私は、達した後の余韻でぼーっとしながら「これでいい。これで、真人にも、最後まで責任を取らせたことになるし、私のムズムズも解消された…」もう、身繕いをして帰るか…と、ふと真人を見ると、股間を押さえたまま、熱い眼で私を見ている。「ゆ、ゆあさん…僕、もう…」彼の辛そうな、すがるような表情を見て、私はハッとさせられた。『そうか… いきさつはともあれ、これは性行為なんだ。女はイケば終わりだが、男は射精をしないと終われない。それをしないうちに終わりにされたら、それはしんどいのだろうな…』ずっと男の中で過ごしてきた私には、そうした男の生理が分からないでもなかった。しかしどうやって?スケベな女友達の自慢気な経験談には、よくフェラとか手こきとかいう言葉が出てくる。それがどのような行為なのか、想像がつかなくもないが、今から自分にそれができるとはとても思えない。また、彼が今求めているのも、それではないと分かっていた。だとすれば…私は頭の中で『次の排卵日は何日ごろだっけ?』と計算してから『…まあ大丈夫か…』真人に「いいよ。おいで」と声を掛けてやった。私にとってロストバージンというのは、それほど大きな意味を持っていなかった。女なら誰でも普通に経験することだし、その相手が必ずしも、理想的な恋人や、将来の伴侶ではないことは、周りの女たちを見れば分かることだ。さすがに、知らない男に力ずくで奪われるのは嫌だったが、時期が来れば、適当な相手と成り行きで経験することになるだろう、くらいに思っていた。『思ったより早かったな…』それがその時私が感じていたことだった。真人は、主人に《おあずけ》を命じられていた犬のように、いそいそと私の足の方に回り、ショーツに手をかけてゆっくりと抜き取った。私は少し膝を立て、弛く開いてやった。真人はその膝頭を持ってもう少し開かせ、私の股間に入ってきた。反り返った陰茎を上から押さえつけながら、先端を陰裂の下の端にあてがい、押し込んで来た。…だが、入ってこない。真人は焦りだし、腰を使って何度も挿入を試みるのだが…角度が間違っているのだ。仰向けに寝ている私の膣は、膣口から子宮へ、緩やかに昇っているのに、真人は斜め下に押し込もうとしている。冷静に考えれば、違うとわかりそうなものだが…仕方ないので私は、襞の間に彼の亀頭を挟んだまま、ほんの少し腰を持ち上げてやった。するとそのとたん、私の全身を鋭い痛みが貫いた。「うっ! ぐっ!」「えっ!?」真人が驚きの表情で私を見つめていた。私は、痛みを堪えることにかけては自信があった。フルコンタクトの格闘技では、痛いのは日常だったし、そのたびに泣いたり、悲鳴をあげたりしていたら練習にもならない。それに、膜を破られる痛みなど、そのへんの弱っちい女でもみんな経験してる事だから、たかが知れていると思っていた。でもそれは… 予想よりはるかに痛かった。それで、驚いて思わず声をあげてしまったのだ。まさかこんな坊やに悲鳴を聞かれることになるとは…「えっ? あの、ゆあさん、なんで?…」うろたえる真人。どうも彼はこの瞬間まで、私のことを経験者だと思っていたらしい。まあ、この部屋に来たあとは、こっちから誘ったようなものだし、そう思われても仕方なかった。「なによ? …そう、処女だよ。ダメ?」「め、めっそうも!…でも…あの…」「ちょっと!変なとこでやめないで!やるなら最後までちゃんとして!」「は、はい!」真人は接合部に意識を集中させ、慎重に、ゆっくりと押し込んだ。奥まで入ってくる時も痛みはあったが、やり過ごすことができる程度のものだった。やがて、彼の先端が奥の壁に当たるのが分かった。だが、それっきり真人は動けずにいる。
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私は憤然として踵を返し、ベッドの上に座り込んでいた真人を、上から睨み付けた。だって…突然の告白。それを私は、彼が、初めて女と身体を重ねた感傷に酔って出た言葉か、思いがけず私の処女を奪ってしまった事への罪の意識からか。そのどちらかに違いないと思い込んでしまったのだ。どちらだとしても、失礼な話だ。「何言ってるの? だいたい今日のことは、あんたの身勝手な痴漢から始まってるんだよ? スカート履いた女子高生なら、誰でも良かったくせに!」「ち…違います!あの、僕、前から… ごめんなさい、ストーカーだとか、思わないで…」それから彼は、私への『想い』を切々と語り出した。真人が初めて私を見たのは、空手部の野外練習の時。天気のいい日に新入部員勧誘も兼ねて、芝生の上で演武をやっていた。その時の私の凛々しい(と彼は言った)姿に一目惚れし、以来頭から離れなくなったそうだ。だが、つてをたどって私のことを調べても、分かったのは学年と名前くらい。年上で、部活も、出身中学も違う。まるで接点がない彼と私だが、唯一、通学の路線だけが同じだった。そこで彼は、私の登下校の時間を調べ、同じ時間の電車に乗れるよう努めた。但しいつもは、同じ車両の離れたところから、私を見つめるだけで、満足していたそうだ。ところが今日は、何の拍子か、人混みに流される内に偶然私のすぐ後ろに押し出されてしまい。背中に密着することになった。肩越しに、髪と汗の匂いを嗅いでいる内にクラクラしてきて、現実と妄想の区別が着かなくなり… 気がついたら手を出していた ということらしい。「妄想…してたんだ?あたしで?」「はい…ごめんなさい」「どんな?」「そ、それは…」真人は耳から首筋まで真っ赤になりながら、その内容を聞かせてくれた。私たちの接点が電車の中だけなので、妄想の中でも当然場面は電車になる。しかも二人とも決まって制服姿。となれば…ただし妄想の中では痴漢ではなく、《触りっこ》だった。身体を密着させ、周囲に気取られないようにしながら、互いの性器を触り合う。そんなプレイだ。男子中高生の場合、恋愛感情と相手への欲情は、比例して高まって行くものらしい。男子に囲まれて育った私には、その辺の事情も分からないではない。彼の言葉に偽りはないのだろう。だが、私は怒ってしまった。今さら引っ込みがつかない。かといって、この真摯な告白を、無下に退けることもできなかった。私は激しく混乱した。その揚げ句…今考えると、ひどく馬鹿なことを言い出してしまった。「ペット…なら」「えっ?」「…あんた、あたしのそばにいたいんでしょ?」「あ、はい!それはもちろん…」「なら、あんたは今日からあたしのペットだ。あたしは今日、セックスを覚えちゃったから、近い内にまたしたくなるかも知れない。その時、相手をしてもらう。それだけ。それでもいいなら…」「はい!それでいいです!ペットなら、いつも近くにいてもいいですよね?」「あたしがしたくなった時だけだよ?あんたがしたくても、ダメ。それでいいの?」「もちろんです!よ、よろしくおねがいします!」彼は嬉しそうに、ペコリと頭を下げた。次の日から、真人は通学電車で私を見つけると、そばに寄ってきた。最初は挨拶だけで、あとはニコニコと隣に立っているだけだったが、そのうち少しずつ話しかけて来るようになった。お互いの家族のこと。趣味や好きな音楽の話。見たい映画のこと…そんな他愛ない話ばかりだったが、私たちは少しずつ親しくなって行った。私は朝は、ほぼ毎日決まった電車に乗るが、帰りは部活が長引いて、遅くなることがある。だが真人は、私がどれほど遅くなっても、校門の所でじっと待っていた。私が姿を表すと、嬉しそうに近づいてくる。そんな彼を私は『忠犬ハチ公みたいなやつだな』と心の中で苦笑していた。
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初めての日から1か月過ぎた頃。私は彼を自宅に招いた。両親は共働きで、夜まで帰ってこない。季節は夏に差し掛かり、駅から歩いて来ただけで、ブラウスに汗が滲んだ。「暑いね。シャワー浴びよっか?」家に着いてすぐ、私は真人に言った。「はい。 えっ?あの、一緒に?」「いいでしょ?どうせ一度は見せあっちゃったんだから」「は、はい。あの…うれしいです。」私は先にバスルームに向かい、さっさと服を脱ぎ捨て、シャワーを浴び始めた。しばらくして、真人が入って来る。明るいところで見る彼の身体は、思ったほどは華奢ではなく、筋肉質ではないが、骨格がしっかりしていて、『やっぱり男の子なんだな』と思った。彼の方は…しばらく、私の全裸を真剣な目で凝視していたが、「ゆ…ゆあさん…」と、泣き出しそうな声を出したかと思ったら、いきなり抱きついて来た。私の裸なんか見て、何をそんなに感極まってるんだか。 私は内心おかしくなったが、その日私は彼の想いを受け入れるつもりでいたので、「真人…」と囁いて、そっと抱き返してやった。すると彼は、崩れ落ちるように膝をつき、そのまま胸にむしゃぶりついた。「あ… はっ… んっ…,」もう、感じていることを隠す必要もなかったので、遠慮なく声を出すことができた。真人はさらにそのまま崩れ落ち、唇も胸を離れて脇腹、へそ、そして下腹部へ降りていった。「あっ!そこは…」真人は私の尻を抱き寄せ、アソコに口をつけた。そんな所を男の子に嘗められるなんて… もちろんそれは、私にとって初めて受けるクンニだった。「いやぁ…」私は恥ずかしさのあまり、女の子の声で反応してしまった。それが、よほど嬉しかったのか。真人は猛然とそこを愛撫し始め、私はあっと言う間に、立っていられないほど上り詰めた。2歩、3歩と下がって壁に背中を着けたが、唇は追い詰めるように付いてくる。逃げ場がない場所で激しく責め立てられ、私はその場に座り込みそうになった。『まさか、ここで始めることになるとは…』ここで押し倒されたら、そのまま最後まですることになるだろう。けど、ここは私の家族全員が毎日使う場所だ。さすがにそれは、抵抗があった。私は真人の頭を押さえながら、「ほら、ベッド行くよ!」と声を掛けると、ようやく彼は愛撫をやめ、唇を離してくれた。私が先にバスルームを出て、バスタオルだけ巻き付けて自分の部屋に向かうと、真人は黙って後に従った。二人とも無言だった。部屋に入ると、彼は無言で私をベッドに押し倒し、さっきの続き… 脚を大きく広げさせて、股間に顔を埋めて嘗め始めた時。その仕草は、いつもの彼より幾分乱暴で、身勝手に感じられたが、それすらも、遮二無二私の身体を求めているしるしのようで、無性に可愛く思えた。私は…はしたなくも、彼の顔を太股で挟み込み、両手を頭の後ろに添えて、真人の唇にアソコを押し付けるようなポーズを取ってしまった。初夏の昼下がり。エアコンはついていたが、二人とも汗だくで、互いの肌が汗で滑るのが分かった。『もう少しで…』エクスタシーを向かえる予感がし始めた頃、真人の唇が、バスルームの時とは逆に、上へ上へと移動して来た。彼の唇が乳房を離れ、私の首筋を這い始めた時…真人が入ってきた。今度はスムーズに、正しく膣の角度に進んで来る。もう、痛みは感じなかった。かといって、挿入により快感を得ることもなかった。感じたのは、初めての時感じた以上の、深い充足感。男勝りに、ずっと女の子らしさを拒否して生きてきた私の中の、空虚な部分を埋めてもらっているような感じ。
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