幼稚園のママ友・えみさんの紹介で、待ち合わせのカフェに足を運んだ私は、店内を見回しながら少し緊張した面持ちで立っていました。
すると、窓際の席から男性が立ち上がり、私のほうに視線を向けてきました。
私は一瞬息を呑み、男性だということに気づいて軽く驚いてしまいました。
「あの……もしかして、えみの紹介で来た、今森さんですか?」
相手が頷くのを見て、私は頰を少し赤らめながら、すぐに付け加えました。
「ごめんなさい、こちらから名前を言わないで……。
山岸 奈緒と言います。」
声が少し上ずってしまっています。
夫以外とこんな風に二人で会うなんて、結婚して以来初めてのことでした。
胸の奥がざわついて、逃げ出したくなる衝動と、せっかくここまで来たんだから……という思いがせめぎ合っています。
「あ、はい。そうです。こちらこそすいません。今森雄馬(いまもりゆうま)といいます。今日はよろしくお願いします。」
初対面だからお互い緊張し合って、挨拶を交わす二人。
「今日は来ていただいてありがとうございます。どうぞ、席にかけてください…。」
すぐに帰るのも失礼気がして、ちょっとだけお茶して帰るだけならと自分に言い聞かせて、席に着く奈緒。
「もしかして…えみさんから私の事あまり聞いてませんでした?」
「ええ、女性だとばかり思ってました。
えみさんが『同じような悩みを持ってる人』って紹介してくれたので、てっきり同性だと思って……。
突然男性が出てきて、びっくりしてしまって申し訳ないです。」
「いえ、ずいぶん驚かれていたように見えたんで、そうなのかなって、あの…もしかして嫌でした?」
相談内容が内容だけにてっきり同性かと思っていた奈緒。
「えみさんも意地悪だなぁ、僕も今日どんな人が来るかなんてほとんど聞かされていなくて…。
そりゃ突然男性が出てきて、びっくりしますよね…。」
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