二日間の有休休暇は僕にとっては、大袈裟にいえばまさに平凡極まりなかった人生生活や気持ちを、大きく軌道修正させようとしているかのような出来事の連続でした。 妻の由美との結婚、そして義母の亜紀子を含めての三人生活。 やがて妻は子供を生み、義母は孫の世話を楽しみ、僕はつつがなく公務員生活を続ける。 心密かに義母の艶やかで、実際の年齢よりは遥かに若く見えるの美貌を、空想と夢想の中で抱き締めるだけの一生におそらくなるのだろうと、つい二、三日前までは僕は漠然と思っていたのでした。 それが義母と過ごした風雨の中の山小屋での、めくるめくような一夜の秘め事と、帰宅してからの卑猥に湧き上がった悪戯心で図らずも発見してしまった、まるで知る由もなかった彼女の衝撃の過去を写し残した驚愕の写真。 あくる日、仕事に出て普通にそつなく業務をこなしながら、僕は心密かな決断をしていたのでした。 まるで予期していなかったこの一両日の衝撃と驚愕の出来事を、僕はこれからの自分の理性をかなぐり捨てた欲望のためのプロローグ(序章)としていくと決意していました。 自分でも思ってもいなかった悪魔の心が、僕の脳裏の奥深くで芽吹いていたのです。 勤務を終えると僕はそそくさと帰路につき、義母のいる病院を目指していました。 妻の由美は今日もPTAの総会があるとかで、帰宅は遅くなるということでした。 病院に着いたのは六時前でした。 外来の奥が入院病棟になっていて、義母のいる個室は二階の中央あたりでした。 軽くドアをノックして入ると、すぐに驚きの表情の義母と目が合いました。 義母はベッドで上たいを起こして座っていましたが、僕に気づくと慌てたように薄水色のパジャマのボタンに両手をかけていました。 無理もないことでしたが、まるで怖い獣にでも遭遇したかのような慄いた眼差しで僕を見るのでした。 「足の具合はどうですか?」 僕はつとめて明るい声音でいいながら、義母のベッドに近づきました。 「ええ…」 切れ長の目を僕から逸らし窓のほうを向きながら、義母は短く応えるだけでした。 「由美は今日はPTAの総会があるとかで遅くなるからといってました。昨夜、話されたでしょ?あ、それからこれ、駅前のケーキ屋で買ってきました」 手にしたケーキの箱を翳しながら、僕は屈託のない顔のまま、義母のベッドの横の椅子に腰を下ろしました。 義母の好きなショートケーキの詰合わせの箱を横の棚に置き、 「お義母さん…」 と改まったような口調でいって義母に目を向けると、彼女はまた慌てたような素振りでそそくさと布団の中に身を横たえていました。 あからさまに僕を拒絶するかのように背中を向けて、義母は肩を窄めていました。 義母が動いたせいか、まだ記憶にまざまざと残っている、あの夜の時のシュラフから洩れ出た化粧品のような匂いが、またしても僕の鼻腔を強く刺激してきました。 気持ちよりも先に僕の手が勝手に動いていました。 背中を向けている義母の肩をわし掴み、手前に強く引き寄せたのでした。 「あっ…」 と義母が短く狼狽の声を出しましたが、小柄な体型はいとも容易く僕のほうに向けられることになりました。 間髪を置くことなく、義母の肩を掴んでいた手を、僕はそのまま滑らせるように彼女の胸に当てていました。 慌てふためいた義母の小さな手が僕の手を払い除けようとしますが、力では叶うはずはありませんでした。 義母の胸をしっかりと掴み取った僕の掌は、乳房の小さな隆起を確実に捉え込んでいて、指に力を込め動かすと、彼女の顔が妖しくも切なげな歪みの表情を見せるのでした。 義母の女としての弱点が乳房にあるということを僕は忘れてはいませんでした。 尚も手に力を込めて僕の手を払い除けようとしていた義母ですが、もう悪魔の心に変貌していた僕に叶うはずがありませんでした。 やがて義母の手から力が抜けるのがわかりました。 もう片方の僕の手が、義母のパジャマの前ボタンのほとんどを外し取っていました。 シルクのような感触の白のキャミソールの布地が露呈され、濃い灰色めいたブラジャーまで露わになっていました。 「だ、だめっ…こ、こんなところで」 顔を左右に激しく揺らせて、義母は潜めたような弱々しげな声で僕に訴えてくるのでした。 「だったらおとなしくしてください、お義母さん。僕は誰かきてももうかまわないです。お義母さんの匂いが僕を狂わせている」 「ね、こ、この前のことは…わ、私も忘れることにします。こんなこと…こんなこといけないわ」 「初めて会った時から、僕はお義母さんを意識してました。いつかこうなれたらと」
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ネクタイを弛め額と首筋に滲み出た汗を拭いながら、僕も椅子にどっかりと座り込んでしばらくは呆然としていました。 ふと見ると、横向きでぐったりと意識を失くしている義母の上半身は、パジャマの前ボタンが外れ、白いシルクのキャミソールとブラジャーが首のあたりまでたくし上げられていて、小ぶりの乳房が可愛げに垂れたまま露出していました。 そんな義母の身体から今も鼻腔をついてきている妖しい女の匂いに浸りながら、彼女の上半身の身なりを整えてやり、ベッドに仰向けに寝かせたのですが、不意に思いついた卑猥な発想で、上布団を少しめくり彼女のパジャマのズボンと一緒にショーツまで脱がし下ろしたのでした。 そのことに気づいて驚き慌てふためく義母の理知的な顔がどうなるのか見てみたいという、まさに卑猥な思いつきでした。 上布団を義母の身体から全部剥ぎ取って、剥き出しになった彼女の下半身を覗き見ると、片足の足首のあたりに捲かれた白い包帯と、細くかたちよく伸びた真っ白な両足と、その付け根のあたりで小さく盛り上がった漆黒の茂みが妖しく淫靡なコントラストとなって、悪魔の心になった僕の欲情をさらに刺激するのでした。 義母のショーツの小さな布地は、先程来の僕との熱い戯れの激しさの痕跡を残すかのように、その中央部分に際立った湿りを滴らせていました。 それを僕は小さく折り畳んで、手にしていたハンカチに包み入れ背広のポケットに忍ばせたのです。 「うっ…ううん」 ほどなくして義母の意識が小さな声と一緒に戻りました。 細く見開いた目に僕の顔が見えたのか、義母は気恥ずかしげに、まだ仄かに薄赤い顔を慌てたように真横に背けました。 そして僕に背けた背中が小刻みに揺れ動きました。 我が身の下半身の異常事態に気づいたようでした。 義母の布団越しに背中にそっと手をかけてやると、彼女は逃げるように身を前にずらしました。 その時、ドアをノックする音が唐突に聞こえてきました。 薄いピンクの制服姿の看護師が優しげで明るい挨拶の声を出しながら入ってきました。 「先生、どうですか?足のほう痛みませんか?」 二十代半ばくらいのぽっちゃりとした快活そうな看護師が、僕には明るく目礼しながら、義母の様子を伺ってきたのです。 「あ、ありがとう。…だっ、大丈夫です」 義母は狼狽の表情を露わにして身体を向き直して近づいてくる看護師に応えました。 「すみません。義母がお世話かけます」 僕も椅子から立ち上がり、看護師に頭を下げました。 「あっ、昨日お見えになってたお嬢さんの旦那さんですか? は、はじめまして。あ、あの、私、先生の教え子なんです。そ、それですみません。先生だなんて」 若い看護師も少し狼狽えたような口調で僕に応えたのですが、本当に狼狽を激しくしているのはベッドの上の義母のはずでした。 「足のほう、包帯は大丈夫ですか?」 看護師は純粋に気遣いの声をかけながら、義母の足の具合を診るためか、ベッドの上布団にてをかけようとしてきたので、僕も少なからず慌てた気持ちになっていました。 「ほんと、本当に大丈夫だから」 おそらく僕の何倍も慌てふためき、狼狽を激しくしていたはずの義母は、無意識に片手で上布団を押さえるような仕草を見せて、看護師の動きを止めにかかったのでした。 「そうですか…。じゃ、もう少ししたら熱だけ計ってくださいね」 その若い看護師は少しだけ訝しげな表情を見せながら、お大事に、との言葉を残して退室していったのでした。 義母はそのまままた身を翻すようにして、僕に背中を向けました。 あわやという事態だったのは確かでした。 あのまま看護師に布団を捲られていたら、しかも相手は義母の教え子なのです。 僕は頭の中でその状況を淫らに想像しました。 自分の教え子の女の子の前で、下半身丸裸の痴態を見られる義母の顔を思い浮かべると、思わず僕の背筋まで汗ばむ思いでした。 これからもっと、この理性的で理知的な元聖職者の義母を辱め、女の本能を剥き出しにして、昨夜、彼女の箪笥の奥から探し当てたあの淫靡な写真の再現を、必ず自分の目の前でしてやろうという冷酷非道な悪魔の心に僕は浸りきっていました。 それから十数分後のことでした。 僕はベッドのすぐ横にズボンとトランクスを足元に脱ぎ下ろして立っていました。 そして剥き出しになった僕の股間に義母の顔が密着していました。 義母の口が僕の固く屹立しきったものを咥えていました。 ショートカットの義母の小さな頭が前後に小さく動いています。 看護師が立ち去った後、僕は義母の上布団を一気に引き剥がしました。 「あっ…」
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その夜、事前に遅くなりそうといっていた妻の由美が帰宅したのは十一時過ぎでした。 生徒の苛め問題で今学校が紛糾しているとかで、疲労の色を濃くしての帰宅でした。 しかしそんな妻には申し訳ないことでしたが、僕は病院から持って帰った義母のまだ湿りの残っていた下着と、例の写真十数枚を居間のテーブルに置き並べ、彼女が帰宅するまでの間、不埒で卑猥な妄想の世界に浸りきっていたのでした。 病院で義母の口の中に思うさま放出して絶頂を極めて、まだ一、二時間も経過していないのに、僕の下半身は興奮の兆しを顕著にしていたのでした。 こんな状況に自分自身が陥るのは、これまでには一度も経験のないことでした。 由美と結婚して義母の亜紀子と同居するようになってから、おそらくずっと叶うことはないと思っていた清楚で清廉な義母への淡い思慕が、まるで大きな津波のようにこの数日間で、図らずも現実化されているのは自分自身でも驚き以外の何ものでもありませんでした。 そして平凡で可もなく不可もない、ありきたりのごく普通の人間だと思っていた自分の心の中に、これだけの悪魔的な嗜虐性が潜んでいるとはついぞ想起していないことでした。 居間のソファにどっかりと腰を下ろしながら、僕は淫靡で邪淫な偏執狂のような思いで、義母のどこでいつ誰に撮られたのかまだ不明のままの淫らな写真を食いつくように見ながら、片手にまだ湿りがしっかりと残っている薄水色のシルクのショーツを握り締めていました。 白いシーツの上であられもない開脚状態で男を迎え入れ、深い愉悦に浸りきっているかのような恍惚の表情の義母の顔を僕は飽くことなく凝視しました。 つんと尖った鼻先から上品に細く通った鼻筋、濃い眉の下の切れ長の目の中で、濡れて光る黒真珠のような瞳。 そして白過ぎる艶肌が、それほど濃く引いたわけでもない紅いルージュをさらに紅く際立たせて見せています。 いつの間にか僕の手はズボンのベルトを外し、忙しなげにトランクスの中に潜り込んでいました。 これまでの自分のどこにこんなにも旺盛な性欲が潜んでいたのかと、心の中で驚きを大きくしていたのですが、手は休むことなく動き僕の股間ですでに固く屹立していたものを強く握り締めていたのでした。 それこそ何年ぶりかの自慰行為でした。 テーブルの上のティッシュボックスを引き寄せ、義母から奪い取ったシルクのショーツを厭らしく鼻腔に翳し、卑猥な写真を凝視しながら、僕は強く握り締めた自らの屹立を激しく擦りつけ、やがて低い咆哮の呻き声と共に果て終えたのでした。 それは妻の由美が帰宅する一時間ほど前のことで、さすがに帰宅後の妻の顔は妙な後ろめたさもあり正視できませんでした。 次に僕が義母を訪ねたのは翌々日の夕刻でした。 明日が退院ということなので、僕は妻の由美からもいわれていたので担当医師に会い、病状の経過と退院後の養生を一通り聞いた後で、義母のいる病室に入りました。 ノックもドアを開けると、義母は驚きと狼狽の表情を露わにして、逃げるように視線を逸らしました。 濃紺のパジャマ姿でベッドに座って、細い銀縁の眼鏡をかけ何かの本を読んでいたようでしたが、僕が近づくと慌てたような素振りで本を閉じて、背を向けるようにして身を横たえました。 「先生にね、退院後の養生を聞いてきたら、やっぱりしばらくは松葉杖生活になるっていってたよ」 不快感を露わにしたような義母の素振りを無視して、僕はつとめて明るい声でいいました。 背中を向けて布団を深く被ったまま、義母は寡黙を通していました。 「聞いてると思うけど、由美は今夜もPTA総会があり遅くなるといってた。明日の退院の前に今日の内に持って帰れるものは持ってきてほしいということだけど…」 やはり義母からの応答はありませんでしたが、見回すとベッドの下と横の棚あたりに、膨れたバッグや物を包んだビニール袋が整理されて置いてあるのがわかりました。 義母がつい今しがたまで読んでいた文庫本を見ると、太宰治の短編集のようでした。 棚に置かれていたその文庫本を手に取り所作なくと頁を捲りながら、 「亜紀子、こちらを向いてごらん」 と僕は短く声をかけました。 義母を覆った上布団が小さく震えるように動いていました。 「亜紀子―」 寡黙なままの義母に少し業を煮やしたような響きで呼びかけると、間もなく布団が大きく動きました。 義母がむっくりと上体を起こし、そばにあった毛糸のカーディガンに静かに羽織りながらベッドに座位の姿勢をとってきたのです。 銀縁の眼鏡の奥の瞳が何か強く光り輝いているように見えました。 「浩二さん―」 か細い指を眼鏡の淵に当てながら、短くそういった義母の凛とした強い響きのある声でした。 「これまでのあなたとのことは、改めてはっきりいいますけど、足を挫いて怪我をしてしまいあの一
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