あの後、しばらくの間は律子ちゃんは以前と変わりない様に過ごしている様に見えたが…ある日の夜…ふと目を覚ますと隣で寝ていた筈の律子ちゃんの姿が見当たらない…身体を起こし、まさかまた律子ちゃんうなされていたんじゃ…と思いながら周りを見渡すと台所から明かりが漏れていて、お水でも飲みに行っているのかな…と思って少しホッとしてたら、突然激しく咳き込み、吐いている様なので僕は慌てて律子ちゃんの元に駆け寄り背中を擦ってやると「瞬一…ありがと…もう大丈夫だよ?何か、食べ合わせとか…まずかったのかなぁ…」と言う律子ちゃん。最近うなされて起きる事が増えているということは律子ちゃん自身も気づいていると思うけど、僕に心配かけない様に誤魔化しているのか、それとも本当に気づいていないのか…僕がどちらか判断出来ずに過ごしていた。しかし律子ちゃんの状態は良くなる事なく、やがて水泳の泳ぎまで影響が出てきて、久しぶりにゆかりコーチと泳ぐと言って出て行った律子ちゃんだったけど、調子は上がらずコーチに調子の浮き沈みはあるものだから、そんな時は泳ぐのを休んで?と言われて帰ってきた律子ちゃんとその夜、どちらともなく手を繋ぎキスを交わし…いつもの様に律子ちゃんの身体を丁寧に愛撫して感じさせて、いつもの様にトロトロになったおまんこにおちんちんを突き入れると官能的な声を上げて悶える律子ちゃん。そしていつもの様に横にして奥まで捩じ込むと「くるしい!でもいいよ!瞬一!もっと深く奥まで!」と僕にしか見せない鳴き方でよがっていて、このところの律子ちゃんの様子がおかしかったのは、僕の杞憂だったか?と思いながら体位をバックに変えて、律子ちゃんお気に入りの潰す様にのしかかろうとすると…「やだ!離して!」と凄まじい力で僕を押し退けて険しい顔で叫び、布団のシーツを身体に巻いてベッドの端に逃げて怯えた表情を見せた。そこで初めて、特定の体勢になるのが駄目というのが、わかった気がした。するとすぐに我に返ったのか済まなそうな顔をして「ご…ごめん瞬一…そんなつもりじゃなかったの…実はあたし…あれから…関根の一件があってから…」と律子ちゃんがポツリポツリと言ってきて、僕は「わかって…いたよ…?」とポツリと答え頭をそっと撫でると律子ちゃんは僕の胸の中に飛び込むと身体を震わせ静かに泣き始めた…そこで初めて律子ちゃんが自分の身体の異変に気づいた事がわかった。静かに泣く律子ちゃんを見て、もっと早く僕が対応できたら…律子ちゃんの身体からサインは出ていたのに…何故僕は律子ちゃんをサポート出来なかったのだろう…そんな事を思いながら律子ちゃんを抱きしめ、「大丈夫、僕がついているから…」と慰めながら言っていた。しかし自分の身体の異変を自覚してからの律子ちゃんは体調の崩れは早く…あれから数週間たつ頃にはもう律子ちゃんは寝ている時間の方が長い状態になってしまい、僕はコーチに連絡して「疲れからか、なかなか体調が回復しないので、しばらく休ませて下さい。」とお願いした。弱々しくなっている律子ちゃんの側に寄り添いながらも仕事も量を減らしながらも続いていた。そんなある日まなみさんから電話があった。律子ちゃんが身体の異変を自覚してから、何度かまなみさんに連絡をしたが、何故か連絡がつかなくて、そうするうちにどんどん律子ちゃんの体調は悪くなってしまい…そんな折りにまなみさんからの電話…「あっ…星野くん?まなです。りっちゃん、今テレビ見て…あの…」と言う声が聞こえて「あ、まなみさん…こちらは大丈夫だから、もうこれ以上、関わらないで。」と冷たく言って電話を切った。「瞬一…だれ?」「なんでもない…間違い電話だよ?」と言って律子ちゃんに寄り添いながら携帯を律子ちゃんから遠ざける様に置いて笑顔を見せて「律子ちゃんは何も気にしなくて良いよ?僕が守ってあげるから…」と言った。きっとまなみさんの事だから今度は私が…って思っているに違いない。でも…今回ばかりはまなみさんの出番はない。僕がきっと律子ちゃんを助ける!助ける番だ!こんなふうに律子ちゃんがなった原因の1つはまなみさんにもあるんだから!だから律子には悪いけど、まなみさんと会わすつもりはない。これを機会にまなみさんとしばらく離れてもらうよ?まなみさんと深いとこで繋がっているとは言っても、今回の事は僕が許せない。そんな律子ちゃんをきっかけはどうあれ、昔の傷を抉り出され、それが今の身体の異変に繋がっているのだから…出来ることなら、まなみさんの事も忘れて、あの事件の事も忘れて、僕だけの律子ちゃんになって欲しい。
...省略されました。
まなみさんからテレビ見て…といった電話があった後、僕はここでまなみさんから電話あったと、もし律子ちゃんに伝えたら、いつもの様に喜ぶだろうか?否、きっと律子ちゃんなら今の姿を見られたくない!そう思う筈…
だからまなみさんに気づかれたくないと無理してでも会ったに違いない。
そんな事したらその後更に悪化する可能性だってある。
だからせめて律子ちゃんが起きれるくらいに回復するまでまなみさんと会わせない方が良いだろうと、僕は思ってわざと冷たく対応した。
電話に気づいた律子ちゃんが「瞬一…だれ?」とたずねて来て、「なんでもないよ?律子ちゃんはもう少し休んでいた方が良い…」と言って携帯を律子ちゃんから遠ざけて置くと、律子ちゃんに寄り添い、そっと寝かせ頭を撫でた。
ただ…どうすれば、何をすれば、律子ちゃんの抉られた心を治す事が出来るのか?
まだ寝ている時間が長くなる前にバイクの後ろに乗るが出来た時に色々綺麗な景色見せたりして気分を変えようと試みたけれど…駄目だった。
しかしこのままだと、まなみさんが心配して此処に何時来てもおかしくない状況になってしまった。
まさかテレビで取り上げられるとは…改めて律子ちゃんの存在がいかに注目されていたか、わかった。
だからといっていつまでもこんな状態を放置していく訳にもいかないので、僕はひとつかけてみた、律子ちゃんにとって、まなみさんの存在に匹敵する相手…しかしながらその相手は…
僕は数日後、律子ちゃんに「あのさ、律子ちゃん…僕と再び再会出来た札幌に行ってみないか?
もう一度、律子ちゃんのお父さんとお母さんの思い出の地を巡ってみないか?」と聞いた。
今の律子ちゃんには無理かも知れないが、何か回復するひとつのきっかけにならないかと思って、提案してみた。
【まなみさん、前レスをこちらに変えます。】
(…瞬一がどこかよそよそしい…律子はしゅんくんの態度がどこか違うことに気付きます。特に携帯をわざと遠ざけるようにする事が多くなり…精神的に弱りきっている今の律子は、こころなしかやつれてさえ見えます。1日の大半をベッドで過ごして、何かの動きで腰が上がると怯えて…)…しゅんいち?あれ?しゅんいちぃ?(ある日、起きるとしゅんくんがいません。出かけたのでしょうか?居間には律子の携帯が。恐る恐る電源をいれて中を見ると…水泳の関係者やスポンサーさんからの電話やメールがたくさん入っていました。でも…なにか足りない。意図的に何かがなくなっている…その何かはわかっていました。律子はいつもは設定しない留守電を入れると、また電源を落とします)…やっぱり出ない…ゆうすけにはまなから連絡するからとは言ったけど…どうしちゃったんだろう……っ!あっ…(その頃、まなみはいつものように律子に連絡をいれます。今回もまた繋がらないと諦めていたところに留守電になりました。まなみは叫びたい気持ちを堪えて、大きく一呼吸おきます。そして…)『りっちゃん?まなです…身体、大丈夫?心配です。何度連絡しても繋がらない。星野くんもなんだか素っ気なくて。たぶんきっと、まなが関係してると思います。でも、星野くんも何か考えがあるんじゃないかな?今までまなはあなたにたくさんたくさん助けられてきました。今回はまなが何を犠牲にしてでもあなたを助ける番…今はこうして静かに見守る事があなたを助けることに繋がるのなら…まなは待ちます。だから必ず、必ずまた帰ってきてください。まなって呼んで…抱きしめて…髪…なでて…まなは…まなは…どんなになっても…あなたを愛してます…』(最後は涙声になってしまいました。留守電を切った後、まなみはその場にうずくまり激しく泣きます。そうは言ったものの、ほんとはすぐに駆けつけていきたい!渋るしゅんくんを押しのけて抱きしめてキスして…でも…いまはダメ…ある意味、まなみにとって律子と距離を置くのは身を引き裂かれるのと同じくらい辛く苦しい事です。でも…いまはそれしかないと信じて…激しく嗚咽し、咳き込み、それでも声の限り何度も律子の名前を呼んで泣き叫んで…いつのまにか居間の真ん中で眠ってしまっていました)まな…まなぁ…(そしてそのメッセージを聞いた律子も、目頭を熱くさせます。あの子のためならいくらだって元気を振り絞れる、頑張れる!抱きしめたい…その胸の中に小さなあの子を埋めて離したくない!律子はまなみの声を心の深くにしまい、留守電を消去します。そして携帯の設定を元にもどして電源を落とし…一瞬伏せ、開かれた目には何か火が灯りかけましたが、まなみの顔を思い浮かべると同時に…)っ!うぶっ!んぶうううっ!おええっ!おげえええええっ!…はぁ…はぁはぁはぁ…なんで…どうしてよ?どうして邪魔するの!なんで立ち直らせてくれないのよおっ!どうして?どうしてええええっ!(しゅんくんの心配通りなってしまいました。まなみが引き金になって思い出してしまうトラウマ。律子はその場で戻しそうになるのを必死に堪えて、台所に…ひととおり吐くと、その場にうずくまり悔しさで叫んでしまいます。)…え?さっぽ…ろ?(さらに日にちはすぎ、まなみからの連絡も、あれから来なくなりました。テレビであれほど騒がれていた律子の休養騒動も、話題の流れに埋もれて流れていき、律子の心を安定させます。もうこのまま泳ぐ事はできないかも…まなともこのまま…でも…いっそこのまま、普通に、この人の妻として…それはしゅんくんが望む最良の結果。律子もそれを受け入れようとしています。でも、しゅんくんに向ける笑顔は穏やかすぎて…全てを無くしたように空っぽの笑顔をするようになってきていた律子を見ていると、やはりこれでは解決にならないと思ったのでしょうか?突然札幌旅行を提案されます)…なに?とつぜん。あたしならもう大丈夫だよ?最近は吐く事もなくなってきたし、心が乱されることもめったになくなったから。…え?結婚前に?もう一回思い出巡りしたいの?そう…だね?そうしよっか?(この頃はずっとお守りがわりのようにずっと肌身離さず持っていた、亡き母のブローチ。律子は無意識にぎゅっと握りしめると、まるでその母を亡くした時のような笑顔で見つめ返すのでした…)
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