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罪と罰

カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:痴漢 官能小説   
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1: 罪と罰
投稿者: ふう
菱木卓の母は物心をついた頃には、すでにいなかった。

派遣会社を経営する父の元で育ち、そんな卓はいつしか中学生になっていた。

父の派遣会社は一見して普通の派遣会社にしか見えないが、2面性を持っているのは知っていた。

けれど幼い頃から見てきたそんな環境が当たり前だった卓には、同業はみんなそういうものだと思っていた。

夕方になると20代〜50代の女性たちが出勤してきて、卓の良き遊び相手をしてくれていた。

いつな頃からか父親から、こう言われるようになった。


……卓、いつか理解する時がくると思うけどな、お姉さんたちのことは誰にも言っちゃ駄目だ。
絶対に………。



子供心にも薄々は普通とは違う、何かを察してはいた。

それがお姉さんたちに漂う性の匂いなのか、連絡があると女の優しいお姉さんの顔から女の顔になのだから。


お姉さんたちからすれば、卓は汚れのない癒やしだったのかもしれない。

様々な理由で身体を売るところまで堕ち、悔やみの中で唯一の眩しい存在だったのだから。

それも中学生になると、終わりを告げた。
父の鶴の一声が早すぎる大人への階段を、否応なく登ることになったのだ。


……卓を、大人にしてやってくれないか………


彼女たちは当然戸惑いを見せたが、雇い主である父の言葉には逆らえなかったのだろう。


まだ自慰行為すら朧げにしか知らなかった卓は、お姉さんたち数人に浴室に連れて行かれたあの日を忘れてはいない。

両手両足を拘束されて全裸にされると、まだ当然のように包皮を被ったそこを、ゆっくりと剥かれたのだ。

過保護だったペニスの亀頭は気色悪いほど赤く、とにかくショックだった。

お姉さんの1人はこびり付いた白い汚れというのか、洗い落としてくれた。

今では優しくしてくれていたと理解しているが、耐性のないそこは性的快感を享受できる状態ではなかった。

まるで幼い頃に道ばたで転び、肘か膝小僧を派手に擦り剥いて肉が露出した傷を、擦り洗われるかのような苦痛だったことを憶えている。


それが済むと過敏なそこをお姉さんの1人が、口に咥えてしまったのだ。

若過ぎる果実に舌を這わすようなことはせず、唇だけを使って粘膜の感触を伝えてくる。

その感触はまだ痛みを感じる直前にしか感じず、ただ温もりだけが救いだった。


そんなことが数日置きに繰り返されて突然お腹の底から何かが猛烈な勢いでこみ上げてくると、生まれて初めての射精をしていた。


それからの卓は、彼女達の捌け口になっていく。
彼女達にしてみれば同じセックスでも、汚れた男達に抱かれるのとは違って、新鮮な果実を食せる機会なのだ。

中学生とはいえ父譲りの見事なサイズ、綺麗な色の硬く逞しい若いペニスと出会うことは、そうあることではない。

ましてや快感を覚えたばかりの男の子が自分の体の下で悶え、自分の腰の躍動で呆気なく果てるのだ。

膣の中で脈動しながら精液を吐き出し、落ち着くとまた腰を動かし、女の子のように喘ぐしかない卓を見詰めながら膣の奥でペニスを味わう………。

数日置きに代るがわる今日は私、今日は私というようにせっかく充填された精液を吐き出させられる日々。

淡い恋を経験する前にセックスを覚えさせられ、どこをどんなふうにすれば女が喜ぶかを彼女達に教え込まれていった。

中学生にして射精感をコントロールをし、来る日も来る日も彼女達と繋がった。そして、卓はあることに気づいた。もちろん人にもよるが、30代半ばぐらいからの女性とのセックスが好きだということを。

セックスに対しての貪欲さ、快感を受け止める懐の深さが違うのだ。それは経験値や体質が関係しているのかもしれないが、快感を享受する量が見えないのだ。

どこまでも卑猥な喘ぎ声を出していたかと思えば獣じみた声を上げはじめ、体を弾ませて果てていく。そして再び腰を動かせば狂わんばかりに髪の毛を振り乱し、何かに縋るように手を彷徨わせて快感を貪り食う。

あんなセックスを経験させてくれる女性たちを相手にしていれば、自ずと好みは決まってしまう。

いつしか卓の目は、外の女性に向けられるようになっていった。





酒井明美は今日も変わらず帰宅ラッシュの車内でその身を縮め、揺れに任せていた。20代で生涯を共にすると疑わなかった人と結婚し、42歳になった今日まで子供には恵まれなかった。

子供はいなければいないで夫婦の時間を大切にして、好きな仕事も続けられる充実した生活と言えた。今の生活に不満はない。このまま穏やかに歳を重ねていくものとばかり思っていた。

なのに………。

この10年近く痴漢に遭遇することなんてなかったはずなのに、どういうわけかお尻に違和感を感じていた。若い女でもない自分に痴漢をするなんてどんな者好きなのか、次の駅で駅員に突き出す前に確かめてやろうと明美は首をひねり、自分の肩越しに背後の人物の顔を睨みつけてやった。

前に向き直った明美は、どういうわけか動揺を覚えていた。どうしてあんな子供が………。

明美のお尻を触っていたのは、まだあどけない顔をした中学生?………いや、高校生になったばかりの少年にしか見えなかったのだ。

もしかしたら自分にもあんな息子がいたかもしれない、親子ほど歳の離れた少年の手がスカートの裾を潜って下着に手を這わせてきた。明美はパンストではなく、セパレートストッキング身に着けていた。理由はお腹を締め付けるあの感覚から開放されるし、トイレでもいちいち脱いだりしなくてもいい便利さゆえという理由でしかない。

今はそれが仇となり、下着に直接触れる指が股の下を侵入して秘部に辿り着いていた。どうしてあんな子供がこんなおばさんの私を?どうして、どうして、どうしよう………。

騒ぎを起こせば周囲の視線が突き刺さる。少年の将来は……少年に痴漢されたとヒステリーを起こす中年の女という構図に、誰が信用してくれるというのか。その懸念が明美を窮地に陥れていく。

逡巡する明美の秘部を無表情の少年、卓の細い指先が揉み回していく。明美の嫌悪感は焦燥感に変わり、やがて起き上がろうとする寝た子宥めることに集中しなければいけなくなっていた。

夫との夜の営みは週に1回あるかないに減っており、なんなら2〜3週間もないことは珍しくなくなっている。正直にいえば若い頃よりも今のほうが欲しいと思うことはあるが、無ければないで仕方がないと思うようにしている。そこに不満はないが、ないけれど………。

明美の欲望という名の子が目覚めるのは、必然だった。ショーツの二重底になったクロッチに卓の指の腹が的確に刺激を伝え続けられ、包皮からは明美の充血した実の娘が顔を覗かせていた。

明美があっと思ったときにはクロッチの脇から指が侵入を果たし、柔らかい指の腹に敏感なところを触れられて息を、殺さねばならなくなっていた。

明美は巧みな指使いに翻弄されて失いそうになる我を必死に保ち、扉の脇にある手摺りを滑り落ちそうになる手でどうにか握りしめ、扉の窓の外を見るともなしに見詰め続けるのだった。


卓の指先は柔らかな秘裂の中を前後に往復し、海藻のような恥毛を感じながら泥濘みの海を泳ぐ。そして敏感なところを揺さぶり、女性が耐えられるぎりぎりを見極めながら指の腹で舐めていく。


明美は薄く開けた唇の隙間から、呼吸をするのがやっとになっていた。
 
2026/06/09 05:04:12(JAiEdMNr)
37
投稿者: ふう
一般的な水着とは異なり、水の抵抗を抑えるための機能が顕著な競泳用水着。その抑圧から開放された杏奈の胸は巨乳とは言えないまでも、確かな美しさを誇示していた。

卓にとっては女性の見慣れたパーツではあるが、数多いる女性に似たサイズや色形はあれど、実は2つと同じ乳房はない。これがこの人の胸………。
常日頃からケアを怠らないと見える肌の色艶が、普段は隠されている場所だからこそ露骨に出ている。

程よいサイズでありながら重力に抗うかのように張りを保ち、釣り鐘型の土台にぷっくりと突き出る乳首がツンっと飛び出ている。フレッシュな印象のピンク色の乳首もいいけれど、乳輪と同色の茶色味が大人の魅力を感じさ、むしろ卓はこっちのほうが好きだった。

窓からの自然光に照らされる2つの乳房があまりに美しくて見惚れていると、羞恥する杏奈になんとも言えない表情で睨みつけられてしまった。それはそうだ、秘め事は本来なら薄暗い空間でするものなのだから。

改めて杏奈の柔らかい唇に卓の唇が重ねられ、曲がりかけた杏奈の色情が盛り上がるのを実感させる。尋常ではない出来事を経て呼び覚ませられた欲求が、常日頃から積み重ねられてきた分もその舌の動きに憑依する。

貪るように卓の舌を味わい、欲情する様はホットヨガを指導している時とはまるで別人の、妖艶とも言える顔に変貌させている。
顔に官能色の濃い鼻息がかかる……。
杏奈の興奮をそのまま乗せて、卓へと……。

そこへトイレ専用の履き物の踵を軽く引き摺る特有の音を鳴らし、複数の足音が個室の地面を響かせ始めた。唇を重ねたまま杏奈の動きが止まり、窺うように忙しなくその目だけを泳がせる。

男性だから放尿を済ませると、用は済んだと言わんばかりに去っていく。卓の口が杏奈の乳首を包み込む。短い吐息と共に「あっ……!」っと、小さな掠れ声を出しながら尖った顎が跳ね上がる。

水の内側からその存在を誇示させていた頂きは、さらに主張を見せて卓の舌先に踊って応える。
根元から軽く吸い上げながら、先端へ向かって唇から離す。舌の面を使って先端を擦り、側面を周回させながらまた唇で包み込む……。

バラエティに富んだ性技というよりも、乳首に対する愛撫さえ手を抜かないその試みは、今でまで手の届かなかったところに触れられたような、とても繊細な悦びを杏奈にもたらしていく。

本当なら身体に張り付く水着を剥ぎ取って、その身体に舌を這わせたいところだが、難儀な思いをさせるわけにはいかない。身に着けさせたままその上から口を付けて、見ている杏奈に雰囲気だけでも味合わせる。

下へと下がっていく卓の頭を見下ろす杏奈は、その唇と舌が水着越しに触れる感触が伝わるのを実感して、ゾワゾワと肌に鳥肌を浮かべて最高潮の興奮をに身を震わせた。

完全にしゃがみ込んだ卓は杏奈の片脚を持ち上げて自分の肩に乗せると、ハイレグになった面積の少ない部分を横にずらし、綺麗に整えられた密林を露わにした。その下には特有の芳香を放っているクレパスが姿を現し、ワックスを塗ったように光沢を帯びて待ち構えている。

これまでもスタジオで互いに顔を合わせてきた2人だが、ヨガパンツに覆われていた秘密の部分をひとりは至近距離で見詰め、もうひとりは強烈な羞恥心に顔を背けて来たる時を待ち侘びている。

卓はそこに躊躇なく口を押し当てて、粘度のある甘い汁を啜って見せた。そうしながら綺麗に舐め取って隅々まで舌先を訪問させると、要の蕾を唇で包み込んだ。軽く吸っては舌先で撫で回し、繊細に揺さぶっては回転させ、上下左右に走らせていく。

消去法で反応がいい技だけを残し、体を震わせる杏奈を導いていく。口に手を押し当てながら首を左右に振る杏奈は、猛烈な快感に必死に耐えていた。

気になっていた若い彼にこんなことをされる日が来るなんて、さすがにここまでの想像も出来なかった。とても大胆なのに想像以上に丁寧で、強引なところもあるのに乱暴ではなく、不思議と従ってしまう。

駄目…駄目っ……そんなにしたら…駄目なのに……

十二分に挨拶を終えた蕾に被さる包皮を剥かれ、やっと接触する程度の触れ方で、完全に露出させられたクリトリスを愛撫されていく。
苦痛を感じさせられることなく、どうしてこんなに巧みなのかと思考する前に、否応なく反応してしまう……。

動いてしまう腰を腕で拘束されて、個室の壁が行く手を塞ぐよう強固に背中をガードする。腰を落とすことも叶わず、声を上げることも許されない。苦悩で頭を抱える何者かのように杏奈は卓の舌の、生贄さながらに身体を捩らせるだけ。

苦しみにも似た快感が頭を痺れさせ、何かに縋るかのように片手でで卓の髪の毛を鷲掴みにする。
駄目っ…駄目っ……もうっ!…………

その瞬間の記憶はなく、頼まれもしないのに卓の水着を下げる自分がいた。
そこに自己顕示欲が介在する余地はない。
ただ純粋に、欲しかったのだ。

こんな大きいモノ、入るかしら……。
歯が当たらないように気を使いながら口に含み、過去のパートナーを悦ばせたオーラルセックスを開始する。

苦しいけれど大人の女の味を、知って欲しくもあったのだ。




杏奈のフェラチオはさすがに同世代のものとは段違いに素晴らしく、経験値の高い大人の女性を卓が好みとする理由は、ここにある。
快感を享受する懐の深さを持ち、追い求める貪欲さが堪らないのだ。

自分のサイズを考えれば苦しそうな杏奈を、いつまでも続けさせたくなくて解放する。なぜならば自分は射精をコントロールしてしまう、それが身についてしまっているのだから。

どうして……と、ペニスから遠ざけられて不服そうな表情を見せる杏奈を立ち上がらせ、背を向けさせる。お尻を半分くらいしか覆わない斜めに駆け上がるその部分を、脇に寄せる。そして……。

ゆっくりと押し当てた先端に力を込めていくと、音もなく静かに沈み込んでいく。杏奈の口から喉を絞ったような、息を止める「うぅっ」っとくぐもった小さな声が出る。広がっていく膣口がやっと雁首までを通過させると、にゅるんっと吸い込まれていった。

時間をかけてゆっくりと中程までを数回の往復をさせ、馴染んてきたことを確認すると、ゆっくり奥まで挿入させていく。根元まで入ってしまうと子宮口を圧縮した状態になり、すかさず後退させて入口から中程までを往復させていく。

纏わりつく壁がまるで抱きついてくるようでもあり、その温もりと滑らかさが中の凹凸感と緩やかな曲線を描く産道を、如実に伝えてくる。

はぁはぁ……と早い呼吸を繰り返していた杏奈もこの頃になると吐息が長くなり、卓に頭頂部を頻繁に見せるようになった。つまりは顎が跳ね上がる回数が増えたということであり、その意味するところは、言うまでもなかった。

卓の目が見下ろす先には艶々した自らのペニスが腰を引くたびに根元から現れ、繰り返し沈めると杏奈が頭を持ち上げる仕草、その光景だった。

細く括れたウエスト部から見事な曲線を描く腰までのライン。その括れを両手で掴み、急ぐでもなくゆっくりと繰り返し腰を前後揺らし、中を往復させていく。


これだ…これなのだと卓はひとり、感慨深げに味わっていた。




こんなに大きいサイズを経験したことが過去にあっただろうか、その苦痛に顔を歪めて息まで止めた。奥まで到達されたときの圧迫感は相当なもので、内臓が口まで押し上げられるのではないかというくらい、凄かった。

でもその後の押し広げられる苦痛に慣れてくるにつれ、正確にはまだ慣れきってはいないけれど、深い快感が湧き上がってきたのだ。ゆっくりとしか動かされてはいないのに、そのサイズ比例して感じさせられ方も段違いにいい……。

ずうっと味わっていたいと思わせてくれる、丁寧な突きかたも味方をしてくれて堪らない……。
ずいぃっ……ずいぃっ……っと入ってくる。

杏奈は跳ね上げた顎の上、その口を大きく開いて声なき声を吐息に乗せていた。
目を閉じて恍惚とする表情には微塵の苦痛も感じさせず、眉尻を下げて眉間に皺を寄せては感じ入る。

不意に奥まで到達されて、これまでとは違う甘味な味が杏奈を襲う。

このあとには勤務が待っているというのに、その現実が恨めしかった……。
26/07/04 00:44 (tdid2l3J)
38
投稿者: 美咲 ◆oMwiTKEwy2
はじめまして…
最初から全部読ませて頂きました。
女性の年齢設定が私と同じくらいなので、途中から私がされているかのような錯覚になってしまいました
読み終えたら下着が濡れちゃってました
26/07/04 07:58 (Peh7FZq1)
39
投稿者: ふう
コメントを頂いて、ありがとうございます。

美咲様は、同年代なんですね。
同じ女性の方に読んで頂いて、嬉しいです。

拙い文章ですが、興奮して頂けたなら幸いです。
26/07/04 11:48 (tdid2l3J)
40
投稿者: 美咲 ◆oMwiTKEwy2
凄く興奮しちゃいます
私もこの中に混ぜて書かれてみたいくらいです
26/07/04 18:13 (Peh7FZq1)
41
投稿者: ふう
不快な梅雨が終わると茹だるような真夏の暑さが到来し、そのも灼熱の日々も過ぎ去った。季節はさらりとした空気の秋へと移り変わり、目についた紅葉樹であろう街路樹の葉も色付いてきた。

毎週ホットヨガに通ってくれていた彼は、ある日を堺にぱったりと姿を見せなくなってしまった。
当初は彼の身に何かがあったのだろうかと心配をしていたけれど、過ぎゆく時と共に意味のないことだと、やっと気付いた頃には肌に当たる風がもう冷たくなっていた。

あれからも彼との時を重ね、束の間の夢のような日々に何の疑いも持たなかった。けれどあれほど夢中になっていたというのに、まるで魔法が解けた気分だった。本当に何に熱を上げていたのか、熱を帯びた気持ちを冷却する今日までの時間は、自分が冷静になるには必要だったのだろう。

誰にも触れられなくなった身体も相変わらずそのプロポーションを保ち、ヨガスタジオで仕事としてその身を晒している。その姿は通って来てくれる大半の女性たちの模範となり、自分もそうありたいと願う彼女たちの憧れとなり続けている。

けれども少数の男性も参加されて、ホットヨガの本来の良さを理解してくれるのはありがたいと思っているけれど………。誠実そうなその顔の下に邪な別の顔を隠している者もいることを、杏奈は知っている。

本人は上手に隠しているつもりだが、つい出してしまうあの一瞬のいやらしい目付きだ。女はそういうことには敏感に気付き、緊張をしながらも害がない限りは仮面の下に警戒感を隠せるのだ。

うつ伏せになって両手を前につき、上半身を逆に反らすポーズは胸を強調させるから、密かに邪な気持ちを抱く者にはお誂えの餌食になる。ヨガのポーズには性的な目で見れば、普段は見ることのできない身体の部分を見せつけるものも少なくないのだ。

男がそうであるように、女の杏奈にも性欲はありる。ただ男のように、露骨に見せないだけたちが悪いのかもしれない。花と猫を愛し、杏奈の自宅には愛猫が口にしても害のない植物の鉢を飾り、休日には猫を陽様に乗せてカフェオレのカップを手に、本を読むことが癒やしの時間になっている。

結婚を避けているわけではないが、自分の年齢を考えるとひとりの時間を長く過ごしてきただけに、そのペースを乱されることに抵抗を覚えるのも事実。でも……自分を持て余す夜があるのも嫌な話、また現実だった。男のように簡単に相手を求めるのはハードルが高く、それだけのために素直になる女なのように杏奈は器用でもない。

そんなときに、彼は現れたのだった。
杏奈の気持ちを掻き乱し、身も心も彼のセックスに溺れた日々は何だったのかと、今はそう思えるほど穏やかだった。


ある日の午後、杏奈は思い立って本屋へと足を向け歩を進めていた。東京郊外のこの地には広い土地を利用した大きなガソリンスタジオや大型電気店、ショッピングモールが国道沿いに立ち並んでいる。杏奈は駐車場に仕切りのないコンビニや、飲食店などが隣接するその隣にある大型の本屋に立ち寄った。

数冊の小説を手に雑誌の並ぶコーナーを目にしながら、歩いているときだった。向こうからこちらに向かって進んでくる人を視界に捉えていたが、すれ違うだけの十分なスペースはある。ぶつからない自身はあったのに、身体を避ける杏奈の方へ相手が寄ってきたのだ。

棚に並ぶ雑誌を物色するのに余念がなないのか、その相手はぶつかる直前になって初めて気付いたように立ち止まった。杏奈も同様に立ち止まり、やや困惑した顔を向けて相手が誰であるかを、そこで初めて気が付いた。

あの、彼だった………。




カフェでもあったらよかったけれど付近には見当たらず、仕方なく隣にあるファストフード店に入ってコーヒーを片手に向き合う2人。
元気だった……?どうしていたの……?
彼に聞きたいことはいくらでもあたったが、言葉少なに聞くのがやっと。

………うん、最近忙しくて……ちょっと顔を出せなく  
  て、ごめんね……

身体を重ねるだけの男女でしかなく、付き合っているわけでもないのだから謝らなくてもいいのにと、微笑を浮かべる。
年齢差のある杏奈たちは客観的にみたら、どういう関係に見えるのだろう。どこかの先輩と後輩、上司と部下、あるいは仲の良い親子とか………。

他愛のない会話で穏やかな時間が流れ、それなのに気持ちが満たされていくのを杏奈は感じた。
分かっている、所詮は恋ではなく自分の理想に恋をして、現実離れをしたセックスに身を浸して酔っていたのだ。

二回りも回りも離れた彼とそのペニスに酔いしれるなんて、どうかしていたのだ。睫毛が長いその色白の顔に笑顔を浮かべ、見詰めてくるその瞳はいつ見ても愛おしい。何を話していたのかも覚えていない、でも心が温かかった。

お尻に根っこが生えたようにその場を過ごし、いつまでも居たかったけれど、杏奈から切り出して腰を上げる。きっと彼は気を使って、自分からは切り出さないだろうから。

お店の前で小さくな手を振って、背中を向ける。
もう彼は二度とその顔を、自分の前には見せないだろう。一抹の寂しさを胸に抱き、歩き出す。

その時だった……。

手首を掴まれて振り向くと、杏奈と同じように寂しそうな表情をした彼がいたのだ。
もう……駄目だった。
自宅に招き入れたかったが、やめにした。
彼の残り香を色濃くベッドに残されても、それは辛くなるだけだから………。

顔を向けた先にトイレがあった。
同じ広い敷地に隣接するドラッグストアの併設したトイレは、建物から離れた位置に独立して存在していた。田舎以上で都会未満のこの地にふさわしく、駐車場から目隠しをするように入口を示す小さな看板を除いて、周囲を垣根が覆っている。

おかしな話だけれど、手首を掴まれた瞬間に彼の手から伝わる温もりがフラッシュバックさせた。
あの時の交わりを………。
身体が条件反射をしたように疼き出したなんて笑い話にもならないが、猛烈に彼を欲してどうしようもなかったのだ。

彼と自分の気持ちに踏ん切りをつけるには、ある意味で相応しくお誂え向きの場所ではないか……。

彼も杏奈の気持ちを察し、目線の先に向かってゆっくりと歩き出した。

2人は恥ずかしげもなく指を互い違いに組んで手を繋ぎ、顔を見合わせる。

もう、迷いなんてなかった……。
26/07/05 16:19 (xRyJbeoo)
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