「言葉が過ぎるぞ、ジギタリス。個々の人間が愚かなわけではない。中にはこのリルベルのように聡明な者もいる。救いようもなく愚かで自分勝手な者の比率が、魔族と比べて多いのも事実だろうが。」
怒りを込めた声で返した後、リルベルから石を受け取るヨハンセン。
「ほう、これは魔龍の涙か。入手先はさしずめリルベルの養親と言ったところかな?リルベルはもうこんなものが無くとも魔法は使えるだろうが、お守り代わりか。」
石をサマエルに渡してから、
「サマエル、ジギタリス。良い機会だから言っておく。私はゆくゆくこのリルベルと婚を結ぶ。今からは実の姉と思って接しろ、いいな。少しでも軽んじる態度を見せたら、その時は私が許さないからな。」
「わかりました、お兄様。」
「(嫌々という様子で)畏まりました。」
「それでお兄様結婚はいつ頃をお考えで。」
「叔父上がこのような挙に出なければ、リルベルの復讐が成った後すぐにでもと思っていたが、先ずは父上と母上を救い出さねば。」
「父上と母上、命の心配はありませんが、窮屈な思いをしていると思うと不憫で。一刻も早く救い出していただけないでしょうか。」
「布石はもう打ってある。人間国の自称勇者が、手前の山の祠にそろそろ着くころだ。本来ならそれから向こうは、警備も厳重なのだが、その自称勇者に叔父上を討たせるため警備を緩くさせてある。」
「人間とは本当に愚かな者たちです事。私達みたいに一瞬で移動することもできないなんて。」
「サマエル、そんなこと言うものでもない。そのおかげでこちらは十分な対策ができるのだからな(笑)」
「でもいくら叔父上とはいえ、人間ごときに易々と討たれるとは思えませんが。」
「人間だけではな(笑)一緒にハイルとオートマタがいる。あとこれも私が魔族にしたルチアという者もな。父上と比べ人望が皆無な叔父上の事、いくら魔王の座を掠め取ったとはいえ、本気でついていっているものなど、最初からの腹心だけだろう。叔父上とその取り巻きさえ討てれば、その後はまた父上に魔王の座に復帰して貰って。」
「でもその勇者とやらが、人間国に戻って英雄視されてしまっては…」
「あいつが英雄視されることなぞ絶対にない。そのための布石も打ってあるからな、今頃人間国では自称勇者の悪い話でもちきりだろう。サマエル、ジギタリス体力が戻ったら人間国の魔の子村に行ってみるがいい。自称勇者が自らやらかした行為で、村は大変なことになっているから。」
「これは長話が過ぎた。リルベル私達も飯にしようか。」
ヨハンセンがいくつか呪文を唱えると、テーブルの上に
サラダボール一杯のサラダ、湯気の立った鶏の丸焼き、これも湯気の立ったスープ、山盛りのパン、果実酒の瓶、グラス等々が出現する。
「サマエル、ジギタリス悪いな。明日にはかろうじて魔族の姿に戻せるだろうから、その時にご馳走してやるからな。」
ヨハンセンが私と婚姻すると宣言すると妹弟に宣言すると頷き微笑む。「私は実の父母、兄姉弟妹も居りません、エル様、ジギタリス様、もし認めて下さるなら実の姉と思って接して下さい。」「勿論、私はリルベル様を実の姉と思い接しさせて頂きたいのでこれから姉上と呼ばさせて頂きたいです。」「エル様、嬉しいです。」「姉上、私は弟です、エルと呼んで下さい。」「ありがとうございます、エル。」「姉上、弟に敬語は不必要です。」「そうね、エル、ありがとう。」一方、ジギタリスは渋々と言った感じで…。「リルベルお姉様とお呼びすれば満足でしょうか?」「ありがとうございます。」ヨハンセンが私を軽んじる事をしたら許さない。と言ってくれたがジギタリスの態度は頑なで…。〘ヨハンセン、無理はありません、これからの日々を重ね信頼してもらえる様するので今は妹の可愛い我が儘と思って接してね。〙ヨハンセンにテレパシーを送る。「この石は魔龍の涙だったのですね、修道院の前に置かれていた籠の中の私が握っていた物だそうです。修道士様は誰にも見せてはならないと仰っていました。私はその教えを守り養父母にも義姉にも勇者にも誰にも見せた事はありません、触れたのは修道士様以外ではヨハンセン、貴方が最初ね。……ねぇ、私、半魔龍族なのかもしれないわ、でないと幾らヨハンセンが私を復活させてくれたからと言っても闇魔法まで使えるのは不思議なのよ。元々、私の奥底に眠っていた闇魔法があったのではないのかしら?ねぇ、ヨハンセン、魔龍の涙と私の血で実父母を辿れないかしら?修道院の前に私を置いたと言う事は……、ふたりともこの世には居ないと思うのよ…。ヨハンセン、空腹だわ、食事をしながら話を進めましょう?」手を組み生命を頂くという意味、祈り「頂きます。」とリルベルもヨハンセンも双子もそうしてから食事を始める。スープを飲みながらサマエルが仮説を立てる。「成る程…、兄上、仮説ですが姉上のお父上は魔龍族でお母上は聖女だったのでしょう。」「エル、魔龍族と人間が交わったからこの女(ひと)が正聖女となったと言う事?だったら魔龍族の領主様に会いに行かなきゃ!」「それは辿ってみないと判りませんが……。」(この女が作ったスープで魔力が少し回復してるし体力も…、お兄様が言う様にリルベルとか言う女は……。)「タリスは魔龍族の次期領主にご執心だからただ会いに行きたいだけだろう?」「な、何を言っているのよ!魔国王族と魔龍族が婚を結べば魔国の為になるのよ、そうそれだけよ!」「ほぉー、そうか、しかしな我ら二人が猫の姿にされた時、叔父が言っていたが従姉を魔龍族の次期領主リュウトベック殿と婚姻させふと…。」「嘘…、リュウトと私は番なのよ?」「あぁ、知っているが今、ジギタリス、お前は行方不明の身、混乱を避ける為、魔龍族の次期領主として魔国の姫と婚姻するのは可笑しい事ではない。」「リュウトが…、私以外を?私を辿れないと?お兄様、何故…?」サマエルを睨みつけると今度はヨハンセンを見、白猫の目から涙が…。「ジギタリス様に予測を申します、次期領主はまだお若いのではありませんか?(頷くジギタリス)ならば次期領主様はまだ番を認識されていないのかと…。女性と違い男性は晩熟です、ジギタリス様に好意はあるでしょう、ただまだ番と認識していないかと…、ただ…。」「ただ?何なのよ?!」ヨハンセンの顔を見、眉を下げ言いづらそうに言葉を発する。「……認識せずジギタリス様以外の方と子を成すと次期領主様の心は壊れ夭逝されてしまうでしょう。」「そんな、そんな事…、お兄様、エルどうしよう!」「ヨハンセン、まだ果実酒飲む?私はもう……。」空いたグラスの上で指を回すと水が満たさせるとその水を一口、毒見をするかの様に飲むと。「エル、ジギタリス様、まずは魔力もですが身体も回復させなくては…、こちらはヨハンセンから習い、私が改良した回復水です、こちらもお飲みになって先程、お二人が体を休める様、柔らかなクッションを用意しております。」−−−キールの酒場−−−魔の子村の孫娘とその恋人が酒場に入るとキールがお待ちしておりました。と奥の席に新聞社の記者が座っている、近寄り挨拶を交わすと席に着き勇者の非道を話ていく。「証拠がコレです。」記者の前に映像魔石を置くとテーブルの上の空間に映され
...省略されました。