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初めての彼女トモミ

投稿者:やす ◆gy.TeW24SQ
削除依頼
2019/10/25 21:18:19 (9ufKgoJ7)
かれこれ15年ほど前の話です。
当時、僕は高校を卒業したばかりで地方の大学へ進学しました。

中学高校が男子校だったのもあり、彼女もおらず童貞でした。
初めての1人暮しで
「早々に彼女を作ってにこの部屋で…」
なんて、淡い期待を持っていました。

しかし、なかなかそう上手くはいきませんでした。
学校へ行って、バイトをしてレンタルビデオ店でAVを借りてきては、シコシコする毎日でした。

夏休みのある日、バイト先で先輩に、割と簡単に女の子と知り合える「ス〇ービーチ」という当時流行っていた出会い系サイトを教えてもらいました。

僕はさっそく、帰宅してから携帯でサイトを覗くと、確かに女の子の募集も多くて…
これは!
というものは片っ端から連絡しましたが一向に連絡はきません。

こちらから募集をかけてみても結果は同じでした。夏休み中ずっと続けていたのですが、さっぱり成果は出ません。

そこで
「ちょいぽちゃ」
と自ら書いてる女の子まで範囲を広げてメールを送ることにしました。

それでもなかなか、返事はきませんでしたが1週間ぐらいすると割と近くに住んでる「メル友募集」の同い年の専門学生のトモミから返信がありました!

2~3日メールのやり取りを続け、お互い気が合うようだったので「会いたいな」と思い、こちらから1人暮しに関する話題を多めにしました。

例えば、料理がそんなに出来ないとか、少し部屋をオシャレにするように気をつけてる…とか…etc
そうすると、意外に食いつきはよくトモミから

「部屋行ってみたいなぁ~」

と返信が!!
これには、心の中でガッツポーズしました!

あっさりと、週末の土曜日に最寄り駅で待ち合わせすることに成功しましたが。

トモミから
「ちょっと太ってるから、あんまり期待しないでね汗」

と。当時はまだ、携帯にカメラが付いた機種がやっと少しジェイホンから出始めた頃だったので、まだ一般的ではなくて事前の写真のやり取りが出来なかったんです。

そして、当日…これでもかというほどに部屋を掃除して、前日にコンビニで買ったコンドーム一箱をベッドの小物入れに忍ばせてから、17時に待ち合わせの駅に向かいました。

携帯を見ながらキョロキョロしていると

「ついたよ。〇〇の前にいます」
とメールが。

行ってみると、顔は雰囲気的に志田未来さんをちょっと丸顔にしたような感じで可愛げがある感じ。
ただ、体型はアジアンの馬場園。。。

心の中で、とてもゲンナリしました。

挨拶もそこそこに、コンビニでお弁当やジュース、お菓子を買い込んで部屋に向かいました。

まさかこんなデブが、初めて招き入れる女の子になるとは。。。(汗)

狭いレオパの1Kの部屋だったので、ベッドに隣同士に座り、話始めました。

途中てお弁当も食べたりしながら、色々話していると近距離のせいか「デブ」という感じを忘れてきて、「可愛い」とさえ思うようになってきてました。

実際、会話が楽しくて…あっという間に時間が過ぎていって気づいたらもう22時を回っていました。

内心
「あー帰したくない!ヤリたい!!」

とは思っていつつも良心の呵責には耐えられず。
苦し紛れに

「もう遅くなっちゃったね?そろそろ帰らないとヤバいよね?」

と聞くと、隣に座るトモミは太ももを僕の太ももに密着させてきて…

「帰らなきゃダメ?帰りたくない」

「じゃ、泊まってく?」

「うん」

そう言うと、トモミは僕の右手に左手を絡ませてきて…僕はどうすることもできず、無言でいると。

トモミから

「キスして」

恐る恐る、トモミの唇にキスをしました。
触れるだけの。初キスです。

そのまま続けているとトモミの方から舌をいれてきました。

僕はされるがままにトモミが絡めてくる舌に応じるようにディープキスを続けていると、キスしながらジーンズの上から膨張しているおちんちんをさすってきました。

僕はビックリして

「あっ…」

と唇を離すと、トモミはさすり続けながら

「えっちな女の子嫌い?」

その言葉を聞いて、トモミにキスをしました。

舌を絡ませながらトモミのおっぱいを服の上から揉みました。
トモミのおっぱいは太ってるせいもあるのでしょうがボリューミーで服の上からも柔らかいのが分かります。
たまらずおっぱいが見たくて仕方がなく

「脱がせてもいい?」

と聞くと

「いいよ、でも…電気消して」

と答えました。僕は正直に

「俺…その初めてだから、ちゃんと見てみたい」
と言うと

「えっ槌そうなの??」

「だから…」

「しょうがないね(笑)」

と照れ臭そうに微笑み、そのまま自分で脱ぎはじめて、下着姿になりました。

ブラもパンツも色はライトグリーンでお揃いです。
はじめて生で見る女の子の下着姿に大興奮でマジマジと見てると

トモミは

「やす君(僕)も脱いで」

と促され僕もパンツだけになりました。

そのまま2人でベッドで掛け布団の上から横になりました。
僕はトモミの豊満なおっぱいに顔を埋めたあとで

「見てもいい?」

と聞くと、
トモミは上体を起こして自分でブラを外しました。

目の前に現れたトモミのおっぱいはやっぱり大きくて(Eカップ)、乳首が小さくピンク色で乳輪は500円玉ぐらいです。

僕はトモミを押し倒して両手で生パイを揉みながら、乳首を舐めると

「あぁ…ひっ……んんっ」

と喘ぎ始めました。

「トモミちゃん、気持ちいい?」

と確認すると
「んっ…はぁ、気持ちいいよ…んんっ」

それを聞いて、もっとちゅぱちゅぱと左右のおっぱいを舐めると、トモミは

「あぁーんんっ、ダメ…はっ、アンっ…」

と一段と大きく感じる声をあげました。

そのまま舐め続けていると、トモミが上になってる僕のおちんちんをパンツの上からさすってきました。

ジーンズの上からさすられるより格段に気持ち良く、思わず乳首をしゃぶるのが止まってしまいました。

「やす君のココ、凄いことになってるね(笑)してあげよっか?」

「いいの?」

「うん…寝て」

トモミに促されまま仰向けに寝かされ、パンツを脱がされました。

トモミは一言

「大きいね」

とだけ言って、ゆっくりとおちんちんをしごきはじめてから、ぱくっと咥えました。

手も使われながらのゆっくりとしたスロートでしたが、あまりの気持ち良さ3分ほどでイキそうになってしまって

「あっ、、ダメ、トモミちゃん…止めて。イキそう」

トモミは咥えたまま

「(いっていいよ)」

とスピードをあげると、僕は呆気なくトモミの口内へ勢いよく発射してしまいました。

ごめんと謝ると…トモミは口をごもごもさせながら、左手で僕にちょっと待ってとジェスチャーしました。

言われた通り少し待ってると、突然パァっと口を広げ僕に見せてきました。

驚いて

「えっ…!?」

と言うと、トモミは

「飲んじゃった(照)」

この瞬間とても、トモミが愛おしくなってしまいました。

その後、2人でベッドに潜りこんで…

「いっぱい出たね」

「ごめん、気持ち良くて…」

「謝らないで、嬉しいし…」

「本当に?」

「うん(照)ねぇねぇ…私も気持ち良くして…(恥)」

そう言って、僕の右手を取り布団の中にあるトモミの下着の中へ誘導されました。

トモミのおまんこはもう濡れていて、さらに中指をクリトリス誘導され

「ココ触って…」

言われるままに触ると

「んんっーあっ…ハァハァ いっ…んんっ」

と気持ち良さそうに声をあげ、トモミが我慢できなくなったのか

「ねぇ、やす君…舐めて?(照)」

僕は布団の中へ潜りこんで行って、トモミの下着を脱がせ、股の間に入って…暗くて良くは見えなかったけれど、鼻にトモミの陰毛を感じながらトモミのおまんこを味わいました。
これまで嗅いだことのないいやらしい匂いと、溢れてくるトロトロの汁に興奮していました。

トモミも両手を僕の頭に置いて

「あぁっ…んんっ…ハァ気持ち良いよぉ…んっ…あんっ」

と感じていました。しばらくしていると…

「もうダメ…挿れて…」

トモミからおねだりしてきました。

僕は布団を剥いで、ベッドの小物入れに忍ばせていたコンドームを取り出し、着けようとしました。
が、緊張でなのかいざ着けようとすると、萎んでしまい着けれません。。。

自分でしごいて勃たせようとしてもダメです。
トモミが

「緊張しちゃった?」

と言うと…
またフェラで勃たせてくれました。

また新しいコンドームを手に取り、着けようとすると、また萎んでしまいました。

今度は何も言わずに、さっきよりも長めに咥えてくれました。
再度コンドームを手に取りました。
今度は上手く着けることができて、いざ挿入しようとトモミのおまんこにあてがうと、またもや萎んでしまいました。

5個入りのコンドームで、前日に着ける練習で一つ消費してるので、残りはあと一つ。

『ヤバい…どうしよう…』

そう思っていると、またトモミが咥えてくれました。
二度目よりもさらに長く…パンパンに膨れるとトモミが

「そのままでいいよ(照)」

「えっ…!?いいの??」

「中には出さないでね」

「うん!!」

そうして、ギンギンに膨れあがったおちんちんをトモミのおまんこに挿れました。

「んんっ…おっきい…んっ」

「トモミちゃん…気持ちいいよ…」

「トモミって呼んで…んんっ、はっ…」

「うん…トモミ気持ちいい」

そのまま、一度キスをしてから、ゆっくり動いたのですが…すぐにイキそうになってしまい
「あっ…トモミ…俺、イキそう…」

「んんっ…あっ…うんっ、いいよ…はぁっ」

僕はイク瞬間にから抜いてお腹めがけて、放出しました…一度、イっているのに大量で勢いもよく、お腹だけでなく、おっぱい、首、顎までかけてしまいました。

慌てて、すぐに

「ごめんね…」
と謝りましたが

「ううん、いいよ(笑)気持ち良かった?」

「うん…凄い気持ち良かった」

「良かった(笑)」

と言って、僕の精液を拭き取りました。
その後、裸のまま2人でベッドで横になって…
トモミが

「付き合ってもないのにしちゃったね…」

「うん…俺、トモミと付き合いたいんだけど…ダメかな?」

「私デブだし、可愛いくないけど…いいの?」

「えっ…可愛いよ。ダメ??」

「いいよ(照)」

「やった!」

僕が抱きつくと、トモミにキスをせがまれて…ディープキスを。

唇が離れたところでトモミが

「なんか、お腹の所に当たってる(笑)」

「ごめん(笑)…」

そう言うと、布団に潜りこんでいってちゅぱちゅぱとまた咥えてくれました。
僕はたまらず

「また、したい」

「しょうがないなぁ槌」

と、今度は萎むこともなく最後のコンドームを着けて挿れました。

さっきよりは多少早く動けたけど、それでも5分もしないぐらいでトモミの中でゴム発射しました…。

~続く~
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55
投稿者:たく
2019/11/04 00:18:55    (Hbqx8fmO)
良い話です
読みやすいし
続き楽しみにしてます
54
投稿者:やす ◆gy.TeW24SQ
2019/11/03 23:22:50    (gYpWhUEo)
2012年10月下旬。
僕はその日、待ち合わせの時間よりもだいぶ早く、その場所に辿り着いていました。
何度も何度も近くのドラッグストアのトイレに入り、ワックスで整えてきた髪型を確認します。

「ごめん、ごめん待った?」

トモミは約束した時間の5分前にやってきました。
少し伸びた髪型以外はあまり変わらないように見えます。あの頃のままです。

「いや、全然。ていうかまだ、約束の時間の前だよ(笑)」

「あっ、ホントだ~~(笑)」

トモミは腕時計を見て笑います。

「やす君・・・久しぶりだね」

「うん、久しぶり。元気そうだね。あんまり変わんないね」

「やす君もあんまり変わってないね(笑)」

「そうかな?あ、行こうか?」

「うん」

僕は思いっきり「スカし」ていました。
トモミに会えたことが嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。今にも飛び跳ねたい気分です。
ただ、それを悟られるようなことはできません。

僕は静かな個室の店を予約していました。沢山話たいことがありました。
それに胸には絶対に聞きたいことを2つを持参しています。

店に入ると

「わぁ、やす君もこういうお店に来るようになったんだ?大人になったねぇ~(笑)」

と少し驚いています。

生ビールで乾杯して、勢いづけにその半分くらいを飲みました。

「やす君、飲めるようになったんだ!?」

「そりゃ、多少の付き合いもあるしね」

僕は、トモミと別れた時に無理やり飲んで酒慣れしたことは伏せます。

それからは、お互いの仕事のあれやこれやを話しました。

笑って話すトモミを見るのはいつ以来なんだろう?
そんなことを思いながらも、時間が過ぎるにつれ「あの頃」に戻ったような錯覚さえします。

ただ、やっぱり聞かずにはいられません。

この頃、震災後に出会った人や、しばらく会ってなかった人とは必ずと言っていいほど「あの時」どうしていたのかをお互いに聞くのが挨拶のようになっていました。
(今でもそういう風習はあります)

それと同じように、僕は聞きました。

「震災の時は大丈夫だった?」

「うん、職場にいたけど大丈夫だった。やす君は?」

「大丈夫」には色んな意味が含まれて使われることが多い時期でした。
その言葉の裏には

「津波被害にあった人よりは」
「家を流された人よりは」
「家族が犠牲になった人よりは」

という枕詞が着く場合がほとんでした。

あの当時ほとんどの人が寒い中、被害の少なかった地域ですら電気・ガス・水道のライフラインが数週間絶たれ、食事もままならなかった時期です。全員が被災者でしたが、それでも津波にあった人よりはという思いがありました。

「うん、俺も大丈夫だったよ。実家は・・・?」

少し、思い詰めたような顔をしてから

「流されちゃったんだよね・・・」

僕は思わず

「やっぱり・・・」

呟くように、そう言ってしまいました。

「え?」

僕は今回のこの経緯を話すことにしました。

「実は2ヶ月ぐらい前に、トモミの実家の方にバイクで行ってみたら何も無くなってて」

「家覚えてたの・・・?」

「いや、しっかりとは覚えてなかったんだけど・・・ここかな?という所は見つけることができてさ、集落ごと無くなってたから。恐らく・・・そうじゃないかって」

「本当に行ったんだ・・・」

「うん」

そう返したところで、一旦、言葉を飲みかけましたが続けることにしました。

「それで、トモミが無事だったか心配になってしまって。住んでたアパートにも行ってみたけど。もう違う人が住んでたから。それでFacebookで検索して・・・」

「そうだったんだ・・・」

「うん」

どう聞いていいのか分からなかったけど、そうであることを願って聞きました。

「お父さんと、お母さんは大丈夫だった・・・?」

「・・・・・お父さんが・・・」

「・・・・・」

絶句しました。

「まぁ・・・見つかってない人に比べれば。比べちゃいけないんだけど」

僕は信じられませんでした。まさか、あのお父さんが。
いや、もしかしたらという気はしてはいたけれど・・・本当に「まさか」という気持ちでした。

「そうなんだ。まだ若かったよね・・・」

「うん」

「怖かったけど、優しそうなお父さんだったよね」

僕はトモミの机に飾ってあった、写真を見てそう思っていました。

「うん・・・」

「お母さんとナツコさんは?」

「どっちも大丈夫だよ。震災前にお姉ちゃんはもう地元に戻ってたけど。うん大丈夫。お母さんは今、仮設なんだけど(汗)」

「そっか大変だね・・・これから寒くなるだろうし。ナツコさんは一緒じゃないんだ?」

「うん、地元の人と結婚して」

「あぁ、そうだったんだ!いつ?」

「震災の2年前かな」

「そっか~結婚したんだ!」

「うん、子供もいるよ(笑)」

「そっかそっか、幸せにしてるんだ!」

お父さんのことから話題を逸した感じでした。でも、そこでトモミが

「無理しちゃうだろうから・・・言わかったんだけどさ・・」

「なに?」

その先を聞くのが少し怖かったのが本音です。

「お父さんね、私が帰るたびに『あいつは飲めるようになったかの?』ってやす君のこと聞いてきてた(笑)」

「えぇ!?そうなの??」

「うん(笑)いつか一緒に飲みたかったんだと思う」

「そうなんだ!?それは知らなかったなぁ。じゃ、献杯させて頂きます」

「ありがとう(笑)」

それから、僕がトモミの実家に行った時の思い出話に花を咲かせて、それが一段落したところで思い切って聞いてみることにしました。

「あれから好きな人はできた?」

その聞き方がスマートだったのかは分かりませんが、そう聞きました。
トモミはそれには答えずに、逆に聞いてきます。

「・・・やす君は?」

確かに、僕から答えればトモミも答えやすくなるかなと思いました。

「俺・・・?んー。一応2人と付き合ったけど。ダメだった(汗)」

トモミはそれを聞いて、続けます。

「ふーん、そうなんだ。なんで別れちゃったの・・・?」

「特に大きな原因とは無かったんだけどね。あまりしっくりきてなくて。あっ、お互いにね(汗)」

「でも、好きだったんでしょ?」

「うん、まぁ、そのつもりで付き合い始めたんだけど・・・」

少しこれで聞き出しやすくなったと思いました。僕はトモミにストレートに聞いてみます。

「トモミは?今、付き合ってる人いないの?」

「いないよ」

「じゃ、好きな人は・・・?」

「いるよ」

トモミの表情が少し曇りました。
僕は初めから「恋人」や「好きな人」がいるということは想定はしていました。

もうあれから6年も経っていて、27歳なのですから、いても何の疑問はありません。
けれど、僕は少しショックでした。ちょっとした期待をして、この場に挑んでいましたが、その期待は見事に崩れ去りました。

しかし、それをそのまま見せるのは大人気ありません。僕は更に聞きました。

「そうなんだ~!どんな人??」

「凄くバカな人」

「そうなの?だけど、なんか惹かれちゃうんだ?(笑)」

もう、とても軽薄そうに聞く術しか僕にはありません。

「そうなのかもね。でも・・・好きなんだよね(怒)」

少し語気を強めて、怒っているように見えます。
僕はそれに、少し焦ってしまい

「そうなんだ・・・」

としか言えません。
トモミは次第に少しずつ目に涙を溜めはじめました。
僕は、それにまた慌てて

「大丈夫?そんなに辛い恋愛なの・・・?」

この時、トモミは彼女や奥さんがいる人のことを好きで、そういう許されない恋をしているのかもしれないと思い始めました。

「本当に馬鹿だね?」

「え?」

なんのことを指してそう言っているのか、まるで分かりません。
もしかすると、そういう人を好きになってしまった自分を指しているのかと思いました。

「私はずっと好きだったの!!」

トモミは続けます。

「まだ分かんないの?本当に馬鹿なんだね?」

涙をこぼしながら、僕を詰るように言いました。
さらに続けます。

「ずっと待ってたの!!」

「えっ・・・!?」

「別れようって言ったのは私だから・・・私から会いに行けない。資格もない・・・。
 私、あの時、本当にいっぱい、いっぱいで・・・ごめんね。やす君・・・。
 だから・・・でも、ずっと・・・
 いつか迎えに来てくれるって信じてた。6年も・・・。」

大量の涙を流しながら、文脈もめちゃくちゃにトモミはそう言いました。
ただ、それは僕にしっかりと伝わりました。

僕には、「待たせてしまった」という自意識はありませんでしたが

「ごめんね」

そう一言だけ謝りました。
僕は頬がスーッと流れて行くのものを感じました。

トモミは自分のカバンからティッシュを数枚取って「ビーッ」と鼻をかみました。
もう薄い化粧も崩れています。
少ししてから、また鼻をかみました。もうグチャグチャです。

そして、しばらくすると少し落ち着きをみせたトモミは、もうだいぶ前に感じる僕の「ごめんね」に対しての返答をはじめました。

「ううん・・・たとえ、おばあちゃんになっても待ってるって言ったし。その『契』交わしたの忘れちゃった?ずっと待ってるつもりだったから。必ず会いに来てくれるって。それよりは早かったし・・・ごめんね、やす君・・」

そこまで言ったところで、治まりかけていた涙がまたトモミの頬を流れていきます。
トモミの言葉に「嘘」はないように感じました。

トモミの涙が治まるのを待ってから、まだその時間までは「余裕」がありましたがトモミに「出ようか?」と店を出ました。

店を後にして10歩も歩いたのでしょうか。
そんな所で、僕は強く強くトモミを抱きしめました。

トモミも僕の背中に手をまわしてくれます。

今だからこそ言えますが、よくあんな人通りの多い所でと思う場所でした。

ただ、もうそうせずにはいられませんでした。
あれは明らかな僕の意思表示です。

トモミが

「痛いよ・・・」

そう言いながら、僕の背中にまわした手をポンポンと叩きました。
僕は本心とは裏腹にトモミを解きます。

そして、トモミの手を絶対に離さないように握って歩き始めました。

会話はありません。僕もトモミも泣いていました。
トモミは僕の少し早くなった歩調に合わせてくれています。

その場所から、10分程のあまり目立たないホテル街へ行き少し古びた「レモンティ」の203号室に入りました。

ドアが閉まり、靴を脱いだところで僕はトモミの両肩に手を置いてキスをしました。
とても長くて甘い、空白を埋めるようなキスです。

「んっ・・・」

トモミの漏らす息が、僕の中に入ります。
僕はトモミをカバンごと抱えて部屋の真ん中のベッドの淵にそっと、傷つけないように優しく座らせるように置きました。そして、隣に僕も座ります。

またどちらからともなく、ぎゅっときつく抱きしめながら唇を合わせました。
これ以上はもう息が続かなくなるという所で、僕は唇を離します。

「愛してる」

トモミは「うん」と頷きます。
そして、また唇を合わせて、その想いを舌に代弁させるかの如く絡ませました。
そうしながらトモミの体を触ります。
その柔らかさはあの時のままのようです。

そのままトモミを脱がせにかかりますが、キスを疎かにすることを僕自身が許しません。
なかなかトモミの上着すら脱がせることができませんでした。

それをトモミも悟ったのでしょう。
自ら上着の袖を抜き、片手でシャツのボタンを外しだしました。
それが終わる間も唇を離すのが惜しく、そうすることはできません。

やがて、シャツの袖も抜き終えました。
ふと目を開けて脱いだことを確認すると、黒のキャミソールが目に飛び込んできます、その胸元にあるものに驚き思わず唇を離してしまいました。

さきほどまではシャツの下になっていたので見えませんでしたが、そこにはバレンタインの時に作ったペアリングがシルバーのチェーンにぶら下げられています。

「これ・・・」

僕はそう言いながら、それを手に取り見ました。

明らかに「それ」でした。
買った当時は綺麗なシルバーでしたが、ところどころ色落ちして「銅色」になっています。

「お守りがわりに・・・」

トモミがそう言うと、僕はまた抱きしめます。
僕は、もうその涙を抑えるのを諦めます。

キスをしてから、キャミソールを脱がせました。
そして薄い水色のブラジャーが目に入りましたが、それを両手で一目散に外しました。

6年ぶりのトモミの体は綺麗でした。
白くて丸くて大きいおっぱいで、まるで成熟した果実のようです。

僕は、両手でそれをやさしく下から持ち上げるかのようにして、片方を口にほうばります。そっと、舌で乳首を撫でます。僕は初めて涙を流しながら、おっぱいを愛でます。

「あんっ・・」

トモミは驚いたような、悲鳴にも似た声を出し体を一瞬、震わせました。
そして、僕は舌を徐々に徐々に乳首に当てる圧力を強めていきます。
トモミの小さな乳首はコリコリとかたく膨れあがっています。

「あああっ・・・んうっ・・やす君っ・・・」

僕は、座っていたトモミを抱えてベッドの中央へと移動させます。
そして、靴下を脱がせてから七分丈の細めのデニムパンツを脱がせました。
パンティも薄い水色のものでしたが、あの部分は色濃くなっていました。
そして、トモミのヌルヌルとした汁がパンティの表面までに染み出しているのが分かります。
まだ、その部分に触れてもいないのにです。

少しだけパンティの上から確認するように、そこに触れてみました。
やはり下着の上からにも関わらず「糸」をひきます。

僕はすぐさまそれを脱がしました。
トモミの薄めの陰毛を見るのはいつぶりになるんでしょうか。
ただ、すべて裸になったトモミはやっぱり本当に綺麗です。

トモミは少し恥ずかしそうにしています。

そして脚を拡げて、その間に入りました。
両手でビラビラした所を開きますが、それすらにも「糸」をひく具合です。

ゆっくりと全体を舐めます。その粘着性の強いおまんこ汁はその間にもどんどんと溢れてきました。

クリトリスを優しく舌でペロっとするとトモミはまたもや体をビクッと震わせました。

「っんん・・・あああっ・・・んんぅぅ・・・」

それだけにもかかわらず、この乱れようです。
チロチロとソフトに優しく舐めます。

「んんんっーーんはっ・・・んぬぅ・・・っぁあ・・」

そのまま、おまんこへ中指の挿入を試みます。
が、キュウキュウとしいて、それをこじ開けるように指を中に進めました。

「ああっーーぅんん・・んんんぅ・・・」

その指でゆっくりと円を描くように拡げていきますが、トモミの中はその指に抵抗するかのようです。

この時、分かりました。

トモミはきっと、この6年「していない」

待っていたとは言っていましたし、それを信じていなかった訳ではありませんが、「まさか」と思いました。

どうにかその圧力に抵抗して、トモミの「好きだった所」をゆっくりと刺激します。

「っああぁーーーダメぇ・・・そんなにしちゃぁ・・・んんんっーー」

「我慢しないで・・・」

「あぁぁんんっ・・・・イクぅ・・やす君ぅ・・イクぅぅーー・・・」

それまで、強張っていたトモミの体からフッと力が抜けました。

「はぁぁっ・・・はぁぁ」

トモミは荒い呼吸をしていましたが、それが整いきる前に上体を起こして僕にキスをしてから、僕の服をすべて脱がせてくれました。そして

「ねぇ・・・うつ伏せになって」

と言います。言われたた通り、そうします。

すると、トモミは耳、首と舐め始めましたが快楽に導く「それ」とはどこか違います。
それも気持ちいいのですが、まるでその漏れがないか確認するかのように時間をかけて、順よく舐めていきます。

そして、その確認作業は腕、背中、腰を経て臀部にも差し掛かると、とうとうアナルまで到達します。すかさず

「トモミ、そこは汚いから・・・」

と止めさせようとすると

「ううん。他の人が触った所、全部消してるの・・・」

そう言うと、その「作業」を続け、後部が終わると前部に移動しました。
トモミは顔にもそれをしてから、乳首とおちんちんをやり残し、それを終えました。
そして

「ここはやす君が好きな所だから『汚れ』酷そうだなぁ・・・」

と言ってから、乳首を舐め始めました。
最初こそ優しいものでしたが、次第にその「清掃」は激しさを増していきます。
トモミから見て、その「汚れ」がこびり付いていると判断されたんでしょうか。
吸引までもされます

「あぁっ・・・トモミ・・気持ちいいっ・・ぅう・・・」

「本当?これから他の人にされちゃダメだからね!」

「うんっ・・・トモミ・・ぁあっ」

「こっちはもっと酷そうだなぁ・・・」

そう言ってトモミは僕の股の間のスペースに入りました。
やはり全体に舌を隙間なく這わせます。それを幾重にも幾重にも重ねて。

「あぁっ・・」

「こっちも、きっとそうなんでしょ・・・」

玉も同じようにしてきます。

「うぅぅーーんんぁ・・・トモミ・・」

トモミの口調こそ、少し怒っているようにも聞こえますが、僕をそうする動きからは僕への愛おしさが伝わってきます。

「あああっーーーんぐっ・・トモミ・・・ぅううっ・・」

それから、やっとトモミはフェラチオを始めました。
裏筋を丹念に舐めあげています。思わず、おちんちんがピクピクとしてしまいました。

「んふっ・・・ピクってした(笑)」

そう言ってから、トモミは咥え始めました。

「っちゅぱ・・・じゅぅっぷ・・じゅぽっ・・・」

トモミは頬をへこませながら咥え、口内で舌をよく当ててくるのが分かります。
もう限界でした。

「トモミ・・・もう綺麗になったよ・・・」

「うん、そうだね・・」

「いい・・・?」

「うん・・」

もう自然と決意はできていました。
コンドームは手に取りません。
トモミを寝かせ脚を拡げてから、おちんちんにトモミの潤滑油を塗り込みます。

そして、それをゆっくりと挿入させていきました。先程よりも強い圧力があります。
それでも、亀頭までを飲み込ませたあたりで

「痛っ・・」

「ごめん・・痛かった?」

「うん・・・ごめん・・もう少しゆっくり・・・」

「うん・・」

ゆっくりとゆっくりと、実感としては「ミリ」単位で少しずつトモミのおまんこをこじ開けていきます。そして、そのすべてが挿りきりました。

トモミは泣いています。

「ごめん、痛い??」

慌てて聞きますが、トモミはその泣き顔を数度、左右に振りました。

「ずっと、こうなりたかったの」

と言って、ボロボロと大粒の涙をこぼしました。
僕は、起こしてあった上半身をトモミに覆いかぶさるようにしました。
そして、何度かトモミの涙を手で拭いてあげ、両腕をトモミの背中にまわします。

気付けばトモミに僕の涙も落ちていました。トモミも僕の涙を手で拭いてから

「お願い、やす君の最後の女にして・・・」

そう泣き声で、声を震わせながら言いました。
僕は頷いてから、キスをしてそのまま、ゆっくりと動き始めます。

唇もトモミを抱く腕も離すつもりはありませんでした。
トモミも僕の背中に腕をまわします。

トモミのすべてを逸したくはありません。

「っううっっ・・・ヒッ・・ぁあっ・・んぅ・・んんっ・」

そんな、泣き声とも喘ぎ声とも判断がつかない声がトモミの口から直接、僕に注がれます。

次第に速まる動き。
トモミのきつくなっていた、おまんこの締め上げにはもう耐えられません。
一瞬だけ唇を離し

「いくよ」

とだけ伝え、頷くのを確認してから再度、唇を戻します。
少しだけ、腰を速めた僕はトモミの一番奥深いところですべてを放ちました。

それでも僕達は唇をなかなか離すことはしませんでした。

しばらく経ってから、拭きもせずに、そのまま裸で寄り添うように抱き合っていました。

「本当に誰とも付き合わなかったんだね」

「うん、前に言ったの覚えてないの?」

「なにを?」

「温泉行った時にさ、やす君以外に見られるのも嫌だって・・・」

苦い思い出です。
確かに僕は「それ」でトモミを泣かせてしまい、トモミはそう言っていました。

「覚えてる・・(汗)でも、あれから、もう・・・」

そこまで言いかけてやめました。トモミは

「インディアン嘘ツカナーイ」

とおどけてみせます。

「それが嘘じゃん(笑)」

「あははっ(笑)」

そう笑った後で、

「そんなことより・・・私、6年分溜まってるんだけど・・またしよ(照)」

「さすがに・・・6年分はできないかなぁ(笑)」

「えーーー!?私のセカンドバージン奪っておいてぇー(笑)」

「セカンドバージンって・・・(笑)」

「やす君の初めての時は、あんなに、いーっぱいしてあげたのになぁ~~~(笑)」

「いや、あれは、ほら童貞だったし・・・若かったし(汗)」

「なに勝手にオジさんになってんのよー(笑)」

「ごめん・・・(笑)」

僕らはそうやって、また共に歩き始めました。


~続く~

53
投稿者:チャキ   soujik
2019/11/03 18:57:04    (Cug/YE1a)
6年の歳月を越えてFacebookで繋がるなんてすごいドラマではありませんか。
トモミさんの積極性も以前のままのようで嬉しくなりました。

メアドが変わっていないところや、そこから会う約束ができたところでは、自分の話ではないのにガッツポーズをしてしまいました。

もう夢中で読んでおります。
52
投稿者:ヒロ
2019/11/03 15:47:56    (.5MccmEn)
一人の女性と出逢いと別れを経験し、本当にその人が好きだってことが分かって、どう行動するか。読みながら、涙が溢れてきました。

ハッピーエンドを願わずにはいられないですが、どんな結末であっても、すごいなと思います。
51
投稿者:たけ
2019/11/03 13:49:07    (B3mHNf/k)
やす様よりもかなり年配になりますが、とても感傷的になって読ませていただいております。
話の流れとして、私自身の経験と多々オーバーラップしてしまって・・・
やす様の結末はまだ分かりませんが、私は阪神大震災でこの話と重ねていた彼女を亡くしました。

あの頃の切ない気持ちを思いながら、やす様のハッピーエンドを願って止みません。

最後までしっかり読ませてもらいますね。
50
投稿者:やす ◆gy.TeW24SQ
2019/11/03 10:56:15    (gYpWhUEo)
2012年。
早いものであっという間に社会人生活も5年目を迎えました。

僕は大学卒業後じいちゃんの出身地でもあり、大学のある、この都市にそのまま住んでいました。ただ、就職を機に少しだけ広めのアパートには引っ越しました。

本当は地元に帰ろうとも思ったのですが、この土地に愛着があったかと言えば特段そうではなく、たまたま第一志望に就職できたことが大きな要因でした。

なんとなくですが、この街を離れてはいけないような気もしていましたが、それはただの思い過ごしだと考えるようにしていました。

ただ、これでも長男なので、ばあちゃんは悲しんでいましたが親父が「好きなようにしろ」と言ってくれたので「そう」させてもらうことにしました。

少しは仕事ぶりも板についてきた頃で、いつからかトモミにプレゼントするはずだったフットマッサージ機は、その仕事の疲れを癒やす為のマストアイテムとなっていました。

僕は、トモミと別れてからの6年間の間に2人の女性と交際しました。
モテないダサメンの僕にしては上出来です。

もちろん好きだから、付き合い始めたのですが・・・どちらの方とも1年程で実にあっさりと別れたもんでした。お互いにしっくりきてなかったことは否めません。

もしかすると、僕が恋愛に臆病になっていたところがあったのかもしれません。

「あの時」僕は、もう一生分の涙を使い果たすのではないかと思うほどに毎日狭いアパートで泣いて暮らしていました。

そういうこともあり、僕は割と多くの時間を1人で過ごしてきました。

24歳の時にはTVで観たオートバイの特集に影響され、普通自動二輪の免許を取って400ccのバイクを購入し、月に1回ぐらいのペースで土日の休みに行ける範囲での遠出。
パンクロックのライブを観にライブハウスにも足繁く通いました。
それから、子供の頃にじいちゃんによく連れて行ってもらっていた釣りも始めたり。
プロ・アマ問わず野球の試合を観に行ったり。
もちろん、性欲もあり余っているので風俗にも行っていました。

気ままな独身生活を謳歌していたと言えば聞こえは良いですが、それは「余白」を埋める作業だったのかも知れません。

そういう訳で、僕は知らず知らずのうちに「おひとり様」が上手になっていました。

トモミのことは、たまにふと、思い出して
「元気かな?」とか「今頃もしかすると、彼氏と・・・」なんて思うこともありましたが、その程度です。

それがガラっと変わったのが「あの」震災の後です。

とにかく心配で心配で仕方がありませんでした。
トモミの実家はあまちゃん地方の沿岸です。そして家の目の前は海でした。

最悪のケースを考えると胸が押しつぶされる思いになりました。

実際に、その町の役所へ電話してトモミのフルネームを伝えて尋ねたこともありましたが、当たり前ですが教えられないと言われました。

1年もすると、いよいよトモミの「無事」をどうしても確認したくなりました。

とうとう、その夏に僕は自分自身に

「もう土日の2日間の休みで帰って来られるような場所はここぐらいしかない」

という言い訳をしてまで、トモミの地元の方へバイクで出掛けることにしてみました。
宿泊するホテルだけを予約して早朝に家を出て昼前には、その町に到着しました。

その町の中心部は他の被災地と同じく、津波の爪痕がまだ生々しく残っています。その町のそれも、新聞やTVで何度も目にしていたのですが実際に目の当たりにすると動悸がしてきました。

それから、祈るような気持ちで微かな記憶を辿ってトモミの実家の方を目指しました。

何度も「ここじゃないな」と海沿いをバイクで走りながら確認していていきます。

幾つかの集落を過ぎてから、なんとなくですが見覚えのある景観の所に辿り着きました。

「海の見え方や山の見え方が似ている」

目印がそれしかありませんでした。
この辺りだったと思うような所には家がありません。

「・・・いや、そうじゃない。集落がない。」

そこに残されていたのは家々の基礎だけです。
いや、そんなことはもうここに着く前には分かっていました。

ここに来るまでに通り過ぎてきた海にほど近い集落のほとんどは、「そう」でした。

それでも僕は、

「記憶違いをしているだけで違う場所だ。そうに違いない」

そう言い聞かせることしかできません。でなければ、とても冷静にはいられそうにありませんでした。

でも本当はそうじゃないことは分かっていました。

結局、ホテルでも一睡もできずに僕はバイクを走らせ戻りました。
その事実を否定したい気持ちしかありません。

この頃の僕はわりと勤務中は仕事に集中できるタイプだと自認していましたが、そのことは仕事をしていても頭からは離れませんでした。

とりあえず、生きていることは確認したい。
次の週末、当時のアパートに行ってみることにしました。

アパートが見える位置に車を停めて、張りました。
駐車場にはトモミもナツコさんも乗りそうにない車が停まっています。ナツコさんの彼氏か、それともトモミの彼氏の車なのか・・・精神安定剤はそれでした。

しかしながら、全然違う若い家族が住んでいました。

いや、俺だって引越したんだし、トモミとナツコさんだってきっと。
そう思うほかにありません。

トモミは別れる直前、職場のことで大変悩んでいました。
職場を辞め、実家に帰っていることも想定されますが・・・。

もし、そうだとするとトモミは。

そう考えれば考えるほどに、その事はなかなか頭から離れません。もちろん仕事中もです。
普段からは、なかなか考えられない初歩的なミスもしてしまい、こっぴどく上司には叱られました。

そんな日々を過ごすなかで、ある日の夜「そうだ!」と思いつきました。
当時、流行の兆しが見えていたFacebookで検索してみることにしたのです。
僕もこの頃には周りにならって、ガラケーからiPhoneに換えFacebookにアカウントを持っていました。記事の投稿はしていませんでしたが、友人や職場の人に「いいね」するためだけのアカウントです。

そしてFacebookでトモミのフルネームを検索します。あまり多くはない名字なのですぐに見つかりました。
それから、誕生日や出身地、学校を見て本人だと確信を得ます。
「あった!」とホッとするの束の間でした。
トモミも投稿は全く、されていなくて現在の状況がまるで分かりません。

このアカウントはいつ作成されたものなのだろうか。
記事の投稿がされていないのは・・・。

良くない方をイメージしてしまいます。

2011年の3月以降にこのアカウントが作成されたことが知れれば、とりあえず「その」証明にはなり得ると思いました。

まずはFacebookがいつから、日本で提供され始めたのか。
2011年よりも遥か前でした。

もしかすると、どこかのレストランのHPでシェフの紹介ページがあるかもしれないと思ってフルネームで「ググって」みましたが、それらしいページはありません。

残された手段は、勤めていたレストランに確認することとFacebookで連絡を取ることの二択に絞られました。ただ、前者に関しては辞めている可能性が高いとは思っていました。

それでも、もし生きているのであれば、できるだけ「僕の存在」を明かさずにそれを確認したいというのが大きくありました。

今更、「元彼」が連絡してくることを快くは思わないだろう。もし、今付き合っている「今彼」がいればなおの事です。

思い切って、レストランに電話してみることにしました。
もし居れば、呼び出してもらっている間に電話を切ればいいだけのことです。

「はい、レストラン○○です」

「〇〇(偽名)と申しますが、(トモミのフルネーム)さん、お願いします」

「大変申し訳ありませんが、XX(トモミの名字)は既に退職しております」

トモミは退職済でした。
この時に、いつ退職しましたか?と聞ければ良かったのですが、それではあまりにも怪しすぎるかなと思ってしまいました。

残る手段はFacebookでの「直接確認」を残すばかりです。

さて、どうしたものか。
なかなか、答えは出せません。

数日間悩んで、恋愛ごとに明るそうな隣の席の後輩の女子に聞いてみました。

「あのさ〇〇さん、もし昔付き合っていた彼氏から突然連絡きたらどう思う?」

「えっ!?やすさんから、そういう話ふってくるの珍しいですね(笑)」

(うるせーよ!!早く簡潔に答えろ!)とは言わずに、
「いやね、友達がどうしても元カノに連絡を取らなくちゃいけない場面に今、遭遇しちゃってんのよ」

「あーそういうことですね。そうですね・・・その人次第じゃないですか?」

「ん?どういうこと?」

「その元カレとの思い出が良いものだったら連絡がきても嬉しいんじゃないですか?じゃなければ、ちょっと・・・。ダメ男もいっぱいいるじゃないですか?そういう人から連絡きたら身構えちゃいますね」

「ふーん、そういうもんなんだ。ありがと」

(さあ、俺はどっちだ・・・)

僕は言わずもがなだけれども、トモミはあの時のことをどう思っているんだろう。

ただ、それを天秤にかけてでもやっぱり、トモミが生きていることを確認することの方が重要に思えました。

これは、自分の勝手だけれども、それさえ確認さえできればいい。
その後にしつこく連絡もしない。
ただ、願うことはトモミが生きていてくれることでした。

そう腹が決まってから、Facebookで恐る恐る友達申請を出しました。
念の為、Facebookの通知がオンになっているか確認をしておきましたが、その日はその通知がきませんでした。

翌朝、再度見てみましたがきていません。

「嘘だろ・・・」

それを承認して通知がきてさえくれれば生きていることは証明されるんだから。

通知がきたのは、その日の夜でした。

「あぁ・・・良かった。本当に良かった」

それ以外の感情はなく安堵していました。
僕はそれだけで泣いてしまっていました。

再度、通知がきます。開いてみると、それはトモミからのメッセージでした。

「久しぶりだね。やす君、元気にしてる?」

それは当然ながら6年ぶりです。
カフェに呼び出されて以来のメッセージです。

「うん、元気だよ」

と打ってから一度消しました。作成し直しです。

「Facebookを触ってたら偶然見つけたから、申請してみた!元気だよ。そっちは?」

「良かった!私も元気だよ~。本当に懐かしいね」

「そうだね(笑)」

このような感じで、メッセージのやり取りをしました。
僕は当たり障りのないように、そのメッセージを懐かしみ楽しんでいました。

当初、「それだけ」を確認すればよかった筈が、いつの間にかもっとこのやり取りを続けたくなっていることに気づくのに、そう時間はかかりませんでした。

メッセージのやり取りが10ターンを超えた頃でしょうか、玉砕覚悟で

「良ければLINE IDかメールアドレス教えてくれない?」

「アドレスなら知ってるでしょ?それとも、もう忘れちゃった?」

そうだ!!
僕はトモミと一緒に携帯電話を買いに行った日に、ほぼ同じメールアドレスにしていました。そして、僕もそれを未だに使用している。特段変える必要もありませんでした。

一旦、自分のメールアドレスをコピーしてメール作成画面を開き、送信先にそれをペーストしてから誕生日のところをトモミの誕生日に打ち直して、本文に

「まだ、このアドレスだったんだ!」

とだけ打ち込んで送信しました。
間もなく、返信が返ってきます。

「やす君も変わってないんだ(笑)」

それからは、1日に2~3件のメールのやり取りが緩く続いていました。
僕は、ここまでくると聞きたいことがありましたが、それを聞いてしまうとこのやり取りが終わってしまうような気がしていました。

トモミもそれを聞くと、自分にも聞かれるリスクを恐れたのでしょうか、踏み入ったことは聞いてきませんでした。

ただ、お互いの仕事の話になった時に、それとなく聞いてみると初めに入ったレストランは1年程で辞め、今は農家レストランで勤務しているとのことは聞き出せました。

何でも農場に隣接したレストランだそうで、そこで取れた野菜をふんだんに使ったメニューを提供する店舗とのことでした。

ただ、それ以外のことはやっぱり聞けません。

「今日は少し寒かったね」とか「今あのTV観ている」とか「今日は何を食べたとか」
そういうメールを続けました。

さすがに、この緩いメールのやり取りを一週間以上も続けているとトモミに会いたくなってきますが、それを言うのは憚れます。
ですが、その思いは募るばかりです。

僕はある日、同じ課の妙齢のサトウさんに・・・失礼しました。
少し年上のお姉さんのサトウさんを誘うことにしました。
(ごめん、サトウさん・・・汗)

サトウさんは結構ズバズバと意見を言うので、多少周りから煙たがられているところがあるのですが、的確に的を得たことを言う人だと僕は思っていました。

僕はサトウさんと特別に親しい訳ではないですし、もちろん職場でプライベートな話をしたことがありませんでした。

「サトウさん、すいません今日って何か予定ありますか?」

「あら、珍しい。どうしたの?」

「今日一杯、どうですか?」

「私と○○(僕の名字)君が??どういう風の吹き回し?」

サトウさんの表情や話すスピードも相まって少しビビります。

「実は相談したいことがありまして、もし今日、都合悪ければ違う日でも・・・」

「今日大丈夫よ。それに、ちょっと興味があるし(笑)」

「はぁ(汗)じゃ、お願いします」

僕とサトウさんは仕事を終えてから個室の居酒屋に入りました。
ゆっくりと相談したかったのです。

生ビールでお互いの一日の労をねぎらう乾杯をしてから、サトウさんから切り出します。

「仕事のこと?」

「いや、そうではないんですけど・・・」

僕はここ1~2ヶ月のことを話しました。
そして、元彼女に会いたいと思っているけれど悩んでいて、そのことについて意見を聞きたいと。

サトウさんは

「〇〇君はさ、その子のこと好きってことでいいんだよね?」

「うーん・・・好きってことになるんですかね?」

「端的に言うね。わざわざ実家まで行ったんでしょ?職場にも電話したんでしょ?連絡取るのも相手の今の生活を気遣って慎重を期したんでしょ?」

「はい・・・」

「それって『好き』だよ」

「・・・・・」

「いい言葉教えてあげよっか?」

「はい、なんですか?」

「『もう一度愚かになれ』って知ってる?」

「なんですか、それ?」

「好きになるって、自分のエゴなんだよ最初は誰でも!」

「そう言われてみれば、そうですね」

「だからね、欲しいものは欲しいって言うの。じゃないと何にも始まらないでしょ?」

「はい」

「相手のこととか、周りのこととか考えないで、まずは愚かになって『欲しい!』って言うのよ!!」

正直この言葉は僕に刺さりました。
確かにサトウさんの言うことは、その通りです。
まずは「欲しい」を言ってみる。
さすがサトウさん。

ただ、僕はこの後サトウさんに3軒目まで付き合わされ大変な目に遭いました(笑)。
この頃は、ある程度飲めるようにはなっていましたが翌日は死んだように出勤しました。

体調が回復してから、僕はトモミをメールで誘ってみました。

「今度、久々に一緒にご飯でもどう?」

「あぁ~いいね!」

好感触です。あっさりと受ける感じから、もしかして・・・と淡い期待を持ちました。
ただ、それとこれとは別な感じもしましたが。

レストランはあくまでも農場がメインのようで、水曜日と日曜日が定休日とのことでした。
直近の水曜は予定があるとのことで、トモミが土曜の仕事が終わってから市内で待ち合わせをして会う約束をしました。


~続く~


49
投稿者:やす ◆gy.TeW24SQ
2019/11/03 09:02:23    (gYpWhUEo)
沢山の閲覧、本当にありがとうございます。
また、わざわざのコメント本当に本当にありがとうございます。
沢山の嬉しいお言葉の数々を頂き、大変嬉しく思います。

皆様お気づきの通り間もなく、この体験記は終わりを迎えます。

このあと3話にあとがきを加えた4回の投稿でその全てを締めくくらせて頂く予定でおります。

最後まで、お楽しみ頂ければと思います。
48
投稿者:(無名)
2019/11/03 01:09:39    (clg9YX.t)
あと少しで最後なんでしょうか?どんな風に結末が来るのか気になってしまいます。
47
投稿者:こうたろう ◆9V9/gbCK7g
2019/11/02 20:32:30    (lIgOzrpb)
きっと数年後に再会し、再び愛が育まれることを願ってやみません
46
投稿者:チャキ
2019/11/02 15:42:08    (1KmOLd7k)
夢中で読ませていただきました。
年代的には私と同じか少し若いくらいでしょうか。
自分の経験とも重なり、年甲斐もなく感傷的になってしまいました。

多感的な時期に読んだ小説を手に取った気分です。

続きをぜひにもお願いします。

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