〘愛しの相棒さん、王女の陰部とは逆に縮小化してあげただけよ?笑いを堪えてるだなんてもう笑っているじゃない。勇者の子種を回収したからもう必要ないでしょ?それにこれから私と対面するのだから勃起されても迷惑だし汚らしい物など見たくないのよ!あら、ごめんなさい、声を荒げてしまったわ。私、もう愛しの相棒さん以外に触れられたくないのよ。愛しの相棒さんを信用するまで10年近く掛かってしまったわ…。掛かった年月分はこれから返させてもらうわ。〙−−−リルベル回想−−−「(……私は人への感情を持っていない、メルヒルにもただ女神に祈り人々の心を癒し平和をもたらしたかった。)」邪に染まってしまったドラゴン退治に出向いたあの日。砂漠の土龍成敗の時も、大海の水龍成敗の時も、火山の火龍成敗の時も、風龍の時も空龍の時も只只、仲間へ癒し魔法を唱えていた。その他の人達も私は心に寄り添い、耳を傾け綺麗事だけではなく職を無くした者へは職を紹介した、勇者とその仲間たちと共に。小さな揉め事はあるが平和となり王国に戻ってきた。勇者メルヒル様、騎士様、魔法使い様と壊れた村や街、そのほかの場所を巡回するはずだった。 「メルヒル様ぁー、騎士様ぁー、魔法使い様ぁー、フアナと美味しいスイーツご一緒してもらえませんか?」「否、私はベルと……。」「ベル様、平和になった国々ですものお一人で赴いても大丈夫ですよね?」出来ればメルヒルにも顔を出してもらいたかったが王都でも勇者は大事。「はい、王女様、私一人で行ってまいります。」突然、王女が叫び声を上げると床に焦げ跡がある。「キャアッ!酷い、ベル様、メルヒル様達と離れるのが嫌だからと私に危害を加えるだなんて酷すぎます……。」「…こんなに離れた場所からですか?」「貴女は魔法を使えるじゃない!ドレスの裾が焦げてます。」「ベル?そんなことを?」「私は人を傷つける魔法、唱えられません、メルヒル様もご存知だと思いますが…。」「何よ、ベル、私が偽りを言っていると言うの?」−−−勇者とその仲間たちの回想?−−−「メルヒル、本気か?」「騎士、何をだ?」「ベルを捨てて王女に乗り換えるって話よ。」「あぁ、その事か、国に逆らえるわけ無いだろ?」「そりゃ、そうだがお前等二人なら国を出て…。」「お前がそれを言えた義理か?」「俺は魔国に姉上を嫁がせたくないだけだ和平の為と言っているが魔国だぞ?俺が言う事を聞けば姉上は魔国に嫁がなくてもよくなるんだ!」「魔法使い、お前もだ!」「俺は隣国への魔法留学の費用を出してくれるって言うから…。」「お前なら金がなくとも留学出来るだろ!」「出来るさ、が、隣国の最高峰には留学が出来ないんだよ、我が王族の口利きがあっての留学だ。」各々の欲望の為、ベルを切り捨てた、裏切った。−−−王女の回想?−−−「お父様、メルヒルが欲しいのよ!」「しかしメルヒルは正聖女と…。」「それもよ!なぜ王族の私が聖女でベルが正聖女なのよ!親も居ない孤児院上がりの女が!しかも大公の叔父様に養女に貰われて!あのお姉様の義妹よ!しかもあの女が養女に行ってから跡取りが産まれて、大公の叔母様もお姉様もあの女を女神様扱いよ!」「しかしベルに落ち度がない。」「ならば落ち度があればいいのですね?」国王に歪んだ笑みを見せる王女。−−−再び、リルベル回想−−「何よ、ベル、私が偽りを言っていると言うの?」頭を振り自分は使えないと話すが…、今地下牢で拷問を受けている。私はなぜ此処に居るのだろう、連行される前、王女の手から魔石が落ちた、炎の魔石。鞭で打たれ体は揺さぶられる…、フアナ様に危害を加えた事を認めろと言われても
...省略されました。
〘別にそんなに恩に着る物でもないさ、前にも言ったように、最初は手慰みでやっただけだからな。それより馬車はもう酒場の前に着くぞ、心の準備はいいか。それに王国が魔国に攻め入ると分かったからには、麗しの君、君を復活させておいてよかったと、今更ながら思う。〙
ヨハンセンがそんなことを、テレパシーでリルベルと話している間に馬車は酒場の前に止まる。
「さぁ、着いたようです。メルヒル殿参りましょうか。」
ヨハンセンはそう言ってから続けて
「フアナ様はここでお待ちくださいませ。荒くれ共がいると、面倒ですゆえ。」
「何言ってるの?ヨハンセン。そんなもの共がいても、メルヒル様が守ってくださいますよね。」
メルヒルにしなだれかかるフアナ。
ーーーーーーーーーー10年前の王国広場----------
後処理を終え胴体を運ぶために、広場に戻って来る執行人達。
「おい、さっき飛ばした女の首と胴体が無いぞ、どうした?」
「あれっ、ほんとだ。誰か持って行ってくれたのかもな。」
「崖から下に落とすだけとはいえ、あんなとこに好き好んでいくやついるのか?〇しぶきや他の首はそのままだし…」
「いいじゃないの。俺たちの仕事が減ったんだから。」
「それも、そうだな(笑)」
〇しぶきを掃き広げその上に砂をかける執行人達。
「しかし、悪趣味だよな…いつまで置いておくんだろうなこの首」
「なんでも皇太子の希望とか…さっきの女も本当は無実だってもっぱらの噂だ。」
「おい、そこらへんで止めとけ。皇太子の耳にでも入ろうものなら、俺たちの首も離れちまうぞ。」
「ああそうだな、でも女の首と胴体が無くなったことだけは、報告しといたほうが良さそうだ。」
「止めとけ止めとけ。刑執行の場面には、皇太子も立ち会って、離れた瞬間には薄笑い浮かべてたぞ。それにわざわざ見に来るなんてことないさ。」
「そうかなぁ…」
「そうさ、それに見に来て首が無いことが分かっても、カラスが持って行ったと言えばいいだろ。」
「でもなぁ…」
そう言いながらも最終的には同僚の言うことを聞き入れ、報告しないことに同意する。
「胴体は崖下だし、首はカラスが持っていった。いいな。」
執行人の一人の心配通り、女の首が無いことを皇太子が知って激怒、執行人は刑に処されてしまった。
その後国中の捜索が行われたが、首の行方はようとしてわからなかった。
ーーーーーーーーーーヨハンセン回想----------
刑執行日から数日の後、女が復活している期待なぞなく、あばら家を訪れるヨハンセン。
扉を開けると、身体は動かせないながらも、キョロキョロと目だけ動かしている女の姿がそこにあった。
「これは驚いた、復活しとるわ。よほど、恨み・復讐心・未練等が強かったと見える。(笑)」
ベットに近づき、ベットに横たわる女を見下ろすヨハンセン。
「私か?そう警戒するな。私は魔国の者だが、国王の呼ばれて今は人間国に身を寄せている身。街を散策していたら、主の処刑場面に出くわしてな。この世への未練等を強く感じたので、手慰みに復活魔法を施した。本当に復活できるかどうかは、主の恨み・復讐心・未練等の強さに関わっていたが…」
壁際にある貧相な椅子に腰を下ろし
「復活なぞと余計なことをしたかな?」
ーーーーーーーーーー5年後----------
国王が退位して、皇太子が後を継いだ人間国。
新国王は前国王と違い、魔国との関係を友好から対立へと変化 させていった。新国王は勇者メルヒルを使い、魔国に攻め入る計画を考えていた。
前国王の執事に納まっていたヨハンセンは、その動きを知らない。