ーーーーー桟橋ーーーーー
風になびく髪を手で押さえながら前を見たまま
「宙斗さんが好きです。」「こんな私でも?」と答える莉奈
その言葉を聞き内心
「(よしっ!坂本さんや長野さんの目を楽しませるのはまだまだ先の事だろうが、
これで大きく一歩前進だな、後はあの母親攻略……
まだやってないにせよ実の弟から、彼女を盗むって言うのは高揚感あるよな)」
などと思いながらも、言葉では
「本当に!嬉しいな!!その言葉だけで勇気出して誘った甲斐があったよ(笑)」
指が触れているだけだった手を、莉奈の手の上に置きなおして
「別れたばかりで別の恋愛を始めるのに躊躇するのは分かるよ。
時しか解決できない問題とはいえ、自分の気持ちを殺してまで囚われてちゃ駄目だと思う。」
上に軽く置いていた手を強く握り、莉奈の顔を見つめて
「これからは僕と一緒に…ねっ。」
宙斗のその言葉で。一瞬こちらを見た莉奈が、慌てて視線を逸らす。
手は握ったまま
「門限までにはまだ時間はあるとはいえ、あまり遅くなるとあれだから、そろそろ帰ろう。家まで送って行くよ。」
ーーーーー永瀬家ーーーーー
インターホンが鳴り莉奈母が出ると、莉奈と宙斗が
「すいません。またお嬢さんをお借りしてしまいまして。」
莉奈母「あら岡田さん、ありがとうございます。
(送り届けるのは当たり前よね。時間も門限前だし、まあ合格ってところかしら…)」
「これで失礼します。」
という宙斗に対して
莉奈母「岡田さん、夕食作りすぎちゃって、持って行って貰えます?
今詰めますからちょっと待っててもらえます?」
宙斗の言葉を待たずにキッチンに消える莉奈母。料理を容器に詰めながら、
莉奈母「(容器をそのまま返すか、洗ってから返すか?そういう細かいところに気が付くかどうか、確認しないと。)
お待たせしました、どうぞ召し上がってくださいな。」
「ありがとうございます。いただきます。これは美味しそう。すいません、今日はこれで失礼します。」
ーーーーー地元コンビニーーーーー
サカモトから追い出された常連客が立ち読みをしていると、宙斗が入って来る。
常連客「おっ、宙ちゃん。今帰り?」
「〇〇さんじゃないですか?どうもこんばんは。」
飲み物棚から缶ビールを取り出し、常連客に答える宙斗。
常連客「そういえば今日、海ちゃんがちょっとお水系女子みたいのと、サカモトに来てたよ。」
「ふーん、海がね…(本当に諦めた??あいつの性格上、なわけないよな。)」
常連客「あの、清楚系美女、いや美少女?まあどっちでもいいか。どうしたんだろうね。」
「さあどうでしょうね?」
常連客「もう彼女見ること無いのかな……残念だな…」
「さあ…絶対に見かけること無いとは言えないんじゃないですか。じゃあ失礼します」
常連客「ちょっと宙ちゃん、どういう意味よ今の?」
レジに向かいながら
「一般論ですよ一般論(笑)」
レジテーブルに缶ビールを置いて
「これお願いします。」
男性店員「ありがとうございます。〇円になります。」
「じゃあ、〇ペイでお願いします。」
コードを店員に示すと、店員がリーダーで読み取り
男性店員「ありがとうございました。」
宙斗はそう言う店員に会釈を返してから、コンビニを後に
男性店員「ねっ、見たろ。こっちは夜で少しよれているとはいえ、まだ小ぎれいにしてるし、態度も横柄じゃない。」
女性店員「本当にそっくりね。吃驚しちゃった。見分けつくのかな?」
男性店員「さっき書棚の前で親しそうに話してたから、付き合い深くなれば見分けつくんでしょ。」
女性店員「そりゃそうか。デートしてて別人でしたとかだったら嫌だもんね。」
男性店員「同じ顔してる男二人から同時に攻められるのってどう?(笑)」
女性店員「もう、馬鹿っ!!知らないわよそんなこと。」
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