2016/04/13 02:43:06
(TBlxRP2A)
いまさら…ですが、投稿します。
そのあと、二人の会話が途切れたタイミングで目覚めた振りをし、すぐに健も目を覚ましました。
「二人ともぐっすり寝てたわね」
涼子がそう言って笑うと、妻も笑っていました。
さっき聞いた会話は夢だったのか?と、疑いたくなるほど二人の様子は普通でした。
「すっかりお邪魔してしまったな。由紀、そろそろ帰ろうか」
そう言って私と妻は自宅へと向かいました。
道中、妻から涼子とした話をしてくるかと様子を伺ってましたが、その件に関しては何も言ってきませんでした。
帰宅してからも例の話題はなく、自分の欲望が聞かせた夢だったのか。
と、諦めることにしました。
それから土曜の夜、明日会えないかと健から電話があり、また競馬の誘いと思い了承しました。
妻にも日曜出掛ける事を伝え、昼過ぎに競馬場へ向かいました。
これまでの数日間、妻を抱きましたが、特に変わった様子もありませんでした。
いつもの場所で待っていると健が現れ、「場所を変えよう」
と、いつになく真面目な顔で言って来たので、大人しくついて行きました。
昼間から営業している居酒屋に向かうまでの間、一言も話さない健。
私も声を掛けづらい雰囲気でした。
店に入るとビールを注文する健。
ですが、それ以外は言葉を発しない事に私は何か悪いことをしたのではないかと、頭を巡らせました。
やがてテーブルに置かれたジョッキを手に取ると、一気に喉を鳴らしながら半分程呑むと、ガタン。と、テーブルにジョッキを置くと「まったく。女ってのは何を考えてるんだ。俺の事を信用すらしてねぇ」
これまで黙っていた健が向かいに座る私に向かって一気に話し始めました。
私は訳もわからず「ちょ、いきなりどうしたんだよ。涼子さんと喧嘩でもしたのか?」
夫婦喧嘩の捌け口に私を呼んだのかと勝手に思い込んだ私でしたが、この後の一言に私は驚きました。
「夫婦喧嘩より酷いぜ。まったく、お前は寝てたから知らないと思うけどよ。あの二人…あぁっ。思い出しただけでも腹が立つ」
そう言って残りのビールを飲み干すとお代わりを頼む健。
もしかして、私が聞いていた会話を健も聞いていたのか?
そう思いました。
「なんの事かさっぱりわからないよ。ちゃんと説明してくれよ」
私は健が何を聞いたのか、確認することにしました。
私の推測が正しければ、あの件しかない…と。
「ふんっ。この前呑みに来た時だよ。涼子が俺が浮気するかも知れないから、由紀に抱かれてくれないかって言ってたんだ。それだけじゃないぜ。由紀も私でいいなら。って言ったんだ」
苛立ちを隠せない健は一気に捲し立て私に怒りをぶつけてました。
「まぁまぁ…落ち着けよ。実際にそんな話があったわけじゃないだろ?
由紀からもそんな話し聞いてないから。ただの女同士の会話って事だよ」
何とかなだめようとしましたが、これで私の欲望は果たせないと確信した瞬間でした。
健なら或いはと思った私が間違っていたと思い知らされました。
「俺が浮気すると思ってるんだぜ?許せるか?」
そう言われて私も健の怒りを理解しました。
「確かに、そうだな。浮気したわけでもないのに、疑われるのは許せないよな」
「だろ?こうなったら、本気で浮気してやろうか」
疑われるのを何より嫌う健の本気で浮気しかねないような発言に私は
「妊娠中は誰しもそう思うのかも知れないよ。まぁ、今回は大目に見てやれよ。互いの妻を賭けて競馬したのも原因かも知れないしさ」
怒りをぶつけたのと、私の言葉で少し落ちついた健に勇気を出して聞いてみました。
「なぁ、由紀をもう一度…抱いてくれないか?」
その時初めて健にその会話を自分も聞いていたこと、そしてもう一度健に抱かれる妻を見てみたい事を明かしました。