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1:妄執 亡夫の愛に狂う女 続編
投稿者:
熊髭
◆OQJdZRTLq.
2019/11/25 10:00:31(CCVH9m8F)
投稿者:
熊髭
◆OQJdZRTLq.
土木屋の事務所は街の外れ、幹線道路沿いに有った 鉄板の仮囲いで敷地を囲み、中には資材やダンプ、ユンボなどが並んでいる 三階建てコンクリート造の社屋の他に、作業員が寝泊まりする為の二階建てのプレハブ小屋が五つ程建てられている
道路を挟んだ向かいは、絵美子が通う中学校だった 「専務居るか?」 十三は一階の事務所を訪れ、社長の愛人兼、事務員に声を掛けた 「上で打ち合わせしてます」 歳の頃は裕美子と同じ、四十路手前程だろうか、きついパーマを当て、狸のような丸顔に強めのメイクをしている 事務服のブラウスから溢れんばかりの巨乳を強調するかのようにボタンを胸元まで外し、下着がチラチラと覗いていた 元は地方のホステスだったが、社長に拾われたという噂だ 「じゃあ、少し待たせて貰うぞ」 十三はそう事務員に告げ、資材置き場横の自動販売機にコーヒーを買いに出た 仕事の話を持ってきたというのに、茶のひとつも出さない、気の効かない女だ 資材置き場から人の声が聞こえた 「そろそろ一服するか」 山積みのパイプ類から男が二人、現れた 「!」 十三は自動販売機の陰にそっと身を隠した (あいつ…裟場に出て来たのか…) 一人は髪を金髪に染めた若者、もう一人は五十路半ば程だろうか、白髪混じりのオールバックに狐目の狡猾そうな顔付きをしている 十三はその男に見覚えが有った (昔、裕美子を襲った男、勇の野郎だ…) 若い頃、十三は勇とつるんで非道なことばかりしていた 裕美子を襲う計画を立てたのも勇で、当時既に裕美子に心酔していた十三は 襲う相手が裕美子だと直前に知り、裕美子に覆い被さる勇を引き剥がして裕美子を逃がしていた 「十三、久し振りだな」 勇が十三に声を掛けた 「あ、ああ…いつ出てきた?」 「先月さ…あの女が黙ってさえ居りゃ、捕まることも無かったのによ…ツイてねえな全く」 十三と仲違いした勇は全国を転々とし、土地土地で強姦や窃盗を繰り返す日々を送っていた 前科は既に五犯、全部窃盗と強姦だ 「またこっちでしばらく仕事するからよ、宜しくな」 そう十三に告げると、勇は向かいの中学校に目を向けた 「最近のガキは発育が良いなあ、おい」 勇は下卑た笑みを溢しながら、上唇をペロリと舐め上げていた
19/12/04 12:43
(vFASb/tE)
投稿者:
熊髭
◆OQJdZRTLq.
「…康男、何故 勇を雇った?」
十三が土木屋の専務、幼馴染みの康男に問い掛けた 康男もまた十三とは悪さばかりしていたが、社長である兄に性根を叩き治されて 今では兄弟で三十人規模の会社を経営する程になっていた 「人が居ないんだよ、それに昔からの縁が有るしなあ」 「奴の噂は知ってるだろう?」 「十三、それはお互い様って奴じゃないか?」 それ以上は何も言えなかった 十三とて脛に傷持つ身の上だ 「勇だって、地元じゃそう悪さはしないだろ…じゃ、養鱒場の話は後で菓子折り持って村役場で詰めてくる 十三、測量の方はお前の所使うから、見積りだけしといてくれ」 「じゃ、行ってくる」 午後の授業が終わり、下校の時間に合わせて秀之が絵美子を迎えに麓へ軽トラを走らせて行った 食堂を手伝う代わりに寝食を提供され、朝夕のマヅメ時だけ、沢に出て釣りをするのが ここでの自分の過ごし方だった だが最近では、帰ってきた絵美子が沢にやって来ては話し相手をさせるのであまり釣りに集中出来ていなかった 「タカちゃん、朝の続き…」 裕美子がまたしても誘って来るが、聞こえないフリをして早歩きで入渓する 裕美子は魅力的だが、同じ様に渓魚達も美しく、自分を魅了していた 「ん、もう…主人もタカちゃんも釣り馬鹿なんだから」 裕美子は 仕事着の合わせから自身の胸を揉みしだきながら、独り、腰を捩らせていた
19/12/04 15:32
(6IjohEYm)
投稿者:
熊髭
◆OQJdZRTLq.
(また根掛かりかよ…)
昨冬は積雪が少なかったせいか、沢は普段より水量に乏しかった いつもならヘビーウェイトのミノーで川底を舐めるように攻めて行くのが自分流で有ったが、今日のコンディションではミノーが重すぎて、すぐにロストしてしまう それではウェイトを下げれば良いのかと言うと、軽くては飛距離が出ずに 良いポイントにミノーが届かない 今日のルアーセレクトでは、圧倒的に手駒が足りなかった 「あ、居た居たっ タカ、釣れてる?」 絵美子が中学校から帰ってきたようだ 昨年辺りから、絵美子は頻繁に自分と二人きりになろうとして沢まで追いかけて来るようになっていた 挙げ句の果てには、お嫁さんになると言い出す始末だ 自分が秀之の甥っ子とだという嘘を、この辺りの人達は昔から信じ込んでいる 真実を知っているのは、秀之、裕美子、自分、そして十三だけだ 勿論、絵美子の実の父親が、自分 だという事も… 「今日はさっぱりだよ」 「今日も、でしょ?ウフフ 」 絵美子は悪戯な笑顔でグサリとくる台詞を吐いた 大人気ないとは思ったが、ムッとした表情を作る 「ごめん、タカ、怒った?」 まだ中学生だというのに、男が怒れなくなるような困った顔を見せている…一瞬、絵美子に女を感じてしまい、何も喋れなくなってしまった それを絵美子は本気で怒っていると取ったのか、絵美子も黙り込んでしまった… リュックから水筒を取り出し、ぬるくなった麦茶で口を湿らせながら、絵美子に話しかける 「大丈夫、怒ってないから」 「本当?あー、良かった タカ、お詫びにさぁ…」 「?」 「フェラチオしてあげようか?」 口に含んだ麦茶を、全部噴いた 「な、なな何!?」 「だから、フェラチオ 男の人は皆好きなんでしょ?友達のマキが言ってた」 中学生ともなると、そういった性知識を貪欲に吸収するものだが、まさか… 「でも、した事ないから下手くそかも」 「当たり前だ、子供がそんなこと言うもんじゃ無い」 内心、ほっとしていた 最近の子はませていると聞くし、絵美子がそういった性行為を経験している可能性だって有るのだ 「えー、アタシ、もう子供じゃ無いよ」 絵美子がまた、ぷう、と頬を膨らませている 「エッチの仕方だって知ってるし、パパとママがしてるトコも見たこと有るし」 いや、あの夫婦の変態行為は少し違う、とも言えぬまま居ると、絵美子が喋り続ける 「でもね、ママ、パパじゃ無くてタカちゃんのオチンチン、て言ってたの…タカ、もしかしてママとエッチしてるの?」 おそらく、自分の男性器を複製した張り型を使って居たのだろう… 「そんな訳、無いだろう、裕美子さんはヒデさんの奥さんだし、自分には彼女も居るんだよ?」 慌てて取り繕う様に、早口で捲し立てる 「さ、この話はもう終わりだ、魚も釣れないし、戻ろう」 「嫌だ、アタシ、タカになら初めてをあげても良い」 びしょ濡れのウェーダーを履いている自分に絵美子が抱き付いてきた 学校指定の化学繊維製のブラウスが水に濡れ、スポーツブラが透けていた 「馬鹿なことを言うな、絵美子にはまだ早いぞ」 「マキはもう経験済みだよ?」 やはり最近の子はませている、だからと言って実子を抱くわけにはいかない 「絵美子がもう少し大人になったらな」 「本当?約束だよ!嘘吐いたらアタシ、死ぬからね!」 しまった…もう少しましな逃げ口上が有った筈だ…だが、もう遅かった 「朝採れの筍よ?」 晩飯は筍尽くしだった 定番の筍ご飯に、ワカメと合わせて炊いたもの、皮ごと焼いた蒸し焼きに、酢味噌和えに、筍入り味噌汁と 少しやり過ぎな感もしないではない 「絵美子もタカちゃんも、たくさん食べてね」 絵美子の、裕美子を見る目が 微妙に鋭かった やはり自分との関係をまだ疑っているのだろう…自分の母親に嫉妬する目付きは、既に女のものだった
19/12/05 13:06
(k79r7X2S)
投稿者:
熊髭
◆OQJdZRTLq.
「アタシご飯要らない、宿題有るから先にお風呂入って来る」
絵美子がプイとそっぽを向きながら浴室へ消えて行った ただの思春期、反抗期がそうさせているなら良いが、そこには女の嫉妬が見え隠れしている 「ちょっと絵美子っ…もう、最近絵美子が言うこと聞かなくて…」 「まあ、今の内だけだろう」 秀之が筍ご飯に筍の味噌汁をぶっかけ、ズルズルシャクシャクと平らげている 「そろそろ食堂開けるか」 「はい」 自分が滞在している間は、自分も食堂の手伝いをしている その分、秀之と裕美子、どちらかが休めるので割りと重宝されていた 今夜は裕美子が休める番だった 「タカ、暖簾出しといてくれ」 時刻は夜七時前、平日はあまり客も来ないが、麓で勤めた帰りに晩飯や一杯引っかけて帰る常連の為に、日曜日以外は基本的に休まず食堂を続けていた 「タカ、明日の朝、ちょっと沢に出るぞ」 食堂を閉め、明日の仕込みを終えた秀之が、竿を振る仕草をしながらうどん打ちの小部屋から出てきた 「水量も少ないし、難しいですよ」 今日の感触を秀之に告げたが、秀之はニヤリと笑いながら首を振る 「腕の差を見せてやるよ」 「ちょっと絵美子、本当にご飯食べないの?」 食堂で明日の釣行の話をしている頃、元はガラクタ置き場だった絵美子の部屋の前で、裕美子が問い詰めていた 「要らない、あっち行って」 (タカはアタシのものなんだから…ママなんか嫌い…) 絵美子の心の奥底に、仄暗い感情が芽生え始めていた…
19/12/05 15:34
(gt82aFJ6)
投稿者:
熊髭
◆OQJdZRTLq.
「じゃあ、明日は五時くらいに出るか…戸締まり宜しくな」
「はい、じゃまた明日」 自分は食堂の六畳程の小上がりで寝泊まりしていた 障子を閉めてしまえばエアコンも効き、なかなか快適だ 寝る前に三菱の四駆からタックルボックスを持ち出し、明日のルアーセレクトをしていた 食堂の裏手から物音が聞こえてきた ガチヤガチヤと裏口の戸を開けようとする音がする (?…まさか、泥棒?) 小上がりからそっと降り立ち、包丁を手にした 裏口から死角になるカウンターに身を隠した 裏口の戸が、静かに開く 「誰だっ!」 「ひっ…」 パジャマ姿の、絵美子だった 包丁を持つ手を見てガクガクと震えている 「なんだ、絵美子ちゃんか、脅かすなよ…どうした?」 「あー、ビックリした、殺されるかと思った」 「こんな夜中に、何の用?」 「あのね、タカ…やっぱりお腹空いて寝れない」 「タカのご飯、美味しいっ」 残り物の焼鳥を串から外し、丼に乗せて茶を回し掛けた 焼鳥茶漬けを絵美子がモリモリと食べている 「それ、師匠が教えてくれたんだ、旨いだろ?」 絵美子は返事もせずに丼を抱え、最後の飯粒ひとつまで綺麗に平らげた 「ご馳走さま、あー、美味しかった」 「食べたら戻ってすぐ寝るんだぞ、明日は師匠と朝マヅメ狙いなんだから」 食べ終えた食器をシンクに置いた絵美子は、なかなか帰ろうとしなかった 「ねえ、タカ…アタシとママ、どっちが好き?」 絵美子は、女の顔をしていた…
19/12/06 07:52
(iiwKXnlM)
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