2025/09/03 00:04:59
(LSu3UDBN)
「最初の面接の時から、いや履歴書の写真見た時から、井ノ上さんに惹かれていたのかも知れない…
恥ずかしい話だけど、彼氏がいるって聞いた時は、どうやれば奪えるだろうかとか本気で考えてた。
結果的に彼渡辺君の自爆で井ノ上さんフリーになったんだけど…
別れたばかりの井ノ上さんに言うのはちょっと違う気もするけど、井ノ上さんがOKなら俺と付き合ってくれないかな。
返事は急がないから、ゆっくり考えてくれないか?こんなおじさんでいいのかも含めて(笑)」
一気に言葉を吐き出すと、グラスに残っていたビールを一気に喉に流し込む亮平。
「薄口なんてことないよ。凄く美味しい。胃袋掴まれちゃったかな(笑)
なまじ自分が料理できるからか、折角女性が作ってくれた料理を自分と比べてしまって……
船見との、あっ船見って別れた前カノね、話したっけ?
船見との距離が開き始めたのも、俺の『ちょっと塩辛いな』って言葉がそもそもの発端なんだ(苦笑)それ以来小さい衝突が増えてしまって。
ごめん変な話しちゃって…
ちょっと違う話を……
コンビニで井ノ上さん、このビルセキュリティが凄いって、言ってくれたでしょ。
それ何故かって言うと、寮で使うつもりって言うのももちろんあったけど、俺が住んでるマンション部分、最初の予定では会長夫婦(両親)に住んでもらうつもりだったからセキュリティ高くしたんだ。
でも二人共自分たちが建てた家がいいって、頑として言うこと聞いてくれない。
開けてても勿体ないから、俺が済むことにしたってわけ。今まで住んでたマンションの家賃分浮くし(笑)」
二本目の缶を開けて、中身をグラスに注ぎながら、
「この佃煮美味しい。井ノ上さん大丈夫?そんなに飲んで…」
少しふらつく足でご飯等を用意してくれる胡々希。
「ありがとう。お味噌汁も出汁がしっかりしててすごく美味しい。」
食べていると肩に重さを感じ、横を向くと胡々希が寝息を立てている。
「お酒苦手だって言ってたのに、ウメ○○○二缶も飲むから…それに折角買ったトマトジュースも飲まないで…(笑)」
肩に心地いい重さを感じながら、テーブル上の食べ物を平らげる亮平。
「さてこの状態、男目線からすれば絶好なチャンスなわけだが、ここで行為に及んでしまっては、黒木と同類になってしまうし……何より井ノ上さんがジムを辞めてしまうだろう。それは避けないと。ちょっと待っててね。ベットに運んであげるから。」
自問自答しながら、何とか欲望を抑え込むことに成功した亮平は、その場でひと先ず胡々希を横たえ、テーブルの上を片し洗い物を済ませるとテーブル上にメモ【ごちそうさまでした。料理とても美味しかったです。トマトジュース冷蔵庫に入れましたので、起きたら飲んでください。おやすみなさい。佐久間亮平】を残す。
胡々希を抱きかかえベットに横たえると、寝顔を見ているうちにまた欲望が頭を擡げてくる。
「おでこにチュッくらいは許してくれるかな。」
そう独り言ちながら、おでこに自分の唇を軽く触れさせてから、
「井ノ上さんおやすみなさい。」
そう小声で言って玄関を出て行く亮平。
玄関扉が閉まり、ガチャっと錠が降りる音がする。