2015/08/18 23:52:02
(j5Hozq5h)
それから約束の前日まで、私も妻もあの話はしませんでした。
日が経つにつれ、妻が健に抱かれる姿を想像しては興奮している自分が居て、それを悟られまいと話すのを止めていました。
妻はどんな気持ちで毎日を送っていたか、それを聞く勇気もないまま前日になり、「いよいよ明日…だね」
妻はひょっとしたら気が変わって、やっぱり止める。と、言い出さないか。今はどんな心境なのか、やはり知りたくなりました。
妻が了承したあの日、妻の希望で1週間以上も空けたのは健や私の気が変わるのを期待しての事か、冷静になった妻自身の気が変わるのを待っていたのか、そんな風に思うようになっていました。
もし妻の気が変わったのなら健に謝りに行くつもりでした。
私の中でも抱かれるのを見たい気持ちと抱かれたくない気持ちとがいったり来たりしていましたから。
ですが返って来た言葉は「そうね。いよいよ…だね。本当にいいの?
私が健さんに抱かれちゃうんだよ?」
私は返事に困りました。
もしかしたら妻は私にやっぱりこんなバカな事は止めようと言ってくるのを待っていたのかも知れません。
そんな風に思える言い方に聞こえました。
「由紀は…嫌か?嫌なら今すぐ健に電話するけど…」
抱かれてもいいよ。とも、抱かれるなよ。
とも言えない私に「私の質問に答えて…」
少し怒ったような妻の言い方にやっぱり止めて欲しいんだ。と思いました。
ですが、私は先に涼子を抱いてしまった事。一度は約束してしまった事。何より私以外のしかも自分より遥かに女を悦ばす術を知っている健に抱かれたら妻はどうなるのか見てみたい。
そんな自分勝手な欲望に負けてしまった私は「約束しちゃったしな。それに一度きり。たった一度の公認浮気って思って楽しまないか?」
自分でも何を言ってるのか訳のわからないことを言ってしまいました。
「はぁ、そうね。宏樹が負けたのも涼子を抱いたのも事実だし。そんなあなたを好きになったのも事実だしね。でも時には優しいだけじゃなくて、男らしいとこも見せてね」
その言葉を聞いて胸を刺される思いでした。
やはり男らしく止めて欲しかったのだ。
一度は了承したものの私から断ってくると言ってくるのをずっと待っていたのだと。
「ごめん。由紀。もう2度としないから…」
それ以外の言葉が見つかりませんでした。
すると「当たり前よ。次はないからね」
「はい」
即答する私を見て気が晴れたのか「ふふっ。もういいわよ。明日の事考えると緊張する。いつも会ってる人に抱かれるんだもん。しかも涼子が自慢する相手とね」
「緊張…だけ?」
調子に乗った私は思わず聞いてしまいました。
「んん…ちょっとだけ楽しみ。かな?ちょっとだけだよ」
少し機嫌の直った妻に安心しました。
その日は妻を抱き締めたまま眠りました。
翌朝、私の時と違ってアリバイ工作の必要がありませんので、昼の1時に健が来ることになっていました。
遅めの朝食を二人で終えた後、そろそろ用意してくると言って、妻はシャワーを浴びに行きました。
私の家は、広くはないですが3階建てで1階にガレージと8畳の部屋、階段を降りてすぐに風呂があり、玄関は2階ですぐに6畳の客間、突き当たりにキッチンとリビングという間取りです。
3階に寝室があるのですが、妻と健には客間でと言ってあり、妻の入浴中に内緒である準備を始めました。
まず風呂場を通りすぎ部屋に入り、ガレージへ続くドアの鍵を開けて、ガレージのシャッターを人が潜れるだけ上げておきました。
健との約束で最初は妻に内緒で覗き途中で抜け出す計画を立てたからです。
玄関に近い客間ですから、玄関から出ていくと妻に見ていた事がバレると考えたからです。
準備を終えリビングでテレビを見ていると、シャワーを終えた妻が2階を通りすぎ3階へと上がる階段の音が聞こえてきました。
30分程テレビを見ていると、階段を降りてくる音が聞こえてリビングに入って来た妻はいつもより念入りな化粧に最近では見なくなったミニのワンピース姿で現れました。
いつもよりセクシーな妻の姿に
「な、なんか気合い入ってるな…」
今から健に抱かれる妻への態度に嫉妬しての一言でした。
「だって…どうせならキレイに見せたいでしょ。それに涼子はもっとセクシーで下着もなかったって聞いたよ。私はそこまでは出来ないから…」
恥ずかしそうに俯く妻はとても可愛らしく見えました。
そこまでしなくても。と、思いながらどこかで女性として負けたくない気持ちもあったのかもと「今日の由紀は本当にセクシーだよ」
思わず出た言葉に「そんな風にいつも言ってね。私が口紅代えても、髪の毛切った時もそうやって気付いて言ってね」
妻の行動は微妙な変化に無頓着になっていた私に思い知らせる意図もあったのかも知れません。
「ごめん。でも本当にキレイだよ。たとえ健に抱かれても、俺の愛は変わらないから」
そう言って抱き締めているとき、インターフォンが鳴りました。