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真夏となり気後れする程の熱気が外で蔓延している。
過酷な光景から隔離された様にひんやりとした部屋で一人リクライニングチェアーに腰を掛ける貴方。
コトッ‥
「‥‥」
コーヒーグラスをテーブルへ静かに置き、どこか物思いに耽る‥
昨年妻と離婚し一軒家に一人残って暮らしている。
擦れ違いから溝が徐々に大きくなっていき関係は冷ややかに。それでも後腐れなく円満離婚となったのは元々愛情も僅かなものだったから。
40代。独り身になったとて、人恋しさに悶える程若くはない。しかしどこか物寂しい、違和感のある休日に憂いを感じていた。
高校教師の貴方。夏休みシーズンの為出勤は少ない‥
ピン!ポーン!…
「…ふうっ…」
徐にインターホンが鳴る。
貴方はわかっていたかの様にゆっくりと腰を上げると、モニターの方へと歩いて行った。
『……』(キョロ……キョロ…)
画面には制服を着た女性が時折周囲を見ながら立っている。
女子高生?…
ピッ!
『おはよう。今開けるよ…』
ガチャ…
「あっついね~…やばすぎ…溶けそう…お邪魔しま~す…」
「大丈夫か?冷房効いてるしすぐに飲み物も用意するよ。」
?
中年男性宅への来訪としてはどこかミスマッチな人物を貴方も当然の様に迎え入れる…
「超涼しいね~生き返った~…あ、ありがとう。」
ゴクッ!ゴクッ!ゴクッ!…
「ハ~ッ!美味しかった~…ありがとうおじさん。」
「落ち着いたか?ゆっくりしていきなさい。」
「うん!」
少女の名は潤。
高校時代の友人の娘。
ずっと近隣に住んでいる事から関係は今でも続いており、今では高校生になった娘が気軽に遊びに来る様になった。
勿論この事は友人も公認。寧ろ潤が来たがっていたらしい。
陸上の部活後に直接訪れた様だ。
幼馴染で懐いており、高校教師をしている事から無償で勉強を教えてくれる為、この時期になると頻度は増えていった。
それもあるがとても優しい子。独り身になった貴方を心配しているのかもしれない。
教師故尊敬しており、信頼関係はより強いものへとなっていった。
。。。
「…そうそうwその時お父さん超慌てちゃってさ!大変だったよ(笑)やっぱ昔からそう?」
勉強を少し教えてもらい、休憩でソファーに並んで談笑している二人。
潤は家庭内の話を楽しそうに話出し、貴方はそれを微笑ましく見ていた。
潤が家へ遊びに来たいと聞いた時は正直気が乗らなかった貴方。
しかし今では内心そんな彼女に心癒されていた。
関係の悪かった妻とは雲泥の差があるこの笑顔…
汚い大人の世界を何も知らない様なそれは、どこか拠り所になっていた。
「あ、そうそう!you tubeで面白い動画あってさ!見てほしいんだよね。」
潤は思い出したかの様に立ち上がるとパソコンのマウスを触り、暗転画面のそれを使おうとする。
フッ…
「えっ…」
何故か画面にはスカートを穿いた女性と思われる写真がいくつも並んでいる。
下から撮った様な角度で下着が写っている。
しかもスカートは制服… 学生のもの… ? これは貴方が勤務する学校の制服では…
盗撮?
「あっ!!ちょ、ちょっと!これは!!…」
貴方は徐に潤からマウスを奪いその画面を消す…
「……」
「……」
無言の二人…
潤は目を泳がせながら気まずそうにしている。
貴方も言葉が出ず、しどろもどろになっている…
「…コ、コーヒー…おかわり入れるね?…」
「あ…う、うん…ありがとう…」
貴方はグラスを持つと足早にキッチンの方へと歩いていく。
潤はやや動揺した様子でそっとソファーへ腰を下し直した…
終わった…
尊敬していた男の知らない顔…
この子の信頼は今、全て無くなり、恐らく友人にも伝えるのだろう…
冷房の効きがより強くなったのだろうか?凍る様な空気が流れ始めた…
2026/08/02 10:49:12
(DF0ubv8c)