『かまいませんよ…、
気になることや懸念点はできる限り無くしていきたい。
やはり、信頼関係というのは大事にしたいですから…』
信頼関係…という言葉が美桜のリミッターを外しにかかる。
指圧が腕まで範囲が広がると、もたれ掛かりながら、虚ろな瞳で松倉さんの顔を見つめ始めた美桜
『カウンセリングも兼ねています…結婚への不安なんかも相談してもらってもかまいませんからね…〗
『願望を口にするのも、不安を口にするのもとても重要なことですから…』
(カウンセリング…不安も……願望も…言ってもいいんだ…)
(松倉さんは信用出来る人だから…抱えているものを言っても良い…)
話したい、話して心を軽くしたい…
「彼は胸の大きい女性が好きそうなんです、私、大きくないし…嫌われたくないし…」
あっ、と…こんな事言うなんて私…
そんな思いが隙間から入り込んで来るが、口が…勝手に話だしている。
「…不安なんです…私、彼もだと思うんですけど…他の人を知らないんです…その…ちゃんと気持ちが良いのかな…って…
………私は…すごく気持ち良いって…思った事がないんです…」
「………地味でつまらない女て終わりたくないんです…女の本当の悦びって…」
淫らな願望をカミングアウトして、美桜は青ざめてしまう。
「いえ、私ったら…あのっ…そうではなくて…相談したい事は…」
『心も身体も気持ちよく…』
そう…そう言われたから…私は… しどろもどろになりながら顔を紅く染める美桜。
【我儘聞いてくださってありがとうございます。長く続けたいと思ったので…お互い書ける時にで…】
(良い感じになってきたじゃないか…。
素材も悪くない…。
期待に応えたい、嫌われたくないという承認欲求の強さも十分…。
そこに自分の願望もちゃんと混ざっている…。)
薬の効果も上々。
女の口から漏れ出る本音、理想、願望…欲求を知れば背後で男の口元が緩む。
そして男は身体を密着させるように背後から腕を回すと、右手の平が視界を塞ぐように目元を覆いながら親指と中指でこめかみを挟み込む。
少しその指先に力を加えながらヘッドマッサージの要領で解していく。
僅かに老廃物を流すように、僅かに痛覚を刺激する心地よさ、痛気持ちいい感覚を呼びながら、左手は女の膨らみ…のやや上。
胸元に添えながら、少し男の身体に向けて身を預けさせるように力を加える。
その手が滑れば女自身が口にした胸…、しかしそこにはまだ触れず、安心と信頼を刻み込むように。
「愛しているんですね…、彼を…いえ、ご主人を…。とても素敵ですよ…。
大丈夫です、柴田様の希望は…願望は叶いますよ…。
綺麗になりましょうね…ご主人の為に…。
いいえ…、貴女の為に…。」
大きな手のひらが女の視界を奪い、ぼんやりとした暗闇の中。
胸元を覆うように添えられた左腕にぐっと抱き込むように力が入る。
逞しい腕の力強さ。
耳元で男が囁けば、鼓膜が揺れ、痺れるような感覚を与える薬の効果がさらに脳を揺らす。
「一つずつ知っていきましょう…。
貴女はご主人のために頑張りたいように、私は貴女のために頑張りたい。
知りたいことを…、知りましょう…柴田様…。
その時が来るまで、私が貴女のパートナーです…柴田様…。
支えます…、だからもっと…開いてくださいね…貴女自身を…、柴田美桜を…。」
そう呟いた頃には、ごく自然に、ごく当たり前に、女の柔らかい膨らみを文字通り支えるように優しく下から包むように五指で、触れていた。
【おはようございます。
我儘だとは思っていません。
とても魅力的なレスをくださる女性は貴重ですから、こちらからお願いしたいくらいです。
相談してくださいね、私は貴女の為に、頑張りたいので。】
言ってしまった。
自分でもはっきりと…わざと誤魔化していた心の隅にあるわだかまり。
(あんな事言ってしまって…松倉さんも呆れてるだろうか…ブライダルエステに通うような女性は心も綺麗だろうに…)
やはり全ては自身の無さから来るんだろう…自分を卑下していた美桜だが
松倉は何も言わず左腕の中に納める。
視界を遮られると、この部屋に松倉さんと2人きりという事が感じられ、男性と2人きりという意識が高まる。
(こんなに彼以外の男性と密着した事などあっただろうか…)
こめかみの微妙な痛覚も腕の良い施術師の証。
仕事で疲れている身体をほぐされ、リラックスするほど、松倉さんに身を預けたい気持ちが湧く。
そして左手が胸の上に添えられると胸が高なってしまった。
だが…『愛しているんですね…、彼を…いえ、ご主人を…。とても素敵ですよ…。
綺麗になりましょうね…ご主人の為に…。
いいえ…、貴女の為に…。』
パートナーの固有名詞が挙げられ、はっとして
(そう…私は結婚式の為に来てる…未来の旦那の為に…)
我に返りかけた美桜の耳に、熱い息と共に注がれる、脳を揺るがす言葉とボイス…
『知りたいことを…、知りましょう…柴田様…。
が来るまで、私が貴女のパートナーです…柴田様…。
支えます…、だからもっと…開いてくださいね…貴女自身を…、柴田美桜を…』
(美桜……)
下の名前で呼ばれた時、いつの間にか松倉さんの胸が下から包まれていて…
身体が金縛りの様に固まってしまい…
部屋中に聞こえてしまうくらい鼓動がなる。
【こんにちは。嬉しいお言葉ありがとうございます。私は…貴方はお相手だけど、貴方のファンになりましたから。】
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