「それ…本当ですか…?」美優が…妻が、見知らぬ男たちに心を揺らされ始めている頃。「あぁ、本当だ…。でも、さすがに信じられないよね…?」できるだけ小さな声で、と合図するように立てた人差し指を唇の前にあてがいながら話していた。場所…そう、愛する妻、美優が凭れかかっている壁の反対側のブース。反対のブースから抜け出し、美優のブースの脇を通り過ぎてやってきていた。中にいたのは、20代…中ごろの青年。軽くノックしてから声を掛けたが、興奮のあまり美優が隣のブースへのノック音に気づくことはなかった。男は夫婦でネカフェを訪れた経緯。そして、サイトを通じてのやり取りの一部始終を青年に確認させる。「すごい…。でも、どっきりとか…じゃないです…よね…?」真面目そうな青年、当然のことながら何の証拠もなければ、信じるまでには至らない。反応こそ興味はありそうだが、信じる為の材料が少ない…、それは男も自覚していた。だからこそ、事情を説明し、自ら先に声を掛けたのだ。「今すぐ信じてくれ、とは言わない。ただ、いつまでも疑われていては話が進まないのも事実なんだ…、だからこうしよう。」男は薄く笑みを浮かべて、先ほどまで自分が握っていたスマートホンを青年に手渡す。不思議そうな表情を浮かべながらも、思わず手に取ってしまう青年。「ここにはいろんな情報が詰まっている。このスレの美優…というのは、さっきも言ったが私の妻だ。その美優の裸体の写真も…、下着も…、着替えのシーンだって…フォルダに入っている。もちろん、顔つきで。」男の突然の告白に動揺が隠せない青年。握ったスマホの画面とそんなことを突然口にする男の顔を交互に見ながら「ちょ…え…えっと…。」返答もままならない青年を見ながら男は続ける。「つまり、それだけなくなっては困るものを君に預けた…と言う事さ。そのスマホからアクセスすれば、君はこの「佐藤」になりすまして美優を誘導し…「偶然隣のブースにいた」という理由だけで、私の妻を楽しむことができる。悪い話じゃ…ないと思わないか…?」興味を持ちつつも、肯定的な反応が出なかった青年。半信半疑が、乗り気の方に触れ始めたのか、生唾を飲み込み、男の話を黙って聞いてしまっていた。「とはいえ、コメントには十分注意をしないとね…。私だから…、佐藤だから美優の心は揺れた部分は大きい。それに成り代わること、君にできるかどうかにかかっているんだよ…。それとも…」「信じます…、いいですよ…信じますよ。何となく事情は分かりました…。」男が別の提案に差し掛かったところで食い気味に言葉を返す青年。「貴方は、奥さんが他の誰ともつかない男に心を揺らされていく、性を、欲をむき出しにされていく、変貌していく姿が見たいんですよね…?いいですよ…協力しますよ…。」青年の言葉に、男は笑みがこぼれる。正確には、既に膨らんだ股間を見て…だが。「スマホはお返しします…。僕が書き込んでもきっと違和感みたいなものは出てくるでしょうし、同時進行はできない。だったら、佐藤は貴方で…僕は隣人…ただ隣のブースにいただけ…その方が都合がいいですよね…?」理解の早い青年。信じる、と口にしてしまえば、都合の良いことへ解釈はやはり加速する。それ以上に、男はそうなることがわかっていた、なぜなら。「君ならそう言ってくれるんじゃないかと…思ってたんだよ…。」
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「…。」思わぬ形で自らの存在を知らせてしまうような行動になってしまったことに驚く青年。自分よりも相手の方が驚いている、なんてことを美優が想像するはずもない。思わず男の顔を見てしまう青年。どうすればいいのか…、わからない。当然だ、一歩間違えれば盗聴だの、覗きだの言われるかもしれない。数分前に知り合った…と言えるかどうかもわからない男に、云われるがままに壁に耳を当ててしまった。まるで、自堕落が原因で犯罪に加担してしまったかのような心境。助けを求めるように男の顔を見る青年。数分を待たず、美優の書き込みによってスレッドが更新される。「ふふっ…。」思わず笑みがこぼれてしまう男。不意に与えてしまった音が原因で、男に助けを求める青年。指示に従い、挑発的な喘ぎを漏らし隣人に気づかれてしまったと思い、佐藤に助けを求める美優。状況は違うとはいえ、自分の判断で行動ができない男女二人が、結果的に同じ男に助けを求めている構図。さすがに面白くなってしまう。《おいおい…いよいよやばくなってきてるじゃねぇか…。》《こっちまで興奮してきたよ…。》《つか、隣のやつ羨ましすぎないか…?俺なら速攻で突入するんだが…。》《ほら、兄ちゃん…いや、佐藤さんよ…助けてやんなよ。美優ちゃんが困ってるぜ…?》場が進展すれば、当然野次、煽りも盛り上がっていく。現場では男自らが、ネットでは佐藤という男が…、いずれも同一人物。あらゆる男を御し、そして妻をまだ見ぬ羞恥・快楽の沼へと引きずり込む工作。ゆっくりとスマホの上を滑り始める男の様子を見て、青年は更新されるPC画面を見つめている。《どうしたらいい…ですか。違うよ…、お姉さん…。お姉さんがどうしたいのか…でしょ?大事なのは。お姉さんが嘘を付いていないのなら、そこはネットカフェ…。危険があったとしても、何かあれば誰か来てくれるし、警察も呼んでくれる。分かる…?話が通じる相手なら…、もっと楽しめちゃうかもしれないってこと…。ぱんつのシミ…くちゃ、くちゃってしながらよく考えなよ…。見られたらどうなっちゃうのか…、知りたかったんじゃないの…?えっちな言葉…もっと聞かれたかったんじゃないの…?もっと聞かれたい…?覗かれたい…?それとも…触られたい…?変態さんの身体は…何を望んでるのかな…?聞いてみて…?お姉さんの身体に…。そして感じたままに言ってみなよ、お隣さんに。もっともっと本当のお姉さんの声を聞いてほしいのか…。もう我慢できないから、直接覗いてほしいのか…。もっとその先も…なのかね…。》思った以上の長文の更新に、青年も驚きの色を隠せない。誘いに乗ってはいるものの、ここまでの急展開は想定していなかったのだろう。もっとその先…、男が何を意図しているのか…青年の想像をはるかに凌駕する。興奮に交じる不安、美優の反応をただ待つように、男は壁に耳を当て続けた。【ご理解いただきありがとうございます。分かりづらい描写に丁寧に合わせていただき、とても嬉しいです。美優さんがスレ立て当初に想定していた流れから逸脱していないか、それが少し心配ですが。】
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『えっ…?私が…どうしたいか…?』当然のように次の指示が書き込まれると思っていた私の目に飛び込んできたコメント。それは間違いなくあの人…佐藤さんによって書き込まれたコメントである事は確認できた。今まで私の心の隙間をつくように、私の心と身体を煽り立ててきたあの人のコメント。私の知らない世界…次の扉を開く鍵を渡されると思っていた。それが『私次第…』と言うコメントに戸惑いを見せる私。『どうしたらいいの…?私がどうしたいかって…そんな…私が決めなきゃならないなんて…。』頭の中が混乱して心までも乱れてしまう。『どうしたいか…。私は…どうしたいの…?』何度もあの人からのコメントを読み返す。何か見落としてはないか…大切なヒントが隠されてはないか…私の行動を決める何かを…探し求めて…。『私の…身体に…?』聞いてみて…?お姉さんの身体に…。聞かれたい…。覗かれたい…。触られたい…。その…先…?そんな言葉達が私の躊躇う心を解放するかのように、私の身体を操り人形のように動かした。ゆっくりと立ち上がり隣のブース側に移動すると、壁に頬を擦りつけながら片手は濡れた下着の真ん中に…。『私の身体に聞いてみたら…答えが見つかるのかな…?こんなに…パンティ汚しちゃってる…私の身体に…。あぁ…ダメ…。ここを擦ると…何も…考えられなくなっちゃう…。』コメントに有った通り、濡れた下着を弄りながら自分の身体が何を望んでいるのか確かめようと指を這わせる…。強弱をつけ、時に激しく、時に穏やかに…。身体の芯が熱く火照り、その奥からは熱い蜜が滴るように溢れ出してくると、静まり返ったブースの中に湿った水音が響き始めてしまう。『あっ…ダメ…また溢れちゃう…。エッチな音…聞こえちゃうよ…。』もう何も考えることはできなかった。と言うよりも理性が何かを判断することができなくなったのだろうか…。濡れた下着を擦る指先の動きは、蜜が溢れ出る水源に下着を強く押し込む程に激しさを増し…。膝を震わせ全身を跳ね上げながら、半開きの口はついに身体が求める衝動を言葉に変えて吐き出し始める…。「あぁ…あんっ…ダメ…また…溢れてきちゃった…。私の…エッチなパンティ…もうビショビショなの…。エッチな声も…パンティ弄る音も…聞かれちゃってるかも…知れないのに…。あぁ…恥ずかしいのに…でも…。でも…パンティの上から…弄る指が…止められないの…。」隣のブースに声が届くことを想像しながら、全身を震わせながら下着の上から股間を擦る。何を求めているのか…。声を聞かれたい…?覗かれたい…?触られ…たい…?もっと…その…先の…ことも…?私の知らない世界の扉が開きかけている。震える脚でぎこちなく歩き、片手で股間を擦りながら片手でキーボードを打ちコメントを…。《きっと…聞こえてると…思います…。パンの上から…股間を弄ると…クチャクチャと…イヤらしい音が…。そんな音も…聞かれてしまっているかと思うと…手が…指が…勝手に…。どんな人か…わからない…でも…私に…興味を持ってくれてるなら…。私の望みを…今から言葉にしてみます…。》コメントをあげると再び壁に近寄り、今度は向こう側に伝
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「はぁ…はぁ…はぁ…。」男の書き込みを見届けて以後、美優の生々しい反応を耳で感じる為、青年は隣のブースとの間を隔てる壁に耳を押し付けている。ちらっと…男に視線を向ける。男は黙って微笑み、頷くのみ。「きこ…える…。」消え入りそうな声で…、隣のブースから微かに聞こえてくる艶やかな喘ぎ、卑猥な水音への感想を告げる。出会って数分の男もいる自らのブースの中で、興奮の色が隠せなくなっていく青年。たった一人の男に妻は女から雌へとひん剥かれ、青年は誰にも晒せない性癖を露呈させられる。青年の股間は傍目にもわかるほどに怒張していた。男は察する、おそらく自分よりも立派なものを携えているだろうと言う事を。それを目の当たりにすれば、妻は…美優はどんな反応を示すのだろうか…考えるほどに興奮がさらに高まっていく。そして喘ぎが少し落ち着いたかと思うと、隣のブースでキーボードを叩く音が聞こえる。美優の心を幾度となく揺らした佐藤への返事を綴っているのだろうか。青年の心をも昂らせた男の書き込み、への返事。情けなくも四つん這いでPC前に這うようにして戻ると、隣からはまだキーを叩いている音が聞こえているにもかかわらず、トン、トントン、と更新キーを連打してしまう。「ふふっ…。随分と楽しんでいる様じゃないか…。大丈夫…、美優は逃げやしないさ…、君がルールを守ってさえくれるなら…、好きにすればいいんだから…。」そんな新しいおもちゃを目の前にした子どもを宥めるかのような言葉をかければ、「は…はい…。良いんですよね…本当に…。」最後の確認、でもするかのようにそう呟き男の顔をもう一度見れば、男は微笑みを浮かべたまま黙って首を縦に振る。「あ…。え…今から…。言葉に…。」更新された美優のコメントに視線を走らせると、再び壁の方に視線を向け踵を返し戻っていく。そして飛び込んでくるのは、挑発的な言葉。欲情した雌が誘うように…、揶揄うように…そして楽しんでいるような言葉。そして「覗いて。」と、はっきり口にしたかと思うと、隣のブースの扉が少し動いたように感じる。男を見る青年の目は興奮で少し充血し、欲情そのものが滲んで見えるほど。男が再び頷くと、ゆっくりと立ち上がる。膨らんだ股間を整えもせず、自らのブースの扉を開き通路に出る。周辺の客の状態を確認すると、視線は美優がいるブースに。僅かに開いたブースの扉。内側から鍵をかけていれば開くはずのない幅で扉が開いているのがわかる。「本当に…、覗いていいんだ…。」結果的に、美優の誘いへの返事を言葉で返すことはできなかった青年。スレッドは初回からすべて読み返した。しかし、文字で描くには限界がある。美優という女は本当にそこにいるのか。顔は…?服装は…?体型は…?既に得られている情報もあるとはいえ、百聞は一見に如かず、という言葉があるくらいだ。一目見るまで分からない。「んく…。」美優のブースの扉の前に立つ。生唾を飲み込み、さして暑くもないのに額に汗がにじむ。そしてその首筋に汗の粒が伝う。キィ…。普段なら扉が開く音など気にもしない。しかし、その時はとても大きな音が鳴ったように感じた。覗いていい、云われたのはその言葉。しかし、いつどんな客が通りかかるかわからない場所で、「覗いている」状態が知れれば問題が大きい。意図してか…、無意識か…。
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