彼が意外と冷静に自分達のつきあいを分析しているので驚いた。
二人はまだ十代だし、娘はモテるから環境が変わればつきあいも消滅すると思っていると打ち明けられた。
(例えば別々の大学に行ったりした場合など)
それに、それを彼自身割りきれて考えられるそうなのだ。
つまり、彼もそこまで娘に執着していない。
なんだか、今の自分の心境とシンクロしてると思った。
彼は自分達がまだ子供同士だから、もっと大人とつきあう方がうまくいく気がすると言った。
一見仲良さげに見えるけど、それなりに些細な衝突などはあるようだ。
彼もワインのせいで多少口が滑らかになっているのか、
「正直なとこ、おばさんと話してる時の方がリラックスしてたりするんです。もう大人だから彼女だったら反論するような事でも包み込めちゃうでしょ?…
ちょっと言い合いになったあととかでおばさんと話してると、やっぱりおばさんとつきあいたいとか思ったことありますもん」
なんとも聞かされる方は顔から火が噴きそうだが、あながちおべんちゃらでもなさそうなのは感じた。
「だから、さっきの話に戻ると本当はちょっと嬉しい気持ちもありました…いや、おばさんが傷つくのは嫌なんです。でも、ご主人とラブラブなのはそれもちょっと嫌なんで…スミマセン…」
私はじっくり彼の言葉を噛み締めていた。
私が黙っているのを気分を害したかと勘違いしたようで、彼はあわてて謝りだしたけど。
でも、彼の発言は、実は私が一番欲しかった言葉だったのだ。
私は主人には嫉妬心は起きなかったけど、自分に魅力がないから女に走るのだという考えも頭から離れなかった。
この時私に必要なのは、私を欲しがってくれる相手だった。
それが目の前の手の届く位置にいる。
この時は私も母親としての気持ちより、女としての自分の気持ちが遥かに優勢になっていた。
「こんなおばさんでもいいなら、帰らなくてもいいわよ…」
おそらく人生で初めて男の人を自分から誘いました。
彼は私の決死の覚悟に感極まったようで、椅子から立ち上がるとそのまま私を立たせテーブル越しに抱きついてきた。
冗談でしたなんて逃げられなくするように。
私は主人とは体つきも全く違う彼の抱擁に胸が高鳴った。
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