…スゥーッ!……タッタッタッ… 「…?…あ!真耶ぁ!来てくれたんだ?」 「うん…お疲れ様。よく頑張ったね。…出産、おめでとう…由衣…」 「ありがと~w 大変だったよ~…」 「今はゆっくり休んで?…」 「うん。そうするよ。…あ…ほら、真耶…抱いてあげて?…」 「………うん…」 。。。 高校時代からの親友が出産した。 知らせを聞いた私は身支度をし、花束を持参して足早に彼女がいる病院へと向かった。 ベッドにもたれる彼女が身籠る小さな存在… つい数時間前、この世に一つ命が生まれたのだ。 同じ人間とは思えないほど表情はぼんやりとし、動きはたどたどしく、思わず心が締め付けられる。 抱っこを促された私は思わず戸惑ってしまう。 生まれたばかりの赤子を抱いた経験がほぼなく、不安だったからなのは大いにあるが、実際は他の感情だった。 なんとなく、「後ろめたさ」を感じてしまったのだ。 。。。 「どう?赤ちゃんを抱いた感想は?」 「…うん…とってもあったかい(笑)…神秘的で…怖くなるくらいw」 「ん(笑)そうだよね。 …私、真耶には一番にでも抱いてほしかったんだ…可愛がってあげて?」 「うん…ホントに嬉しい…私も最高に幸せだよ……」 。。。 「スーッ…スーッ…スーッ…zzz…」 「…寝ちゃったか…無理もないか。この子を産んだんだもん。 …んw…お母さん寝ちゃったね?一緒にねんねしな?…またね?…」 「???…ン……ァゥ…」 タッ…タッ…タッ… 出産… なんて神秘的な事だろう… 新たな命が生まれた事ではない。 その経緯だ。 男女がセックスし、男性の精液を受精し…女性が妊娠する… …私は正直…「男性側」の貢献に心を動かされる… 勿論大変な思いをし、自らの体をもって子を産みだした女性には敬意をもっている。同じ女性として当然だ。 女性がいなければ人類は途絶えてしまう。 しかし…私はそのきっかけを作った「種」の方により敬意を抱いてしまう… 世間では体を痛めた女性を功労者として称える風潮があるが、私は内心違和感を感じていた。 子を産むのは女の使命。 しかしそれには…「種」が必要… 私は寧ろ男性の方が功労者だと思っている。 親友を労い赤子を抱かせてもらった私は…それでもその価値観は変わらなかった。 自分が嫌になる… あれほど尊い経験をさせてもらったのに… 尊い?… そうか…私はそれを、「種」の方に… ・・・ 私の「種」に対する価値観は次第に敬意、慈愛といった最大級の感情にまで育っていった。 男性が自分自身と言える、遺伝子という「種」を含んだ液体を…「陰茎」という聖器から排出…射精……女性によってはそれを…飲む… 美しい… そんなモノを頂いて良いのだろうか… なんて…美しい行為だろう… 。。。 「真耶もいつか子供が出来たらいいね。」 「……そうだね…」 「真耶みたいな美人、イケメンで優秀な男が寄ってくるでしょ?いい男選ぶんだよ?」 「ハハッw またそんな事言ってw……そうだね(笑)…」 「退院したらさ、何か美味しいもの食べに行こうよ。オムライス食べたいんだ!」 「由衣、大好きだもんね。行こうね…」 「そういや真耶の好物ってなんだったっけ?…食に関心ないから聞いた事なかった。好物はないか?」 「? 好物?………ンw…そんな事ないよ。でも、とっても貴重で珍しいものだから簡単には食べれないよ。 由衣と一緒に食事する事は…ないかな?…」 「え~ほんと~?どんな食べ物なの~?」 「私の好物?…う~ん…それはね…」 『優秀ではない種…』 【27歳 仕事 訪問型性介護 黒髪 164cm 52㎏ 細身 Dカップ 服装は主に黒タートルネック 黒ジーンズ】