あの仕切のカーテンの向こうで…アレクとサリーナが消えたカーテンに目を向け想像を膨らませる客の男たち…そんななか店の主がサリーナに話しかけた。しばらくしてカーテンから顔をのぞかせたサリーナに流石の男たちも驚かずにはいられなかった。カーテンから顔を出した女の顔はほんのり紅潮し目は潤み、主への返答をしながらも時折なにかを耐えるように眉間にシワを寄せる…そればかりか声を詰まらせ野太い喘ぎ声のようなものをあげる。(マ、マジであのアナルビーズを…)(あの女…アレを使われて…な、なんて女だ…今にも気をやりそうじゃあねぇか…)サリーナがカーテンから顔を出し主への返答をしているのも女の夫の指示…サリーナの恥ずかし気な顔は、男たちにソレを容易に理解させるものであった。(イヒヒヒッ…旦那がそのつもりなら遠慮なく見させてもらうぜ…)年に1度の祭りの日、一緒に過ごす妻や恋人、家族、友人…そんな相手も居らず虚しくアダルトショップでエロ雑誌などを漁るしかなかった男たちには、まさに思わぬ幸運だった。頭の中で妄想を膨らませカーテンの向こうを想像しながらニヤニヤと卑猥な笑みを浮かべる男たち…主と会話をしながらも視線を上げられず気をやることを我慢し続けるサリーナが、そんな男たちに気が回らないのは当然であった。(さてと…ソロソロ…)ゆっくり一つずつパールを引き抜いていたアレクだったが、カーテンの向こうは見えないまでもギャラリーとなった男たちの様子は手に取るよう分かり、口元を邪悪に歪め残りのパールを一気に引き抜いた。「お"お"っ!う"っ……」只でさえ普段より大きなパールが一気に引き抜かれ人前であることに必死に耐えていたサリーナの口から凡そ気品溢れる美女が発するとも思えない野太い声が漏れ出た。(き、気をやりやがったっ!あのアナルビーズで…)店の主をはじめ、客の男たちは目を閉じ眉間にシワを寄せ絶頂するサリーナの顔に異様なほどの興奮を覚え股間を膨らませていた。(す、すげぇっ…顔だけでこんなに興奮するなんて…)膨らんだ股間をズボンの上から擦る者もいれば、ズボンの中に手を突っ込む者まで…気をやるサリーナの顔は、それほど男たちを虜にした。サリーナが顔を引っ込め、しばらくして試着室から出た2人…アレクは「どうだ?羨ましいだろ?」と言わんばかりの誇らし気な顔…一方のサリーナは耳まで真っ赤にして試着室に入る前より俯いてしまっていた。それほどサリーナにとって恥ずかしい出来事だった。「妻も気に入ったようだから…コレは貰っておこう…」ゴトリと音を立てショーケースに置かれたアナルビーズは、腸液なのか愛液なのか分からない液体でベトベトになり店の照明に照らされ濡れ光っていた。アレクとサリーナの買い物はアナルビーズだけで終わることなく続き、新作だと勧められた淫具はもちろんのこと、スケスケの素材でできた衣装から派手な色の卑猥な下着…そればかりかローションや浣腸液など、相変わらず2人について回る男たちの前で購入したのだ。「私たちは、このあと湖の公園に行くから…買った物は、郊外に停めてある馬車まで運んでおいてくれ…」アレクは主にそう告げると同時に男たちの方に振り向きニヤリと笑った。「それじゃあ…行こうか…」アレクはサリーナの手を引き店をあとにした。誰もいない路地に出ると俯いたままだったサリーナが泣きそうな顔をアレクに向け、店での事を問い正した。「申し訳ありません…少しやり過ぎましたね…でも…」アレクはサリーナを見つめると、そっと頭を撫でた。
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「お母様は来られないところに来てしまったのですね…っ。お店も経験したと、いつか自慢したいですが、内緒ですものね…。きっと『よく頑張った』って褒めてもらえるのに…。」先程までは死ぬほど恥ずかしかったことも、喉元すぎてしまえば冒険譚となり、愛する母に報告したい気持ちでいっぱい。しかし、アレクには口酸っぱく口止めされているため、諦めるしかない。嘘の常識もそうだが、アレクの口止めもしっかり効いている様子。サリーナの金で購入したアダルトグッズを大量に積んだ馬車の中でも平然としていた。病弱で足腰が弱いサリーナの手をエスコートしていたアレクだが、馬車に乗ってしまえば必要ない。しかし、自然と手を握ったまま、馬車で楽しく談笑し、湖へと向かった。「こんなに綺麗な湖があるのですね…。もちろん写真では見たことがあります。しかし、実際に見ると、雄大で美しい、素晴らしい景色です」馬車を降りると、虫の音色がBGMとなって響く湖のほとりが広がっており、澄んだ空気が2人を包み込む。大きく深呼吸し、静かに波打つ湖に目を輝かせながら遊歩道を歩き、目的の東屋へと向かう。「…ひゃあっ!?…っ、驚きました、これは隣国の開発した技術でしたね。社交会の際、開発しているというお話を聞きました。元々は、隣国の第二皇子様と婚約しておりましたからね…。」大きな声をあげて驚くものの、アレクの説明を聞いて思い出す。かつてまだ体調が良かった頃、社交パーティーにも顔を出していたサリーナは、少し年上の隣国の第二皇子と婚約がほぼ決まっていた。話がいよいよ確約となりかけた頃に病状が急に悪化し、当然その話は立ち消えてしまった。苦い思い出ではあるが、今サリーナを好き勝手に出来ているのも、全て病気のおかげであり、アレクからすれば幸運そのものだった。「わあっ、き、綺麗…っ!すごいっ、すごいですっ、アレクっ、おっきくて…っ!」ようやく始まった花火の打ち上げ。一つ一つに子供のように反応し、はしゃぐサリーナ。空ばかりを見ていたサリーナにアレクが湖面を見てみるよう促すと、そこに写っていたのは湖に咲く花。思わず見入るほど美しく、アレクに身を預けたまま、じっと鑑賞し始めた。2人きりで、静かな空間に綺麗な花火が咲き、ムードは自然と高まる。初めての花火を見た興奮も少し落ち着き、ゆっくりと心の内を語り始めた。「…実は、アレクと最初に2人で暮らすと決まった時、少し怖かったのです。殿方との関わりは少なくて、お屋敷にいた時はアリサが付き人でしたから…。」アリサはサリーナと同じくらいの年のメイドであり、本家にいた頃は御付きの使用人だった。接している時間も長かったため、友達のように仲が良かったが、アリサか嫁ぐことが決まり、サリーナの元を離れ、病状もさらに悪化。感染すると言われている病気のこともあり、人数を割くことはできず、離れに幽閉するとなると、力仕事も必要であるため、選ばれたのはレイウスからの信頼も得ていたアレクだった。「でも、こんなに素敵な人柄で、お優しい方で助かりました…。アレクには申し訳ないですが、こうして一緒にいられることが、本当に楽しいのです。」花火を見ていたはずの瞳は、気がつけばアレクを覗き込んでいた。「夫婦の真似事をお願いしたり、我儘ばかりで迷惑をかけているのはわかっています。こんなことを口にしたら、きっと困らせるだけなのも…。でも、今は体調が良くても、またいつか悪化して、死んでしまうことだってあるかもしれません。だから、伝えるだけ伝えたいの…。アレク、お慕いしております。アレクのことを想うと、ドキドキして、寝付けない日もありました。ずっと、一緒にいたい…。」ひとしきり言い終えると、少し気恥ずかしくなって、アレクの胸元に抱きつく。それと同時に、今日一番の大きな傘が空に輝き、2人を彩っ
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