2025/11/29 06:01:50
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「ゆかり‥‥、僕はね、ゆかりが他人としているその現場を見たい訳じゃない…」
「目の前じゃ嫌なの?…じゃ、声が聞こえる隣の部屋でするとか?」
「それも良いかもね‥。多分ね、ゆかりが他人としている表情を見たくないんだと思うよ」
「ダメなの?あなた以外の人を見つめながらセックスしちゃダメなの?」
「ゆかりは綺麗だし、スタイルも良いし、だけど、僕を見つめずに他の男とセックスに没頭するような表情を見たくないのかもしれない」
「じゃ、今朝の旅館で、あなたの前で廻されたのは?嫌だったの?」
「そう…かもね。あまり見たくなかったし、見ても勃起しなかった。それより、僕が眠らされた後、ゆかりが廻されたとか、露天風呂へ連れていかれたとか、見ていない事を話される方が興奮するんだ…」
「現実より創造の方が上回るの‥‥?」
「違うんだ。多分ね、僕が居ないところでセックスをするゆかりの表情は、僕の想像の中では『のっぺらぼう』なんだ。無表情…。感情の無い人形の様なんだ…」
「無表情…?」
「Kさん夫婦とした時も、DVDを貰った時も、勿論、今朝の廻された姿も…、僕を忘れて没頭しているゆかりを見るのが嫌なのかもしれない」
「え、そうだったの?…じゃ、パパの方を見つめながら『パパやられちゃう…』って訴えた方が萌えるの?」
「(笑)だってもう、演技じゃん。…多分ね、君が僕に後ろめたくて隠れてする事に興奮すると思うんだ。隣町の店長の時の様に、僕に知られないように認めなかった、嘘をつきながら僕を繋ぎとめていた…。そんなゆかりに萌えていたのかもしれない」
「それって、今の私だともう感じないってこと?」
「少なくとも今朝のはね…」
「だって、私が好きでしたんじゃないよ。パパがビールが欲しいって言うからそういう場面になっちゃったし、最初はパパも同席してくれるからって安心してお酒を飲んでいたのに…」
「でも、殆ど抵抗しなかったんだろう?」
「だって、酔ってたし…、ギラギラした男たち囲まれてたし…、何回か中出しされたら精子がローション代わりになって、朝までずっと気持ちよかったし…。あなたは寝てるから…」
「だから、僕が寝ている時の話は興奮するんだよ。知らない場面だから…。だけど、僕に隠そうとしない、僕の目の前での行為は、もう、今さら興奮しない…」
「そうなのね…。今は良く解らないけど、パパの心情を理解したいわ…。パパが私の為に辛くなるなんて、あってはならない事だから…」
「…。ごめんね複雑な男で…。本当に心配かけて、ゴメン」
「私は、あなたが一番大事なの。これは本心よ‥‥」
それから、ゆかりは淳君のことも他の男の事も、僕の前では言わない様にしていた。
僕と過ごす時間も増えて、何時淳君と連絡をとっているのか?
不思議に思う程に表面上は穏やかな日々が過ぎて行った。
ゆかりと淳君の電話は、中東に居る彼との時差で明け方になっていたようだ。LINE電話の着信記録と、妻の部屋の盗聴器で把握できた。
淳君との電話Hも、妬けるような愛の言葉の交歓も、僕にはそのかけらも見せない。
いや、もしかしたら、妻は盗聴器もLINEの同期も、妻の車に仕掛けられたGPSも、鞄の底に忍ばせる感応式ボイスレコーダーも‥‥、知っていて、敢えて僕に『覗かせている』のかもしれない。
淳君が帰国する1週間ほど前、会社で久々に妻のGPSを見た。午後1時、何時ものスーパーマーケットに行っているようだった。
気にせず、GPSアプリのウィンドウを小さく開いたまま仕事をしていた。
午後4時。仕事のアプリを閉じた。画面に前面に出たGPSアプリを見ると、妻の車は動いていなかった。
『スーパーに3時間以上?』…明らかに怪しかった。