丈夫だよ、一人で生きてく。