2025/11/03 01:26:37
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半年間のプリムローズ家での滞在を終え、アレクはリーゼロッテと共にフローレンス領まであと小一時間ほどの所まで来ていた。
「リーゼロッテ様…半年の間、ありがとうございました…これで私もようやくサリーナ様と結ばれることができます…養子として迎えてくださり感謝しかありません…」
商売相手のビルボーにメイサを抱かせたあとも、リーゼロッテはメイサをプリムローズ家に呼び出しては見世物で晒し者にし、オークションの商品として商売相手の相手をさせていた。
その度にリーゼロッテ自身敗北感に苛まれながらも商売のためと自分に言い聞かせつつ…
それにアレクも協力はしたものの、プリムローズ家での暇潰し程度のことで、プリムローズ家をあとにする以上、メイサをリーゼロッテの玩具にし続けるつもりはなかった。
「感謝とは別にリーゼロッテ様にはお伝えしておくことがございます…今日以降メイサ様を玩具にするのは遠慮願います…私が貴女に協力したのは、あくまで暇潰しですから…」
「はぁ?貴方…自分の立場が分かってる?私には貴方やメイサの首根っこを押さえるネタがあるのよ?もし私がレイウス公に…」
アレクの言葉にリーゼロッテは憤慨をあらわにした…それも当然のこと…メイサの恥態の映像と調査したアレクの前歴…それが絶対的なものと思っているからだった。
「やはり…リーゼロッテ様はあの映像などが絶対的なものとお考えなのですね…でも…それは勘違いです。
もしあの映像をレイウス様に見せたとしましょうか…事の真相を問い詰められたメイサ様が素直に認めるでしょうか?あれはリーゼロッテ様に薬を盛られたと言ったら?レイウス様はメイサ様とリーゼロッテ様のどちらの言葉を信じるでしょう?」
リーゼロッテの顔色が変わった…愛妻家と知られるレイウス公…メイサが泣きながら訴えれば、それを信じ、愛する妻を辱めたとしてフローレンス家の総力を挙げてプリムローズ家に復讐するはず…
「お分かり頂けましたか?もう十分に商売も上手くいったでしょう?もうこれ以上メイサ様に関わるのはおやめください…あの女は私のものなので…」
自分ご絶対的に上の立場にいると思っていたリーゼロッテだったが、全てがアレクの掌の上で転がされていたと分かり黙って頷くしかなかった…
““““““““
「レイウス様…ただいまプリムローズ家より戻りました…」
城に戻ったアレクは、真っ先にレイウスの執務室へ向かった。正直なところ、レイウスなどよりサリーナに会いたいところではあったが、礼を欠くのは得策ではない。
「メイサからも聞いてはいたが…見違えたぞ…」
プリムローズ家に向かう前とは、レイウスの態度がかなり違った…愛する娘の願いと渋々許した感があったレイウスではあったが、婿として認めたようだ。
メイサからの偽りの報告とサリーナの幽閉先での献身ぶりの話が功を奏したのだ。
「ありがとうございます…これもレイウス様のお陰でございます…」
「アレクっ!おかえなさいっ!」
勢いよく開いた扉から飛び込んできたのはサリーナだった。
レイウスを始めレオドール、グラベルの前だとも関わらずサリーナはアレクに抱きついた。
「サ、サリーナ様…」
レイウスたちの前でなければ抱きしめ濃厚なキスを交わしたに違いない…久しぶりに嗅ぐ甘いサリーナの香りが鼻をくすぐる…
「プリムローズ家での話はあとで聞かせてもらう…サリーナとは積もる話もあるだろう…ゆっくりと話をしてくるといい…」
飛び込んできた娘に苦笑いを浮かべレイウスは2人を見送った…
“““““““
サリーナの部屋に入るや否や2人はキスを交わした…会えなかった時間を埋めるような濃厚なキスを…
「会いたかった…サリーナ…この時をどれほど待ちわびたか…」
早くレスを返してもらったのに、遅くなってしまい…
一応、結婚までで一区切りをつけようかと思っていますが、どうでしょうか?