−−−見た目荒屋【隠匿魔法で屋敷】−−−「お帰りなさい、首を長くして待っていたわ…。」弟妹の前だと言うのにヨハンセンへと寂しかったとばかりにハグをする。「仲良くと言うか魔国の仕来りの話をしていただけよ、それにリルベル様がもし魔龍族と何らかの関わりがあるのであれば…。」「タリスは姉上が魔族になった今も尚、聖魔法が使えると言う事は魔龍族でも地位の高い…、リュウトベック殿と血縁関係にあるのではと考えているんだろ?」「な、な、何をそんな打算的な……、お兄様、ごめんなさい、有ります、打算有ります。リルベルお義姉様がもしリュウトと血縁関係で今日の態度を知られてしまったら嫌われてしまうと…。」ヨハンセンはジギタリス、サマエルに構わずリルベルを傍に寄せたまま明朝には姿が元の姿に戻ると二人へ話す。「ジギタリス様、リュウトベック様は…。」「リルベルお義姉様、その前に私をタリス、お義姉様を名前無しのお義姉様とお呼びさせて下さい。」「えぇ、タリスと呼びしましょう、安心してね、番、何が有っても嫌いになれないのよ。魂の繋がりなの、魔族を獣人族と同じにしたら叱られてしまうでしょうが獣人族にも番と言うものがあるの。無いのは人間だけなのよ、だから平気で裏切れるのかしら……。」ジギタリスとサマエルにもテレパシーの声は聞こえた。「お兄様、ハイルってインキュバスのハイルなのですか?」「兄上にお考えがあるのでしょうが…、私はまだインキュバスやサキュバスの性の奔放さを理解出来かねます。」「エル、種族で違いがあります、理解しろとは言いませんが受け入れる事はしなければなりません。タリスもです、二人は魔国の王族なのですから魔国の人々を大事にしなければなりません。……明日には姿は戻るでしょう、スープだけでなく他の食事も頂けば体力は回復すると思います。魔力は私が作る回復水を少しずつ飲みながら勇者と現人間国王の愚かな行為、被害少なく止めるべく共に戦いましょう。」−−−フアナ王女(リリス)−−−〈そこの貴女、朝食頂いたけどまたお腹が空いてきたわ、軽食頂けるかしら?〉〈はい、フアナ王女様、ガレットとホットミルクは如何でしょう?〉〈いいわね、料理長に頼んで来て頂戴、それから食べ終わったら城下に買い物にでも行こうと思っているの。〉〈恐れながら王女様、明日は舞踏会です、メルビル様がいらっしゃらないですが…エスコート役には騎士団長の次男様をと……。〉〈嫌よ、だってあの方、弱そうなんだもの。〉〈騎士団に入隊しておりますから弱いとは……。〉〈いやぁね、夜の方が弱そうと言う事よ。〉〈王女様……。(逆ハーレムのお噂は本当な様ね、離宮にいらっしゃらる男性方は王女様の……。)〉〈エスコート役は侍従見習いの銀髪碧眼のあの人にするわ。ドレス決めないとだわね、ピンクと白いビーズの買ったばかりのドレス有ったわよね?〉〈ご用意いたします、装飾品は私共にお任せ頂けませんでしょうか?〉〈いいわよ、但し誰よりも美しくして頂戴ね?〉〈畏まりました。(王女様より美しい物を持つ者なんて居ないわよ、楽勝よ。)〉王宮の騎士、警備兵、見習い侍従などだけではなく城下の庶民、既婚未婚、婚約者有無、未成年、未成年だけではなく男娼まで好みの男を離宮に連れ込み逆ハーレム状態になっている。城内城下でフアナの破廉恥な行動が真実として人の口々にのぼる頃には舞踏会当日となった。舞踏会前、会場に入る時、貴族は馬車を降り会場外に居る民衆にアピールするため着飾り、羨望の眼差しで見られる。王族並びに客員や他国招待王族などはバルコニーでの挨拶となればフアナの事で民衆がざわつくに違いない。−−−荒屋【隠匿魔法で屋敷】−−−「その前に勇者にヨハンセンと貴方達の叔父上を倒させないとね。」「叔父様も愚かよね、お父様に任せておけば人間なんかに倒される事もなかったのに。」「タリス……、しかし我らも兄上が人間国の見聞に行ってる時、子猫なんかの姿にされてしまったのだから少しは叔父上も少しは力があると思うぞ。」「ヨハンセン、大丈夫よね、ハイルにリリス、ただのインキュバスとサキュバスじゃないものね?」ヨハンセンの魔法とリルベルの魔法で階級が上がり理性を持つインキュバス、サキュバスと成っていた。−−−勇者、メルヒル一行、舞踏会一日前−−−
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ーーーーーーーーーー夜が明け翌朝のあばらや--------「(リュウトったら駄目よ…まだ駄目だったら笑」熾火になった暖炉の前に置かれたクッションの上では、魔族の姿に戻ったジギタリスとサマエルが裸で抱き合い眠っている。サマエルの顔はジギタリスの胸の膨らみに押し付けられている。程なくして目を覚ましたジギタリス。「きゃあ……(ちょ…ちょっと…サマ…)」パシッ。今の状況が呑み込めずないまま、サマエルの頬を平手打ち。「(夢か…なんで隣にいるのがサマエルなのよ?それになんで裸?…ここはどこなの?)」「痛ってえなぁ…急に何するんだよタリス。」平手打ちの痛さで目覚めるサマエル。その頬には赤くくっきりとした手形が残されている。「離れ…離れなさいったら…」再度手を振り上げるジギタリス。「ちょ…ちょい待ち…」自分の姿をしげしげとみて「おぉ…兄上の言った通り魔族の姿の戻れた…」「どうした?どうした?朝っぱらから騒がしいな。」その騒ぎで別室から、リルベルとヨハンセンが姿を現す。二人の姿を見て全て思い出すジギタリス。「(そうか…叔父様に不意を突かれて、子猫の姿にされ、タリスと一緒に逃げ出して……放浪してるところをお兄様に。)」「思い出した?ジギタリス。思い出したなら何か言うことあるでしょ(笑)」そう言い覗き込むサマエルの顔には、赤い手形。「ご……ごめん…。」「全くタリスはいつもいつも…そんなことだと、リュウト…」「それくらいにしといてやれ、サマエル。二人にそれぞれシーツをかけてあげなかった、私も悪かった。」そう言いながら、何事か呪文を唱えるヨハンセン。次の瞬間、空中から服と湯気の立ったスープやサラダ、パンなどが現れる。「サマエル、ジギタリス。先ずは服を着なさい。」サマエルとジギタリスが身形を整え終えると、朝食。その席上ヨハンセンが「それと私とリルベルは今日は戻らないか、戻っても遅くなるから、このあばら家は好きに使うといい、食料も用意してあるから、体力回復に努めるがいい。」ーーーーーーーーーー人間国王宮、舞踏会会場--------「さあもう少しだ、精を出しておくれ。」会場準備は恙なく最終局面、視察に訪れた前国王は、平静を装い、準備に追われる一人一人に声をかけていたが、内心は穏やかではなかった。「(〇〇(現国王)め。本当に今日やる気なのか?もし、舞踏会の席上でそんな報告が入ってきたら…仕方ないが、皆の目の前で勇者と現国王の非道さを公開するしかあるまいな。)」次の瞬間前国王の意識は、執務室控室にいる魔の子村から来た男女の若者二人に向いていた。ーーーーーーーーーー前国王執務室控室--------「本当にここは、私達なんかがいていい場所なんだろうか?」孫娘の幼馴染が何度目かの同じ問いを口にする。「大丈夫よ。前王様もヨハンセンって名乗った方も、優しく話を聞いてくれて、ここで待っててくれって言ったんだから。それにしてもこの部屋は質素な造りね。王様のお部屋って、もっと煌びやかなものかと勝手に思ってた。質素って言っても貧しい私たちの家とは大違いだけど(笑)」「あぁ、ベットのふかふかさといい、出してくれる食事といい、何もかもが違ってまだ騙されてる感じだ……それはそうと、舞踏会とやらで証言することになったら……俺は全く問題ないけど君はまた傷口抉られる思いじゃない?大丈夫?」「もう何度聞くの(笑)?大丈夫よ。あの獣のような自称勇者とやらを追い落とせるのだったら…村の皆のためにも、ねっ。」「だったらいいけど…あ、あのさ〇〇〇。こういう時に言うことじゃないとは思うけど、復讐が終わって帰ったら……村に帰ったら、け…けっこ……結婚してくれないか。勿論犠牲になった皆の弔いを終わらせてからだけど。」「ほ…本当にいいの、私で。。私もう傷物に……」「あれは、自己中心的な獣のようなやつに、ちょっと噛まれただけのようなもの……〇〇〇がいいんだ、いや、〇〇〇じゃなきゃ駄目なんだ。お願いします結婚してください。」孫娘の前に跪き手を差し出す幼馴染。目から涙があふれだす孫娘。「嬉しい…〇〇〇〇。こちらこそよろしくお願いします。」差し出された手をしっかりと握り答える孫娘。ーーーーーーーーーー現国王執務室--------「おい、メルヒルからまだ報告は入らんのか。」「はっ、未だ何も…」「そうか…前王主催の舞踏会の席上、未だかつて誰の手でも成しえなかった魔国の平定、そしてその地下に眠る資源の独占に成功したと高らかに宣言できれば、前王派の連中もこちらになびくであろうに。」「お言葉ながら、舞踏会の席上を逃しても、この後いくら
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−−−あばら家−−−小さな悲鳴が聞こえ何かを叩く音が聞こえるとヨハンセンに手を引かれサマエルとジギタリスの元へ。二人の姿を見、何が起こったか瞬時に理解すると顔を手で覆い二人を見ない様に努めていると直ぐに服を着、兄妹の話を聞きながらヨハンセンが用意した食事、回復を助ける為にリルベルは水差しに指を向け回すと回復水を作ると隣の部屋で着替え始める。「えぇ、残酷な復讐よ、クレアのエスコートがフレデリックから婚約者にエスコートが代わった時、刻止まり魔法でウェイスト、クレアに人間だった時の私の拷問から処刑までの出来事を見せてあげようと思うの。勿論、王族、勇者、魔法使いクレアの父母弟が全て知っていたと言う事も…、フレデリックより騎士道精神を持つウェイストと淑女の鑑と言われるクレアがどの様な反応を示すか愉しみでもあるわ。私の予想ではウェイストは騎士道精神でただただ忠誠心だけで王族に仕えていた事を悔やむでしょう、クレアは全員の事を軽蔑するでしょう、積極的には味方になってくれないでしょうけど邪魔はしないで居てくれると思うの。……魔族になってから気づいたのだけどウェイストって王族の血を継いでるのね、王国復興に使えるわね。」何十代か前にウェイストの家に降嫁した王女が居た。「貴方にエスコートされている私に許可なく話し掛けてくるのは人間界では不敬なのよ、貴族社会では下の者から声掛けは厳禁。前王、現王にも注意を受けると思うの、まぁ、現王は人前だから注意でしょうけど…(クスクス)それって騎士としてもだけれども貴族としても侮辱されたと怒りを露わにしを醜態を晒すのよ、プライド高いフレデリックはその怒りを私に向けてくるはずよ。その後は…、ねっ、愉しくなりそうでしょう?」話しながら手でヨハンセンに屈む様ににイヤーカフスを着けると「永遠に…。」外れない様、魔法を掛ける。「ヨハンセン、そろそろ時間ね。」食事を終えたサマエルとジギタリスがやって来る。「姉上、そのドレス、黒がよく映えます、何層かのレースの下に紫の生地に縫い付けられているパールがまるで星の様に見えます。身体が動く度に色が濃くなったり薄くなったりするドレスですよね?」「えぇ、ヨハンセンが贈ってくれたのよ。」「お姉様のイヤリングとネックレス、指輪の色、お兄様の瞳の色なのですね。」「えぇ、愛の証として……。」「お兄様のイヤーカフス、お兄様の瞳の色とお姉様と瞳の色の宝石なのね、素敵だわ……。」「兄上、姉上の指輪…。」「特殊な隠匿魔法が掛けられていますよね?」「騎士、フレデリックがどんな愚行に出るか…、出なければまた違う方法を考えますが…。」「兄上も姉上も中々…、怖ろしいです。」 「エル、人々に知らしめる為ですよね?」頷くリルベルとその横で微笑むヨハンセン。−−−孫娘と幼馴染が居る前王控えの間−−−ノックと共に侍女数名が手に何かを持って入ってくる。「失礼致します、ヨハンセン様に申し使って持って参りました。」「こちらでご用意致しますのでご心配はいりません、さぁ、お嬢様はあちらの部屋へ、お坊ちゃまはこちらの部屋で…。」「お嬢様?!えっ?あの……。」「お坊ちゃま?!」幼馴染は直ぐに着替え終わり部屋の中を落ち着かずウロウロしていると数十分後、すぐ横では孫娘の用意がされ、二人の姿は男爵の令息と令嬢となる。「○○○?別人だ…、可愛い、綺麗だ。」「○○だって格好いいわよ。」扉がノックされると警護兵が入ってくると侍女が下がる。「○○○と◯◯、キールさんの酒場で話していた出来事は本当なのか?」「……□□兄?何でそれを?」「王都の兵士になっていたんだね、……魔の子村は自称勇者が壊滅状態にした。」「□□兄、まだ詳しくは言えないけどある方が◯◯と私の命を救ってくれたの、□□兄の家族は無事よ。」「しかしお前らがどうして王宮の舞踏会に?俺はお前らを警護しろと前王に言われここに来た。」「魔の子村の者がキールさんの酒場に居ると聞き行ったんだ、勇者の話はその時聞い、今日は兎に角、お前らを警護しなければならないらしい。」カタッ……!「何者!」剣を抜き衝立を退かすとそこには記者が立っている。−−−サキュバスとインキュバスの町−−−ハイルとベル、ルチアの三人にテレパシーが…。〘これから自称勇者は現魔王と戦うのね、ハイルとベル、
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ーーーーーーーーーーあばらや--------「ほぉこの隠匿魔法、サマエルに見破られてしまったか…サマエルも腕を上げたな…これも、舞台装置の一つ。まぁ人間には分からんだろうから問題はないがな(笑)」リルベルに向き直り「そろそろ行くとしようか。いくら何でも遅れるわけにはいかんからな。」そう言うと、リルベルの腕を取るヨハンセン。何事か呪文を唱えると、次の瞬間リルベルとヨハンセンの姿は、そこから掻き消えていた。「お兄様、行ってしまわれたわ。今日一日養生していれば夜には魔法も使えるようになるだろうって、お兄様は仰ってたけど…」そう呟くとリルベルが用意した回復水を口に運ぶジギタリス。ーーーーーーーーーー王宮、舞踏会会場--------衛兵が扉を閉めようとする寸前に、リルベルの腕を取り忽然と姿を現すヨハンセン。ヨハンセンの姿を確認した顔見知りの衛兵が、「これはヨハンセン殿、国王様・前王様・フアナ王女以外は、皆様もう中においででございますよ。」そう声をかけた衛兵は、無礼に映らぬよう一瞬リルベルの左手に視線を投げて、「ヨハンセン殿、お美しい奥様をお連れですね。これほど美しいなら、いつもご自慢していたのも分かります(笑)」リルベルの視線に気が付き、「これはご無礼をいたしました。ヨハンセン殿、奥様、お荷物があればお預かりしておきますが。」「いや大丈夫です。ありがとう。」そう衛兵に言うと、扉をくぐるリルベルとヨハンセン。リルベルとヨハンセンが舞踏会の会場に足を踏み入れると、二人の後ろで、ガシャンと音を立てて扉が閉まる。ざわめきに包まれている舞踏会会場。会場内を見渡すと、一段高くなったステージの近くに、クレアとフレデリックの姿を見つける。リルベルとヨハンセンは、他の出席者と挨拶を交わし談笑を始める。その近くにいる人たちは皆、リルベルの指輪に気が付き、ヨハンセンに羨望のまなざしを向ける。「おい見たか、ヨハンセン殿の連れている女性、綺麗だな。同じ色の石が付いた指輪とイヤーカフスか。羨ましいよな。」等々、囁き合う噂話が二人の耳にも届いている。その時ファンファーレが鳴り、続いて、「ご出席の皆様、国王様・前国王様・フアナ女王様がお着きになられました。」との声が会場内に響き、ざわめきが止み、ファンファーレが最高潮を迎える。ーーーーーーーーーー前王控えの間--------「今の話……やはり勇者メルヒルの噂は本当だったのですね。」と記者。「貴様……」剣を振りかざす□□。「ちょ…ちょっとまって……ただの記者、新聞記者ですって。何も害を成すようなものは、一つも持ってませんよ。」□□に対して両手を上げる記者。「なぜここにいる。記者証を見せろ。」□□に記者証を提示しながら「いやトイレの帰りに、折角なんでと思って隣の部屋の中を見てたら、話し声が聞こえるじゃないですか……記者魂が疼いてしまって気が付いたら間の扉を開けてたと…」「どこから話を聞いてた。」「○○○可愛い、綺麗だ。ってところから。」と記者が言うと、赤くなる孫娘と幼馴染ーーーーーーーーーーサキュバスとインキュバスの町--------映像魔石を持った記者が、下山していくと「一部始終しっかりと記録しといてくれよ、ルチア。もしあの記者が間に合えば、面白いことになるからな。」そう言い、勇者と魔王の戦いに視線を戻すハイル。「おいおい、押されっぱなしじゃないか勇者。リルベル様にはああ言われたけど、ここで、手助けしないと勇者やられちゃうよな。」〘ヨハンセン様・リルベル様。今映像魔石を持った記者が〇〇山からそちらに向かっております。このままではライブ放送間に合いそうにないので、途中で記者を拾っていただけないでしょうか、お願いいたします。〙ーーーーーーーーーー王宮、舞踏会会場--------〘ハイル、ご苦労。分かった記者を拾って、こちらに連れ込めばいいのだな。〙「リルベル聞いたように、記者がこちらに向かってる。ちょっと迎えに行ってくるから…リルベルお主と私の間柄は、大半の出席者に見せたはず。ここから少し騎士がお前に話しかけやすいように、私は席を外すから。」リルベルが気になっていたフレデリックは、ヨハンセンがリルベルの傍を離れて、リルベルが一人になったのを目敏く見つける。
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ヨハンセンが姿を消した後、フレデリックが一歩足を動かした瞬間、ウェイストとクレア以外に〝刻止まり〟の魔法を掛けると音楽、会話も止まり静まり返る会場。二人は辺りを見回しウェイストがクレアを後ろにし警戒する中、微笑を浮かべながら目の前まで歩くリルベル。「驚きまして?ウェイスト様、クレア様、今の所はお二人に危害を加えるつもりはありません、ただ私達の計画を邪魔立てするのなら容赦なく排除させて頂きます。」「計画とは?それに貴女とヨハンセン様のご関係は?」「申し遅れました、私、ヨハンセン様に婚約の打診を受けお受けしたリルベルと申します。」「まぁ、ヨハンセン様のご婚約者様なのですね、ウェイスト様、お綺麗な方ですね。」まだ警戒を解かないウェイストと婚約した者同士、友好的なクレア。「お二人に見てもらいたいものがありまして…、お断りになられても見て頂きますが…、〝回想魔法〟」二人に回想魔法を掛けるとクレアは小さく悲痛な声を上げ目に涙を溜める、ウェイストは声は出さないものの苦痛の表情になる。「それが〝正聖女、ベル〟に有ったことです、ベルは偽りの罪で王族、仲間達に裏切られギロチン刑に処せられたのです。そしてベルだった私はヨハンセンのお陰で…、魔族として復活しました。」回想魔法を解いた後、ウェイストが先に声を出す。「これは王国がしたと言うこと?まさか……噂は本当であったか…、勇者メルビルが魔の子山の人間国と魔国が繋がる祠を潜ったのは…、否、警備がどうなっているかを調べ……、いいや、奪う為に侵入したと言うのか、信じられん、信じたくない!」「騎士様が王国に忠誠を誓われているのは知っていますが、先程見た事が真実です、お心当たりありませんか?例えば…、勇者が魔の子村を襲い村の女性達を…、女性達を救おうとする男性達を斬りつけたなど…。」「まだ真実がはっきりしたわけでない!それにその回想魔法で見せられたものが、貴女が正聖女ベル様だったと言うのが真実かも判らないではないか!(俺は何の為に王族に忠誠を誓ったのか……。)」「…ウェイスト様、その方がベル様…、正聖女様なら偽りをおっしゃるわけがありません。酷い、ベル様の尊厳を…、大公様達を…。お父様、お母様もお知りだったとは…、それにフレデリックに至ってはベル様と邪竜討伐の旅に出た仲間だと言うのに……。軽蔑に値します、人ではない…、獣以下です。」「ウェイスト様、信じられないのは無理もありません、では……。」会場に居る魔の子村の孫娘と青年の方へ元に行き〝刻止まり魔法〟を解くと二人がリルベルに頭を下げる。「リルベル様、……人間だった時、正聖女様ですよね?」「ごめんなさいね、今は私、魔族なのよ。」「○○!魔族だとしても魔の子村の皆を救ってくれた事は間違いない事です!」「改めまして私、魔族のリルベルと申します、貴方がたの村で起こった事をあの二人に話してもらえるかしら?」「はい!村の救世主様!」「村の救世主……。」「ウェイスト様、彼らは私達の事を知りません、きっと真実を話してくれるでしょう。」「クレア…、それが真実だとしたら回想魔法で見せられた映像が真実だと言う事になる、俺はどうしたらいいのだ…。」「何もしなくていいのです、私達がする事を邪魔立てだけはしないで頂きたいです。」「何をなさるのですか?」「私は何もしませんよ?クレア様、ごめんなさいね、最初の復讐相手はフレデリック、貴女の家族よ。」「………(涙を流し頷く。)あの者達は私の家族ではありません!人の皮を被った獣です!」○○と○○○は魔の子村で起こった卑劣で残忍な出来事を語り、魔法石の映像もあると言い、新聞社に伝えていると教える。「今から〝刻止まり魔法〟を解きます、この後起こる出来事を邪魔だけはしないで下さい、邪魔をされるとお二人も復讐対象者となります。忠告しましたよ?」静寂だった会場に音楽が鳴り、リルベルの元にフレデリックはじめ恥知らずな者達が近寄ってくる。「お嬢様、少しお話を。」「いいや、私とダンスを。」「お前、俺が一番にお声掛けしたんだぞ!」リルベルに害虫の様に群がる上位貴族であるフレデリック、婚約者が居るにも関わらずリルベルを拷問した騎士、貴族子息etcに軽蔑な視線を遠慮なく向ける貴族達とウェイストとクレア。「フレデリック!貴様は誰に声掛けしておるのだ?魔国からの客分であるヨハンセン殿の婚約者に対し下の者から声掛けするなど言語道断!」「フレデリック、貴様は確か第一騎士団副団長であったな
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