2015/08/16 05:09:32
(DlMashid)
「おかえりなさい」
と笑顔で出迎えてくれる妻の顔を見ると気が重たくなりました。
夕食を食べながら言うタイミングを見計らっている私を見て、
「どうしたの?何だか今日は元気がないみたい。仕事で何かあった?」
優しく声を掛けてくれる妻に胸が傷みましたが、言うなら今だ。
そう思い話し始めました。
「実は…」
私はお互いの妻を賭けて負けた事、妻が断れば成立しないこと。
涼子を抱いた事以外正直に話しました。
一気に全部話すと急に心が軽くなった気がした私は「本当に申し訳ない」と頭を下げました。
「ふぅん…よくそんな賭けに乗ったわね。それで?今回が初めてなの?」
女の勘というのは鋭いと感じざるは得ない質問に、怒らず聞いていた妻に嘘は付きたくないと思った私は軽蔑されるのを覚悟で「違う…2回目だよ」
声は震えていました。
「って事は…宏樹と涼子が?」
覚悟を決め黙って頷きました。
「前から涼子の事やらしい目でたまに見てたもんねぇ。これって立派な浮気よね」
明らかに怒っている妻に「はい」としか言えませんでした。
「涼子を抱いた今でも私への愛は変わらない?涼子への気持ちはない?」
結婚して一番の怒りをぶつける妻の質問に「ない。俺は今でも由紀だけを愛している」
強い口調で答えると「じゃあ、もし私が健さんに抱かれたとしてもその愛は変わらない?」
「変わらない」と答えた後に質問の意味を理解した私は「へっ?」
と間の抜けた声を上げていました。
「私だけ断ったりできないでしょ。そんな事したら二人ともう顔を合わせられないよ」
何と妻は承諾してしまいました。
「い、いいの?」
「んん…涼子と寝たってのは許せないけど…まぁ理由が理由だしね。その代わり次こんな賭けをしたら離婚考えるからね」
と、涼子と同じ事を言われもう何があってもしないと誓いました。
食事を終えた妻はまず涼子に電話をしました。
「あ、ごめん。さっき宏樹から全部聞いたんだけど…」
妻は洗いざらい、私が涼子を抱いた事も知っていると話し「ねぇ。もし健さんに抱かれても私と友達で居てくれる?」
妻は健に抱かれる事で涼子との友達関係を失うのを気にして電話したことを知りました。
妻のほころぶ顔が涼子がそうではないと答えた事がわかりました。
その後健と代わり健にも、もう2度とこんな賭けはしないと約束をさせた妻は、来週の土曜に家でということに決め電話を切りました。
「ふぅ…」
やれやれといったため息をつく妻に思わず抱き締め「本当にごめん」
と言うと「しょうがないでしょ。涼子も大丈夫そうだったし、私も涼子にいっつも自慢されてちょっと興味があったから…」
不意に出た妻の本心に「おいおい…由紀こそ、健に抱かれても俺を愛してくれるのか?」
「さぁ…もしかしたら心変わりしちゃうかも」
冗談とも本気とも取れる言葉に私は焦り「う、嘘だろ…」
「うん。嘘だよ。何があっても宏樹を愛してるから…」
二人の絆がまた深くなったような…そのままキスをして、リビングで妻を抱きました。