2024/03/18 21:50:05
(0xrvCeVY)
「ん…?なんだこんな朝から…。」
まさかスマホのバイブ音で目を覚ますとも思っていなかった。
昨夜の出来事から緊張感が抜けきらず、眠りが浅かったのかもしれない。
徐に手に取ったスマホの画面を確認すると、真緒からの通知。
話は確かに途中だった。
興味の程から見ても、話は続くとは思っていたが…さすがに下校後の落ち着いた時間からだろうと思っていた。
それがまさか早朝、時間を見る限り起きて早々に送ってきているだろうと考えられる。
そこまで真緒の興味を引きだす出来事だったのだと改めて認識する。
「これ…上手く乗せれば…、綾乃ちゃん以上に楽しめるんじゃないか…。
摩耶さんも、綾乃ちゃんも…結局盗撮という、当人は知らない撮影にとどまってる。
でも、真緒ちゃんは違う…。盗撮されてることを知っていながらもこうして連絡してくる…。
上手くすれば…。」
昨夜までの緊張…、自ら墓穴を掘った行動に最悪の事態に怯える自分はいったいどこへ行ってしまったのか。
都合に良い解釈が脳裏をよぎれば、気づけば口元は緩み、笑みを浮かべていた。
「そうと決まれば…、まずは肯定…。」
『おはよう、朝から連絡してくれてありがとう。嬉しいよ。
真緒ちゃんの本心…、心の中のことはまだわからないけど…、はっきりと言えることが1つ。
真緒ちゃんはおかしくないよ…それだけは間違いない。
好きな恰好…、すればいいじゃないか。
スカートが好きなら、履けばいい。
似合わないなんて…そんなことないよ…、だって、盗撮したくなっちゃうくらいだったんだから…。
それくらい、少なくとも俺の目は惹きつけられたよ…。
好きなら、真緒ちゃんが好きなら、もっと履いてほしいし、スカートを履いた真緒ちゃんが見たい。』
リスクはあった…。
しかし、そのリスクが好転すれば一気に真緒の気持ちに近づけるような気がした。
卑劣…卑怯…、そんな言葉を体現するように、自らの最低な行動さえも利用して、まだ幼い少女の心を掌握しようと働きかけている。
かなり強い言葉…、「盗撮したくなるくらいの魅力がある」という表現。
耳にする人間によっては、ただただ軽蔑の眼差しを向けてくることだろう。
しかし、真緒が仮にそうだとしたら…、こんなやり取りにはなっていない。
『工藤さんのいうことはもっともだと思う。
やっぱり自分の娘だからね…、心配なんだよ…。確かに綾乃ちゃんも正直嫌だって話は俺も聞いてたよ…。
でも、心配をかけたくないからって、工藤さんの前、だけでは履くようにしてるって言ってたからね。』
事実の中に僅かに混ざる嘘…。
確かに綾乃も同じように工藤から言われていた。
しかし、履くようにしているのは工藤の前だけではなく、当然外出時もだ。
外出時をあえて伏せたのは、真緒の見られたいという気持ちを図る為。
綾乃が嫌がったのは、重ね履きの煩わしさ。
そもそも見られたいと思っているかもしれない真緒とは根本が異なる。
『工藤さんには言わなくていいよ…、どうせあの人、黙って履きなさい…って言いそうじゃない?(笑)
わかっててわざわざいうことはないし…、正直、嫌なら無理に履くこともない。』
少し冗談交じりな表現を選ぶのは綾乃同様。
こちらは工藤ではなく、真緒の味方だよというような意思表示に見せること。
『でも、真緒ちゃん自身はまだ、見られたい、って本当に思っているかどうかわからないじゃない…?
それなのに、誰でもいいとも思ってないのに、見られるリスクを負うのは危険だと思う。
はっきり言うけど…盗撮しに来る人は多いと思う。
真緒ちゃんみたいに可愛くてスタイルも良い子なら余計にね…?
自分のことを棚に上げてるみたいであれだけど…、だからこそそんな気がしないでもないでしょ?』
毒を食らわば皿まで…という言葉もあるが、一度犯してしまった罪…、それを餌により良い思いができるなら後ろめたさすらネタにしていく。
『協力…と言えることじゃないかもしれないけどね…。
真緒ちゃんにできること、というか、確認してみるのはどうだい…?
本当に見られたいと思っているのかどうか…。
そうだな…知らない人に見られるのは気持ちよくないだろうから…。
知っている人に、見られるってことで…本当の真緒ちゃんがどう感じるのかを…確認してみるんだ。
どうかな…?
考えてみて…?』
詳しくは説明しない。
しかしそのメッセージの内容は明らかに、安藤という男にスカートの中を見せることで興奮するかどうかを確認してみないか…?
そう言っている。