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1:愛と鎖
投稿者:
味噌バタ子
◆qfZ8abFFJQ
僕は16歳
母さんと二人で暮らしている 父さんとは昔、離婚したらしい 僕はエプロンを着てお皿洗いをして母さんの帰りを待つ 母さんは大企業で働いていていつも忙しい ドアの開く音がして 僕は出迎えにいく 「母さん、おかえり」 「ただいま、瑞希!」 抱きつかれ、頬擦りされる 「あの・・母さん?夕飯作ったから食べてね」 「それより瑞希くんを食べたいなぁ・・・あぁ、お肌スベスベ・・脱毛してよかったね」 母さんは・・・ 僕を愛してくれている ・・・頭がおかしいくらい 母さんが僕のシャツの中に手をいれる 「綺麗でかわいい、女の子みたいな瑞希、誰にも渡さない」 「かぁ・・さん」 僕はこんな事嫌なんだ でも・・・受け入れるしかない そのまま寝室まで行き、押し倒された これは虐待じゃないよ だって男の子だもん 男の子はえっちな事、喜ぶもんだよ 昔から母さんが言うセリフ 僕の全身をなめまわす 僕は人形のようにうごかなくなる たすけてって叫びたい でも声にならない 「あぁ・・・なんて綺麗な体なの・・・全身永久脱毛してよかったわね、瑞希」 母さんは僕のお腹に頬擦りする 僕はこの人に愛されているんだ だから幸せなんだ・・・ そう洗脳されているからそう思うしかないみたい でも、気持ち悪い 母親に口淫され、性器を愛撫され・・・ もうはきそうだ でも・・・言葉に出ない 心の中がぐちゃぐちゃしてる 「あ、、、んっ、、かあさん」 「あぁ、かわいい・・・かわいいかわいい私の瑞希」 男でいる事が嫌になる たまにそう思う 「いってきます!」 「いってらっしゃい、瑞希・・・あぁ、あの人に似て綺麗になってきたわね」 母さんは・・・誰の事を言ってるんだろうか お父さんの事? 頭を撫でられて頬にキスされた 僕は・・・・ 僕は・・・・・ 学校ではそれなりに成績もいいし友達もたくさんいる 告白だっていっぱいされた けどダメなんだ 僕は母さんの愛しか受け止めちゃいけないんだ もう僕もおかしいのかな 学校に向かう途中 なんとなく寄り道した 近くの公園 なんだかここに来ると落ち着く ・・・・少し年上の女の子が微笑んでくれて手を引かれて歩いた記憶 なんだかそれが忘れられなくて、恋しい気分になる 誰だったかな、あの子は 「あ、遅刻しちゃう・・」 時間を忘れそうになる 僕は逃げられない愛に縛られている きっとずっと切れない鎖
2013/12/06 15:09:42(2juTBSYS)
投稿者:
響き染み込む…
中々の秀作ですね…
私は男ですが 父親から 溺愛されてて… 全ての記憶と気持ちが 混迷した時期がありました。 興奮よりも 道標をなぞってる気持ちで御拝読させて貰ってます。 これからも あなたの世界観を 知らしめてください。
13/12/13 13:28
(6LlHKC5s)
投稿者:
味噌バタ子
◆qfZ8abFFJQ
ひろいひろい草原
そこにシマウマの親子がいました シマウマの父親と母親は仲良しで長く連れ添い一人の男の子が生まれました シマウマの子供の名前はシグと名付けられました 「おかあさん!おとうさん!」 シグは甘えん坊で誰にでも好かれる子供でした おかあさんは優しくてたくさん甘えさせてくれて おとうさんはのんびり屋ですが勇敢で家族を守るためならどんな事でもしました シマウマたちは群れで行動します たくさんの群れで動けば安心できるのです、怖い怖いライオンから身を守るため シグはいつものようにおとうさん、おかあさん、群れの仲間たちとふわふわやわらかい草を食べてお腹いっぱいで幸せを感じていました しかし誰かが叫びました 「ライオンが来たぞ!」 みんなが一目散に逃げ出します シグもおかあさん、おとうさんと逃げだしました 怖い怖いライオンは追いかけてきます 仲間が食べられてしまいました シグはそれを見てびっくりしてしまい 足をくじいてしまいした 立てないシグをおかあさん、おとうさんは気付かないで走りさってしまいました 「だれかたすけて!」 シグは叫びました けれども皆、逃げるのに必死で シグの声は誰にも届きませんでした 怖い怖いライオンはこちらに近づいてきます 「美味しそうな子供ね」 女の子ライオンがペロリてしたなめずりをしました シグはもうダメだと思いました 「待て」 ふさふさのたてがみが生えた立派な男の子のライオンが近づいてきました 「俺は満腹だ、そんな子供は食いたくない」 シグに近づいた男の子のライオンは器用にシグを起こしました 「運が良かったと思え」 シグは怖くて震えました 女の子のライオンはすこし首をかしげています 「・・・どうして食べないの?」 「俺の意見が聞けないのか?」 「ごめんなさい・・・」 「先に帰れ」 女の子のライオンたちは先に帰っていったようです 「・・・・怖いか?」 「うん・・・」 「・・・親はいるのか?」 「うん、おとうさんとおかあさんがいる」 「・・・ライオンは満腹だと寝るしかないたいくつだから話相手になれ、なれないなら食べるぞ」 男の子のライオンはシグの隣に寝転びました 怖い怖いライオンの気まぐれでシグは助かりました シグはライオンとお話をする代わりに命を奪わないと約束されました シグはライオンとこわごわしながらお話をしました
13/12/13 15:12
(3ixFRPRa)
投稿者:
味噌バタ子
◆qfZ8abFFJQ
男の子のライオンはアールといい名前でした
シグも名前を名乗りました 「シグか、強そうな名前だな」 「そんな事ないよ」 「シグ、空はなぜ青いのか分かるか?」 「・・・・わからないよ」 「俺も分からない、だが時間がたつと暗くなって細かな粒キラキラ光るだろ?俺はそれを見るのが好きだ」 「僕も好きだよ、その細かい粒は星っていうんだよ」 「そうなのか」 「おとうさんが教えてくれた」 「俺にも星の事を教えてくれないか?」 アールは尻尾を嬉しそうに振っています 日がくれて、夜になってもアールはシグのそばを離れませんでした 「流れ星というものがあるのか」 「そう、お空を見て」 「ん?」 アールとシグが夜空を見上げると キラッと線を引いて流れていく星が見えました 「あれが流れ星だよ」 「・・・・おもしろい事を知っているのだな、シグ」 シグは気になっていた事をアールに聞きました 「アール、ライオンたちはどうして僕たちを襲うの?」 「それは食べるためだ、生きるため」 「どうして?ライオンたちは草は食べないの?」 「食べないんじゃない、食べられないんだ」 「どうして?」 「そういう定めだからだ」 アールとシグはずっと夜空を見上げながら お互いの事を話ました ライオンは若い女の子たちに囲まれて狩りをしてもらい、狩ってきた獲物を運んでもらい食べる そして子供をたくさん作る 「アールは幸せだね」 「幸せなものか」 「どうして?」 「シグには分からないよ」 「僕はライオンたちに怯えながら生きているんだ、アールは百獣の王なんでしょ?怖いものなんかないよね」 「俺が怖いものはシグにはわからない」 「どうして?話してよ?」 「話して分かるような事じゃない」 夜があけてもアールはまだそばにいました アールは鼻をひくひくくんくんさせました 「・・・俺は帰る、今度会ったら命はないと思え」 「僕、アールと話した事、ずっと忘れないよ!」 「・・・・流れ星、また見たいものだ」 アールはゆっくりと歩いて去っていきました しばらくして、シマウマの群れがこちらにやってきました おとうさん、おかあさんが駆けよってきて 生きててよかった、よかったと涙を流しました シグはアールとの事を群れの仲間に話しました でも誰も信じてくれませんでした
13/12/13 15:33
(3ixFRPRa)
投稿者:
味噌バタ子
◆qfZ8abFFJQ
やがてシグはたくましく成長し、群れのリーダーになりました
シグは夜空を見上げるたびにアールの事を思い出しました アールは元気かな 幸せに暮らしているかな シグは怖い怖いライオンでもアールの事は好きでした 今度会ったら食べるぞと言われましたが、ずっと、また会えたらなと思っていました ある日 シマウマの群れの一部が集まってなにかをしていました シグは気になって寄ってみました シマウマたちが年老いたライオンを後ろ足でかわりばんこに蹴っていました 「こんなやつのせいで!」 「お前なんかしんでしまえ!」 「この世からいなくなれ!」 シマウマたち恨み言葉を言いながらはライオンを蹴っていました 「やめろ!」 シグが叫ぶとシマウマたちが蹴るのをやめました シグはそのライオンに見覚えがありました 「リーダーである俺が手を下す、お前たちは先に行け」 シマウマたちは先に水のみ場である池に向かいました 年老いたライオンは傷だらけで もう細い息しかしていませんでした 「アール、久しぶり」 「シグか・・・・?」 「アール、どうしてこんな事になったの?蹴られたくらいでこんな傷にはならないよね?」 アールはごろんと寝転がりました 「ライオンはずっと王でなければいけない、だが若いやつには勝てない・・・もう周りいたやつらは皆、若いやつについていった」 「なぜ・・・?」 「それが定めだ」 シグはアールのそばに座りました 「シグ、お前を食ってやりたいができない・・・だから明日の日がでるまで俺のそばにいろ」 「わかったよ、アール」 シグとアールはまたお話をしました、夜になってきらきら星が輝きだしました シグが群れのリーダーになった事を聞いてアールは笑いました 「やはりお前はつよいのだな」 「アール・・・怖い事ってこの事だったの?」 「そうさ・・・老いて力がなくなり、仲間に見捨てられ、しんでいく・・・それが怖かった」 「アール、空を見て」 「ん?」 流れ星がひとつふたつ流れていきました 「シグ、きれいだな」 「うん、きれいだね、アール」 アールはうつむいて動かなくなりました シグは日が昇るとアールのそばから離れました 「アール、さようなら」 群れはすぐ近くまで迎えにきていました シグはアールの苦しみ悲しみが分かりませんでした けれども彼の最期、一緒にいられてすこしは悲しみが薄れてくれていればいいなと願いながら シグは群れへと戻っていきました
13/12/13 15:57
(3ixFRPRa)
投稿者:
味噌バタ子
◆qfZ8abFFJQ
僕は絵本を閉じた
姉さんはポカーンとしている 「幼稚園児が読む絵本じゃないと思う!」 「僕は好きな絵本だもん」 「瑞希くんは物好きだねぇ・・・」 母さんが亡くなってからしばらくたって家の荷物を整理しにきた いらないものは捨てなければいけない たくさん出てきた絵本 母さんが昔から読み聞かせてくれた 「姉さんは母さんに絵本を読んでもらった事ある?」 「ん?ないよ」 「そうなんだ・・・」 「私は母さんの気に入る器じゃなかったからね」 姉さんは食器棚から食器皿をとりだした 「ライオンにシマウマの苦しみは分からない、シマウマにもライオンの苦しみは分からない」 「え?」 「瑞希くんの苦労は私には分からない、私の苦労も瑞希くんには分からない」 さっきの絵本みたいに・・・ 姉さんだって僕には分からない苦労をしたんだよな 姉さんが食器を段ボール箱に入れて微笑む 「分からなくても一緒にいられるなら幸せなんだよ、シグとアールみたいにね」 「そうだね、姉さん・・」 「大体使えそうなものはまとめられたね」 母さんの使っていたものは何もかも、捨ててしまおう この家は売りに出すことにした 母さんには両親がいない きっと母さんも僕には分からない苦労をしたんだろう けど、僕は分からない そして僕はここを去る 荷物を車につんだ 業者の人に処分してもらうものもある 「さて、瑞希くん・・・」 「ん?」 姉さんが手を差し出してニコッと笑う 「帰ろっ♪」 「うんっ、、、」 歩いて帰る もう夜で 空は星が輝いていて まるで宝石が散らばってるようだ 「私がアールで、シグが瑞希くんだね」 「逆じゃない?姉さん受け身だし」 「いやぁ、、、えっち!、、」 姉さんに背中を叩かれた そっちの意味でとられちゃったか 「あ、姉さん、流れ星」 「ん!?カメラカメラ・・・」 「ほら、はやく見て!」 「うん・・・わぉ、、、」 いくつか流れて消えていく 僕と姉さんはいつまで一緒にいられるのかな それは分からないけど 今は二人で同じものを感じたい 僕は強く手をにぎった 姉さんも握り返してきて 僕と姉さんは帰る場所に向かって歩きはじめた
13/12/13 16:15
(3ixFRPRa)
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